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第八章 戦いの先にある未来
16話 薬神メランティーナ
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あぁ、まぁ実年齢は20歳と言われても、本当の年齢はぼく達と比べる事が出来ない程な訳で……
「でも実年齢はもっと上でしょ?」
「え?あ、あぁそうじゃな……、まだ神であった頃を入れたら四桁は行くのじゃがそれは今は関係ないじゃろ?」
「……いや、それなら実年齢に四桁を足した方がいいんじゃないかなって」
「ば、馬鹿者っ!それでは余がロリババアになってしまうではないかっ!」
ロリババアって初めて聞いたけどいったいどういう事だろうか。
気になりはするけど反応的に凄い触れてはいけない気がするからここは黙っておいた方がいいのかもしれない。
「おぉぬぅしぃ?、反応したらめんどくさそうって表情に出ておるぞぉ?」
「……」
「黙っていても何を言いたのか何となく分かるから白状するのじゃっ!」
どうやら黙っているのは無理なようだ。
ならここは話題を逸らした方がいいかもしれない……。
「んー、メイメイって元の体に戻るとかって出来るの?」
「お、おぉ!?何じゃ急に話題を変えよって、余は年齢の話をしているのじゃが……まぁ良いじゃろう、この話を続けてもお互いにめんどくさくなるじゃけだしな、で?どうしてそんな事が気になるのじゃ?」
「カエデが首都に使われているあの大樹は神の体で未だに生きてるって言ってたから気になった感じかな」
「ほう、ほうほう……、確かにそういう事なら気になるのは分かるのじゃ、戻ろうとすればいつでも戻れるのじゃが、頼まれても戻りたくはないと言うのは余の正直な気持ちじゃな」
「戻りたくないって……、自分の身体なのに?」
話題を逸らす事に成功したけど、雲に届く程に大きな身体があるのなら何でも出来るのに勿体無い気がする。
人の身体が欲しかったと言っていたけど本来の自分の身体が恋しくないのだろうか。
「余の秘密を暴いたレース殿に特別に教えてやろうかの……、この国の森全てが余の身体そのものなのでな」
「……それってどういう」
「全てが一つの根で繋がっておるのじゃ、仮にこの身体を捨てて元に戻ったとしても森が広がっている所までしか移動する事が出来ないのは嫌なのじゃよ」
「確かにメイメイが死ぬとダリアも悲しむし、他にも悲しむ人は沢山いるから止めた方が良さげだね」
「当然じゃよ、今の余はこの国の国民全てに愛されておるし、この身体を残してくれた産まれる筈だった命と産んでくれた母、そして父になり愛情を注いでくれたショウソク・メイディへの恩もあるのでな……、エルフの寿命は魔力が豊富な地であれば不老不死に近いからのぅ、身体が大人になったら王族として沢山子をこさえながらゆっくりと過ごすつもりじゃよ」
そう言って申し訳なさそうに笑うメイメイを見て、この人は神ではなく本当に人になったんだと感じる。
今迄見て来た神はヴォルフガングが心器解放して姿を現した異形の巨人と、ミオラームの中に封印されている【マリーヴェイパー】だ。
前者はミオラーム曰く協力的な性格らしいけど、後者の場合ミオラームの身体を操り外に出ようとしたし、もしかしたらストラフィリアの神とメランティーナが例外なのかもしれない。
「くふふ、何を考えておるのか分からぬがそんな申告そうな顔をするでないぞ?」
「あぁいや、メランティーナがメイメイに生まれ変わったのは分かったんだけど、他の神はどうなのかなって」
「あぁ……、となるとおぬしの母国であるストラフィリアの神ディザスティアは強き者を見るのが好きじゃからな満足している間は問題無いと思うのじゃ……、後はトレーディアスのグローリシェスは金銀財宝に囲まれるような事が無ければ欲を出す事も無いかのう、ただメセリーのセラフナハシュ、マーシェンスのマリーヴェイパーは別じゃな」
「……マリーヴェイパーが危険な事は接触した事があるから知ってるけど、そのセラフナハシュっていうのも?」
「あぁ、セラフナハシュの人柱になった物は常に新しい魔法や奇跡、今でいう所の魔術と治癒術じゃな、それ等を見せ続けなければならないのじゃよ……、それ故に代々メセリーの王族はSランク冒険者【叡智】カルディアに協力を求めておるが、今の賢王ソフィア・メセリーは上手く付き合えているのじゃよ、ただマリーヴェイパーは駄目じゃあれは本当に危険過ぎる」
母さんがソフィアを弟子にしていたのはそういう事か……、母の事で思い出したけど最近のあの人は周囲をかき乱すような事が無くなり、どっちかというと凄い大人しくなった気がするし、身体は若いのに心は年老いた老人のそれで、……多分だけどフィリアとの一件で何かが吹っ切れて満足してしまったんだと思う。
……ぼくの勘が間違っていないのなら、あの人は多分人として生きて死ぬ事を選んだんだと思うけど、正直あの人がこのまま老いていなくなる事を想像すると悲しい気持ちになる。
「……まぁとは言え、余も含めてじゃが神としては既に過去の遺物じゃし、それに仮に暴走したとしても人の意志で抑え込める程に弱体化しておるからのぅ、マリーヴェイパーに関してはミオラームの成長によって制御出来るようになる筈じゃよ」
「そっか、でもミオラームはもう大丈夫だと思うよ?あの子には隣で支えてくれる人がちゃんといるから」
「くふふ、あの我が儘王女に良い出会いがあったようで何よりじゃよ」
……メイメイはそう言うと『さて、何時までも皆を待たせてしまうのは良くないからそろそろ合流するのじゃ』と笑顔でぼくの手を握って歩き出す。
確かに彼女の言う通りだと思って歩幅を合わせるけど一つだけまだ聞きたい事があるのを思い出して『最後に一つだけ聞きたいんだけどさ、薬を使った身体能力の強化ってどうやるの?』と聞いて見ると『それなら道中で教えてあげるのじゃよ……、余はお主の事が気に入ったからのぅ、色んな薬の作り方も伝授するのじゃよ』と満面の笑みで言ってくれるのだった。
「でも実年齢はもっと上でしょ?」
「え?あ、あぁそうじゃな……、まだ神であった頃を入れたら四桁は行くのじゃがそれは今は関係ないじゃろ?」
「……いや、それなら実年齢に四桁を足した方がいいんじゃないかなって」
「ば、馬鹿者っ!それでは余がロリババアになってしまうではないかっ!」
ロリババアって初めて聞いたけどいったいどういう事だろうか。
気になりはするけど反応的に凄い触れてはいけない気がするからここは黙っておいた方がいいのかもしれない。
「おぉぬぅしぃ?、反応したらめんどくさそうって表情に出ておるぞぉ?」
「……」
「黙っていても何を言いたのか何となく分かるから白状するのじゃっ!」
どうやら黙っているのは無理なようだ。
ならここは話題を逸らした方がいいかもしれない……。
「んー、メイメイって元の体に戻るとかって出来るの?」
「お、おぉ!?何じゃ急に話題を変えよって、余は年齢の話をしているのじゃが……まぁ良いじゃろう、この話を続けてもお互いにめんどくさくなるじゃけだしな、で?どうしてそんな事が気になるのじゃ?」
「カエデが首都に使われているあの大樹は神の体で未だに生きてるって言ってたから気になった感じかな」
「ほう、ほうほう……、確かにそういう事なら気になるのは分かるのじゃ、戻ろうとすればいつでも戻れるのじゃが、頼まれても戻りたくはないと言うのは余の正直な気持ちじゃな」
「戻りたくないって……、自分の身体なのに?」
話題を逸らす事に成功したけど、雲に届く程に大きな身体があるのなら何でも出来るのに勿体無い気がする。
人の身体が欲しかったと言っていたけど本来の自分の身体が恋しくないのだろうか。
「余の秘密を暴いたレース殿に特別に教えてやろうかの……、この国の森全てが余の身体そのものなのでな」
「……それってどういう」
「全てが一つの根で繋がっておるのじゃ、仮にこの身体を捨てて元に戻ったとしても森が広がっている所までしか移動する事が出来ないのは嫌なのじゃよ」
「確かにメイメイが死ぬとダリアも悲しむし、他にも悲しむ人は沢山いるから止めた方が良さげだね」
「当然じゃよ、今の余はこの国の国民全てに愛されておるし、この身体を残してくれた産まれる筈だった命と産んでくれた母、そして父になり愛情を注いでくれたショウソク・メイディへの恩もあるのでな……、エルフの寿命は魔力が豊富な地であれば不老不死に近いからのぅ、身体が大人になったら王族として沢山子をこさえながらゆっくりと過ごすつもりじゃよ」
そう言って申し訳なさそうに笑うメイメイを見て、この人は神ではなく本当に人になったんだと感じる。
今迄見て来た神はヴォルフガングが心器解放して姿を現した異形の巨人と、ミオラームの中に封印されている【マリーヴェイパー】だ。
前者はミオラーム曰く協力的な性格らしいけど、後者の場合ミオラームの身体を操り外に出ようとしたし、もしかしたらストラフィリアの神とメランティーナが例外なのかもしれない。
「くふふ、何を考えておるのか分からぬがそんな申告そうな顔をするでないぞ?」
「あぁいや、メランティーナがメイメイに生まれ変わったのは分かったんだけど、他の神はどうなのかなって」
「あぁ……、となるとおぬしの母国であるストラフィリアの神ディザスティアは強き者を見るのが好きじゃからな満足している間は問題無いと思うのじゃ……、後はトレーディアスのグローリシェスは金銀財宝に囲まれるような事が無ければ欲を出す事も無いかのう、ただメセリーのセラフナハシュ、マーシェンスのマリーヴェイパーは別じゃな」
「……マリーヴェイパーが危険な事は接触した事があるから知ってるけど、そのセラフナハシュっていうのも?」
「あぁ、セラフナハシュの人柱になった物は常に新しい魔法や奇跡、今でいう所の魔術と治癒術じゃな、それ等を見せ続けなければならないのじゃよ……、それ故に代々メセリーの王族はSランク冒険者【叡智】カルディアに協力を求めておるが、今の賢王ソフィア・メセリーは上手く付き合えているのじゃよ、ただマリーヴェイパーは駄目じゃあれは本当に危険過ぎる」
母さんがソフィアを弟子にしていたのはそういう事か……、母の事で思い出したけど最近のあの人は周囲をかき乱すような事が無くなり、どっちかというと凄い大人しくなった気がするし、身体は若いのに心は年老いた老人のそれで、……多分だけどフィリアとの一件で何かが吹っ切れて満足してしまったんだと思う。
……ぼくの勘が間違っていないのなら、あの人は多分人として生きて死ぬ事を選んだんだと思うけど、正直あの人がこのまま老いていなくなる事を想像すると悲しい気持ちになる。
「……まぁとは言え、余も含めてじゃが神としては既に過去の遺物じゃし、それに仮に暴走したとしても人の意志で抑え込める程に弱体化しておるからのぅ、マリーヴェイパーに関してはミオラームの成長によって制御出来るようになる筈じゃよ」
「そっか、でもミオラームはもう大丈夫だと思うよ?あの子には隣で支えてくれる人がちゃんといるから」
「くふふ、あの我が儘王女に良い出会いがあったようで何よりじゃよ」
……メイメイはそう言うと『さて、何時までも皆を待たせてしまうのは良くないからそろそろ合流するのじゃ』と笑顔でぼくの手を握って歩き出す。
確かに彼女の言う通りだと思って歩幅を合わせるけど一つだけまだ聞きたい事があるのを思い出して『最後に一つだけ聞きたいんだけどさ、薬を使った身体能力の強化ってどうやるの?』と聞いて見ると『それなら道中で教えてあげるのじゃよ……、余はお主の事が気に入ったからのぅ、色んな薬の作り方も伝授するのじゃよ』と満面の笑みで言ってくれるのだった。
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