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第八章 戦いの先にある未来
55話 本の内容と【黎明】の真実
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暫くして解析が終わると、本が勝手に開くと空中に文字が飛び散り……
「……ライさんこれは?」
「俺にも分からない……、いったい何を偽装していたのか」
更にページが中に舞うと、表紙の中から昆虫が持つような透明な羽を生やした小さい人の形をした何かが現れると飛び散った文字を拾い集めてそれぞれがページに向かって飛んでいく。
「レース君、これは俺の予想なんだけど本を書き直しているのではないかな?」
「いや、それは分かるんだけど……、この小さいのは?」
「適正が無いせいで今迄見た事が無かったから確証は持てないが、メイディに存在する精霊じゃないかな、彼等は例外はあれど強い存在程獣に近くなり、弱くなる程人の形に近くなるというからね」
「ライさん、その精霊の知識は何処で?」
「ん?レース君が以前会ったソラからだよ、彼はこの国出身の精霊術師でもあるからね……、もしかして聞いてなかったのかい?」
ソラが精霊術師?、風の魔術を使う剣士としての彼しか知らないから何て答えたらいいのか分からない。
「その顔は知らないみたいだね、まぁソラは警戒心が強いからしょうがない……初対面の人の前ではお調子者のふりをしたり、ナルシストっぽくして掴み所が無いように見せるそんな悪癖があるからね」
「あぁ……」
「思い当たる所があるみたいだね、それでもおかしいな、ソラが自分の能力を隠して任務に赴く事は滅多にない筈なんだけど……ん?いや、確かあの時は妹のランも同行していた筈だったけど、彼女と何かあったりしたのかな?」
「ランとは特に何も無かったけど、トレーディアスの王城に潜入する時にソラから『妹はぼくより強い雄以外には渡さない』」とか『必要な時以外は妹に近付くな』みたいな事言われた位しか……記憶に無いかな」
「……おかしいな、レース君達との間にそのようなトラブルが発生していたという内容は、提出された報告書に無かったんだけどね」
報告書に無かったって……、作戦中に私情を挟まないみたいに言ってたのに思いっ切り挟んでるじゃないか。
もしかしてだけど、ぼくは彼に嫌われているのかもしれない。
「まぁ……話はズレてしまったけど、今度機会があったらソラとゆっくり話してみると良いかもしれないね……実は本来は彼がここに来るはずだったのだけれど、生まれ故郷であるこの国にどうしても行きたくないという事でね……それを知ったアキラが変わってくれたんだ、まぁ任務や作戦に私情を挟むなと言いたいが無理に行かせて失敗のリスクを背負うよりは、君達と交流がある彼が同行してくれて結果的に助かったのは事実だよ」
「確かにアキラさんがいてくれたおかげで安心して行く事が出来たから、結果的には本当に良かったと思う……、それに知らない人や僕に対して良い感情を持ってない人達と合流するって結構お互いに気を使って疲れてしまう気がするし」
「そうだね、俺もレース君の立場だったら同じような事を考えると思うかな……、おや?そろそろ本の修正作業が終わるみたいだ」
本の表紙がテーブルの上に開かれた状態で置かれたかと思うと、宙に舞い床へと落ちてしまっていた紙が飛び込むように向かって行く。
そして一冊の本が出来上がると精霊の姿が薄くなって消えてしまう。
「……偽装の回路の下に他の術を忍ばせる、まさかとは思うが予め何者かがこの本に気付いて回路を外す事を想定していた?」
「マスカレイドならそれ位考えててもおかしくは無いと思う」
「仮に想定されていたとしてもこれで本の内容が変わったという事は……、レース君の知りたい内容が分かるかもしれないよ、俺は後で見るから先に読んでみたらどうかな」
「……ありがとう読んでみるよ」
本を手に取りページを開くと、ぼくが知っているのと同じ内容の世界の成り立ちが書かれたているけど、見る限りこれと言った問題があるようには思えない。
ただ……所々ページの中で、エルフ族の好んだ郷土料理の話になったりするが、何故か文字の一部が赤く塗られている。
いったいマスカレイドはこの本に対して何でこんなことをしたのだろうか。
「レース君、困ったような顔をしているけどどうしたんだい?」
「……えっと、これを見て欲しいんだけど」
「ん?、これは……」
「ライさん?」
「すまないレース君、悪いけど先に読ませて貰うよ」
ライさんに本を渡すと、空間収納の効果が付与されているだろうか……紳士服のポケットからメモ帳のような物を取り出して赤く塗りつぶされた文字を書き写して行く。
そして……
「この文字の法則を考えると、並び替えたら……成程」
「ライさん?何か分かったの?」
「……これを見て欲しい、君には何て読める?」
「えっと……」
『我ら永劫の時を生きるエルフはこの世界に連れ去られた被害者である……、願わくばもう一度懐かしき古郷に帰り、この身体が滅び地に根差す大樹へとなる前に、そして我らエルフに再び古郷の祝福を与え安らかなる日々を返せますように…… 薬王ハイネ・メイディ』
……多分この名前の人物はこの国の初代薬王なのだろうけど、これとマスカレイドに何の繋がりがあるのだろうか。
もしかしてだけど……世界の禁忌を犯した理由がこの本を解読して見つけたのが理由?、初代薬王の願いを叶えようとしているのかも?、この世界に産まれて育ったのに何故だろう。
幾ら考えても、ぼくの中では答えが出せそうになくて困惑してしまうのだった。
「……ライさんこれは?」
「俺にも分からない……、いったい何を偽装していたのか」
更にページが中に舞うと、表紙の中から昆虫が持つような透明な羽を生やした小さい人の形をした何かが現れると飛び散った文字を拾い集めてそれぞれがページに向かって飛んでいく。
「レース君、これは俺の予想なんだけど本を書き直しているのではないかな?」
「いや、それは分かるんだけど……、この小さいのは?」
「適正が無いせいで今迄見た事が無かったから確証は持てないが、メイディに存在する精霊じゃないかな、彼等は例外はあれど強い存在程獣に近くなり、弱くなる程人の形に近くなるというからね」
「ライさん、その精霊の知識は何処で?」
「ん?レース君が以前会ったソラからだよ、彼はこの国出身の精霊術師でもあるからね……、もしかして聞いてなかったのかい?」
ソラが精霊術師?、風の魔術を使う剣士としての彼しか知らないから何て答えたらいいのか分からない。
「その顔は知らないみたいだね、まぁソラは警戒心が強いからしょうがない……初対面の人の前ではお調子者のふりをしたり、ナルシストっぽくして掴み所が無いように見せるそんな悪癖があるからね」
「あぁ……」
「思い当たる所があるみたいだね、それでもおかしいな、ソラが自分の能力を隠して任務に赴く事は滅多にない筈なんだけど……ん?いや、確かあの時は妹のランも同行していた筈だったけど、彼女と何かあったりしたのかな?」
「ランとは特に何も無かったけど、トレーディアスの王城に潜入する時にソラから『妹はぼくより強い雄以外には渡さない』」とか『必要な時以外は妹に近付くな』みたいな事言われた位しか……記憶に無いかな」
「……おかしいな、レース君達との間にそのようなトラブルが発生していたという内容は、提出された報告書に無かったんだけどね」
報告書に無かったって……、作戦中に私情を挟まないみたいに言ってたのに思いっ切り挟んでるじゃないか。
もしかしてだけど、ぼくは彼に嫌われているのかもしれない。
「まぁ……話はズレてしまったけど、今度機会があったらソラとゆっくり話してみると良いかもしれないね……実は本来は彼がここに来るはずだったのだけれど、生まれ故郷であるこの国にどうしても行きたくないという事でね……それを知ったアキラが変わってくれたんだ、まぁ任務や作戦に私情を挟むなと言いたいが無理に行かせて失敗のリスクを背負うよりは、君達と交流がある彼が同行してくれて結果的に助かったのは事実だよ」
「確かにアキラさんがいてくれたおかげで安心して行く事が出来たから、結果的には本当に良かったと思う……、それに知らない人や僕に対して良い感情を持ってない人達と合流するって結構お互いに気を使って疲れてしまう気がするし」
「そうだね、俺もレース君の立場だったら同じような事を考えると思うかな……、おや?そろそろ本の修正作業が終わるみたいだ」
本の表紙がテーブルの上に開かれた状態で置かれたかと思うと、宙に舞い床へと落ちてしまっていた紙が飛び込むように向かって行く。
そして一冊の本が出来上がると精霊の姿が薄くなって消えてしまう。
「……偽装の回路の下に他の術を忍ばせる、まさかとは思うが予め何者かがこの本に気付いて回路を外す事を想定していた?」
「マスカレイドならそれ位考えててもおかしくは無いと思う」
「仮に想定されていたとしてもこれで本の内容が変わったという事は……、レース君の知りたい内容が分かるかもしれないよ、俺は後で見るから先に読んでみたらどうかな」
「……ありがとう読んでみるよ」
本を手に取りページを開くと、ぼくが知っているのと同じ内容の世界の成り立ちが書かれたているけど、見る限りこれと言った問題があるようには思えない。
ただ……所々ページの中で、エルフ族の好んだ郷土料理の話になったりするが、何故か文字の一部が赤く塗られている。
いったいマスカレイドはこの本に対して何でこんなことをしたのだろうか。
「レース君、困ったような顔をしているけどどうしたんだい?」
「……えっと、これを見て欲しいんだけど」
「ん?、これは……」
「ライさん?」
「すまないレース君、悪いけど先に読ませて貰うよ」
ライさんに本を渡すと、空間収納の効果が付与されているだろうか……紳士服のポケットからメモ帳のような物を取り出して赤く塗りつぶされた文字を書き写して行く。
そして……
「この文字の法則を考えると、並び替えたら……成程」
「ライさん?何か分かったの?」
「……これを見て欲しい、君には何て読める?」
「えっと……」
『我ら永劫の時を生きるエルフはこの世界に連れ去られた被害者である……、願わくばもう一度懐かしき古郷に帰り、この身体が滅び地に根差す大樹へとなる前に、そして我らエルフに再び古郷の祝福を与え安らかなる日々を返せますように…… 薬王ハイネ・メイディ』
……多分この名前の人物はこの国の初代薬王なのだろうけど、これとマスカレイドに何の繋がりがあるのだろうか。
もしかしてだけど……世界の禁忌を犯した理由がこの本を解読して見つけたのが理由?、初代薬王の願いを叶えようとしているのかも?、この世界に産まれて育ったのに何故だろう。
幾ら考えても、ぼくの中では答えが出せそうになくて困惑してしまうのだった。
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