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第八章 戦いの先にある未来
59話 訓練場と騎士達
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薬王ショウソクに教えて貰った訓練場に着くと、周囲で武器を手に持っている騎士の人達がいるけど、何て言うか凄い……
「……弱そう」
「父さん、正直に言い過ぎだろ」
それぞれが武器を持って鎧を着こんだ木の人形に向けて振り下ろしたりしているけど、ぼくから見ても分かる位に酷い。
武器の重さを支え切れていないみたいで、振る度に体が持って行かれているし……、身に着けている鎧が重いのか動きも凄い遅い。
「おぅ、ちぃっと悪いんだけどさ、訓練場使いてぇんだけど……」
「……いきなり来てなんですか?君達は」
「何って、ぼく達は薬王ショウソクに言われてここを使うように言われたんだけど」
「あの方があなた達に?」
「おぅ、だから悪いんだけど、あんたら出て行って貰って貰っていいか?」
ハスの言葉を聞いて不機嫌な顔をした騎士達が、こっちを見て来るけど正直いきなり来てそんな事を言われたらぼくも同じ反応をするだろう。
国を守る為に騎士になって、訓練場で武器の扱いや鎧を着ての行動に慣れようとしているのに、いきなり来た部外者が貴重な時間を奪おうとしているのだから……
「ここは見習い騎士達の訓練場ですよ?いくら事情があるとはいえ我々の訓練時間を奪わないで頂きたい」
「そうですよ、私達はこの国を守る為に騎士になったのです……、少しでも訓練をして戦えるようにならなければいけないんです、なのでお引き取り願えますか?」
「あぁ?帰れって言われても俺達は薬王に言われてここに来たんだぜ?」
「その証拠が何処にあるのですか?許可証も持たずにいきなり来て、ここを使いたいから出て行けと言われて納得出来るとでも?」
「……あぁ、めんどくせぇなぁ」
騎士達の言葉は正しいけれど、ハスはどうやら気に入らなかったみたいで……腰に差した二丁の銃を抜く。
そして銃口を見習い騎士達へと向けると……
「それなら俺達が特別にあんたらの指導を手伝ってやるよ、俺は栄花騎士団最高幹部のハス……、そしてこいつ等はストラフィリアの現覇王ミュラッカ・ストラフィリアの実の兄レースとその娘のダリアだ」
「栄花とストラフィリアの!?これは失礼致しましたっ!……、ですが指導の必要はありません、私達には長い歴史にて生まれた技術がありますので」
「……しょうがねぇな、そこまで言われたら俺じゃあ何も出来ねぇな、レースお前からも何か言って欲しいんだけどいいか?」
「言って欲しいって言われても、ぼく達は部外者だから彼等を納得させる事が出来なかったらどうしようも無いと思うよ」
「まじかよぉ、じゃあ何処でなら俺達喧嘩出来んだ?」
そこまでして喧嘩がしたいのか、ライさんに言われたからやるけど……正直周囲に迷惑をかけてまでやる必要はあるのだろうか。
現に必死に訓練をしている人達の手を止めてしまっている。
「まぁこればっかりはしょうがないんじゃね?ハスと父さんの喧嘩を見れねぇのは残念だけど、別に急いでるわけじゃねぇし、ゆっくりと待とうぜ?」
「いや、俺は直ぐにでもやりあいてぇんだよ」
「ゆっくり待とうぜ?って言ってんだよ、余裕のない男は女に嫌われるぜ?」
「女にって……、別に俺は女にモテたくて栄花に入った訳じゃねぇぞ」
「いいから待てって言ってんだよ、戦いしか頭にない脳筋馬鹿がっ!」
ダリアが飛び上がるとそのままハスの頭を殴り付ける。
そして頭を押さえて蹲るのを見ると眼に涙を浮かべて……
「……んだよてめぇの頭金属か何かで出来てんのか?めっちゃいてぇ」
「はっはっ!体の頑丈さが俺の取り柄だからな……、けどすげぇ痛かったぞ?ダリアもすげぇ強いんだな、まだちっちゃいのに凄いなあんた」
「ほ、褒めても何もでねぇぞ!?」
「いや、俺が褒めてぇんだ……、それにだ頭を殴って貰ったおかげで頭に上がってた血が下がって冷静になったわ」
「だから殴ったんだ、オメェみてぇに気性が荒いタイプはこうやって落ち着かせた方がいい……だって俺がそうだからな、そういう奴はこうやって尻に敷いた方が丁度いいんだよ」
何だか二人の距離が妙に近い気がしてもやもやする。
ぼくはいったい何を見せられているのだろうか……
「って事で騒いで悪かったな……、ここで待たせて貰うわ」
「いや、その必要は無い、君達が話をしている間に精霊を通じてショウソク様とのやり取りが事実か確認させて貰った」
「えっと……、あなたは?」
「失礼、私はこの訓練場の教官をしている者です、名前の方は王族という清く高貴なる血筋の方に名乗れる程の身分ではないので……どうかご容赦を」
「……え?あぁ、うん」
確かに生まれは王族だけど育ちは平民だから……、そんな気を遣われても反応に困ってしまう。
それに今更だけど教官がいるのならぼく達のやり取りに最初から入って来てくれたら、こんなめんどくさい事にならなかったのに……
「ありがとうございます、見習い騎士の諸君っ!今日は予定を変更し首都周辺の森にてモンスターを狩る実戦訓練へと切り替えるっ!今から半刻までの間に各自準備を整え首都の正門前に集合せよっ!」
「は、はいっ!」
……指示に従った見習い騎士達が急いで出て行くと、教官がこちらに向かって頭を下げるとゆっくりとした足取りで出て行く。
そしてぼく達以外誰もいなくなった訓練場で『あの教官って奴……、凄い弱いなあれじゃあ確かに冒険者の方が頼りにされるわけだ』とハスが呟くと中央にある開けた場所へと向かう。
そしてこちらにふり返ると『ここでなら充分戦えそうだな、さぁて喧嘩と行こうぜっ!』と楽し気に笑うのだった。
「……弱そう」
「父さん、正直に言い過ぎだろ」
それぞれが武器を持って鎧を着こんだ木の人形に向けて振り下ろしたりしているけど、ぼくから見ても分かる位に酷い。
武器の重さを支え切れていないみたいで、振る度に体が持って行かれているし……、身に着けている鎧が重いのか動きも凄い遅い。
「おぅ、ちぃっと悪いんだけどさ、訓練場使いてぇんだけど……」
「……いきなり来てなんですか?君達は」
「何って、ぼく達は薬王ショウソクに言われてここを使うように言われたんだけど」
「あの方があなた達に?」
「おぅ、だから悪いんだけど、あんたら出て行って貰って貰っていいか?」
ハスの言葉を聞いて不機嫌な顔をした騎士達が、こっちを見て来るけど正直いきなり来てそんな事を言われたらぼくも同じ反応をするだろう。
国を守る為に騎士になって、訓練場で武器の扱いや鎧を着ての行動に慣れようとしているのに、いきなり来た部外者が貴重な時間を奪おうとしているのだから……
「ここは見習い騎士達の訓練場ですよ?いくら事情があるとはいえ我々の訓練時間を奪わないで頂きたい」
「そうですよ、私達はこの国を守る為に騎士になったのです……、少しでも訓練をして戦えるようにならなければいけないんです、なのでお引き取り願えますか?」
「あぁ?帰れって言われても俺達は薬王に言われてここに来たんだぜ?」
「その証拠が何処にあるのですか?許可証も持たずにいきなり来て、ここを使いたいから出て行けと言われて納得出来るとでも?」
「……あぁ、めんどくせぇなぁ」
騎士達の言葉は正しいけれど、ハスはどうやら気に入らなかったみたいで……腰に差した二丁の銃を抜く。
そして銃口を見習い騎士達へと向けると……
「それなら俺達が特別にあんたらの指導を手伝ってやるよ、俺は栄花騎士団最高幹部のハス……、そしてこいつ等はストラフィリアの現覇王ミュラッカ・ストラフィリアの実の兄レースとその娘のダリアだ」
「栄花とストラフィリアの!?これは失礼致しましたっ!……、ですが指導の必要はありません、私達には長い歴史にて生まれた技術がありますので」
「……しょうがねぇな、そこまで言われたら俺じゃあ何も出来ねぇな、レースお前からも何か言って欲しいんだけどいいか?」
「言って欲しいって言われても、ぼく達は部外者だから彼等を納得させる事が出来なかったらどうしようも無いと思うよ」
「まじかよぉ、じゃあ何処でなら俺達喧嘩出来んだ?」
そこまでして喧嘩がしたいのか、ライさんに言われたからやるけど……正直周囲に迷惑をかけてまでやる必要はあるのだろうか。
現に必死に訓練をしている人達の手を止めてしまっている。
「まぁこればっかりはしょうがないんじゃね?ハスと父さんの喧嘩を見れねぇのは残念だけど、別に急いでるわけじゃねぇし、ゆっくりと待とうぜ?」
「いや、俺は直ぐにでもやりあいてぇんだよ」
「ゆっくり待とうぜ?って言ってんだよ、余裕のない男は女に嫌われるぜ?」
「女にって……、別に俺は女にモテたくて栄花に入った訳じゃねぇぞ」
「いいから待てって言ってんだよ、戦いしか頭にない脳筋馬鹿がっ!」
ダリアが飛び上がるとそのままハスの頭を殴り付ける。
そして頭を押さえて蹲るのを見ると眼に涙を浮かべて……
「……んだよてめぇの頭金属か何かで出来てんのか?めっちゃいてぇ」
「はっはっ!体の頑丈さが俺の取り柄だからな……、けどすげぇ痛かったぞ?ダリアもすげぇ強いんだな、まだちっちゃいのに凄いなあんた」
「ほ、褒めても何もでねぇぞ!?」
「いや、俺が褒めてぇんだ……、それにだ頭を殴って貰ったおかげで頭に上がってた血が下がって冷静になったわ」
「だから殴ったんだ、オメェみてぇに気性が荒いタイプはこうやって落ち着かせた方がいい……だって俺がそうだからな、そういう奴はこうやって尻に敷いた方が丁度いいんだよ」
何だか二人の距離が妙に近い気がしてもやもやする。
ぼくはいったい何を見せられているのだろうか……
「って事で騒いで悪かったな……、ここで待たせて貰うわ」
「いや、その必要は無い、君達が話をしている間に精霊を通じてショウソク様とのやり取りが事実か確認させて貰った」
「えっと……、あなたは?」
「失礼、私はこの訓練場の教官をしている者です、名前の方は王族という清く高貴なる血筋の方に名乗れる程の身分ではないので……どうかご容赦を」
「……え?あぁ、うん」
確かに生まれは王族だけど育ちは平民だから……、そんな気を遣われても反応に困ってしまう。
それに今更だけど教官がいるのならぼく達のやり取りに最初から入って来てくれたら、こんなめんどくさい事にならなかったのに……
「ありがとうございます、見習い騎士の諸君っ!今日は予定を変更し首都周辺の森にてモンスターを狩る実戦訓練へと切り替えるっ!今から半刻までの間に各自準備を整え首都の正門前に集合せよっ!」
「は、はいっ!」
……指示に従った見習い騎士達が急いで出て行くと、教官がこちらに向かって頭を下げるとゆっくりとした足取りで出て行く。
そしてぼく達以外誰もいなくなった訓練場で『あの教官って奴……、凄い弱いなあれじゃあ確かに冒険者の方が頼りにされるわけだ』とハスが呟くと中央にある開けた場所へと向かう。
そしてこちらにふり返ると『ここでなら充分戦えそうだな、さぁて喧嘩と行こうぜっ!』と楽し気に笑うのだった。
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