430 / 600
第九章 戦いの中で……
49話 再び壊れた訓練場
しおりを挟む
ガルシアが止めてくれたおかげで、ネフィーラがやろうとしていた事は不発で終わったみたいだけど……あのまま続いていたらどうなっていたのだろうか。
予想できる範疇では、広範囲に毒の魔術が付与された毛がまき散らされたという事は、少しでも触れたりしたら皮膚が炎症起こし焼け爛れてしまうだろう。
「……悪いな乱入して、あいつがやろうとした事を止めなかったら被害がヤバすぎてな」
「いや、止めてくれて良かったよ……、個人的には治癒術の発展に使えそうだから何が起きるのか気になるけど」
「……勘弁してくれ、依頼を受けてないのに好き勝手やり過ぎたら俺がカーティスの旦那とサリア嬢に怒られちまう、旦那はまだ放任主義だからいいけどサリア嬢は怒らせたらやべぇんだ」
「結構面白い子だったと思うけど?」
「面白い?あれが……?」
サリアがそんなに怖そうなイメージは無い。
むしろ争いが嫌いな女性だし……幾ら強かったとしても、ネフィーラやガルシアの方が見た目的に強そうに感じる。
「それに片手が義肢なのは気になるけど、そこ意外は心優しい人だと思うよ?」
「おまえ、サリア嬢が何でそうなったのか知らないのか?」
「え?知らないけど……」
「カーティスの旦那が傭兵団に勧誘した際に、あの時はまだ血の気が多かったサリア嬢が、いきなり出て来て父親面するのが気に入らないからとやり合ったんだよ……最初は旦那も軽くあしらうつもりだったんだが、途中で何も無い所からおまえみたいに武器を出現させたと思ったら、いきなり動きが良くなったと思ったら深手を負わせてよ、それで本気になった旦那が反撃したら片腕吹っ飛んじまったんだよ」
「へぇ……」
別に興味は無かったし、サリアが強いのはストラフィリアでカエデに鑑定魔術を使って貰った時に数値で確認したから知ってる。
ただその実力がSランク冒険者に深手を負わせる程だとは思わなかったから、そこは凄いと思うけど……何も無い所から武器を出したという事は【心器】が使えるのだろう。
……確かに以前ぼく達が使うのを見ても驚きはしなかった気がするから、使えてもおかしくはないだろうけど、今の話を聞いた限りだと……Sランク冒険者と同じ実力があったとしてもおかしくはない。
大分うろ覚えだけど前にカエデが、傭兵団の中にはSランク冒険者に匹敵する能力者がいる的な事を言ってた気がするし……。
「興味なさそうだな、まぁ別にいいけどよ……で?レースの旦那、あんたが戦いに勝ったんだから俺達【死絶傭兵団】は力を貸すぞ?まずは何をしたらいい」
「……冒険者の緊急依頼に参加して欲しいかな、後は」
「後は?」
「……訓練場の所々が飛び散った毛が燃えたせいで焦げたり、戦闘を行ったせいで床が壊れたりしてるから、一緒にカフスさんに謝って欲しいかな、それと……ネフィーラは人族に良い印象を持ってないみたいだから、仕事に関係した話に関してはガルシアを通して全体に伝えて欲しいんだけどそれでいい?」
「え?……あぁ、確かにネフィーラに任せるのは良くないな、分かった……あんたは力を示したからあいつも文句は言わないと思うし、俺が言わせねぇ、ただ……カフスに関してはそうだな、俺も謝罪には協力するけ……ど……?ん?」
訓練場の外から何からドスドスと重い音を響かせながら、こちらへ向かってくる音がする。
思わず二人して身構えると……大鉈を肩に担いだカフスが扉を蹴破って勢いよく中に入って来た。
「……レースさん、死絶傭兵団とお話をすると言ってましたがこれはどういう事ですか?」
「えっと……これは」
「悪いカフスの旦那!、これはレースの旦那の話を聞いた俺達が依頼主の実力を確かめたくて、ここに無理矢理連れて来てやりあったんだ!」
「……冒険者ギルドの許可無しに訓練場を無断使用するのは頂けませんね、この落とし前はどうつけて頂けるので?」
「それならぼくが責任を取って、ここの修理に必要な費用を出すよ……それじゃダメかな」
ガルシアがかばってくれたのは嬉しいけど、今回の件はぼくに責任があると思うから……壊してしまった以上はしっかりと弁償するべきだと思う。
「カ、カフスさん……先に行かないでください」
すると小走りで訓練場にカエデが入って来る。
そして周囲の光景を見渡すと……
「まったく……レースさんは本当にしょうがない人ですね」
「え?」
「ここまで冒険者ギルドの施設をボロボロにしてしまうのはどうかとは思いますが……必要な事だったんですよね?」
「まぁ……そうしないといけない状況にはあったけど……」
「ならカフスさん、これに関しては栄花騎士団の任務に必要だった事だと判断出来ますので諸々の修理費用に関しては私が持ちます」
カエデはいったい何を言っているのだろうか。
今回の件についてはどう見てもぼくが責任を取るべきなのに……
「レースさん、言いたい事は分かりますが……今のあなたは栄花騎士団の応援に来ているだけで、立場上は何の責任もありませんし……何か問題が起きた場合責任を取るのは栄花騎士団です」
「でも……」
「でもじゃないです、それにレースさんは私の婚約者ですよ?あなたの立場を私に守らせてください」
……守らせて欲しいと言われると何と言葉を返していいのか分からなくて、思わず言葉に詰まってしまう。
取り合えずどうしようかと思っていると『……分かりました、では訓練場の修繕が終わり次第請求書を栄花騎士団にお送りいたします』と話が進んでしまうのであった。
予想できる範疇では、広範囲に毒の魔術が付与された毛がまき散らされたという事は、少しでも触れたりしたら皮膚が炎症起こし焼け爛れてしまうだろう。
「……悪いな乱入して、あいつがやろうとした事を止めなかったら被害がヤバすぎてな」
「いや、止めてくれて良かったよ……、個人的には治癒術の発展に使えそうだから何が起きるのか気になるけど」
「……勘弁してくれ、依頼を受けてないのに好き勝手やり過ぎたら俺がカーティスの旦那とサリア嬢に怒られちまう、旦那はまだ放任主義だからいいけどサリア嬢は怒らせたらやべぇんだ」
「結構面白い子だったと思うけど?」
「面白い?あれが……?」
サリアがそんなに怖そうなイメージは無い。
むしろ争いが嫌いな女性だし……幾ら強かったとしても、ネフィーラやガルシアの方が見た目的に強そうに感じる。
「それに片手が義肢なのは気になるけど、そこ意外は心優しい人だと思うよ?」
「おまえ、サリア嬢が何でそうなったのか知らないのか?」
「え?知らないけど……」
「カーティスの旦那が傭兵団に勧誘した際に、あの時はまだ血の気が多かったサリア嬢が、いきなり出て来て父親面するのが気に入らないからとやり合ったんだよ……最初は旦那も軽くあしらうつもりだったんだが、途中で何も無い所からおまえみたいに武器を出現させたと思ったら、いきなり動きが良くなったと思ったら深手を負わせてよ、それで本気になった旦那が反撃したら片腕吹っ飛んじまったんだよ」
「へぇ……」
別に興味は無かったし、サリアが強いのはストラフィリアでカエデに鑑定魔術を使って貰った時に数値で確認したから知ってる。
ただその実力がSランク冒険者に深手を負わせる程だとは思わなかったから、そこは凄いと思うけど……何も無い所から武器を出したという事は【心器】が使えるのだろう。
……確かに以前ぼく達が使うのを見ても驚きはしなかった気がするから、使えてもおかしくはないだろうけど、今の話を聞いた限りだと……Sランク冒険者と同じ実力があったとしてもおかしくはない。
大分うろ覚えだけど前にカエデが、傭兵団の中にはSランク冒険者に匹敵する能力者がいる的な事を言ってた気がするし……。
「興味なさそうだな、まぁ別にいいけどよ……で?レースの旦那、あんたが戦いに勝ったんだから俺達【死絶傭兵団】は力を貸すぞ?まずは何をしたらいい」
「……冒険者の緊急依頼に参加して欲しいかな、後は」
「後は?」
「……訓練場の所々が飛び散った毛が燃えたせいで焦げたり、戦闘を行ったせいで床が壊れたりしてるから、一緒にカフスさんに謝って欲しいかな、それと……ネフィーラは人族に良い印象を持ってないみたいだから、仕事に関係した話に関してはガルシアを通して全体に伝えて欲しいんだけどそれでいい?」
「え?……あぁ、確かにネフィーラに任せるのは良くないな、分かった……あんたは力を示したからあいつも文句は言わないと思うし、俺が言わせねぇ、ただ……カフスに関してはそうだな、俺も謝罪には協力するけ……ど……?ん?」
訓練場の外から何からドスドスと重い音を響かせながら、こちらへ向かってくる音がする。
思わず二人して身構えると……大鉈を肩に担いだカフスが扉を蹴破って勢いよく中に入って来た。
「……レースさん、死絶傭兵団とお話をすると言ってましたがこれはどういう事ですか?」
「えっと……これは」
「悪いカフスの旦那!、これはレースの旦那の話を聞いた俺達が依頼主の実力を確かめたくて、ここに無理矢理連れて来てやりあったんだ!」
「……冒険者ギルドの許可無しに訓練場を無断使用するのは頂けませんね、この落とし前はどうつけて頂けるので?」
「それならぼくが責任を取って、ここの修理に必要な費用を出すよ……それじゃダメかな」
ガルシアがかばってくれたのは嬉しいけど、今回の件はぼくに責任があると思うから……壊してしまった以上はしっかりと弁償するべきだと思う。
「カ、カフスさん……先に行かないでください」
すると小走りで訓練場にカエデが入って来る。
そして周囲の光景を見渡すと……
「まったく……レースさんは本当にしょうがない人ですね」
「え?」
「ここまで冒険者ギルドの施設をボロボロにしてしまうのはどうかとは思いますが……必要な事だったんですよね?」
「まぁ……そうしないといけない状況にはあったけど……」
「ならカフスさん、これに関しては栄花騎士団の任務に必要だった事だと判断出来ますので諸々の修理費用に関しては私が持ちます」
カエデはいったい何を言っているのだろうか。
今回の件についてはどう見てもぼくが責任を取るべきなのに……
「レースさん、言いたい事は分かりますが……今のあなたは栄花騎士団の応援に来ているだけで、立場上は何の責任もありませんし……何か問題が起きた場合責任を取るのは栄花騎士団です」
「でも……」
「でもじゃないです、それにレースさんは私の婚約者ですよ?あなたの立場を私に守らせてください」
……守らせて欲しいと言われると何と言葉を返していいのか分からなくて、思わず言葉に詰まってしまう。
取り合えずどうしようかと思っていると『……分かりました、では訓練場の修繕が終わり次第請求書を栄花騎士団にお送りいたします』と話が進んでしまうのであった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる