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第九章 戦いの中で……
63話 魔導人形
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ショウソクの武器がマスカレイドに当たると、人体に当たった時のような音ではなく。
硬い金属どうしがぶつかった時のような甲高い音がして、攻撃した側の動きが硬直する。
その隙を逃さないと言わんばかりに、薙ぎ払われた木の槍がショウソクを弾き飛ばし、バランスを崩したところを鋭い先端で串刺しにしてしまう。
「実力が見合いもしないのにでしゃばるからそうなる」
「……そんな、ショウソクが」
「次はお前だ小僧」
マスカレイドがこっちを見て大筒を構えると、周囲の魔力が白と黒い光に変換され中に吸い込まれていく。
そしてバチバチとした音を立てて電流のようなものが見えたかと思うと……、目の前で木で出来た壁が突然現れる。
「そんな簡単に死ぬわけないだろクソガキが」
「……何だその姿は、まぁいい吹き飛ばせばいいだけだ」
壁の中から異形の姿へと形を変えたショウソクが現れたかと思うと、ドライハイネの発動した魔術を吸収して、その鋭い先端をマスカレイドへと向けて突き刺そうとするが……
「……滅びの後に、新たな時代が始まる【カタストロフ】」
壁越しに白と黒の閃光が見えたかと思うと、凄まじい衝撃と共に踏ん張る事すら出来ずに吹き飛ばされた。
何度も全身を激しく打ち付けて地面を転がっているうちに、硬い物に当たり鈍い音を体内で響かせながら止まる。
そして何度か咳き込みながら咄嗟に武器を杖代わりにして立ち上がろうとするけど、吹き飛ばされた時に手放してしまったみたいで上手くバランスを取る事が出来ない。
何とかぶつかった物に寄り掛かりながら立ち上がり何が起きたのか歩きながら確認をしようとすると……
「……なんだこれ」
ぶつかった物は首都の樹皮だった。
それだけならまだ良かったのかもしれないただ問題は周囲の光景だ。
マスカレイドが放った閃光が通った後なのか、草木に覆われていた地面はガラスのようになり輝き、更に首都に関しては中央付近に大きな穴が空き向こう側の戦場だった場所には氷で作られた壁が見える。
もしこれをぼくが受けていたらどうなっていただろうか、工房へと持ち帰り実験材料にすると言っていたのに、こんな恐ろしい一撃を受けたら後も残らず消し飛んでいただろう。
「……アキラさん達は?」
焦って皆を探すけど、アイン、ツヴァイと呼ばれた魔導人形は活動を停止したかのようにその場で動かなくなっている。
特にアインは雪で作られた大槌を構えた状態で全身から電流のような物を出し、ツヴァイに関してはどれ程の熱量にさらされたのか、身体の所々が溶けてしまっていた。
けど目当ての人物は見つける事が出来ず、必死に目を凝らすけど……遠くから手放してしまった武器を咥えて走って来る二匹の狼が見える位だ。
「もしかして……吹き飛ばされた?」
いや、本当にそうだったらあの向こう側に見える氷の壁が説明出来ない。
多分だけどアキラさんの魔術で壁を作り被害が少なくなるようにしてくれたんだと思うけど、ならアナイスは何をしているのだろうか。
そう思った瞬間、首都が淡く輝き始め少しずつ穴が塞がっていく。
「……もしかして精霊術で怪我を治してる?」
ダートに以前聞いたけど、精霊術を使って体の治癒能力を高めて傷を癒す事が出来、以前アナイスに会った時にそれで治療を受けたらしい。
という事は今は首都にその術を使って傷を癒しているのかも、という事は二人は現在戦場に戻れない可能性がある。
アナイスは首都の事に集中しなければいけないし、アキラさんの方はSランク冒険者としての能力を長時間扱う事が出来ない。
現にあの氷の壁を出してから戻って来ない事から考えると、力を使い果たしてしまったんだと思う。
「……ダメだ、前が眩しすぎて良く見えない」
ガラスのようになってしまった地面が太陽の光を反射するせいで、マスカレイド達の方を見る事が出来ない。
あそこにいるショウソクはどうなっただろうか、あの恐ろしい程の威力を持った攻撃を受けて生きているのか。
……もしかしたらヴォルフガングのように死んでしまうかもしれない、そうなったらメイメイにどう伝えればいいだろう。
彼女は産みの親であるショウソクを大切に思っている以上、そこから来る消失感は計り知れない筈だ。
「……切り札を使った割には被害が少ないな」
感情が籠ってないと感じる程に冷たい声が聞こえる。
そして目の前に人型が現れたかと思うと、こちらに向かっていびつな形の球体を投げて来た。
咄嗟に受け止めて何を投げられたのか確認するとそこにあったのは……、樹で作られた人の頭部で、思わず驚いて落としそうになるのを何とか我慢する。
「マスカレイド、君は何をしたのか分かってるの?」
「……当然だ、この国の王を殺した、だがおかしいな俺の計算が間違えでなければ薬王が死ねば中に封じられた神がドライハイネの中に封じられる筈だったのだが」
「もしかしてだけど、あの魔導人形の素材に王族の死体を使ったのって封じられてる神達を手に入れる為?」
「魔導人形?小僧、お前はこの魔導兵器をそう名付けたのか、なるほど面白い……ならこいつらは今日から魔導人形だ、それに小僧の想像通りこいつらの中に神を封じ研究材料にしようと思ってな……だが結果はどうだ?Sランク冒険者には簡単に負け、ドライハイネに限っては俺の切り札の余波で回路がショートして活動停止だ、ハイエンドとは言ったが正直性能は期待値以下だな、拠点に帰ったらマンティコアの素材を足してスペックが上昇するか試さねばならなさそうだ」
……どうして淡々とそんな恐ろしい事が言えるか。
封じられている神達を素材にする?その為にショウソクを殺したり、亡くなった人達の死体を素材に兵器を作り出すとか到底勝機とは思えない。
多分この人はもう、幾ら話しても相容れる事が無い程に精神性が歪んでしまった化け物だ。
ここで今すぐに終わらせた方がいい、これ以上被害が増える前に……そう思ったぼくは初めて明確な殺意を持って、狼から武器を受け取ると構えるのだった。
硬い金属どうしがぶつかった時のような甲高い音がして、攻撃した側の動きが硬直する。
その隙を逃さないと言わんばかりに、薙ぎ払われた木の槍がショウソクを弾き飛ばし、バランスを崩したところを鋭い先端で串刺しにしてしまう。
「実力が見合いもしないのにでしゃばるからそうなる」
「……そんな、ショウソクが」
「次はお前だ小僧」
マスカレイドがこっちを見て大筒を構えると、周囲の魔力が白と黒い光に変換され中に吸い込まれていく。
そしてバチバチとした音を立てて電流のようなものが見えたかと思うと……、目の前で木で出来た壁が突然現れる。
「そんな簡単に死ぬわけないだろクソガキが」
「……何だその姿は、まぁいい吹き飛ばせばいいだけだ」
壁の中から異形の姿へと形を変えたショウソクが現れたかと思うと、ドライハイネの発動した魔術を吸収して、その鋭い先端をマスカレイドへと向けて突き刺そうとするが……
「……滅びの後に、新たな時代が始まる【カタストロフ】」
壁越しに白と黒の閃光が見えたかと思うと、凄まじい衝撃と共に踏ん張る事すら出来ずに吹き飛ばされた。
何度も全身を激しく打ち付けて地面を転がっているうちに、硬い物に当たり鈍い音を体内で響かせながら止まる。
そして何度か咳き込みながら咄嗟に武器を杖代わりにして立ち上がろうとするけど、吹き飛ばされた時に手放してしまったみたいで上手くバランスを取る事が出来ない。
何とかぶつかった物に寄り掛かりながら立ち上がり何が起きたのか歩きながら確認をしようとすると……
「……なんだこれ」
ぶつかった物は首都の樹皮だった。
それだけならまだ良かったのかもしれないただ問題は周囲の光景だ。
マスカレイドが放った閃光が通った後なのか、草木に覆われていた地面はガラスのようになり輝き、更に首都に関しては中央付近に大きな穴が空き向こう側の戦場だった場所には氷で作られた壁が見える。
もしこれをぼくが受けていたらどうなっていただろうか、工房へと持ち帰り実験材料にすると言っていたのに、こんな恐ろしい一撃を受けたら後も残らず消し飛んでいただろう。
「……アキラさん達は?」
焦って皆を探すけど、アイン、ツヴァイと呼ばれた魔導人形は活動を停止したかのようにその場で動かなくなっている。
特にアインは雪で作られた大槌を構えた状態で全身から電流のような物を出し、ツヴァイに関してはどれ程の熱量にさらされたのか、身体の所々が溶けてしまっていた。
けど目当ての人物は見つける事が出来ず、必死に目を凝らすけど……遠くから手放してしまった武器を咥えて走って来る二匹の狼が見える位だ。
「もしかして……吹き飛ばされた?」
いや、本当にそうだったらあの向こう側に見える氷の壁が説明出来ない。
多分だけどアキラさんの魔術で壁を作り被害が少なくなるようにしてくれたんだと思うけど、ならアナイスは何をしているのだろうか。
そう思った瞬間、首都が淡く輝き始め少しずつ穴が塞がっていく。
「……もしかして精霊術で怪我を治してる?」
ダートに以前聞いたけど、精霊術を使って体の治癒能力を高めて傷を癒す事が出来、以前アナイスに会った時にそれで治療を受けたらしい。
という事は今は首都にその術を使って傷を癒しているのかも、という事は二人は現在戦場に戻れない可能性がある。
アナイスは首都の事に集中しなければいけないし、アキラさんの方はSランク冒険者としての能力を長時間扱う事が出来ない。
現にあの氷の壁を出してから戻って来ない事から考えると、力を使い果たしてしまったんだと思う。
「……ダメだ、前が眩しすぎて良く見えない」
ガラスのようになってしまった地面が太陽の光を反射するせいで、マスカレイド達の方を見る事が出来ない。
あそこにいるショウソクはどうなっただろうか、あの恐ろしい程の威力を持った攻撃を受けて生きているのか。
……もしかしたらヴォルフガングのように死んでしまうかもしれない、そうなったらメイメイにどう伝えればいいだろう。
彼女は産みの親であるショウソクを大切に思っている以上、そこから来る消失感は計り知れない筈だ。
「……切り札を使った割には被害が少ないな」
感情が籠ってないと感じる程に冷たい声が聞こえる。
そして目の前に人型が現れたかと思うと、こちらに向かっていびつな形の球体を投げて来た。
咄嗟に受け止めて何を投げられたのか確認するとそこにあったのは……、樹で作られた人の頭部で、思わず驚いて落としそうになるのを何とか我慢する。
「マスカレイド、君は何をしたのか分かってるの?」
「……当然だ、この国の王を殺した、だがおかしいな俺の計算が間違えでなければ薬王が死ねば中に封じられた神がドライハイネの中に封じられる筈だったのだが」
「もしかしてだけど、あの魔導人形の素材に王族の死体を使ったのって封じられてる神達を手に入れる為?」
「魔導人形?小僧、お前はこの魔導兵器をそう名付けたのか、なるほど面白い……ならこいつらは今日から魔導人形だ、それに小僧の想像通りこいつらの中に神を封じ研究材料にしようと思ってな……だが結果はどうだ?Sランク冒険者には簡単に負け、ドライハイネに限っては俺の切り札の余波で回路がショートして活動停止だ、ハイエンドとは言ったが正直性能は期待値以下だな、拠点に帰ったらマンティコアの素材を足してスペックが上昇するか試さねばならなさそうだ」
……どうして淡々とそんな恐ろしい事が言えるか。
封じられている神達を素材にする?その為にショウソクを殺したり、亡くなった人達の死体を素材に兵器を作り出すとか到底勝機とは思えない。
多分この人はもう、幾ら話しても相容れる事が無い程に精神性が歪んでしまった化け物だ。
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