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第十章 魔導国学園騒動
21話 聞いてない事ばかり
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あの後、セイランやミオラーム……いや、マリーと話をしていると、カエデが学園に到着したようで職員室へと入ると
「初めまして、レースさんの助手としてこれから学園にお世話になる事になりました、キリサキ・カエデと申します」
と自己紹介をした後、マリーがカエデへと近づいて行くと何故かぼくの方を指差して……
「この方は何とっ!レース様の第二夫人候補なのですわ、職場でも隣で支え合うなんて素晴らしいと思いませんこと?」
「そうなんだねぇ、良いなぁ私も良い出会いがあったら助手に来てくれたりするのかな」
「えっとマリーさん、出来れば私とレースさんの関係は生徒達には秘密にしてくださいね?」
「何を言ってますの?レース様に変な虫が付かないようにしっかりと立場を公表するべきですわ、だってこの方は付き合いが長くなると、残念な人だって思う所がそれなりにありますけど、外見は良いですもの……私も人の事は言えませんけど私くらいの年頃の子供の殆どは、外見+頭の良さ又は、身体能力の高さで相手を見てしまいますし、好意を寄せたら行動が早いですわよ?」
「……仮にそうだったとしても、生徒とそういう関係になる気はないよ」
けどエスペランサのあの積極的な行動や、スパルナの距離感を考えると確かに気を付けた方がいい気がする。
彼女達は貴族だから、複数の夫を持つ事があってもおかしくない。
優秀な血を取り込み一族を大きくしていくのは、メセリーの貴族からしたら常識だろうし、必要とあればこの国では平民という立場にいるぼくの事情等構う事無く動くだろう。
スパルナがそういう事をするような子には見えないけど、エスペランサはどうだろうか……。
「確かにマリーさんの言い分は確かですね……、それでしたら私が自分の立場を出す事にします」
「あら?レース様の第二夫人以外に公表する必要がありまして?」
「マリーさん、私は栄花の貴族ですよ?幾ら生徒がレースさんに好意を持ったとして、他国の貴族と婚約関係にある教師に手を出そうという生徒がいると思いますか?」
「……そうですわね、カエデ様がそこまでの覚悟で動くのでしたら問題無いと思いますわ」
「レース先生って、話を聞けば聞く程私とは立場が違うって言うか、凄い人なんだって思いますね……辺境都市クイストで診療所をやってるだけじゃなく、あの有名なSランク冒険者【叡智】カルディア様のお弟子さんで、本人も高ランクの冒険者でしかも奥さんが二人いて?しかも一人は栄花の貴族様、設定が多すぎて理解が追い付かないよ」
確かにセイランの立場からしたらそうなってもおかしくない。
そこにストラフィリアの前王の息子で、王族の一人だと伝えたらどうなってしまうだろうか。
カエデの事だけでも情報量が多すぎるのに、これ以上増やしてしまったら理解が追い付かなくて倒れてしまう気がする。
「キュー様はどう思いまして?栄花出身のあなたからしたら、何か思う事があるのではないかしら?」
「いや、私は興味が無いですね、レースさんが誰と婚約していても彼の自由ですし、仕事でしか関わりを持つ事が相手に対して必要以上に知る必要はないでしょう」
「……そうですの、あら?」
「次の授業の予鈴ですわね、えっと確か次は治癒術の授業ですわ」
「という事はぼくだね」
「えぇ、ロドリゲス先生の変わりに魔術の授業をして頂いた後なのに申し訳ないのですが……」
「いや、大丈夫だよ……、それよりも気になったんだけど、この職員室ってぼく達以外には教師がいないの?」
「あれ?学園長から聞いていないのですか?」
聞いていないのかと言われたら、その通りソフィアから何も聞いていないから分からない事ばかりだ。
「……うん、ソフィアからはいきなり教室に行くように言われたり、何も聞いて無いんだよね」
「あぁ、学園長様らしいですね、他の教師達は別室で待機してますよ?」
「……別室?」
「はい、ここはこの学園で最も優秀な能力を持つ生徒達の為に、それぞれの術に特化した教師達を集めて用意された職員室で、他の方達は別の場所でそれぞれの科で割り振られた部屋で活動してますよ」
それぞれの科で割り振られた部屋、そこは首都にある学園と同じなのか。
あそこでは魔術を学びに来た人は魔術を専門に学び、治癒術の才がある生徒は治癒術を専門に学ぶように出来ている。
それぞれの学科が唯一共通しているのは、魔力を使った【肉体強化】だけど、これに関しては初歩的な部分だけを教わるだけで、この国では深く学ぶ事は無い。
だから……戦士、斥候、狙撃と肉体強化を行う事で分かれる、個人の適正について知らない人の方が多いけど、これに関してはしょうがないのかもしれない。
「そういうの普通、働く前に学園長がしっかりと説明するべきなんじゃ?」
「本当……何を考えてるんでしょうね」
「多分ですけど、レースさんなら大丈夫だと思ったとかじゃないですか?ほら……ソフィア様とは同じカルディア様を師とする弟子で、姉と弟みたいなものですから」
「仮にそうだったとしても、ちゃんと伝えるべきものは伝えて欲しかったかな……、他にも気になる事と言ったら、あのクラスってもしかして魔術や治癒術、後は精霊術とかを合わせた全部の術を教えるの?」
「えぇ……、今まではエスペランサさん達が教師を追い出してしまう為、授業を行う事が出来ませんしたが、学園長の意向で次世代の優秀な術者を育てる為に、この学園で教えられる全てを学んでもらうそうです」
……それを聞いて、何だか凄い面倒な事を学園長、いや魔王ソフィア・メセリーから受けてしまったのかもしれない。
どうりで優秀な能力を持つ、妹のルミィがあのクラスにいない訳で……何て言うかこうやって情報を後出しされると判断に困る。
そう思いながら治癒術の授業に必要な物を揃えていたら『必要な物は後で私が持っていくので、レースさんは先に教室に行ってください』と言って、カエデが準備を変わるとぼくはその言葉に甘えて教室へと向かうのだった。
「初めまして、レースさんの助手としてこれから学園にお世話になる事になりました、キリサキ・カエデと申します」
と自己紹介をした後、マリーがカエデへと近づいて行くと何故かぼくの方を指差して……
「この方は何とっ!レース様の第二夫人候補なのですわ、職場でも隣で支え合うなんて素晴らしいと思いませんこと?」
「そうなんだねぇ、良いなぁ私も良い出会いがあったら助手に来てくれたりするのかな」
「えっとマリーさん、出来れば私とレースさんの関係は生徒達には秘密にしてくださいね?」
「何を言ってますの?レース様に変な虫が付かないようにしっかりと立場を公表するべきですわ、だってこの方は付き合いが長くなると、残念な人だって思う所がそれなりにありますけど、外見は良いですもの……私も人の事は言えませんけど私くらいの年頃の子供の殆どは、外見+頭の良さ又は、身体能力の高さで相手を見てしまいますし、好意を寄せたら行動が早いですわよ?」
「……仮にそうだったとしても、生徒とそういう関係になる気はないよ」
けどエスペランサのあの積極的な行動や、スパルナの距離感を考えると確かに気を付けた方がいい気がする。
彼女達は貴族だから、複数の夫を持つ事があってもおかしくない。
優秀な血を取り込み一族を大きくしていくのは、メセリーの貴族からしたら常識だろうし、必要とあればこの国では平民という立場にいるぼくの事情等構う事無く動くだろう。
スパルナがそういう事をするような子には見えないけど、エスペランサはどうだろうか……。
「確かにマリーさんの言い分は確かですね……、それでしたら私が自分の立場を出す事にします」
「あら?レース様の第二夫人以外に公表する必要がありまして?」
「マリーさん、私は栄花の貴族ですよ?幾ら生徒がレースさんに好意を持ったとして、他国の貴族と婚約関係にある教師に手を出そうという生徒がいると思いますか?」
「……そうですわね、カエデ様がそこまでの覚悟で動くのでしたら問題無いと思いますわ」
「レース先生って、話を聞けば聞く程私とは立場が違うって言うか、凄い人なんだって思いますね……辺境都市クイストで診療所をやってるだけじゃなく、あの有名なSランク冒険者【叡智】カルディア様のお弟子さんで、本人も高ランクの冒険者でしかも奥さんが二人いて?しかも一人は栄花の貴族様、設定が多すぎて理解が追い付かないよ」
確かにセイランの立場からしたらそうなってもおかしくない。
そこにストラフィリアの前王の息子で、王族の一人だと伝えたらどうなってしまうだろうか。
カエデの事だけでも情報量が多すぎるのに、これ以上増やしてしまったら理解が追い付かなくて倒れてしまう気がする。
「キュー様はどう思いまして?栄花出身のあなたからしたら、何か思う事があるのではないかしら?」
「いや、私は興味が無いですね、レースさんが誰と婚約していても彼の自由ですし、仕事でしか関わりを持つ事が相手に対して必要以上に知る必要はないでしょう」
「……そうですの、あら?」
「次の授業の予鈴ですわね、えっと確か次は治癒術の授業ですわ」
「という事はぼくだね」
「えぇ、ロドリゲス先生の変わりに魔術の授業をして頂いた後なのに申し訳ないのですが……」
「いや、大丈夫だよ……、それよりも気になったんだけど、この職員室ってぼく達以外には教師がいないの?」
「あれ?学園長から聞いていないのですか?」
聞いていないのかと言われたら、その通りソフィアから何も聞いていないから分からない事ばかりだ。
「……うん、ソフィアからはいきなり教室に行くように言われたり、何も聞いて無いんだよね」
「あぁ、学園長様らしいですね、他の教師達は別室で待機してますよ?」
「……別室?」
「はい、ここはこの学園で最も優秀な能力を持つ生徒達の為に、それぞれの術に特化した教師達を集めて用意された職員室で、他の方達は別の場所でそれぞれの科で割り振られた部屋で活動してますよ」
それぞれの科で割り振られた部屋、そこは首都にある学園と同じなのか。
あそこでは魔術を学びに来た人は魔術を専門に学び、治癒術の才がある生徒は治癒術を専門に学ぶように出来ている。
それぞれの学科が唯一共通しているのは、魔力を使った【肉体強化】だけど、これに関しては初歩的な部分だけを教わるだけで、この国では深く学ぶ事は無い。
だから……戦士、斥候、狙撃と肉体強化を行う事で分かれる、個人の適正について知らない人の方が多いけど、これに関してはしょうがないのかもしれない。
「そういうの普通、働く前に学園長がしっかりと説明するべきなんじゃ?」
「本当……何を考えてるんでしょうね」
「多分ですけど、レースさんなら大丈夫だと思ったとかじゃないですか?ほら……ソフィア様とは同じカルディア様を師とする弟子で、姉と弟みたいなものですから」
「仮にそうだったとしても、ちゃんと伝えるべきものは伝えて欲しかったかな……、他にも気になる事と言ったら、あのクラスってもしかして魔術や治癒術、後は精霊術とかを合わせた全部の術を教えるの?」
「えぇ……、今まではエスペランサさん達が教師を追い出してしまう為、授業を行う事が出来ませんしたが、学園長の意向で次世代の優秀な術者を育てる為に、この学園で教えられる全てを学んでもらうそうです」
……それを聞いて、何だか凄い面倒な事を学園長、いや魔王ソフィア・メセリーから受けてしまったのかもしれない。
どうりで優秀な能力を持つ、妹のルミィがあのクラスにいない訳で……何て言うかこうやって情報を後出しされると判断に困る。
そう思いながら治癒術の授業に必要な物を揃えていたら『必要な物は後で私が持っていくので、レースさんは先に教室に行ってください』と言って、カエデが準備を変わるとぼくはその言葉に甘えて教室へと向かうのだった。
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