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第十章 魔導国学園騒動
29話 何気ない会話
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グロウフェレスが去った後、二人でどうするべきか話あったけど……内容が内容だから、答えが出せる訳も無く。
そうこうしている間に、カエデが帰って来て……
「ダートお姉様、レースさん、ただいま戻りました」
「おかえり、冒険者ギルドの方はどうだった?」
辺境都市クイストに帰ってから、栄花騎士団の仕事で冒険者ギルドの運営状況を確認する為に、カエデがたまに不在になる時がある。
何でも、ギルド長になったジラルドがしっかりとギルドの管理を行えているのかを確認する為らしいけど……
「ジラルドさんは、結構ギルド長としての職務に慣れたとの事で、もう私が視察に行かなくても問題なさそうですね」
「という事は、コーちゃんの所にちゃんと帰れてるの?」
「はい、奥さんであるコルクさんの所には、他の職員も業務に慣れて効率的に動けるようになったおかげで、ある程度はギルド長が不在でも回るようになったので、最近はしっかりと家に帰れてるそうですよ」
以前は泊まり込みで働く事が多かったみたいだから、ちゃんと帰れてるのならそれで良かったと思う。
トレーディアスの一件以降、あの国の王族という立場だったコルク、いや……ミント・コルト・クラウズ王女と正式に婚姻関係を結び、平民という立場から貴族になり、メセリーに戻ってから冒険者ギルドのギルド長という立場になったジラルドの事を、友人として心配していたけど、元気そうで安心だ。
「……あ、そういえば家に帰るまでの道中でダリアさん達に会いましたよ?」
「ダリアに?あぁ……そういえば朝早くに朝食も食べずに出かけたけど」
「え?レース知らないの?」
「いや、何も聞いてないけど?」
ダートが、何だか反応に困ったような表情をしているけど、もしかしたらダリアの事情を知らないのはぼくだけなのかもしれない。
何て言うか、それはそれで複雑な気持ちになるけど、彼女には彼女なりの事情があると思うから、言わないなら言わないでしょうがない事だと思う。
「んー?興味なさそうだね?」
「いや、興味はあるけど、あれやこれやと本人がいない所で詮索するような事をするのは良くないかなって、ほら……ダリアにも色々とあると思うしさ」
「……そんな深刻な内容じゃないよ?最近出来たお友達と都市の外にある開拓地域にピクニックだとかで、昨日サリッサにお弁当作って貰ってたよ?」
「あぁ、エスペランサとスパルナだね……、ほんと三人共性格が凄いバラバラなのに、あそこまで仲良くなるなんて思わなかったよ」
あの学園での一件以来、エスペランサが今までの行いのせいで生徒達に無視をされ始めたりとか、軽い虐めみたいな事が起きたりしていたけど、落ち込む彼女をスパルナが慰めたり、怒ったダリアが教室の全員を巻き込んで大立ち回りの喧嘩をしたりと、色々とあったけど、これに関してクラスの担任教師であるぼくは何も出来なかった。
けど……彼女のおかげで、クラスで起きていた問題は解決したし、授業においても今では積極的に参加する生徒ばかりで、教える側としてもやりがいを感じる位だ。
特にセイランやミオラームからの評判は良く。
『レース先生の娘のダリアさん、この国では術者が殆どいない精霊術の授業においても優秀な成績を出せるなんて凄いですね』
『ふふん、ダリアは筋が良いですわね!私が教える魔導具の授業も、教えた事を直ぐに覚えるから教えていて楽しいですわ』
と職員室にいる間、ダリアの事に関しての話題が良く出る位だ
それに教室の生徒達からは『姉御』とか『ダリアの姉貴』等と呼ばれて慕われているようで、最早あの学園の有名人的な立場になりつつある。
「私も友達が出来て安心かなぁ、ほら……元は私の一部だったでしょ?そんなあの子がちゃんと、自分の人生を歩めてるのをこの目で見れるのって凄い嬉しいかも」
「ぼくもそう思うよ……、後は暫くしたら家族が増えてダリアも姉になるし、何て言うかクイストに帰って来てから、時間が進むのが早いなぁ」
「だねぇ……って、レース、今はそんな事よりもカエデちゃんにも話さなきゃいけない事があるでしょ?」
「……ん?私に話さなきゃいけない事ですか?」
「うん、そうなの、実はね?さっきこういう事があって──」
ダートがぼくの変わりに、先程あったグロウフェレスとの出来事を説明する。
その途中で、カエデの手元に心器のガラスペンが現れたかと思うと、内容を空中に書き始め、詳しくまとめ出すが……。
「……ウィリアム教授とロドリゲス先生が、そんな事を?」
「そうみたいなの、ほら、ウィリアム教授はメセリーを出て栄花騎士団の幹部でしょ?あの人がマスカレイドと今も繋がりがあったら、栄花騎士団にスパイがいるk事になるよね?」
「そうなりますね、けどお父様がそのような事を見逃すはずが……」
「多分、分かってて幹部にしたんじゃないかな、メイディでの出来事とかを思い出すと栄花騎士団の団長なら、そう言う事をしててもおかしくないんじゃないかな」
「……そう、ですね」
……カエデからしたら、自分の父親がウィリアム教授の事を知ったうえで、他国の犯罪者を自国に招き入れたと言われてるようなもので、あまり気持ちが良い物では無いだろう。
こういう時、ぼくは彼女にどう声を掛けたらいいか、そんな事を考えながら俯いたまま動かずに固まってしまって彼女を見守るのだった。
そうこうしている間に、カエデが帰って来て……
「ダートお姉様、レースさん、ただいま戻りました」
「おかえり、冒険者ギルドの方はどうだった?」
辺境都市クイストに帰ってから、栄花騎士団の仕事で冒険者ギルドの運営状況を確認する為に、カエデがたまに不在になる時がある。
何でも、ギルド長になったジラルドがしっかりとギルドの管理を行えているのかを確認する為らしいけど……
「ジラルドさんは、結構ギルド長としての職務に慣れたとの事で、もう私が視察に行かなくても問題なさそうですね」
「という事は、コーちゃんの所にちゃんと帰れてるの?」
「はい、奥さんであるコルクさんの所には、他の職員も業務に慣れて効率的に動けるようになったおかげで、ある程度はギルド長が不在でも回るようになったので、最近はしっかりと家に帰れてるそうですよ」
以前は泊まり込みで働く事が多かったみたいだから、ちゃんと帰れてるのならそれで良かったと思う。
トレーディアスの一件以降、あの国の王族という立場だったコルク、いや……ミント・コルト・クラウズ王女と正式に婚姻関係を結び、平民という立場から貴族になり、メセリーに戻ってから冒険者ギルドのギルド長という立場になったジラルドの事を、友人として心配していたけど、元気そうで安心だ。
「……あ、そういえば家に帰るまでの道中でダリアさん達に会いましたよ?」
「ダリアに?あぁ……そういえば朝早くに朝食も食べずに出かけたけど」
「え?レース知らないの?」
「いや、何も聞いてないけど?」
ダートが、何だか反応に困ったような表情をしているけど、もしかしたらダリアの事情を知らないのはぼくだけなのかもしれない。
何て言うか、それはそれで複雑な気持ちになるけど、彼女には彼女なりの事情があると思うから、言わないなら言わないでしょうがない事だと思う。
「んー?興味なさそうだね?」
「いや、興味はあるけど、あれやこれやと本人がいない所で詮索するような事をするのは良くないかなって、ほら……ダリアにも色々とあると思うしさ」
「……そんな深刻な内容じゃないよ?最近出来たお友達と都市の外にある開拓地域にピクニックだとかで、昨日サリッサにお弁当作って貰ってたよ?」
「あぁ、エスペランサとスパルナだね……、ほんと三人共性格が凄いバラバラなのに、あそこまで仲良くなるなんて思わなかったよ」
あの学園での一件以来、エスペランサが今までの行いのせいで生徒達に無視をされ始めたりとか、軽い虐めみたいな事が起きたりしていたけど、落ち込む彼女をスパルナが慰めたり、怒ったダリアが教室の全員を巻き込んで大立ち回りの喧嘩をしたりと、色々とあったけど、これに関してクラスの担任教師であるぼくは何も出来なかった。
けど……彼女のおかげで、クラスで起きていた問題は解決したし、授業においても今では積極的に参加する生徒ばかりで、教える側としてもやりがいを感じる位だ。
特にセイランやミオラームからの評判は良く。
『レース先生の娘のダリアさん、この国では術者が殆どいない精霊術の授業においても優秀な成績を出せるなんて凄いですね』
『ふふん、ダリアは筋が良いですわね!私が教える魔導具の授業も、教えた事を直ぐに覚えるから教えていて楽しいですわ』
と職員室にいる間、ダリアの事に関しての話題が良く出る位だ
それに教室の生徒達からは『姉御』とか『ダリアの姉貴』等と呼ばれて慕われているようで、最早あの学園の有名人的な立場になりつつある。
「私も友達が出来て安心かなぁ、ほら……元は私の一部だったでしょ?そんなあの子がちゃんと、自分の人生を歩めてるのをこの目で見れるのって凄い嬉しいかも」
「ぼくもそう思うよ……、後は暫くしたら家族が増えてダリアも姉になるし、何て言うかクイストに帰って来てから、時間が進むのが早いなぁ」
「だねぇ……って、レース、今はそんな事よりもカエデちゃんにも話さなきゃいけない事があるでしょ?」
「……ん?私に話さなきゃいけない事ですか?」
「うん、そうなの、実はね?さっきこういう事があって──」
ダートがぼくの変わりに、先程あったグロウフェレスとの出来事を説明する。
その途中で、カエデの手元に心器のガラスペンが現れたかと思うと、内容を空中に書き始め、詳しくまとめ出すが……。
「……ウィリアム教授とロドリゲス先生が、そんな事を?」
「そうみたいなの、ほら、ウィリアム教授はメセリーを出て栄花騎士団の幹部でしょ?あの人がマスカレイドと今も繋がりがあったら、栄花騎士団にスパイがいるk事になるよね?」
「そうなりますね、けどお父様がそのような事を見逃すはずが……」
「多分、分かってて幹部にしたんじゃないかな、メイディでの出来事とかを思い出すと栄花騎士団の団長なら、そう言う事をしててもおかしくないんじゃないかな」
「……そう、ですね」
……カエデからしたら、自分の父親がウィリアム教授の事を知ったうえで、他国の犯罪者を自国に招き入れたと言われてるようなもので、あまり気持ちが良い物では無いだろう。
こういう時、ぼくは彼女にどう声を掛けたらいいか、そんな事を考えながら俯いたまま動かずに固まってしまって彼女を見守るのだった。
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