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第十章 魔導国学園騒動
31話 セイランの正体
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グロウフェレスが尋ねて来た一件以来、ロドリゲスの周辺で何か起きていないかと学園にいる時は気にしてはいるけど……特に何かが起きるわけでも無く。
「……では、私はこれで失礼します」
「あ、うん、お疲れ様」
授業を終えたロドリゲスが、帰り支度を整えるとそのまま職員室を出て行ってしまう。
そしてセイランと学園ではキューと名乗っているグロウフェレスの三人だけになると
「あ、そういえばレース先生とキュー先生はあの噂、聞いた事あります?」
「……噂?」
思わずグロウフェレスと顔を見合わせてしまうけど、そこまで学園内の事に関して関心が無いというか、自分が担当している教室の事以外は知らない事の方が多いおかげで、互いに反応に困ってしまう。
「あ、やっぱり知らないんですね」
「ほら、ぼくやキューって教室と職員室を往復する以外で、学園内を移動する事がないからさ」
「ですね、特に学園の生徒達にも興味は無いので……」
「もう、二人ともそういうのは良くないですよ?特にレースさんはクラスの担任なんですから、しっかりしないと」
セイランが服の下からでも分かる位に尻尾を立てているけど……、本当にこの人は隠す気があるのだろうか。
……現に生徒達にはバレているみたいだけど、逆に気を遣われているようで、触れないで見守ろうという謎の流れが発生している。
「……確かにそうだね、セイラン、どういう噂があるの?」
「ふふん、知りたいのなら教えてあげましょう!……実はですね、学園内で生徒が行方不明になっているそうなんですよ」
「行方不明?セイランさん、それは噂にしては現実味が無さ過ぎるのでは?本当に行方不明になっているのなら、学園長の耳に入っているのでは?」
「……えぇ、私もそう思い確認しに行ったのですけど、その事に関して調査中だという意見しか返ってこなくてですね」
「調査中?それってちょっとおかしくない?」
ソフィアが本当に知らないのなら、調査中何て言わない筈。
という事はその噂は事実の可能性があるわけで……
「……確かにおかしいですね、噂を普通調査中何て言わないでしょう」
「えぇ、なのでここで提案なんですけど、私達で噂の出所を探してみませんか?」
「探すって言っても、どうやって?」
「そんなの簡単ですよ、行方不明になった生徒の友人から話を聞くとかですね」
「やるなら二人でお願い出来ますか?私はそういうのに興味が無いので」
グロウフェレスが立ち上がり荷物をまとめるとそのまま、職員室を出て行こうとする。
しかし、セイランが機敏な動きで彼の前に飛びだしたかといきなり羽交い絞めにして……
「……離してくれませんか?」
「一緒に来てくれると言うまで私は離しません」
……いったい何を見せられているのか。
あのグロウフェレスが困ったような顔をして、必死に彼女を引きはがそうとしている。
けど、相手が女性なのもあり手荒な事が出来ないようで……
「分かりました、そこまで言うのなら同行しますので……早く離してください」
「同行すると言いましたね?言質取りましたよ!レース先生も聞きましたよね?」
「……聞いたけど、そこまでしないといけなかった?」
「あのキュー先生が、私情を挟まない人が着いて来てくれるんですよ?つまり私達に対する好感度が高いという事です、これは凄い事ですよ!レース先生分かります?例えばギャルゲーでも大事な要素で……あ、いえ、何でもないです、……あーうん、そういうのって少しでも私達を信頼してくれないと、着いて来ようとしてくれないわけで」
いや……好感度が高いとか、ギャルゲーとか、言葉の意味が分からないけど、もしかしたらメイディ出身の獣人特有の訛りか何かだろうか。
それに少しでも信頼してくれないとって言うけど、どう見ても強引に誘ってるわけで、グロウフェレスからしたら断われなくなってしまっただけかもしれない。
「……ギャルゲー?もしかしてセイランさんあなた、いや、レースさん少しだけ聞かなかった振りして貰えますか?」
「別にいいけど……、どうしたの?」
「いえ、特に、セイランさん……、もしかしてあなた、生まれはメイディでも──という場所から来たのでは?」
「え?キュー先生、──を知ってるの!?凄い、ここに来てから誰も私の故郷を知らなかったらびっくりです!それならこれは分かりますか!?」
に、ほ?、メイディにそんな場所があっただろうか。
でも……聞けば聞く程、意味が分からない言葉が出て来る辺り、何かしらの意味がある言葉なのかもしれない。
「……そこまでは分かりませんが、私の主人が同じところの出身で、似たような話を以前聞いた事がありますので」
「主人……?もしかしてキュー先生、ご結婚なされてるのですか?」
「いえ、私がお世話になっている貴族のお嬢様の事ですね」
「へぇ、なら今度そのキュー先生の主人にお会いしたいです!」
「……それは止めた方がいいでしょう、少なからずこの世界においてあなたが今の生活を続けたいのなら、──の話は必要以上にしない方がいい」
……グロウフェレスはまるで忠告をするかのように言葉にすると、今度は目を細め『ほら、セイランさん……今から噂の出所を探しに行くのでしょう?早く行きますよ、レースさんもこうなったからには拒否権は与えませんので、どうかご覚悟を』と言いながら職員室を出る。
それにしても……まるで、あの言い方だとセイランを守ろうとしているみたいで、どうしてそんな事を彼がするのだろうかと疑問に思いつつ、彼を追うのだった。
「……では、私はこれで失礼します」
「あ、うん、お疲れ様」
授業を終えたロドリゲスが、帰り支度を整えるとそのまま職員室を出て行ってしまう。
そしてセイランと学園ではキューと名乗っているグロウフェレスの三人だけになると
「あ、そういえばレース先生とキュー先生はあの噂、聞いた事あります?」
「……噂?」
思わずグロウフェレスと顔を見合わせてしまうけど、そこまで学園内の事に関して関心が無いというか、自分が担当している教室の事以外は知らない事の方が多いおかげで、互いに反応に困ってしまう。
「あ、やっぱり知らないんですね」
「ほら、ぼくやキューって教室と職員室を往復する以外で、学園内を移動する事がないからさ」
「ですね、特に学園の生徒達にも興味は無いので……」
「もう、二人ともそういうのは良くないですよ?特にレースさんはクラスの担任なんですから、しっかりしないと」
セイランが服の下からでも分かる位に尻尾を立てているけど……、本当にこの人は隠す気があるのだろうか。
……現に生徒達にはバレているみたいだけど、逆に気を遣われているようで、触れないで見守ろうという謎の流れが発生している。
「……確かにそうだね、セイラン、どういう噂があるの?」
「ふふん、知りたいのなら教えてあげましょう!……実はですね、学園内で生徒が行方不明になっているそうなんですよ」
「行方不明?セイランさん、それは噂にしては現実味が無さ過ぎるのでは?本当に行方不明になっているのなら、学園長の耳に入っているのでは?」
「……えぇ、私もそう思い確認しに行ったのですけど、その事に関して調査中だという意見しか返ってこなくてですね」
「調査中?それってちょっとおかしくない?」
ソフィアが本当に知らないのなら、調査中何て言わない筈。
という事はその噂は事実の可能性があるわけで……
「……確かにおかしいですね、噂を普通調査中何て言わないでしょう」
「えぇ、なのでここで提案なんですけど、私達で噂の出所を探してみませんか?」
「探すって言っても、どうやって?」
「そんなの簡単ですよ、行方不明になった生徒の友人から話を聞くとかですね」
「やるなら二人でお願い出来ますか?私はそういうのに興味が無いので」
グロウフェレスが立ち上がり荷物をまとめるとそのまま、職員室を出て行こうとする。
しかし、セイランが機敏な動きで彼の前に飛びだしたかといきなり羽交い絞めにして……
「……離してくれませんか?」
「一緒に来てくれると言うまで私は離しません」
……いったい何を見せられているのか。
あのグロウフェレスが困ったような顔をして、必死に彼女を引きはがそうとしている。
けど、相手が女性なのもあり手荒な事が出来ないようで……
「分かりました、そこまで言うのなら同行しますので……早く離してください」
「同行すると言いましたね?言質取りましたよ!レース先生も聞きましたよね?」
「……聞いたけど、そこまでしないといけなかった?」
「あのキュー先生が、私情を挟まない人が着いて来てくれるんですよ?つまり私達に対する好感度が高いという事です、これは凄い事ですよ!レース先生分かります?例えばギャルゲーでも大事な要素で……あ、いえ、何でもないです、……あーうん、そういうのって少しでも私達を信頼してくれないと、着いて来ようとしてくれないわけで」
いや……好感度が高いとか、ギャルゲーとか、言葉の意味が分からないけど、もしかしたらメイディ出身の獣人特有の訛りか何かだろうか。
それに少しでも信頼してくれないとって言うけど、どう見ても強引に誘ってるわけで、グロウフェレスからしたら断われなくなってしまっただけかもしれない。
「……ギャルゲー?もしかしてセイランさんあなた、いや、レースさん少しだけ聞かなかった振りして貰えますか?」
「別にいいけど……、どうしたの?」
「いえ、特に、セイランさん……、もしかしてあなた、生まれはメイディでも──という場所から来たのでは?」
「え?キュー先生、──を知ってるの!?凄い、ここに来てから誰も私の故郷を知らなかったらびっくりです!それならこれは分かりますか!?」
に、ほ?、メイディにそんな場所があっただろうか。
でも……聞けば聞く程、意味が分からない言葉が出て来る辺り、何かしらの意味がある言葉なのかもしれない。
「……そこまでは分かりませんが、私の主人が同じところの出身で、似たような話を以前聞いた事がありますので」
「主人……?もしかしてキュー先生、ご結婚なされてるのですか?」
「いえ、私がお世話になっている貴族のお嬢様の事ですね」
「へぇ、なら今度そのキュー先生の主人にお会いしたいです!」
「……それは止めた方がいいでしょう、少なからずこの世界においてあなたが今の生活を続けたいのなら、──の話は必要以上にしない方がいい」
……グロウフェレスはまるで忠告をするかのように言葉にすると、今度は目を細め『ほら、セイランさん……今から噂の出所を探しに行くのでしょう?早く行きますよ、レースさんもこうなったからには拒否権は与えませんので、どうかご覚悟を』と言いながら職員室を出る。
それにしても……まるで、あの言い方だとセイランを守ろうとしているみたいで、どうしてそんな事を彼がするのだろうかと疑問に思いつつ、彼を追うのだった。
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