516 / 600
第十章 魔導国学園騒動
59話 眼が覚めて見える景色
しおりを挟む
いったいどれ程の時間眠っていただろうか、そしてここは何処なのだろうか……。
覚めていく意識の中でそんな事を考えながら眼を開けて映る風景は、窓から見える茜色の空に、武骨な金属の壁。
「……ここは?」
ベッドから身体を起こして周囲を確認してみると、見た事が無い機械が沢山部屋にあって、壁についている魔導具からは何かが回転するような音と共に、不思議と冷たい空気が入ってきている。
これはもしかして、マーシェンスにあるという空調機器というものだろうか。
聞いた範囲でしか知らないけれど、ぼくが住んでいる南西の大国【魔導国家メセリー】の隣国である南東の大国【蒸気機国マーシェンス】、以前ミオラームから聞いた事があるけれど、機械が発展したかわりに自然が破壊されてしまった結果……日中は熱く、夜は寒い。
そんな人が住むには少しばかり不便な環境になってしまった国らしいけれど、その変わり室内には自動で温度を調整してくれる魔導具と、空気を正常に保ってくれる空調機器があるそうだ。
「……ん?あぁ、父さんやっと起きたのかよ」
「え?あ、……あぁ、ダリ、ア?」
部屋の扉が開くとダリアが入って来る。
その手には、金属製の食器にパンとスープ、そして肉と野菜がバランスよく乗っていて……
「お?もしかしてまだ寝ぼけてんのか?」
「……ぼくは、いったいどれくらい寝ていたの?」
「あぁ、大体一週間くらいだな」
「一週間も?」
「そう、一週間もだ……あの戦いの後いきなり父さんが倒れて意識を失って倒れたからびっくりしたんだぜ?」
あの出来事から……そんなに時間が経っていたという事に、思わずどう反応すればいいのか分からなくなってしまう。
だって意識を失っている間の事を考えると心配になる事が多くて……、ダートはぼくが帰って来なくて心配してはいないだろうか。
そこから精神面が不安定になってしまい、胎児に影響が出たりしたりしないか……もし影響が出ていた場合、母子共に危険な状態になる可能性上がる。
現状を把握するべきだと分かってはいても、今すぐにでも彼女の元に戻りたいという衝動に駆られて……、勿論それ以外にも生徒のエスペランサやスパルナがどうなったのか、グロウフェレスとミオラームは無事なのか、同僚であるキューやセイランは?敵対したとはいえ、ロドリゲスの安否は?、色々と気になる事ばかりで落ち着かないけど……
「……何ていうかごめん」
今はぼくの事を心配して顔を覗き込むようにこちらを見ている、ダリアに対して返事をする方が先だろう。
「ごめんじゃねぇよったくよぉ、……で?調子の方は大丈夫か?ほら、マスカレイドから【黎明】を受け継いだんだろ?」
「大丈夫……だと思うけ……ど?」
「ん?どうした?」
「いや、これは……」
何かマスカレイドから受け継いだもので使える者が無いかと意識をしてみると、視界に文字が見え始める。
名前:ダリア
性別:女性
心器:有
属性:時空間(闇)
特性:切継(切って継ぎ固定する)
能力値
肉体強化 7
魔術適正 9
治癒術適正 6
力5 魔力10 体力7 敏捷9 器用7 賢さ8
もしかしてこれは、カエデの使っていた鑑定の魔術を同じものだろうか……、そう思って自分の情報を出す事が出来ないか考えながら意識を集中してみる。
すると見えて来たのは……
名前:レース・フィリス
性別:男性
心器:有
属性:雪(闇、分類火、水、風の複合属性)
特性:固定 液体を任意の位置に固定する事が出来る
黎明 情報の強制開示、技術及び術を新たに生み出す際に思考が加速
継承(闘神ディザスティア、智神セラフナハシュ)
能力値
肉体強化 3→8
魔術適正 8→9(10+)
治癒術適正 8→9(10+)
力4→9 魔力8→9 体力6 敏捷4→6 器用5→7(10+) 賢さ9(10+)
矢印がある方向にある数字が、ディザスティアの力の残滓とセラフナハシュから渡された力の一部によって変化した値だろうか。
それに()の中にある10+が何か分からない……それに……
「父さん、本当にどうしたんだよ……顔色が悪いぞ?」
「え?あ……」
「父さん?」
「あた、まが……い……たい」
「おい、大丈夫かよ!しんどいならまだ寝てろ!」
急に恐ろしい量の情報が頭の中に入って来たからだろうか。
頭の中から金づちで殴られているような、そんな言葉に出来ない程の痛みに襲われる。
咄嗟に治癒術を使って治療を行おうとするけれど、上手く魔力を扱う事が出来ない。
いったいぼくはどうなってしまったのだろう、身体もまるで自分の物ではないみたいで違和感に襲われて、ぼくがぼくであって、ぼくじゃない、そんな不快感が心を襲う。
まるで気を抜いたら封じられている神の力に飲み込まれそうな気がして……
「これは、やべぇな……、ちょっと横になって安静にしてろ!ソフィアを呼んでくるから!」
……ダリアはそう言うと、金属製の食器をテーブルの上に置いて部屋を飛び出して行く。
そして誰も居なくなると……急に孤独感に襲われてしまう。
この苦しい気持ちは何時まで続くのだろうかと思い不安になっていると、暫くして『レースさん、大丈夫ですか!?』とソフィアと共に『……器になって直ぐは苦しいですもの、しょうがないですわよソフィア様』とミオラームが入って来るのだった。
覚めていく意識の中でそんな事を考えながら眼を開けて映る風景は、窓から見える茜色の空に、武骨な金属の壁。
「……ここは?」
ベッドから身体を起こして周囲を確認してみると、見た事が無い機械が沢山部屋にあって、壁についている魔導具からは何かが回転するような音と共に、不思議と冷たい空気が入ってきている。
これはもしかして、マーシェンスにあるという空調機器というものだろうか。
聞いた範囲でしか知らないけれど、ぼくが住んでいる南西の大国【魔導国家メセリー】の隣国である南東の大国【蒸気機国マーシェンス】、以前ミオラームから聞いた事があるけれど、機械が発展したかわりに自然が破壊されてしまった結果……日中は熱く、夜は寒い。
そんな人が住むには少しばかり不便な環境になってしまった国らしいけれど、その変わり室内には自動で温度を調整してくれる魔導具と、空気を正常に保ってくれる空調機器があるそうだ。
「……ん?あぁ、父さんやっと起きたのかよ」
「え?あ、……あぁ、ダリ、ア?」
部屋の扉が開くとダリアが入って来る。
その手には、金属製の食器にパンとスープ、そして肉と野菜がバランスよく乗っていて……
「お?もしかしてまだ寝ぼけてんのか?」
「……ぼくは、いったいどれくらい寝ていたの?」
「あぁ、大体一週間くらいだな」
「一週間も?」
「そう、一週間もだ……あの戦いの後いきなり父さんが倒れて意識を失って倒れたからびっくりしたんだぜ?」
あの出来事から……そんなに時間が経っていたという事に、思わずどう反応すればいいのか分からなくなってしまう。
だって意識を失っている間の事を考えると心配になる事が多くて……、ダートはぼくが帰って来なくて心配してはいないだろうか。
そこから精神面が不安定になってしまい、胎児に影響が出たりしたりしないか……もし影響が出ていた場合、母子共に危険な状態になる可能性上がる。
現状を把握するべきだと分かってはいても、今すぐにでも彼女の元に戻りたいという衝動に駆られて……、勿論それ以外にも生徒のエスペランサやスパルナがどうなったのか、グロウフェレスとミオラームは無事なのか、同僚であるキューやセイランは?敵対したとはいえ、ロドリゲスの安否は?、色々と気になる事ばかりで落ち着かないけど……
「……何ていうかごめん」
今はぼくの事を心配して顔を覗き込むようにこちらを見ている、ダリアに対して返事をする方が先だろう。
「ごめんじゃねぇよったくよぉ、……で?調子の方は大丈夫か?ほら、マスカレイドから【黎明】を受け継いだんだろ?」
「大丈夫……だと思うけ……ど?」
「ん?どうした?」
「いや、これは……」
何かマスカレイドから受け継いだもので使える者が無いかと意識をしてみると、視界に文字が見え始める。
名前:ダリア
性別:女性
心器:有
属性:時空間(闇)
特性:切継(切って継ぎ固定する)
能力値
肉体強化 7
魔術適正 9
治癒術適正 6
力5 魔力10 体力7 敏捷9 器用7 賢さ8
もしかしてこれは、カエデの使っていた鑑定の魔術を同じものだろうか……、そう思って自分の情報を出す事が出来ないか考えながら意識を集中してみる。
すると見えて来たのは……
名前:レース・フィリス
性別:男性
心器:有
属性:雪(闇、分類火、水、風の複合属性)
特性:固定 液体を任意の位置に固定する事が出来る
黎明 情報の強制開示、技術及び術を新たに生み出す際に思考が加速
継承(闘神ディザスティア、智神セラフナハシュ)
能力値
肉体強化 3→8
魔術適正 8→9(10+)
治癒術適正 8→9(10+)
力4→9 魔力8→9 体力6 敏捷4→6 器用5→7(10+) 賢さ9(10+)
矢印がある方向にある数字が、ディザスティアの力の残滓とセラフナハシュから渡された力の一部によって変化した値だろうか。
それに()の中にある10+が何か分からない……それに……
「父さん、本当にどうしたんだよ……顔色が悪いぞ?」
「え?あ……」
「父さん?」
「あた、まが……い……たい」
「おい、大丈夫かよ!しんどいならまだ寝てろ!」
急に恐ろしい量の情報が頭の中に入って来たからだろうか。
頭の中から金づちで殴られているような、そんな言葉に出来ない程の痛みに襲われる。
咄嗟に治癒術を使って治療を行おうとするけれど、上手く魔力を扱う事が出来ない。
いったいぼくはどうなってしまったのだろう、身体もまるで自分の物ではないみたいで違和感に襲われて、ぼくがぼくであって、ぼくじゃない、そんな不快感が心を襲う。
まるで気を抜いたら封じられている神の力に飲み込まれそうな気がして……
「これは、やべぇな……、ちょっと横になって安静にしてろ!ソフィアを呼んでくるから!」
……ダリアはそう言うと、金属製の食器をテーブルの上に置いて部屋を飛び出して行く。
そして誰も居なくなると……急に孤独感に襲われてしまう。
この苦しい気持ちは何時まで続くのだろうかと思い不安になっていると、暫くして『レースさん、大丈夫ですか!?』とソフィアと共に『……器になって直ぐは苦しいですもの、しょうがないですわよソフィア様』とミオラームが入って来るのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる