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第十一章 盗賊王と機械の国
8話 帰りの道中で……
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カエデの提案に乗ったミオラームが、栄花騎士団への応援要請の仕方を教わると、後日作成した書類を使いの者が宿泊施設へと持ってくる流れになる。
そして話し合いが終わったぼく達は、王城を出て戻る事にしたけれど……
「レースさん、宿泊施設へと戻る前に冒険者ギルドの方へ行っていいですか?」
「ギルドに?別にいいけど、どうしたの?」
「先程ミオラーム様とお話した内容を、ライさん達に共有したいので」
「それならぼくも着いて行くよ」
「いえ……、栄花騎士団の職務に係る内容なので、先に帰って貰えると助かります」
そう言われても、慣れない場所で一人にするのは心配になる。
カエデはしっかりとしているから大丈夫だとは思うけど、もしもの事があったらと思うと、意地でも着いて行った方がいいだろう。
「……ライに報告するって事は、ハスが近くにいたりするのか?」
「ハスさんですか?あの人なら、いつもライさんと一緒に行動している事が多いのでいると思いますけど、それがどうかしたのですか?」
「え?あ、あぁ……ほら、俺とハスって、あぁいう関係だろ?だからたまには連絡を取った方がいい気がしてさ」
「ダリアさん、それならご自身の通信端末を使って連絡をすれば良いのではないですか?」
ダリアとハスが婚約関係になっている事に関して、未だに色々と思うところがあるし、認めたくない気持ちがあるけれど、こればっかりは二人の関係だからぼくが一々口を出すわけにはいかない。
でも……、頭では分かっていても気持ちは別で、連絡を取りたいという言葉を聞くと複雑な気持ちになる。
もちろん、彼の事を友人のように思っているし、性格的にも信用がおける相手だけど、やっぱりそれとこれとは別だ。
「ば、ばっか!俺から連絡するのって何つうか恥ずかしいだろうが!察してくれよ!」
「察してくれと言われても……、大事な事は言葉にして伝えないと伝わりませんよ?レースさんもそう思いますよね?」
「そう思うけど、ハスからぼく達の娘に婚約を申し込んだのだから、彼から連絡するべきじゃないかな」
「父さんもそう思うだろ?自分から惚れたとか言って来たくせに、メイディの一件以降連絡も寄こしやしねぇし、会いにも来ない何てひでぇだろ?」
ここでどうしてぼくを話題に入れようとしているのか。
正直、ここで何か言おうとしても上手く言葉に出来る気がしないし、出来る事としたら今みたいに、無難な言葉を変えそうと努力してみるくらいだ。
「……事情は分かりましたけど、だからと言ってダリアさんを冒険者ギルドに連れて行くわけにはいきませんよ?」
「そこを何とか頼むって!、ほら……考えてみてくれよ宿泊施設に戻って連絡を入れようとしても、父さんが近くにいるだろ?」
「……ぼくは別に気にしないけど?」
「俺が気にすんだよ!父親の前で親密な相手とどんな話をしろってんだ?考えただけで恥ずかしくて辛いんだって!」
珍しくダリアが赤面させて、声を荒げるけどこういう場合どうすれば良かったのだろうか。
色々と考えては見るけれど、彼女がどうして怒っているのか分からなくて困ってしまう。
「……それに、カエデは俺の義理の母なんだろ?だったら女同士じゃねぇと話せない事もあるって分かってくれよ」
「そこまで言うなら分かりました、レースさん、私達は冒険者ギルドに行ってから帰るので、先に宿泊施設の方に戻ってもらって良いですか?」
「色々とダリアとハスの関係に対して思うところがあるけど、そういう事情なら別にいいよ」
「レースさん?そういう言い方は良くないですよ?」
「……え?」
カエデが指をぼくの唇に当ててそう言葉にすると、真剣な表情をして見つめて来る。
何か今日は妙に唇を触って来るけど、どうしたんだろうと思いながら何が良くなかったのか考えて見るけど、思い当たる事が無い。
「ダリアさんは、10歳と成人したばかりですが……、これくらいの年齢で結婚する人も普通にいるのはレースさんもご存じですよね?」
「それは分かってるけど……」
「なら尚の事、ダリアさんの父親なんですからしっかりと考えてあげないとダメじゃないですか、そうじゃないと娘が嫁ぎ遅れてしまいますよ?結婚出来ない理由が本人ではなく、親にあるとなったら恥ずかしくないですか?さすがにそうなったら私とダートお姉様二人で怒りますよ?」
確かにダリアはもう、年齢的には結婚して家を出てもおかしくない年頃だ。
けど……やっぱり気持ちは複雑で、でも、こういう時どうすればいいのかは知っている。
以前、辺境都市クイストで学園の教師としての仕事と診療所の仕事の休みが重なった時に、ジラルドとたまたまこっちに来ていたアキラさんと何時もの喫茶店で話をしていた時に、こちら側から折れた方がいいと教えて貰った。
だから……ここはその経験を活かすべきだろう。
「……分かった、ぼくが悪かったよ」
「分かってくれたならいいです、ではダリアさん一緒に冒険者ギルドに行きましょうか」
「おぅ、わりぃな父さん、ちょっとだけ行ってくるわ……どうせなら、俺達が帰ってくるまでの間に母さんと連絡とっとけよ、話したい事が沢山あるだろ?」
……そう言って二人が冒険者ギルドに向かう姿を手を振って見送った後、確かにダートと色々と話したい事があるのを思い出す。
あの胎児が映った写真の事や、毎日連絡を取り合っているから元気なのは分かっているけど、具合は大丈夫なのかとか……、多分ダリアがカエデに着いて行くと言っていたのは彼女なりの気遣いもあったのかもしれないと思い宿泊施設に戻るのだった。
そして話し合いが終わったぼく達は、王城を出て戻る事にしたけれど……
「レースさん、宿泊施設へと戻る前に冒険者ギルドの方へ行っていいですか?」
「ギルドに?別にいいけど、どうしたの?」
「先程ミオラーム様とお話した内容を、ライさん達に共有したいので」
「それならぼくも着いて行くよ」
「いえ……、栄花騎士団の職務に係る内容なので、先に帰って貰えると助かります」
そう言われても、慣れない場所で一人にするのは心配になる。
カエデはしっかりとしているから大丈夫だとは思うけど、もしもの事があったらと思うと、意地でも着いて行った方がいいだろう。
「……ライに報告するって事は、ハスが近くにいたりするのか?」
「ハスさんですか?あの人なら、いつもライさんと一緒に行動している事が多いのでいると思いますけど、それがどうかしたのですか?」
「え?あ、あぁ……ほら、俺とハスって、あぁいう関係だろ?だからたまには連絡を取った方がいい気がしてさ」
「ダリアさん、それならご自身の通信端末を使って連絡をすれば良いのではないですか?」
ダリアとハスが婚約関係になっている事に関して、未だに色々と思うところがあるし、認めたくない気持ちがあるけれど、こればっかりは二人の関係だからぼくが一々口を出すわけにはいかない。
でも……、頭では分かっていても気持ちは別で、連絡を取りたいという言葉を聞くと複雑な気持ちになる。
もちろん、彼の事を友人のように思っているし、性格的にも信用がおける相手だけど、やっぱりそれとこれとは別だ。
「ば、ばっか!俺から連絡するのって何つうか恥ずかしいだろうが!察してくれよ!」
「察してくれと言われても……、大事な事は言葉にして伝えないと伝わりませんよ?レースさんもそう思いますよね?」
「そう思うけど、ハスからぼく達の娘に婚約を申し込んだのだから、彼から連絡するべきじゃないかな」
「父さんもそう思うだろ?自分から惚れたとか言って来たくせに、メイディの一件以降連絡も寄こしやしねぇし、会いにも来ない何てひでぇだろ?」
ここでどうしてぼくを話題に入れようとしているのか。
正直、ここで何か言おうとしても上手く言葉に出来る気がしないし、出来る事としたら今みたいに、無難な言葉を変えそうと努力してみるくらいだ。
「……事情は分かりましたけど、だからと言ってダリアさんを冒険者ギルドに連れて行くわけにはいきませんよ?」
「そこを何とか頼むって!、ほら……考えてみてくれよ宿泊施設に戻って連絡を入れようとしても、父さんが近くにいるだろ?」
「……ぼくは別に気にしないけど?」
「俺が気にすんだよ!父親の前で親密な相手とどんな話をしろってんだ?考えただけで恥ずかしくて辛いんだって!」
珍しくダリアが赤面させて、声を荒げるけどこういう場合どうすれば良かったのだろうか。
色々と考えては見るけれど、彼女がどうして怒っているのか分からなくて困ってしまう。
「……それに、カエデは俺の義理の母なんだろ?だったら女同士じゃねぇと話せない事もあるって分かってくれよ」
「そこまで言うなら分かりました、レースさん、私達は冒険者ギルドに行ってから帰るので、先に宿泊施設の方に戻ってもらって良いですか?」
「色々とダリアとハスの関係に対して思うところがあるけど、そういう事情なら別にいいよ」
「レースさん?そういう言い方は良くないですよ?」
「……え?」
カエデが指をぼくの唇に当ててそう言葉にすると、真剣な表情をして見つめて来る。
何か今日は妙に唇を触って来るけど、どうしたんだろうと思いながら何が良くなかったのか考えて見るけど、思い当たる事が無い。
「ダリアさんは、10歳と成人したばかりですが……、これくらいの年齢で結婚する人も普通にいるのはレースさんもご存じですよね?」
「それは分かってるけど……」
「なら尚の事、ダリアさんの父親なんですからしっかりと考えてあげないとダメじゃないですか、そうじゃないと娘が嫁ぎ遅れてしまいますよ?結婚出来ない理由が本人ではなく、親にあるとなったら恥ずかしくないですか?さすがにそうなったら私とダートお姉様二人で怒りますよ?」
確かにダリアはもう、年齢的には結婚して家を出てもおかしくない年頃だ。
けど……やっぱり気持ちは複雑で、でも、こういう時どうすればいいのかは知っている。
以前、辺境都市クイストで学園の教師としての仕事と診療所の仕事の休みが重なった時に、ジラルドとたまたまこっちに来ていたアキラさんと何時もの喫茶店で話をしていた時に、こちら側から折れた方がいいと教えて貰った。
だから……ここはその経験を活かすべきだろう。
「……分かった、ぼくが悪かったよ」
「分かってくれたならいいです、ではダリアさん一緒に冒険者ギルドに行きましょうか」
「おぅ、わりぃな父さん、ちょっとだけ行ってくるわ……どうせなら、俺達が帰ってくるまでの間に母さんと連絡とっとけよ、話したい事が沢山あるだろ?」
……そう言って二人が冒険者ギルドに向かう姿を手を振って見送った後、確かにダートと色々と話したい事があるのを思い出す。
あの胎児が映った写真の事や、毎日連絡を取り合っているから元気なのは分かっているけど、具合は大丈夫なのかとか……、多分ダリアがカエデに着いて行くと言っていたのは彼女なりの気遣いもあったのかもしれないと思い宿泊施設に戻るのだった。
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