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第十一章 盗賊王と機械の国
14話 考えたい事
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……気づいたら朝だった。
昨日、何かがあったのかと言われたらあったけれどそれよりも重要な事は、カエデは甘え始めると底が無いという事だろうか。
「……なるほどなぁ」
あの後もうやる事が無いから寝る事になったけれど……あの大きさのベッドだ。
横になっても一人で寝るには大きすぎる程で、二人で使う事にしたけれど腕に抱き着いて来るのは別に良いと思う。
腕枕を求めて来るのもダートの寝相の悪さに比べたらかわいいと思うから気にしない。
でも……何て言えばいいのか、言葉にするのが難しい。
「……鏡を見たら首筋辺りとか凄いんだろうなぁ」
噛み癖というのだろうか、そういう物には詳しく無いけれど、動物の間では番を噛む事で愛情を表現するらしいけど、首の周りを噛むのはさすがに痛い。
他にも義肢の左腕を噛んでたけど、途中で
『……歯が痛いですね』
と言って止めていたから、左腕が生身のままだったらかなり噛まれていただろう。
……治癒術を使って傷を治そうかどうか悩むけれど、それよりも今は考えたい事があるからそっちを優先する。
「サリアの能力か……」
昨日、サリアと話してる時に彼女がどれほど強いのか気になって能力を確認してみたけれど……
名前:サリア・ハルサー
性別:女
魔族:分類不能
仮称『複合種:完成された獣人を統べる王の器』
心器:有
属性:劇毒(闇)
特性:化身 肉体を任意の動物の姿に変える事が出来る
獣姫 姿を動物に変えている間、全ての能力が上昇する。
── 発現まで残り僅かです。
僕の能力を覗いた事、覚悟してくださいね?
肉体強化 10(10+)
魔術適正 10(10+)
治癒術適正 9 (10+)
力10(10+) 魔力10(10+) 体力10 敏捷3(10+)器用5(10) 賢さ8(10)
三つ目の魔力特性に関して理解が追い付かないところがあるけれど、それ以上に【獣姫】と言う破格の能力と彼女が鑑定された際に残した罠の方が気になる。
黎明の特性のおかげで引っ掛かる事は無かったけれど、【鑑定魔術】を使用して全ての能力を確認した場合、術者の魔力を感知して居場所を特定する魔術が掛けられていた。
……ストラフィリアでカエデに鑑定魔術を使用して貰って確認して貰った事があるけど、彼女が高度な鑑定魔術を習得していたら、サリアに命を狙われていたかもしれない。
「こんなに強いんだったら、戦うのが嫌だとか言わないで……ストラフィリアの時に助けてくれれば良かったのに」
過ぎた事に関してあれこれ言っても意味が無いのは分かってる。
それでも、ここまで凄まじい能力を持っているのならって思うのは当然だ。
「そんな事を考えても無駄だって分かってるんだけど……ね」
とりあえず隣で寝ているカエデを起こさないように、ゆっくりとベッドから下りると部屋に備え付けられた時計を確認する。
マーシェンス特有のガラスの板に浮かび上がる時間を見る限り、まだ陽が昇って直ぐの時間帯だろう。
そう思って、窓から外を見るとマーシェンスの貴族達が着ている礼服に身を包み、忙しそうに歩いている姿が目に映り、この国の日常が始まったのだろう事が伺える。
「……そろそろ見慣れてもいい頃なのに、未だに見慣れないし落ち着かないな」
ただ……メセリーで育ったからだろうか、魔術を使う人を見る事が無い。
これに関しては蒸気機関と呼ばれる機械と、マスカレイドが開発した機械と魔術を組み合わせた魔導具の影響だろう。
魔術を使わなくても、魔導具に魔力を流せば似たような事が出来るし、常に魔力を使う物は、蒸気機関で産まれた熱を魔力へと変換する機械があるらしくて、それを利用する事で稼働し続ける事が出来らしいけど、詳しい事はぼくには何も分からない。
「でも一番の原因はあれかもしれない……」
壁に掛けられている、蓋を開ける事で簡易的なベッドが表れ人が一人、横に慣れる広さがある機械だ。
横になって中にあるスイッチを押す事で、体内を精密に調べ少しでもおかしいところがあれば治療を行ってくれる。
しかもマーシェンスの国民であれば、無償で受ける事が出来るのは凄いと思うけど……そのおかげで、国内に治癒術師が非常に少ないらしい。
「とりあえずカエデが起きる前に朝食の準備をしないとなぁ……」
そう思いながら機械を操作しながら考える。
ミオラーム的には、機械による診断と治療のみに頼るよりも専門知識を持つ治癒術師を国内に増やしたいそうだけど、ここまで魔導具が発展している以上は難しいのではないだろうか。
「完全栄養食系は止めて、素材を生かした食材にしてみようかな、後は目覚まし用のコーヒー?」
……とはいえ、国を変える為には実現が難しいと分かっていてもやろうとすることは必要だとは思う。
特に彼女の近くには、フィリアがいるし……それ以外にも信頼のおける臣下もいるらしいから、ミオラームのやろうとしている事が実現できるように支えてくれるはずだ。
そんな事を考えながら朝食の準備を終えると、カエデを起こす為にベッドへと向かうのだった。
昨日、何かがあったのかと言われたらあったけれどそれよりも重要な事は、カエデは甘え始めると底が無いという事だろうか。
「……なるほどなぁ」
あの後もうやる事が無いから寝る事になったけれど……あの大きさのベッドだ。
横になっても一人で寝るには大きすぎる程で、二人で使う事にしたけれど腕に抱き着いて来るのは別に良いと思う。
腕枕を求めて来るのもダートの寝相の悪さに比べたらかわいいと思うから気にしない。
でも……何て言えばいいのか、言葉にするのが難しい。
「……鏡を見たら首筋辺りとか凄いんだろうなぁ」
噛み癖というのだろうか、そういう物には詳しく無いけれど、動物の間では番を噛む事で愛情を表現するらしいけど、首の周りを噛むのはさすがに痛い。
他にも義肢の左腕を噛んでたけど、途中で
『……歯が痛いですね』
と言って止めていたから、左腕が生身のままだったらかなり噛まれていただろう。
……治癒術を使って傷を治そうかどうか悩むけれど、それよりも今は考えたい事があるからそっちを優先する。
「サリアの能力か……」
昨日、サリアと話してる時に彼女がどれほど強いのか気になって能力を確認してみたけれど……
名前:サリア・ハルサー
性別:女
魔族:分類不能
仮称『複合種:完成された獣人を統べる王の器』
心器:有
属性:劇毒(闇)
特性:化身 肉体を任意の動物の姿に変える事が出来る
獣姫 姿を動物に変えている間、全ての能力が上昇する。
── 発現まで残り僅かです。
僕の能力を覗いた事、覚悟してくださいね?
肉体強化 10(10+)
魔術適正 10(10+)
治癒術適正 9 (10+)
力10(10+) 魔力10(10+) 体力10 敏捷3(10+)器用5(10) 賢さ8(10)
三つ目の魔力特性に関して理解が追い付かないところがあるけれど、それ以上に【獣姫】と言う破格の能力と彼女が鑑定された際に残した罠の方が気になる。
黎明の特性のおかげで引っ掛かる事は無かったけれど、【鑑定魔術】を使用して全ての能力を確認した場合、術者の魔力を感知して居場所を特定する魔術が掛けられていた。
……ストラフィリアでカエデに鑑定魔術を使用して貰って確認して貰った事があるけど、彼女が高度な鑑定魔術を習得していたら、サリアに命を狙われていたかもしれない。
「こんなに強いんだったら、戦うのが嫌だとか言わないで……ストラフィリアの時に助けてくれれば良かったのに」
過ぎた事に関してあれこれ言っても意味が無いのは分かってる。
それでも、ここまで凄まじい能力を持っているのならって思うのは当然だ。
「そんな事を考えても無駄だって分かってるんだけど……ね」
とりあえず隣で寝ているカエデを起こさないように、ゆっくりとベッドから下りると部屋に備え付けられた時計を確認する。
マーシェンス特有のガラスの板に浮かび上がる時間を見る限り、まだ陽が昇って直ぐの時間帯だろう。
そう思って、窓から外を見るとマーシェンスの貴族達が着ている礼服に身を包み、忙しそうに歩いている姿が目に映り、この国の日常が始まったのだろう事が伺える。
「……そろそろ見慣れてもいい頃なのに、未だに見慣れないし落ち着かないな」
ただ……メセリーで育ったからだろうか、魔術を使う人を見る事が無い。
これに関しては蒸気機関と呼ばれる機械と、マスカレイドが開発した機械と魔術を組み合わせた魔導具の影響だろう。
魔術を使わなくても、魔導具に魔力を流せば似たような事が出来るし、常に魔力を使う物は、蒸気機関で産まれた熱を魔力へと変換する機械があるらしくて、それを利用する事で稼働し続ける事が出来らしいけど、詳しい事はぼくには何も分からない。
「でも一番の原因はあれかもしれない……」
壁に掛けられている、蓋を開ける事で簡易的なベッドが表れ人が一人、横に慣れる広さがある機械だ。
横になって中にあるスイッチを押す事で、体内を精密に調べ少しでもおかしいところがあれば治療を行ってくれる。
しかもマーシェンスの国民であれば、無償で受ける事が出来るのは凄いと思うけど……そのおかげで、国内に治癒術師が非常に少ないらしい。
「とりあえずカエデが起きる前に朝食の準備をしないとなぁ……」
そう思いながら機械を操作しながら考える。
ミオラーム的には、機械による診断と治療のみに頼るよりも専門知識を持つ治癒術師を国内に増やしたいそうだけど、ここまで魔導具が発展している以上は難しいのではないだろうか。
「完全栄養食系は止めて、素材を生かした食材にしてみようかな、後は目覚まし用のコーヒー?」
……とはいえ、国を変える為には実現が難しいと分かっていてもやろうとすることは必要だとは思う。
特に彼女の近くには、フィリアがいるし……それ以外にも信頼のおける臣下もいるらしいから、ミオラームのやろうとしている事が実現できるように支えてくれるはずだ。
そんな事を考えながら朝食の準備を終えると、カエデを起こす為にベッドへと向かうのだった。
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