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第十二章 魔導国物語
4話 彼からの連絡
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スイさんとの相談から少しばかり日が立って……
「……連絡が無い」
この前レースから連絡があった時は、かっこつけて
『……なら、私の方でちゃんと元気に産んでおくから、レースは今やるべきことをちゃんとやって?』
なんて振る舞ってみたけれど、やっぱり連絡がないのは少しばかり寂しく感じてしまうけど、これに関してはレースもマーシェンスで頑張っているから、思う事はあっても文句は言わない。
だって、彼がどれくらい頑張っているのか、栄花で起きたシャルネによる襲撃事件の後、辺境都市クイストに避難して来た娘のダリアと、栄花騎士団最高幹部の人達から聞いているから。
当初は、ダリアが焦ったような表情で診療所の倉庫から出て来た時は驚いたし、まえだ診療時間だったから、患者さん達も驚いていたけど、学園での仕事が無く一日中診療所にいたスイと、使用人のサリッサさんのおかげで騒ぎになる事は無かった。
「……あれ?」
すると私の思いが伝わったのか、通信端末に反応がある。
誰からだろうか気になって、確認してみるとレースの名前が表示されていて、急いで出ると
「レース!?大丈夫だった!?」
自分でも驚く程の声量が出て、思わず目を丸くする。
いつも通りの感じに話そうとしたのに、彼と話せると分かっただけでこうなるのは何て言うか、今まで声を聞きたいのに我慢していたからかもしれない。
『お二人さん……何か面白い事してますねぇ』
「え?あ……この声はサリアさん?お久しぶりです」
『はいはい、お久しぶりですねぇ』
「レース、この状態だと私から見える映像の向きが横向きになってるから、テーブルとかに置いて貰ってもいい?」
すると聞き覚えのある声が聞こえて来て、このままだと現状がどうなっているのか分からないから、レースに映像を出力して貰うようにお願いして、彼の周囲が確認出来るようにしてもらって通話を進める。
その中で、サリアさんから契約の話が出て聞いているとおかしいところが沢山あって
「ねぇレース?その契約予定の話なんだけど、死絶傭兵団から治癒術を使える子を働かせて将来的に治癒術師の資格を取らせるんだよね?」
『うん、その予定だけど……どうかしたの?』
確認の為にレースに聞いてみると、気付いてないみたいで少しだけ悲しくなる。
これ……彼に任せてたら、サリアさんだからこの程度で済んでるけど、もし悪意を持って近づいて来た相手だったら、取り返しのつかない事になるかもしれない。
「サリアさんが言っていたように、団員さんが治癒術師になるまでの間、依頼中に怪我をした人を治せる人がいない訳でしょ?」
『……そうだけど』
「その時に起きる死絶傭兵団側の不利益とかちゃんと考えてあげた?こういう契約を書類上とはいえ、結ぶ以上はお互いに対等な条件にしないといけないと思うの、ほら……内容的には業務提携契約に近いものだと思うし、それともサリアさん、もしかしてだけどレースが分かっていないのを知って伝えてなかったの?」
こういえばレースも理解ができる筈、そう思って説明するとサリアさんが驚いたような表情を浮かべ、彼から通信端末を取り上げるとそのまま部屋から追い出して、二人で話す事になった。
『……さて、レースさんが部屋を出て行った事ですし、優秀なダートさん、これから大事な話をしましょうか」
「それは構いませんけど、契約の話はこれで終わったのではないですか?」
『えぇ、それとは違う話でしてね?確認ついでになんていいますか、第一夫人であらせられるダート様的に、第三夫人とかってどう思いますか?』
その声を聞いた瞬間に室内の温度が極端に下がったような錯覚を覚える。
今、サリアさんは何て言ったの?第三夫人?、二人目はカエデちゃんであの子を事を良く知っていたから受け入れたけど、三人目って何?何のこと?分からない、理解が出来ない。
もしかして聞き間違えたのかな……、そう思って聞き返そうとすると
「ルミィ様、少しだけ外に行きましょう」
「んー?サリッサ、なんでなの?」
「ダート様が大事なお話をしているそうなので……」
「お義姉様が?分かったの!それじゃあ、学園の寮に遊びに行くの!」
という声が部屋の外から聞こえ、暫くすると玄関の扉が開く音がした。
これは……空気を読んでくれたサリッサさんに気を使わせてしまったと、反省しながらゆっくりと深呼吸を繰り返す。
『ダート様、聞こえてますかー?』
「聞こえてるわ……、だから聞きたいんだけど、第三夫人ってサリアさんどう言う事なの?」
『……やはり気になりますよね?えっとですね、事の経緯を説明しますと、レースさんが私と対等な立場になりという話になったのですが、個人的に──』
……少し前に二人の間にあったことを説明してくれるけど、今回ばっかりはレースの行動に問題がある。
どうせ、彼の事だから、負けを認めさせた後にどうすれば彼女の気持ちを断る事が出来るのか話し合うつもりだろうけど、こうやって大事な話として二人きりで話してるという事は、負けたら本当に婚姻を結ぶ気なんだと思う。
これはレースがやるべきことを終えて、家に戻って来たらちょっとばっかり怒らないといけないかもと思いながら、サリアさんの話に耳を傾けるのだった。
「……連絡が無い」
この前レースから連絡があった時は、かっこつけて
『……なら、私の方でちゃんと元気に産んでおくから、レースは今やるべきことをちゃんとやって?』
なんて振る舞ってみたけれど、やっぱり連絡がないのは少しばかり寂しく感じてしまうけど、これに関してはレースもマーシェンスで頑張っているから、思う事はあっても文句は言わない。
だって、彼がどれくらい頑張っているのか、栄花で起きたシャルネによる襲撃事件の後、辺境都市クイストに避難して来た娘のダリアと、栄花騎士団最高幹部の人達から聞いているから。
当初は、ダリアが焦ったような表情で診療所の倉庫から出て来た時は驚いたし、まえだ診療時間だったから、患者さん達も驚いていたけど、学園での仕事が無く一日中診療所にいたスイと、使用人のサリッサさんのおかげで騒ぎになる事は無かった。
「……あれ?」
すると私の思いが伝わったのか、通信端末に反応がある。
誰からだろうか気になって、確認してみるとレースの名前が表示されていて、急いで出ると
「レース!?大丈夫だった!?」
自分でも驚く程の声量が出て、思わず目を丸くする。
いつも通りの感じに話そうとしたのに、彼と話せると分かっただけでこうなるのは何て言うか、今まで声を聞きたいのに我慢していたからかもしれない。
『お二人さん……何か面白い事してますねぇ』
「え?あ……この声はサリアさん?お久しぶりです」
『はいはい、お久しぶりですねぇ』
「レース、この状態だと私から見える映像の向きが横向きになってるから、テーブルとかに置いて貰ってもいい?」
すると聞き覚えのある声が聞こえて来て、このままだと現状がどうなっているのか分からないから、レースに映像を出力して貰うようにお願いして、彼の周囲が確認出来るようにしてもらって通話を進める。
その中で、サリアさんから契約の話が出て聞いているとおかしいところが沢山あって
「ねぇレース?その契約予定の話なんだけど、死絶傭兵団から治癒術を使える子を働かせて将来的に治癒術師の資格を取らせるんだよね?」
『うん、その予定だけど……どうかしたの?』
確認の為にレースに聞いてみると、気付いてないみたいで少しだけ悲しくなる。
これ……彼に任せてたら、サリアさんだからこの程度で済んでるけど、もし悪意を持って近づいて来た相手だったら、取り返しのつかない事になるかもしれない。
「サリアさんが言っていたように、団員さんが治癒術師になるまでの間、依頼中に怪我をした人を治せる人がいない訳でしょ?」
『……そうだけど』
「その時に起きる死絶傭兵団側の不利益とかちゃんと考えてあげた?こういう契約を書類上とはいえ、結ぶ以上はお互いに対等な条件にしないといけないと思うの、ほら……内容的には業務提携契約に近いものだと思うし、それともサリアさん、もしかしてだけどレースが分かっていないのを知って伝えてなかったの?」
こういえばレースも理解ができる筈、そう思って説明するとサリアさんが驚いたような表情を浮かべ、彼から通信端末を取り上げるとそのまま部屋から追い出して、二人で話す事になった。
『……さて、レースさんが部屋を出て行った事ですし、優秀なダートさん、これから大事な話をしましょうか」
「それは構いませんけど、契約の話はこれで終わったのではないですか?」
『えぇ、それとは違う話でしてね?確認ついでになんていいますか、第一夫人であらせられるダート様的に、第三夫人とかってどう思いますか?』
その声を聞いた瞬間に室内の温度が極端に下がったような錯覚を覚える。
今、サリアさんは何て言ったの?第三夫人?、二人目はカエデちゃんであの子を事を良く知っていたから受け入れたけど、三人目って何?何のこと?分からない、理解が出来ない。
もしかして聞き間違えたのかな……、そう思って聞き返そうとすると
「ルミィ様、少しだけ外に行きましょう」
「んー?サリッサ、なんでなの?」
「ダート様が大事なお話をしているそうなので……」
「お義姉様が?分かったの!それじゃあ、学園の寮に遊びに行くの!」
という声が部屋の外から聞こえ、暫くすると玄関の扉が開く音がした。
これは……空気を読んでくれたサリッサさんに気を使わせてしまったと、反省しながらゆっくりと深呼吸を繰り返す。
『ダート様、聞こえてますかー?』
「聞こえてるわ……、だから聞きたいんだけど、第三夫人ってサリアさんどう言う事なの?」
『……やはり気になりますよね?えっとですね、事の経緯を説明しますと、レースさんが私と対等な立場になりという話になったのですが、個人的に──』
……少し前に二人の間にあったことを説明してくれるけど、今回ばっかりはレースの行動に問題がある。
どうせ、彼の事だから、負けを認めさせた後にどうすれば彼女の気持ちを断る事が出来るのか話し合うつもりだろうけど、こうやって大事な話として二人きりで話してるという事は、負けたら本当に婚姻を結ぶ気なんだと思う。
これはレースがやるべきことを終えて、家に戻って来たらちょっとばっかり怒らないといけないかもと思いながら、サリアさんの話に耳を傾けるのだった。
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