てんしとおコタ

環流 虹向

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今日と明日まで泊まらせてもらう風喜の家に来たけれど、ちょうど両親は仕事で遅くなっているらしく若干ニートの雷翔さんが僕たちのご飯に炒飯を作ってくれる。

けど、それを食べたら眠くなりそうと思った僕は一応買っておいたバナナでなるべく胃を満たしていると、雷翔さんが僕たちをダイニングテーブルに呼んだ。

風喜「こーたん、ゴリラ並みにバナナ食ったから炒飯いらなくない?」

琥太郎「腹が鳴らない程度にもらう。」

僕は少し水気の多い炒飯を自分のお皿に盛り、2人の半分も満たない米を食べていると雷翔さんが酒缶を3つ持ってきた。

雷翔「みんなで乾杯しよー。」

風喜「ふぅたちこれから冬休みの宿題するから無理。」

琥太郎「お酒は飲みません。」

雷翔「なんでだよーぅ。1人飲みは寂しいよー。」

風喜「どっかに呑みに行けばいいじゃん。」

雷翔「お前らがガキだから見てろって言われたの。バイト代も貰ったし、家が火事になんないように監視役。」

宅配ピザでも頼んだら火事にならないだろと思っていると、コンロからピピッと人を呼ぶ音が聞こえる。

雷翔「…やべ。俺が消し忘れてた。」

そう言って雷翔さんは慌てて付けっ放しにしていたコンロの火を消してまた胃に炒飯を詰め込み始めた。

風喜「兄ちゃんがいてもいなくても変わんないよ。出かけてくれば?」

雷翔「だーめ。あとでまた小遣いせびるための初期投資。お前ら大人しくしてろよー。」

そんなことを言う雷翔さんは風喜よりも食べこぼしは激しいし、臨時収入で買ったタバコは吸うわで大人しくしてほしいのはこっちの方。

僕のお父さんはタバコを吸わないし、周りの大人でタバコを吸うのが雷翔さんくらいしかいなかった僕は勉強を始めてから少しして頭が痛くなってくると風喜が換気と言って寒いけれど窓を開けてくれた。

琥太郎「…ありがと。」

風喜「兄ちゃんはふかすだけだから。」

琥太郎「…親も吸うんだ?」

風喜「ううん。自分は肺に入れてる。」

…教育とは。

その言葉が僕の頭に出ると風喜は鼻で笑った。

風喜「なんてね。タバコも酒もしてないよ。」

琥太郎「そうなの?」

風喜「うん。タバコはガンだし、酒は子どもになる薬って死んだじぃちゃんに教えてもらってたから。」

琥太郎「でも、雷翔さんが風喜はノリがいいって言ってたけど。」

僕は最近の風喜の行動にも、言葉にもあんまり信用がないのでそう聞いてみた。

風喜「んー…。吸う時は吸うし、飲む時は飲むけどなるべく体に入れてないようにしてるって感じ?」

琥太郎「どういうこと?」

風喜「タバコは最初のひと吸いでやめて、酒は分解される前に吐いてる。」

琥太郎「…なんでそんなことしてんの?」

風喜「兄ちゃんはかまってあげないと死んじゃうからそうしてる。」

そう平然と教えてくれたけれど、風喜の目からいつものハイライトが消えてくすんでるように見える。

風喜「兄ちゃんって人付き合い苦手で友達いないけど、人一倍承認欲求強くてアイドル始めたんだ。だけどそんなに上手くいってないし、相変わらずグループの人たちとも馴染めてないみたいだからふぅがいないとダメっぽい。」

と、風喜はヘッドホンをつけてどっぷりゲームの世界に入っている雷翔さんを指す。

風喜「兄ちゃん、太ももにいっぱい傷あんの。カッターでピッて…。」

琥太郎「そうなんだ…。」

今年の夏に一緒にプールに行ったけどそんなの分からなかったし、そんな思い詰める系の人じゃないと思ってた…。

風喜「今日こーたんがうちに来てくれて嬉しかったんだ。」

琥太郎「そう?」

風喜「うん。酒断る口実出来るし、親いないとふぅにタバコ吸わせようとしてくるから。」

風喜は僕に見せたことない寂しげな笑顔をして、少し止めていた手をまた動かし始めた。

…なんか、僕が思ってた人間像じゃなかったかも。

僕は改めて風喜と雷翔さんのことを1人の人間としてみることを決め、ちゃんと友達として付き合っていこうと心に誓った。


環流 虹向/てんしとおコタ
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