てんしとおコタ

環流 虹向

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風喜の家に泊まるのは今日で最終日。

だから爽太も呼んで、ある程度切りがいいところまで冬休みの宿題を終えて風喜がわざわざ1人で借りてきたあのホラー映画を見る。

僕は1番見られたら面倒臭い人たちと一緒に映画を見進めているけれど、2人は茶化すこともなくただ物語に集中してくれていてやっぱり僕が思っていたよりも嫌な奴じゃないと分かった。

爽太「琥太がイケメンなのは知ってたけど、子役やってんの知らなかった。」

風喜「ふぅも今日知ったの。てか、こーたんハマり役過ぎない?ずっと鳥肌立ってる。」

と言って、風喜は腕に出来た鳥肌を僕に見せてきた。

琥太郎「ハマり役っていうか…、ハマらないとダメじゃん。」

爽太「かっけぇ…。色々調べたけど他にも色々やってるよな?」

琥太郎「…仕事が貰えればやってた。」

風喜「今はないの?」

琥太郎「うん…。僕の年齢で僕より演技上手い人なんかたくさんいるし、僕が向こうの期待を越えられてないから。」

僕は初めて自分の思ったことを素直な言葉で伝えると、2人はとても驚いた表情をしてお互いの顔を見合わせた。

爽太「…けど、何にもなれてない無名の俺たちより琥太はすごいと思う。」

琥太郎「…2人はレギュラー落ちたことないじゃん。」

風喜「うちの学校、強豪校でもないじゃん。しかも地区大会の予選敗退は当たり前だし。」

琥太郎「でも、選ばれること自体に意味があると思うよ。」

僕は声が掛からなくなってからお父さんに内緒で何度もオーディションに行ったけど、見事にダメで自分が誰にも必要とされてないと感じてからだんだんと自我がなくなって、いつしかいじめに加担して自分のストレス発散に成績が学年トップで男女共に人気があった日向を攻撃してしまった。

けれど、そんなのほんの一瞬しか気が紛れなくて今更になって後悔している。

だから入学当時から淡い恋心を抱いてたとしても、こんな僕が日向を好きでいる資格はない。

…でも。

どうしても、その気持ちは時間が経つことに増していって、この間の白い息のように吐き捨てて空気に溶かして消すことは出来なくて自分がどうすればいいのか分からない。

風喜「ふぅは今のこーたんがTVとか映画館で映ってるとこ見てみたい。」

爽太「うん。同じく。」

風喜「この映画を見る前までは稼ぎ頭として働かされてるのかなって思ってたけど、本気でこーたんがやってならちゃんと応援するよ。」

僕が思っていた“仮の友達像”の2人はもう消えていて、今はただ本当の友達として僕の夢を応援してくれるいい人になっていた。

だから僕はこの2人の声援も自分の力にして明日から始める短編映画の撮影に気合いを入れた。


環流 虹向/てんしとおコタ
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