ここのサキには

環流 虹向

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なんか、背中が重い…。

私は少し寝苦しさを感じ、目を覚ますといつのまにか家に入ってきていた一に驚き声を上げる。

すると、その声で一がゆっくりと目を開けておはようと言った。

雅紀「…なんで、いるの?」

一「んー…?姐さんに会いにきた。」

雅紀「で、でも、鍵とか…。」

一「瑠愛くんに作り方教えてもらった。」

と言って、一は寝ぼけた声でスペアキーを作った方法を語る。

雅紀「…犯罪だよ。通報しよっかな。」

一「ごめぇ…んっ。でも、姐さんは通報しないって知ってる。」

そう言って一は寝ぼけ眼ながらも、体は起きているのか手で私の脚を優しく撫であげてしっかり保湿されていることを確かめる。

一「クリスマスには会えそうにないから今来ちゃった。ダメ?」

…その聞き方、ずるいよ。

私は頑張って抑えてるのに、一はそうやって好意のチラ見せしちゃってずるいよ。

雅紀「…とりあえず、味噌汁飲もっか。」

一「うん。姐さんの飲む…ぅ。」

と、私よりも眠そうな一はベッドでまた眠りかけながらケトルのお湯が沸くとズルズルと布団から出てまだ温まりきってないコタツに移動した。

一「くそさみぃ…。暖房つけないの?」

雅紀「ここの暖房おかしいくらいに乾燥するからなるべくコタツと電気毛布で済ませてる。」

一「そっか。じゃあ俺が姐さんの半纏になるよ。」

目を覚ました一はレトルトの味噌汁を開けていた私に抱きつき、起きたてでまだ低い体温で温めてくれる。

雅紀「やけどしちゃうよ。」

一「姐さんが気をつけてくれればいいよ。」

雅紀「変に動かないでね。」

一「うん。」

そう言った一だけど、鼻を私の首になすりつけて私の匂いを嗅ぎ始めた。

私はその行動に少しは慣れていたけれど、どうしてもくすぐったいが勝って肩をすくませていると一は首後ろにキスをした。

一「ゆきって誰?」

雅紀「ん?誰?」

一「紙ナフに電話番号書いてた“ゆき”だよ。」

一はその名前を口にするたび、声がだんだんと落ちてしまう。

雅紀「最近よく来てくれるお客さん。可愛い絵描いてもらったからナフキン貰っちゃったの。」

一「男?女?」

雅紀「男だよ。でも、タイプじゃない。」

一「姐さんは夏みたいな儚げくんがタイプなんだもんね。」

雅紀「…そうだけど、それは顔だけだから。」

一「男は俺だけで十分でしょ…?」

雅紀「瑠愛くんも必要だし、夏くんも必要だし、一も一緒にいてほしい。」

私が素直すぎることを言うと一は黙ったまま、私の肩に顔を埋めて動かなくなってしまった。

雅紀「…味噌汁、飲もう?」

一「……うん。」

そう言って一は私に顔を見せないようにして温まったコタツではなく、寒空の下にあるベランダに出た。

私はこれ以上、一の気分を害さないように味噌汁を持ってベランダに出ると一はとてもよく晴れた空を見上げて目の中に星空を詰め込んだように煌めかせていた。

それがやっぱり、私の流れ星の王子様と思ってしまうほど綺麗な目をして好きを再確認させられてしまう。

雅紀「一は好きな人、いないの?」

一「いるよ。」

雅紀「…その人のとこに行けばいいのに。」

一「だから来た。」

…夏に終わらせたはずなのに。

もう、やめてほしいよ。

雅紀「私は今度会うの楽しみなんだ。」

一「へー…、デート?」

と、一は私の目を見て嘘を見ぬこうとまっすぐ見てきた。

雅紀「そんな感じ。のんびり過ごすの。」

私は一に味噌汁を渡すと一は冷えた体を温めるようにゆっくりと飲んだ。

一「今日は俺ね。ちゅーしよ。」

雅紀「…だめ。」

一「ダメでもいいの。」

そう言って一は味噌汁味の唇を私の唇に合わせた。

一「中入って、夕方までのんびり過ごそう?」

雅紀「…うん。」

私はやっぱりどうしても、首を横に振れなくて今度お家デートする予定の一と今日デートしてしまった。


環流 虹向/ここのサキには
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