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潜入捜査
しおりを挟む夜が明ける直前の空は、まだ青く沈んでいた。
焚き火はほとんど燃え尽き、灰の中で小さな赤がかすかに残っている。
リシェルはその側で眠っていた。
時おり小さく息を呑むようにして、眠りに抗うように肩を震わせる。
カイはそばに腰を下ろしたまま、黙ってその寝顔を見つめていた。
涙を流した後、腕の中で力尽きるように眠った彼女をそっと横にして上着をかけたのは何時間前だっただろうか。
隣で仮眠を取ろうとしたものの、結局、一睡もできなかった。
風の音ばかりが耳に残る。
胸の中で何かがくすぶっているような気がして、目を閉じても落ち着けなかった。
(……どうして、放っておけねぇんだろうな)
誰にも聞こえない独り言のような心の呟きが、夜明けの風に溶けていく。
視線を落とせば、リシェルの小さな手が上着の端を握っていた。
まるで離すまいとするように。縋り付くように。
カイはその手をそっと見下ろし、薄く口角を上げる。
そしてその頬に、手を伸ばした。
指の背でゆっくりと滑らせると、リシェルはまるで甘えるように頬を擦り寄せてくる。
それに胸が高鳴り、瞬間的に手を離した。
(……俺は一体、何やってんだ)
自分の行動に自分が一番驚きながらも、数回咳払いしてから剣を手に持ち立ち上がる。
そして頭の中を占めるリシェルの温もりと胸の高鳴りを消すように、剣を振り続けた。
次第に空が白み始め、鳥の声が遠くで聞こえる。
新しい一日が始まる。そして、任務もまた動き始める。
カイは剣を鞘にしまい、荷を整えると小声で告げた。
「リシュ、起きろ。砦に戻るぞ。団長に報告しないと」
リシェルはゆっくりと目を開け、ぼんやりと彼を見上げる。
「おはよう。よく眠れたか?」
「おはよう、ございます。……夢を見ました。なんだか、温かい夢」
「そうか。……荷を整えたら出発する。用意しろ」
「はい」
その表情に昨夜の涙の名残がまだ残っていたが、少しだけ穏やかになったような気がしてカイは安心した。
砦に戻る道中、二人の会話は無かった。
何かを話そうとすると、昨夜のことを話さないといけないとわかっていたからだ。
夢の内容は全然覚えていないのに、昨夜カイに抱きしめられたことはしっかり覚えてしまっているリシェル。
あまりに恥ずかしくて、そちらを忘れたかったというのが彼女の今の本音だった。
カイはカイで、リシェルの昨夜の言葉を思い出していた。
"また、大切な人を……大切な人たち皆を失うんじゃないかと思ったら。……怖いんです"
また、ということは、以前にも大切な人を失ったことがあるということで。
(五年前、リシュが傭兵団にやってきた時より前ってことか……)
その時の恐怖が今もリシェルの心に大きな傷を残していることに、少なからず怒りを感じていた。
二人は、お互いのことをよく知っている。だが、それはこの五年間限定の話だ。
それ以前のことは全く知らないし、今までは知る必要も無いと思っていた。知りたいと思ったこともなかった。
だが、今カイはリシェルの過去を知らない自分に怒りを感じている。
(何も知らないくせに、どうやって支えるっていうんだ)
かと言って昨夜の様子を見るに、やはり無理矢理聞くのは得策ではない。
もやもやした気持ちを抱えているうちに、日が昇る。
そして砦にたどり着いたと同時に、復旧された鐘が鳴り響いた。
二人と同じように遠征帰りの団員たちが装備を解いたり片付けをしているのを横目に、二人は団長の元へ報告へと向かう。
「団長、ただいま戻りました」
「戻りました」
「あぁ。ご苦労だった。それで、報告は」
「はい。魔導士たちは正門から王宮に入っていきました」
「人数に変化は」
「変わらず五名です。そのうち一名は金髪、もう一名は黒髪に赤い瞳をしていました」
「そうか……」
カイが淡々と報告をしていくのを、リシェルは黙って聞いていた。
「王宮からの正式な招待があったのかどうかは確認したか?」
「いえ。そこまでは。しかし、調べた限りでは魔導士たちはどうやら王と繋がりがあるようです。おそらく黒炎との繋がりもあるかと」
「そうか……。わかった」
カイは内部で見た情報を織り交ぜて報告したものの、リシェルの命令違反のことには触れなかった。どうして、という思いでカイを横目で見るものの、カイは真っ直ぐ正面だけを向いていてその真意は読み取れない。
「おそらく魔導士たちは数日滞在するだろう。二人とも、悪いがもう一度行って今度は王宮内部を探ってくれ」
「内部、ですか?」
「あぁ。いわば潜入捜査だ。だが気を付けろ。下手なことをすれば外交問題にも関わるし、俺たち傭兵団の存続にも関わることになる。慎重に動け」
「もちろんです」
「騎士団の一人に話をつけてある。この書簡を入り口の騎士団員に渡せ。後はそいつの指示に従うんだ」
「わかりました」
二人は外に出て、急いで準備をする。
「潜入捜査は初めてだろう。昨日みたいな無鉄砲なことはやめろよ」
「わかってます」
「……ならいい」
頷いて、馬に乗るカイ。それに倣って、リシェルも馬に乗った。
「……お前が言いたくないならもう聞かない。だが、俺はちゃんとここにいる。一人で動こうとするな。それだけ覚えてろ」
「……はい、隊長」
返事をするリシェルの声は、かすかに震えていた。
二人は急いで王都に戻り、王宮の騎士団員に書簡を渡した。するとすぐに別室に案内された。
「これに着替えたら来い」
「はい」
渡されたのは潜入用の黒服と、騎士団の制服。潜入用を着て、その上に制服を着ろということだろう。
カイはその場ですぐに着替え始めたものの、リシェルはそうもいかずに戸惑う。
(女だと知らない隊長の前で着替えるわけにはいかない。けど……)
悩んでいるリシェルを横目に、あっという間に着替えたカイは
「遅いぞ。先に外に出てるからお前も早く着替えて来い」
と言ってそのまま外に出て行った。
「あ、はい……」
驚きつつも、リシェルは今のうちにと急いで着替える。
カイは部屋の外で、
(不自然じゃなかったよな……?)
とリシェルが来るまで自問自答を繰り返していた。
二人が再び入り口に戻ると、業務の交代という名目で中に入ることができた。
「いいか、動くのは夜だ。わかったな」
「はい」
夜までは騎士団として王宮内部での任務をこなし、交代時間になってから本当の任務が始まる。
「リシュ。しくじるなよ」
「わかってます。隊長もお気を付けて」
「あぁ」
リシェルとカイは顔を見合わせ、軽く頷いてからそれぞれ持ち場に立った。
リシェルは中庭周辺の回廊の警備に配置された。そこは人通りはそこまで多くはないようで安心した。交代までここで警備をし、時間になったらカイと落ち合う約束をしている。
(何かここで少しでも情報を掴めればいいんだけど……)
もどかしさのあまり騎士団の紋様入りの槍を強く握っていると、
「お前、見ない顔だな」
突然隣の男から話しかけられた。
「新入りか?」
「あ、はい。今日からです」
「そうか。初日からこの回廊に配置されるなんて、ついてるな」
「……そうなんですか?」
ちらりと顔を向けると、男はリシェルを見ながらにやりと笑う。
「ここは偉い人は滅多に通らないから、基本的に暇なんだよ」
嬉しそうに小声で囁く彼に、リシェルはなんとも言えない気持ちになり苦笑いをする。
「だからお前もそんなに堅苦しく考えずに、少し力抜いても何も言われねーよ。気楽に行こーぜー」
曲がりなりにも一国の王室騎士団の団員がこんな考え方でいいのだろうか。リシェルはそう思ったものの、そんなこと口に出せるわけもない。
とは言え彼の言う通り、しばらく時間が経過してもほとんど人は通らない。暇だと言う彼の言葉も一応理解はできた。
「あ、あの」
「ん? なんだ」
「聞いてもいいですか?」
「なんだよ」
「小耳に挟んだのですが、昨日王宮にノクティアの魔導士が来たとか」
「あぁ……その話か」
一か八かで尋ねてみると、男は何か知っているような口振りで呟いた。
「それがどうした?」
「いえ、ヴァルデン国の王宮にノクティアの魔導士が来るなんて、異例なんじゃないかなと思って」
「まぁ、王様が直々に招待したっていうんだから、異例中の異例ではあるだろうな」
「……え、王様が招待なさったんですか?」
「あぁ。知らなかったのか?」
頷くリシェルに、彼は得意気に胸を張る。
「まぁお前は新人だしな。騎士団の中でも知ってる奴は少ないから仕方ねぇか。いいか? 今回魔導士たちを招待したのは、数日前に起こった北の砦での黒炎事件の調査を依頼するためらしい」
「調査……?」
「あぁ。その前日に砦近くの村でも同じ黒炎の事件が起こっていてな。その黒炎とやらがどうやら普通の炎じゃないらしくて、魔法なんじゃないかっていう話になったらしい」
まさか、調査依頼のために呼んだ──?
リシェルは、昨夜の王の間で聞いた話を思い出す。あの時は、そんなこと一言も言っていなかった。ということは、調査依頼というのは表向きで本当は黒炎のことを話し合ったり何かを企てるために呼んだということだろうか。
表向きの理由を一部の使用人や騎士団員に伝えておくことで、噂が広まるようにして不自然にならないようにした……?
そう考えると、魔導士がこの王宮に来た辻褄が合うような気がした。
「あの、黒炎って魔法なんですか?」
「そうなんじゃないかって言われてるくらいで、実際にはわからないらしい。ただ、人を喰らう炎って言うんだからそうなんじゃねーか? いや、もしかしたら呪いとかの類いなのかもしれねぇな」
「呪い……」
魔法……呪い。どちらにせよ。やはりあの黒炎は人為的に起こされたものということだ。
リシェルの頭の中で、様々な仮説が浮かび上がる。
「にしても、ノクティアがどれだけすげえ国でどれだけあの魔導士たちが強いのかは知らねーけど、あいつらって結構傲慢だよな」
しかし彼が急にそう言い始めたため、リシェルは思考を止めて顔を上げた。
「……え?」
「聞いた話だと、案内した部屋にも出した料理にも文句をつけたらしい。結局料理はほとんど食べずに残して、部屋の家具の配置も無理矢理変えさせたらしいぞ。勝手に夜に部屋から抜け出した奴もいたらしい」
「そうなんですか?」
「あ、でも一人だけは何も言わずに完食もしたし部屋もそのまま使ったって言ってたな」
「一人だけ……」
「まぁその一人はともかく、他の四人はありゃだめだ。何しても文句ばっかりだって他の使用人が騒いでたよ」
一人だけというのが気になり、さらに聞こうと思ったものの。
「そこのお前たち! 無駄話などしていないでしっかり任務を遂行しろ!」
偶然通りかかった上官らしき人に叱られてしまい、慌てて下を向いて黙る。
「……お前のせいで叱られたじゃねぇか」
「……すみません」
「何にせよ、関わらない方がいーぜ、あいつらには」
こくりと頷くリシェルに、男は小さく笑った後に前を向いて黙った。
リシェルは、それから交代時間が来るまで通る人物の観察をして過ごした。
たまに隣の男に話しかけてみたものの、それ以上有力な情報は得られず。
頭の中で情報を組み立てていた。
一方、その頃カイは王宮の裏門に配置されていた。
使いの者や兵士たちがよく出入りしており、思いの外人の気配は多い。
そのためカイも情報を集めようと耳を澄ませてみるものの、大した話は聞こえてこなかった。
王様が食事を少し残した話、他国の情勢や今後の政治の話、騎士団の昼食の話。武器や防具の修繕の話。国の財政問題の話など、そのどれもが黒炎とは結びつかないような内容だった。
「そういえば聞いたか? 王室の書庫にネズミが出たらしいぞ」
「ネズミ? 清掃担当の侍女たちは何をやってるんだ?」
「それが、侍女たちはしっかり掃除してるって言い張ってるみたいだぞ。でもそのネズミが原因で、駆除されるまで書庫はしばらく出入り禁止だと。侵入経路も洗い出さないといけないから、時間がかかるらしい」
「それ中の書物は大丈夫なのかよ。ネズミに食われたりするんじゃないのか」
「あの書庫にある書物には保護魔法がかけられてるって話だからそこは問題ないらしい。むしろそのネズミが王の間や厨房に入ってみろよ。そっちの方が大変なことになるだろ」
「まぁそうだな。でも書庫に出たならどこかにネズミが通れる隙間とか――」
ふとした時に聞こえてきた、そんな会話。兵士たちが話しながら訓練に向かう様子を眺めつつ、ため息を吐く。
(ネズミ、ね。俺たちも言うなれば今はネズミだからな。リシュ、あいつヘマしてねぇだろうな……)
正直、今はネズミ騒ぎどころではない。リシェルのことが心配で、気が気ではなかった。
「……隊長! こっちです!」
辺りが暗くなり、夜が深まった頃。
二人は無事に交代時間を迎え、厨房前で落ち合っていた。
小声で呼ぶリシェルに、カイは急いで駆け寄る。
「リシュ。大丈夫だったか。怪我は無いか」
「はい。隊長こそ」
「俺の心配はいらない。それより、何か情報は掴めたか?」
「えぇ。いろいろと探ってきました」
リシェルはうっすらと口角を上げる。
そして二人は昼間に集めた情報を交換した。
「──魔法か呪いの類い、か……そればっかりは俺らの専門外だから、わからないな」
「はい。黒炎調査という名目で来てることからも、やはりあの魔導士たちが関わっているのかと」
「そうだな。その説が有力だろう。よくここまで情報を聞き出せたな」
「俺は何も。……ちょっとお喋りな男がいたんですよ。時間潰しにもちょうど良かったです」
「……そうか」
そこで自分の手柄だと大きな顔をしないのが彼女の良いところだと、カイも口角を上げた。
「隊長の方は? 何かわかりましたか?」
「いや、それが……書庫にネズミが出たことくらいしか収穫がないんだ」
「ネズミ? 書庫にですか?」
「あぁ。大した情報じゃなくて悪い。もっといいものを掴みたかったんだが。他に聞いた話も全部黒炎とは無関係そうだった」
「そうでしたか。でも仕方ありませんよ。そう易々と情報を漏らすような使用人ばかりの方が国としては困るでしょうし」
「まぁ、そうだな……」
そうは言ったものの、リシェルは書庫にネズミなど珍しいなと顎に手を当てた。
王宮の書庫と言えば、大体はどの国も王族が閲覧するものだ。もしくは王族や国に関わる重大なものがあるだろう。かなり厳重に保管されており、部屋全体の掃除も行き届いているはず。そんなところにネズミが入り込むなんて……。
「書物は保護魔法で大丈夫らしいが、侵入経路を探るために書庫はしばらく立ち入り禁止らしい」
「そうでしょうね。厨房になんて入ってきたら大変なことになります」
「あぁ。それにしても皮肉だよな。魔導士たちにとっても貴重な書物があっただろうに、立ち入り禁止に残念に思ってるかもな」
カイのそんな呟きに、リシェルはふと顔を上げた。
「貴重な、書物?」
「あぁ。王室の書庫だぞ? 普段お目にかかれないようなものばかりだろ。いくらノクティアが優れた国だとは言っても、ここの書庫にしか無いものもあるだろう」
「……そう、ですよね……」
リシェルの頭に、何かがひっかかる。
(ネズミ……? 書庫に?)
何かが隠されてるような気がした。
(表の理由と裏の理由。貴重な書物。王室。魔導士。王族。王と魔導士のつながり。このタイミングでの、一定期間の立ち入り禁止。……ネズミ? ネズミの、侵入経路。……侵入?)
リシェルは何度も心の中で呟いた。そして、胸の中で何かが繋がる音がした。
「……隊長。あの……」
「なんだ」
(まさかそんな……でも、そう考えると自然につながる……)
「もしかして……いや、俺の勘違いかもしれませんが……」
「なんだ、はっきり言え」
頭の中に、とんでもない仮説が広がっていく。
そんなわけないと思いたいのに、可能性を消すことができない。
「……そのネズミによる立ち入り禁止、もしかしたら……何かの偽装工作のようなものかもしれません」
「……は?」
もしこの仮説が本当なら、何か、大変なことが起こってしまう。そんな予感がした。
「行きましょう! その書庫に! 早く、手遅れになる前に!」
「待て! 説明しろ! どういうことだ!」
「そんな暇はありません! 行きますよ!」
リシェルの焦りに釣られるように、カイもひとまず頷く。
二人で、夜の王宮の中を走り始めた。
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