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真実の愛に見せかけた芝居だ
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私が正式な題名を申しますと、殿下が思い当たったのか頷かれました。
「私あの絵本の初版本を持っています。
大好きで何度も読み返していますが、決して進歩的信者では
ありません。」
進歩的信者というのは階級制度を潰せ、と主張されている方々のことです。
貴族階級の人間は彼らを皮肉って、そう名付けました。
「俺も読んだが、大した思想があるわけじゃないと思ったな。
道徳だろ?己の身の程を弁えろ、という。
発禁にするような内容でもなかったが、教会は思想にうるさいから。」
「幼い頃に私がノーマン様にお勧めして。」
『叶えたい願いがあるならお月様にお願いして』と
ノーマン様に見せた絵本…
私には気付かれないように、彼が表紙をそっと撫でていたことを
殿下にお伝えしました。
「じゃあ、そのお姫様?
ノーマンにとってあの妖女クリスティンは女神だったんだ?」
可笑しそうに殿下の肩が揺れています。
「シャーロット、君は知らないと思うけど。」
殿下はそこで言葉をお切りになり、私にフルーツのお皿を回されました。
「クリスティンとノーマンは男女の仲になっていないよ。
信じられないだろうけどね。
公爵家の別荘には監視を付けて居たんだ。
妖女の方はその気だったが、ノーマンは上手くごまかし続けて
夏を乗り切った。」
まさか、ひと夏をふたりで過ごされていたのに結ばれていなかったなんて。
私は驚いてしまって、しばらく呆然としておりました。
「…私、聞いたのです…。
カフェで…おふたりはお互いに愛を囁きあっておられました…。」
『そうなんだ』と呟き、殿下は片方の眉を上げられました。
その赤い瞳は面白いものでも見つけた、というように輝いていました。
「ふたりが王都に行った日の事かな。
当日の朝に急に王都へ出ることになり、こちらはそんな予定が
なかったのでバタバタした日なんだ。
ふたりは買い物をして、予約もせずにカフェに入ったものだから
会話を拾うことは出来なかった。
君が同じカフェに居て、ふたりの不貞の現場を押さえたとは
知らなかった。」
「現場を押さえた、のではなく後ろのテーブルにおふたりが居て
会話が聞こえてしまって。」
「これぞ運命ってやつだ!
後ろのテーブルに居たなんてね!」
「殿下、笑いすぎです。」
堪えきれないように大きな声で殿下が笑い出されたので、エドガー様が
窘められました。
「仕切られた奥の席にいらっしゃったので、おふたりは私に気付いて
おられませんでした。
ノーマン様が私との婚約を破談にするとクリスティン様に誓われた
ので気を利かせた従弟が連れ出してくれたのです。」
「…」
「私はそれから直ぐにあのおふたりは結ばれたものだと思っていた
のですが…。」
「俺もどうしてノーマンがあの女に手を出さなかったか
不思議だったけれど、今君が教えてくれた。」
「私がですか?」
「ノーマンにとってあの女は女神だった、って話。
『神に愛された人間は死んでしまう』だよ。
あの妖女に手を出して、ランカスター公爵に殺される事を
恐れたんだよ、ノーマンは。」
「…」
エドガー様がお茶を入れ替えてくださり、殿下はテーブルに肘を付いて
私の顔をご覧になっていました。
「これを聞いてノーマンを許す気になった?」
「…有り得ません、と断言致します。」
「当然だね。
あいつは別荘に行った時点で、君を裏切っているんだからな。」
「殿下、話題を変えませんか?」
不意にエドガー様が殿下に仰いました。
◇◇◇
「俺はアーロンとペローの真実の愛は偽りだと思っている。」
指輪の魅了など存在しないと、殿下は前回のお茶会で仰られました。
それならば、おふたりは本当に愛し合っていたのだと思っていましたが。
「催眠術にかかりやすい者の特徴として、雰囲気に呑まれやすい者と、
殿下が言われたでしょう?
アーロン王子殿下の側近には騎士団団長の息子が居ました。
多分、その男が王子殿下にあの女の持つ力を教えたのでは。」
アーロン王子殿下の側近は
騎士団団長のご嫡男ブラッド様
宰相様のご次男レイモンド様
大司教様の甥御のクレイモア様 のお三方でした。
「ブラッド様はどうして、クリスティン様の力に気付かれたので
しょうか?」
「彼は騎士として育てられていたからと、これは私の推察ですが。
私達騎士はどんな戦いの場においても、相手の気迫に呑まれぬ様に
己を律し、心身をコントロールする事を学びます。」
私の問いに答えられたエドガー様からは、騎士としての誇りを感じました。
「大司教の伝手でアン・ペローが入学してアーロンと恋に落ちたというが、
それは真実の愛に見せかけた芝居だろう、と思っている。
恐らく筋書を書いたのは、筆頭公爵家の権力を少しでも削ぎ、
王太子を取り込みたかった教会だ。」
「お芝居…最始からペロー嬢はその役割で?」
「アーロンにはそう伝えていたけれど、教会の本音は本当に気に入って
もらって側妃か愛妾になれれば、と願っていただろうね。」
「周囲からはペローに侍る4人の男、と認識させるように行動していましたが
本当は王子殿下をあの女から守っていたんだと思います。」
「ペロー嬢も王子殿下を守っていらしたと?」
殿下とエドガー様が大きく頷かれました。
「愛するペローが側に居るからと、あの女と接触しなくても
言い訳が立つ。」
「ペローが平民だからこそ、王太子の恋人なのに王家も公爵も彼女を
見逃してやって排除しなかったのです。
この役割を貴族のご令嬢に頼んだら大事になってしまうでしょう。」
確かに…どの爵位の家門のご令嬢でも、王太子殿下の恋人だとなれば、
家門の当主様始め様々な思惑が発生するだろうと思われました。
ご令嬢に対しても王太子殿下がきちんとお立場を与えて差しあげないと、
傷物とされて、他家に嫁ぐことは叶わないでしょう。
何より格下の貴族に蔑ろにされたランカスター公爵閣下が、どの様に
動かれるか…。
平民の女性ならば、側妃になっても王妃クリスティン様の敵には
ならないと、お許しになったのかも…。
「アン・ペロー嬢を側妃にする為にどこかの養女にするとなれば、
公爵閣下はご自分の息のかかった家門を、ご紹介するおつもりで
見逃していたのですね。」
側妃を丸々取り込もうとした公爵家と、教会の攻防はご成婚後も
続いていたはず。
王子殿下からの婚約破棄、
若しくは、クリスティン様の一言がなければ。
「シャーロットは理解が早くて助かる。」
殿下が私に向かって笑顔を見せられましたが、誉められているようには
感じられませんでした。
「そもそも俺が指輪の魅了や真実の愛について、おかしいと思ったのは
ペローの処刑に疑問を持ったからだ。」
「裁判も開かれなかったことでしょうか?」
「まぁ、それは王太子を魅了した魔女とされたのだから、有り得る
ことだと思うけど。」
「処刑の方法です。」
エドガー様が一言仰いました。
「こんな話君にするのは、気が引けるけれど。」
いつもより真面目な口調で、殿下が続けられました。
「昔からよく言われるのが
魔女なら火炙り、王族に仇なしたなら五つ裂き、と見せしめに
苦痛を長引かせる刑を執行するんだ。
だがペローは断頭台で首を落とされた。
これは一瞬で逝ける温情ある処刑方法だよ。」
…首を落とすことが温情だとは思ってもいませんでした。
でも確かに一瞬で終わります。
つい、自分の首を撫でていました。
「ペロー嬢の刑は公開されなくて、首を広場に晒されたのも1日だけ。
見せしめではない…ですね。
第1騎士隊が周りを囲んでいて、近付けなかったと聞きました。
あれは、ペロー家の皆さんの首を護っていたんですね?」
「じゃないと、第3ではなく第1を立たせた意味がわからない。
王族を警備する第1を立たせる事で、王家はペローに謝意を示した。
他にはペローも家族も綺麗な顔をしていて、体も傷一つ付いて
無かったと報告されている。
彼等は大罪人なのに、厳しい取調べや宗教的な拷問を受けて
いないということだ。」
内通者からご遺体について詳細な報告を受け取られたのでしょう。
王家は平民のペロー嬢おひとりに罪を被せた。
教会は後ろ楯だと思われていたのに、見放した。
自分の身内を守るために…
だから出来るだけ、楽に死なせてあげることにした。
もう十分です、もう何も聞かせないでください。
殿下に跪いて、そうお願いしようと思いました。
もう嫌なんです、そう言おうとしてるのに…。
「シャーロットは何故婚約破棄の一連の騒ぎが起こったか、考えた?」
そう皇太子殿下は仰ると正面の席から私の顔をまじまじと見つめられました。
「それは…クリスティン様の力を恐れた第1王子殿下が。」
「結果的に誰が得をしたか、判ってるだろ?」
ブラッド様を廃嫡された侯爵様は全ての公務から退かれて領地に
籠られました。
宰相様はその任を解かれ、ご自身以上の切れ者と言われたご嫡男に
当主の座を譲られました。
大司教様も代替わりされ、家門からは二度とその地位に就かれる方は
出られないだろうと言われています。
誰も得などしていない様に思われました。
あの断罪劇に関わった方では…。
一生懸命、あの顛末を思い出そうとして、
そして
…浮かんだ名前は。
廃嫡されたアーロン第1王子の替わりに立太子された
第2王子、オーランド殿下。
「私あの絵本の初版本を持っています。
大好きで何度も読み返していますが、決して進歩的信者では
ありません。」
進歩的信者というのは階級制度を潰せ、と主張されている方々のことです。
貴族階級の人間は彼らを皮肉って、そう名付けました。
「俺も読んだが、大した思想があるわけじゃないと思ったな。
道徳だろ?己の身の程を弁えろ、という。
発禁にするような内容でもなかったが、教会は思想にうるさいから。」
「幼い頃に私がノーマン様にお勧めして。」
『叶えたい願いがあるならお月様にお願いして』と
ノーマン様に見せた絵本…
私には気付かれないように、彼が表紙をそっと撫でていたことを
殿下にお伝えしました。
「じゃあ、そのお姫様?
ノーマンにとってあの妖女クリスティンは女神だったんだ?」
可笑しそうに殿下の肩が揺れています。
「シャーロット、君は知らないと思うけど。」
殿下はそこで言葉をお切りになり、私にフルーツのお皿を回されました。
「クリスティンとノーマンは男女の仲になっていないよ。
信じられないだろうけどね。
公爵家の別荘には監視を付けて居たんだ。
妖女の方はその気だったが、ノーマンは上手くごまかし続けて
夏を乗り切った。」
まさか、ひと夏をふたりで過ごされていたのに結ばれていなかったなんて。
私は驚いてしまって、しばらく呆然としておりました。
「…私、聞いたのです…。
カフェで…おふたりはお互いに愛を囁きあっておられました…。」
『そうなんだ』と呟き、殿下は片方の眉を上げられました。
その赤い瞳は面白いものでも見つけた、というように輝いていました。
「ふたりが王都に行った日の事かな。
当日の朝に急に王都へ出ることになり、こちらはそんな予定が
なかったのでバタバタした日なんだ。
ふたりは買い物をして、予約もせずにカフェに入ったものだから
会話を拾うことは出来なかった。
君が同じカフェに居て、ふたりの不貞の現場を押さえたとは
知らなかった。」
「現場を押さえた、のではなく後ろのテーブルにおふたりが居て
会話が聞こえてしまって。」
「これぞ運命ってやつだ!
後ろのテーブルに居たなんてね!」
「殿下、笑いすぎです。」
堪えきれないように大きな声で殿下が笑い出されたので、エドガー様が
窘められました。
「仕切られた奥の席にいらっしゃったので、おふたりは私に気付いて
おられませんでした。
ノーマン様が私との婚約を破談にするとクリスティン様に誓われた
ので気を利かせた従弟が連れ出してくれたのです。」
「…」
「私はそれから直ぐにあのおふたりは結ばれたものだと思っていた
のですが…。」
「俺もどうしてノーマンがあの女に手を出さなかったか
不思議だったけれど、今君が教えてくれた。」
「私がですか?」
「ノーマンにとってあの女は女神だった、って話。
『神に愛された人間は死んでしまう』だよ。
あの妖女に手を出して、ランカスター公爵に殺される事を
恐れたんだよ、ノーマンは。」
「…」
エドガー様がお茶を入れ替えてくださり、殿下はテーブルに肘を付いて
私の顔をご覧になっていました。
「これを聞いてノーマンを許す気になった?」
「…有り得ません、と断言致します。」
「当然だね。
あいつは別荘に行った時点で、君を裏切っているんだからな。」
「殿下、話題を変えませんか?」
不意にエドガー様が殿下に仰いました。
◇◇◇
「俺はアーロンとペローの真実の愛は偽りだと思っている。」
指輪の魅了など存在しないと、殿下は前回のお茶会で仰られました。
それならば、おふたりは本当に愛し合っていたのだと思っていましたが。
「催眠術にかかりやすい者の特徴として、雰囲気に呑まれやすい者と、
殿下が言われたでしょう?
アーロン王子殿下の側近には騎士団団長の息子が居ました。
多分、その男が王子殿下にあの女の持つ力を教えたのでは。」
アーロン王子殿下の側近は
騎士団団長のご嫡男ブラッド様
宰相様のご次男レイモンド様
大司教様の甥御のクレイモア様 のお三方でした。
「ブラッド様はどうして、クリスティン様の力に気付かれたので
しょうか?」
「彼は騎士として育てられていたからと、これは私の推察ですが。
私達騎士はどんな戦いの場においても、相手の気迫に呑まれぬ様に
己を律し、心身をコントロールする事を学びます。」
私の問いに答えられたエドガー様からは、騎士としての誇りを感じました。
「大司教の伝手でアン・ペローが入学してアーロンと恋に落ちたというが、
それは真実の愛に見せかけた芝居だろう、と思っている。
恐らく筋書を書いたのは、筆頭公爵家の権力を少しでも削ぎ、
王太子を取り込みたかった教会だ。」
「お芝居…最始からペロー嬢はその役割で?」
「アーロンにはそう伝えていたけれど、教会の本音は本当に気に入って
もらって側妃か愛妾になれれば、と願っていただろうね。」
「周囲からはペローに侍る4人の男、と認識させるように行動していましたが
本当は王子殿下をあの女から守っていたんだと思います。」
「ペロー嬢も王子殿下を守っていらしたと?」
殿下とエドガー様が大きく頷かれました。
「愛するペローが側に居るからと、あの女と接触しなくても
言い訳が立つ。」
「ペローが平民だからこそ、王太子の恋人なのに王家も公爵も彼女を
見逃してやって排除しなかったのです。
この役割を貴族のご令嬢に頼んだら大事になってしまうでしょう。」
確かに…どの爵位の家門のご令嬢でも、王太子殿下の恋人だとなれば、
家門の当主様始め様々な思惑が発生するだろうと思われました。
ご令嬢に対しても王太子殿下がきちんとお立場を与えて差しあげないと、
傷物とされて、他家に嫁ぐことは叶わないでしょう。
何より格下の貴族に蔑ろにされたランカスター公爵閣下が、どの様に
動かれるか…。
平民の女性ならば、側妃になっても王妃クリスティン様の敵には
ならないと、お許しになったのかも…。
「アン・ペロー嬢を側妃にする為にどこかの養女にするとなれば、
公爵閣下はご自分の息のかかった家門を、ご紹介するおつもりで
見逃していたのですね。」
側妃を丸々取り込もうとした公爵家と、教会の攻防はご成婚後も
続いていたはず。
王子殿下からの婚約破棄、
若しくは、クリスティン様の一言がなければ。
「シャーロットは理解が早くて助かる。」
殿下が私に向かって笑顔を見せられましたが、誉められているようには
感じられませんでした。
「そもそも俺が指輪の魅了や真実の愛について、おかしいと思ったのは
ペローの処刑に疑問を持ったからだ。」
「裁判も開かれなかったことでしょうか?」
「まぁ、それは王太子を魅了した魔女とされたのだから、有り得る
ことだと思うけど。」
「処刑の方法です。」
エドガー様が一言仰いました。
「こんな話君にするのは、気が引けるけれど。」
いつもより真面目な口調で、殿下が続けられました。
「昔からよく言われるのが
魔女なら火炙り、王族に仇なしたなら五つ裂き、と見せしめに
苦痛を長引かせる刑を執行するんだ。
だがペローは断頭台で首を落とされた。
これは一瞬で逝ける温情ある処刑方法だよ。」
…首を落とすことが温情だとは思ってもいませんでした。
でも確かに一瞬で終わります。
つい、自分の首を撫でていました。
「ペロー嬢の刑は公開されなくて、首を広場に晒されたのも1日だけ。
見せしめではない…ですね。
第1騎士隊が周りを囲んでいて、近付けなかったと聞きました。
あれは、ペロー家の皆さんの首を護っていたんですね?」
「じゃないと、第3ではなく第1を立たせた意味がわからない。
王族を警備する第1を立たせる事で、王家はペローに謝意を示した。
他にはペローも家族も綺麗な顔をしていて、体も傷一つ付いて
無かったと報告されている。
彼等は大罪人なのに、厳しい取調べや宗教的な拷問を受けて
いないということだ。」
内通者からご遺体について詳細な報告を受け取られたのでしょう。
王家は平民のペロー嬢おひとりに罪を被せた。
教会は後ろ楯だと思われていたのに、見放した。
自分の身内を守るために…
だから出来るだけ、楽に死なせてあげることにした。
もう十分です、もう何も聞かせないでください。
殿下に跪いて、そうお願いしようと思いました。
もう嫌なんです、そう言おうとしてるのに…。
「シャーロットは何故婚約破棄の一連の騒ぎが起こったか、考えた?」
そう皇太子殿下は仰ると正面の席から私の顔をまじまじと見つめられました。
「それは…クリスティン様の力を恐れた第1王子殿下が。」
「結果的に誰が得をしたか、判ってるだろ?」
ブラッド様を廃嫡された侯爵様は全ての公務から退かれて領地に
籠られました。
宰相様はその任を解かれ、ご自身以上の切れ者と言われたご嫡男に
当主の座を譲られました。
大司教様も代替わりされ、家門からは二度とその地位に就かれる方は
出られないだろうと言われています。
誰も得などしていない様に思われました。
あの断罪劇に関わった方では…。
一生懸命、あの顛末を思い出そうとして、
そして
…浮かんだ名前は。
廃嫡されたアーロン第1王子の替わりに立太子された
第2王子、オーランド殿下。
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