フィクションですか?いえ、ノンフィクションです。

みーくん

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運命の旅行―2日目―①釣りへGO!

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 大人の階段を上った次の日は、思いのほかパチッと目が覚めた。

・・・あ。空の寝顔がいつもよりもキラキラ見える。エフェクト?

 昨夜の事を思い出すと恥ずかしいけど、それ以上に幸せが溢れてる。半ば諦めていたけど心の隅では憧れていた心と体の繋がり。一人じゃない。二人で一つみたいな感覚。尊過ぎる。

 拝んどこう。


「ん・・・愛斗おはよう。ふふっ手を合わせてなにしてるの?」

「尊過ぎて、拝んでおこうと思って。おはよ空。」

「なにそれ。」


 くくっと笑った空は、さりげなくキスをして「ほら行くよ」と俺を起こし、手をひき洗面台に向かう。

 なんとスマートなっっ!!

 顔を洗って洋服に着替えたら大広間へ向かう。朝食は部屋ではなく本館に用意されているからだ。


「あれ?愛斗どうした?何か歩き方が・・・。」


 頼むから、今そこには触れないでくれ!!俺の歩き方がアヒルみたいな原因はお主だぞ?分からぬのか??ナゼ!ナゼこんな歩き方なのか!! 

 トマトのように顔が真っ赤になる。


「もしかして!!」


 そう!その『もしかして』なんだよ!


「熱ある??」


 ち、ちがー----う!!!!

 ちょっと耳貸して、と手招きをする。少し屈んで口元に耳を寄せる空に囁く。


「なんか。まだ入ってるみたいな感覚が。お尻に。空のが。」


 今度こそ、俺のお尻に起きている現象と歩き方の原因を正しく理解したのか、空の顔もトマトになった。原因が分かると、腰に手を添え歩くスピードを落としてくれる。
 

 朝ごはんも和風でとても美味しい。夕飯同様に食材も拘り全てが地元産とのことで、塩も作っていると教えてくれた。「じゃあもしかして味噌も?」と聞くと、仲居さんは誤魔化すようにテヘペロして出て行ったので、味噌は違ったようだ。


「ねえ愛斗。この後は釣りの予定だけど、その、お尻大丈夫か?」

「ふふっ。ありがとう。大丈夫!慣れれば大丈夫だよ。空とのんびり釣りしたい。」

「よし!じゃあ飯食ったら行くか!魚がいっぱい釣れる穴場を聞いてきたから。」

「うん。楽しみ!」


 その釣り場は宿の直ぐ裏手にあり、昨日よりもラフな動きやすい格好で道具だけを持ち歩いて向かう。昨日からの癖で無意識に空の手を握ると、満面の笑みを向けギュッと握り返してくれる。俺も自然と笑顔になる。

 ポイントに着き準備をする。今日はのんびりしたいからウキ釣りだ。空は意外にも虫が少し苦手なようで、俺がイソメを付ける係に任命された。

 並んで座って釣り糸を垂らす。潮の風と波の音が心地よい。


「のんびりって今みたいな時間を言うんだろうね。のんびり。」

「明日帰ったら、また仕事に追われる日々だもんな。俺も撮影とか詰まってたわ。」

「わぁぁぁ言わないで。現実逃避させて!松永さんに言われたんだけど、もうすぐ出版社三社で主催して漫画大賞を決定する祭典みたいなのがあるんだ。それに俺もノミネートされてるんだ。」

「へぇ。そんなのもあるんだな!初めてのノミネート?」

「いや去年もして銀賞。その時の副賞が高級和牛だったんだ。アシスタントさんと松永さんに御裾分けして、一人で食べたんだよ。もしも今年も何かもらえたら、空と食べたいな。」

「えっ。超~嬉しい。でも、どうせなら大賞狙えよ。」

「うん。」

「なあ愛斗。付き合えたら言おうと思ってた事があるんだけど。」

「なに?」

「一緒に住まないか?」

「え?」

「もちろん今でも隣同士だから近くには居るんだけど。一緒に住めば、スケジュールの関係で会えなくても帰れば愛斗の寝顔が見れるし、朝は顔を見ておはようが言えるだろ?夜も時間が合えば一緒に食べられるし。」

「うん。」

「せっかく愛斗が恋人になってくれたのに離れたくないんだ。」

「うん。すごく魅力的なお誘いだ。例えば一緒に住むとしてどっちの家になるの?」

「ん?それは俺の方だろ?愛斗んち何もないし。」

「そうだった。テレビも無かった。面目ねーです。」

「はははっ。で、どう思う?」


 俺は少し考えた。もちろん空と一緒に住むのは嬉しいし毎日顔を見れるのも嬉しい。離れたくない。


「じゃあさ、こういうのはどう?俺も空と一緒に居たいし毎日顔も見たい。だからさ、空の家に引っ越すよ。だけど、今の俺の家もそのままにしておく。何かに集中したい時に一人になる空間も必要だからさ。」

「え?それって喧嘩したりした時の事?」

「ち、違うよ。ほら・・・空と一緒に居たら、くっつきたくなるだろ?」


 恥ずかしくて目を逸らすと、空は両手で顔を覆い大きな溜め息を吐いた。


「ねえ!愛斗ってさ、恥ずかしがり屋だしさ、初心者とか言うくせに、すぐそういう事言うよな!?」

「え?」

「セックスの時だって、顔を真っ赤にしてるくせに一緒がイイとかヤダヤダとか可愛い我儘ばっかり言うし!!」

「え?ええ??」

「ねえ!!俺をどうしたいの?悶え殺したいの??可愛いは凶器って分からない?!今すぐ押し倒してほしいのか??どれだけ俺の理性を試すわけ??愛斗の、可愛いとカッコイイの融合の破壊力分かってんのか??」

「え?・・・えぇ・・・え?・・・ごめん。」


 ど、どうしてこうなった?

 大きく深呼吸をして呼吸を整えた空が言葉をつづける。


「ふぅ~ごめん。愛斗が可愛すぎて取り乱した。」

「う?うん?」

「じゃあ、帰ったら一緒に住もう。荷物は必要なものだけウチに運ぼうか。」

「うん!嬉しい!!」

「俺も嬉しいよ。好きだよ。これからよろしくな。」


 ほんの少し見つめ合った二人は、潮騒をBGMにとてもロマンチックなキスをした。


 触れるだけの優しいキスを何度も、そして徐々に深くなっていくかと思いきや


「んん!!んん!!そら!そら!!ウキがピコピコ沈んでる!引いてる!釣り竿掴んで!合わせて!!次にウキが沈んだら合わせて!!」

「おおお。愛斗!手伝って!!一緒に持って!!おおお、すげー!!」


 激闘の末、見事に釣り上げたのは五十センチオーバーのクロダイだった。
 へへっ。さすが空!やったね!!

 満足した俺たちは、重たくなったクーラーボックスを抱えて、手を繋ぎ来た道を帰る。宿に着くと圭司さんが出迎えてくれ、魚は捌いて夕飯に出してくれる事になった。クロダイは刺身でも美味しいし塩焼きにしても美味しい。


 一度部屋に戻り、潮風でベタついた身体を洗い流す為お風呂に向かう。この後は、空がお気に入りのソフトクリームのお店に連れて行ってくれる。お風呂では、今日の午後の予定や一緒に住む時の話をした。身体を洗う空の手つきが怪しくなってきたところで、何とか宥めて風呂から上がり、出かける準備に取り掛かる。


「お風呂の続きはまた夜ね。愛斗。」


 この、このぉ、エロエロ大魔神め!!!




 
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