11 / 11
11 食事会ではテーブルマナーに気を付けて
しおりを挟む
食事会当日。
ノブオはウェイバーが用意したスーツに身を包んでいた。
「こいつを着るのも久しぶりだな」
ノブオは姿見で自分の今の格好を見て昔を思い出す。
「旦那様も人が悪いですね。彼らの前にこれを着て出ていくとは」
「王様と会うんだ。その国のマナーに合わせた服装をしないとな」
「そういうこと気にするんですね」
背後から聞こえた声に反応して振り返るとそこには白いドレスを着たミリーがいつも通りのキリっとした表情で立っていた。
「きれいだ」
ミリーの姿を見たノブオは自然と口から言葉が漏れでる。
「そんなこと言っている場合ですか。迎えが来たそうですから呼びに来ました」
「ああ、わかったよ。じゃあ、ウェイバー。あとはよろしく」
「行ってらっしゃいませ、旦那様」
ノブオが仕立て屋を出ようとしたとき、アマンダが壁にもたれかかっていた。それを確認してノブオはポケットから小袋を取り出す。
「ありがとう。代金は」
「そいつをもらう前に聞いていいかい」
「ん。なんだ?」
「あんたはあの子をどうするつもりだ」
彼女からそう聞かれてノブオは迷う様子もなくすぐに口を開く。
「そりゃ、仲良くなりたいさ。この先、けっこう長い付き合いになりそうだしな」
「だったら、大切にしてやりなよ」
「あたぼうよ。俺が女のことを蔑ろにするかよ。現にほらこうして会いに来てるだろ」
屈託のない笑顔を見せノブオは建物を後にする。
「そういうことじゃないよ」
その後ろ姿を見ながらアマンダはつぶやいた。
二人が外に出ると黒い大型の車が止まっていた。車を見慣れていないミリーにも、一目見てそれなりのものであるということがわかる。
そうこうしていると運転手が下りてきてお辞儀をしてから後部座席の扉を開けた。
「お先にどうぞお嬢さま」
ノブオがさきに立ってミリーの手を取り車の後部座席に導き、その後に続いてノブオも乗り込む。運転士もドアを閉めると運転席に戻り車を発進させる。
「心配せんでもなんもしてこんよ。こっちから頼んじゃいるが、それを向こうは受けたんだ。受けた以上、下手なことをすれば王族の信用にかかわるかんな。ま、落ち着けって方が無理か。敵の本拠地ともいえるところに乗り込むからな」
「でしたら」
独り言のようにノブオがしゃべっているとそれに割り込む形でミリーが声を発する。
「いつものようにくだらない話でもしていてください」
「お望みとあらば。それで気がまぎれるならば」
二人が乗った車は旧市街地から町の中心部へと進んでいきやがて王城が見えてきた。
「やっと着いたな。今回の目的地」
「あそこが」
それは巨大で荘厳であったが、大きさとしてはそれほどのものではないようにミリーは感じる。
「実用性を重視してつい最近、改築したそうだ。それに皇帝やその親族もここには住んでない。ここはあくまでも国外からの客人を招いたり、何かもよお仕事をするときのための場所って感じにしてるそうだ」
ミリーが口に出す前にノブオが簡単な解説をした。
「私の心を読んだんですか?」
「そう、俺にはあるのさ。身近の女の子の気持ちがわかるっていう超能力がね」
「本当の事ですか」
「いや、冗談冗談。差ついたみたいだしおりましょ」
すでに車は止まっておりドライバーがおりて扉を開けている。
先にミリーが降り続いてノブオも車から降りると目の前にブロンドの髪をたなびかせる軍服を着こなす男とその後ろに二十人程度の軍人が控えていた。
「爆破のベラード、十将軍とぞの専属部隊。過剰戦力じゃない」
「当然だ。貴様はテロリストだからな」
「そういや、そんなこともあったな。そんな昔の話蒸し返さなくてもいいじゃん。ベラード」
「いいじゃん。じゃない。本当なら今すぐここでとっつ構えてやりたいぐらいだ」
ベラードはおもむろにノブオの腕をつかむ。すると、何の前触れもなくノブオの体が爆発し跡形もなく消え去る。
その光景にミリーは驚き横で見ていた運転士もあまりの衝撃的な光景に気絶する。あたりにいた人々がざわめきだす。
「しずまれ!」
その時、雷鳴のような声がその場に広がった。その場にいた全員が声のした方向を見る。
「あれが、この国の現皇帝。ゲール21世だ」
何事もなかったかのようにノブオは再生するとアグサに目の前に現れた男が誰なのか説明をしだした。
「あの方が」
目の前の男に目を向けるミリー。
その初老の男はきれいにまとめられた白髪と、存在感を出しているひげ、一見するとその姿に似合わない紺色のスーツ。だが、首から下げているネクタイやカフスボタンからあふれ出る高級感とそれに負けない存在感を放っているところから、それがまぎれもなくこの国の王であると認めてしまう説得力をミリーは感じていた。
「皆の者、陛下の御前です。粗相はおやめいただきたい」
ビシッと燕尾服を着こなすご老人が現ればを制す。
そしてゲールが前が口を開く。
「この者たちは客人。手荒な真似は許さん」
「ですが陛下!」
「ベラード」
一歩前に出て発言しようとしたベラードに対して声をかける。
「下がれ。今日はその時ではない」
「...わかりました」
しぶしぶ、ベラードは後ろに下がった。そして、一連の流れを見てから二人は皇帝に近づく。
「じゃあ、行きますか。皇帝さん」
ノブオはわざとらしく周りに聞こえるように言うと皇帝は、何も答えずに城の中に戻っていくのだった。
城の中に入った二人が通されたのは大きな机が目を引く大広間。そして、二人が入ってきた扉とは逆側に皇帝ゲールが着席する。
ノブオが部屋を見渡すとお姫様が皇帝の隣にすでに座っており、彼に向けて軽く手を振っていた。
「お二人はこちらに」
手前の椅子を使用人らしき人物が引き、二人にここに座るように促す。
「ああ、こりゃどうも」
轢かれた椅子に二人が座ると、目の前に料理が運ばれてくる。
「残念ながら、のんびりと食事を楽しむ余裕はないんでね。本題にいきますよ」
ノブオがそういった時、皇帝が手を前に出して話をいったん止める。
「その前にこれを見てほしい」
皇帝の言葉と同時に部屋の照明が落ち、机の上に立体映像が投影される。そこには、怪しく動くノブオの姿が。
「数日前の映像だ。その後、調査したところ少量ながら我々の者ではない爆発物の存在が確認された。何か言いたいことは」
「ただのあいさつですよ」
その言葉を返しノブオは内心ほっとしていた。事態は自分の思い描いたシナリオ通りに進んでいると。
「そのことも含めて、交渉」
「交渉。あなたは勘違いをしていますね。我々が彼女を追うのは、明確な目的があってのこと」
「彼女の血が古代兵器の起動に必要だからだろ」
皇帝の顔色が変わる。
「やはり、知っていたか」
「やはりも何も、初めから全部承知の上よ。そこで、取引と行こうじゃないか」
ノブオはばっと立ち上がりにっと笑いながら自分に親指を向け、
「代わりに俺がおたくらにつかまる、てのはどう?」
「...何?」
「そのままの意味さ。俺が捕まるから彼女を見逃せてこと」
その発言を聞いた時、ミリーは自分の耳を疑った。
ノブオの発言を聞いてより一層、眉間にしわを寄せて厳つい顔つきとなる。
「貴様は自分にそれだけの価値があると」
「思っているさ、当然だろ。なんたって俺は反乱軍の元指揮官。そして、元十将軍の一人なんだからな」
「え?」
ミリーは一瞬、自分の横にいるノブオが言ったことを信じられなかった。
「そういや、言ってなかったな」
「ええ、初耳ですね。あなたにはあといくつ秘密があるんですか」
「長く生きてるとそういうことが多くなるのさ」
ノブオは軽く笑いながらミリーにそう告げると、再び皇帝に向き直る。
「で、返答は」
「それだけでは弱いな。そもそも、交渉とは釣り合うものがあって初めて成り立つもの。お前には、あるのか、釣り合いの取れた対価が」
「もちろん、だからこそここに来た。正直に言えば最初に発覚したあれ、ただの陽動でね。本当は事実確認していたのさ。なんでお前らが、彼女の身柄を抑えるのに躍起になっているのかってね」
「ふむ、では話してもらおうか。その切り札を」
話を聞いて皇帝は余裕のある笑みを浮かべながらノブオに問う。
「オリジナルの情報」
ノブオの言葉を聞き皇帝は目の色を変えた。一方、ミリーは何のことだかわからずにノブオの顔を見る。
「オリジナル?」
「ああ、説明するよ。君の血は確かに古代のヒトガタ、Gシリーズを動かすためのカギだ。だけど、君の血では起動しない機体もある。こいつらはそれは長い年月を経て血が混ざりあったからだと考えたのさ」
「血が、混ざる」
「そう。だから、すべての始まりである君の先祖の血。正確に言うなら遺伝情報を再現できれば、すべてのGシリーズを起動できるマスターキーを作れるんじゃないか。こいつらはそう考えているのさ。そのために君たち、その血を継いでいる人間を集めているわけだ」
ミリーに流れている王家の血。彼女の一族はその血を絶やさぬために生きてきた。
そうやって彼らは古くから続く血を残してきたのだ。
「あなたは、何を知っているんですか」
「いろいろさ。でどうするんだ。受けるのか受けないのか」
ノブオの問いに皇帝は腕を組んで考える。いや、考えるふりをする。今までのことも含めてもう答えは決まっている。
「わかった。受けよう。だが、彼女の身柄は君の情報が正しいか確認が取れるまで抑えさせてもらう」
「ならば、そのことを確約する書類を作成してもらおうか。王家の印もしっかりと押せよ」
「馬鹿なことを言っている自覚はあるのか」
「ばか、へ。おたくら為政者ていうのは詐欺師と一緒だ。国どうしの約束でも表向きは守るが裏じゃ何やっているか分かったもんじゃない。なら、確実な契約を求めるのも当然というものだろ」
「王家の印を押せばそれは国を背負って王が全責任をもってその書面を証明するということになる」
皇帝がつぶやくよう言葉を発した。
「ああ、だから言ってるんだ。もちろん受けてくれるよな」
「これは私一人の判断では...」
「いや、できるだろ。なんせお前は、この国の皇帝なんだからな」
ノブオが言っていることに皇帝は完全に否定できない。だが、それをできない理由も当然ある。
一番は国としてのメンツ。
「それと、もう一つ言っておくが、あいさつがあれだけだと思うなよ」
「なに」
「陛下!」
扉を勢い良く開けて先ほどのベラードが入ってくるなり声を荒げる。
ノブオはウェイバーが用意したスーツに身を包んでいた。
「こいつを着るのも久しぶりだな」
ノブオは姿見で自分の今の格好を見て昔を思い出す。
「旦那様も人が悪いですね。彼らの前にこれを着て出ていくとは」
「王様と会うんだ。その国のマナーに合わせた服装をしないとな」
「そういうこと気にするんですね」
背後から聞こえた声に反応して振り返るとそこには白いドレスを着たミリーがいつも通りのキリっとした表情で立っていた。
「きれいだ」
ミリーの姿を見たノブオは自然と口から言葉が漏れでる。
「そんなこと言っている場合ですか。迎えが来たそうですから呼びに来ました」
「ああ、わかったよ。じゃあ、ウェイバー。あとはよろしく」
「行ってらっしゃいませ、旦那様」
ノブオが仕立て屋を出ようとしたとき、アマンダが壁にもたれかかっていた。それを確認してノブオはポケットから小袋を取り出す。
「ありがとう。代金は」
「そいつをもらう前に聞いていいかい」
「ん。なんだ?」
「あんたはあの子をどうするつもりだ」
彼女からそう聞かれてノブオは迷う様子もなくすぐに口を開く。
「そりゃ、仲良くなりたいさ。この先、けっこう長い付き合いになりそうだしな」
「だったら、大切にしてやりなよ」
「あたぼうよ。俺が女のことを蔑ろにするかよ。現にほらこうして会いに来てるだろ」
屈託のない笑顔を見せノブオは建物を後にする。
「そういうことじゃないよ」
その後ろ姿を見ながらアマンダはつぶやいた。
二人が外に出ると黒い大型の車が止まっていた。車を見慣れていないミリーにも、一目見てそれなりのものであるということがわかる。
そうこうしていると運転手が下りてきてお辞儀をしてから後部座席の扉を開けた。
「お先にどうぞお嬢さま」
ノブオがさきに立ってミリーの手を取り車の後部座席に導き、その後に続いてノブオも乗り込む。運転士もドアを閉めると運転席に戻り車を発進させる。
「心配せんでもなんもしてこんよ。こっちから頼んじゃいるが、それを向こうは受けたんだ。受けた以上、下手なことをすれば王族の信用にかかわるかんな。ま、落ち着けって方が無理か。敵の本拠地ともいえるところに乗り込むからな」
「でしたら」
独り言のようにノブオがしゃべっているとそれに割り込む形でミリーが声を発する。
「いつものようにくだらない話でもしていてください」
「お望みとあらば。それで気がまぎれるならば」
二人が乗った車は旧市街地から町の中心部へと進んでいきやがて王城が見えてきた。
「やっと着いたな。今回の目的地」
「あそこが」
それは巨大で荘厳であったが、大きさとしてはそれほどのものではないようにミリーは感じる。
「実用性を重視してつい最近、改築したそうだ。それに皇帝やその親族もここには住んでない。ここはあくまでも国外からの客人を招いたり、何かもよお仕事をするときのための場所って感じにしてるそうだ」
ミリーが口に出す前にノブオが簡単な解説をした。
「私の心を読んだんですか?」
「そう、俺にはあるのさ。身近の女の子の気持ちがわかるっていう超能力がね」
「本当の事ですか」
「いや、冗談冗談。差ついたみたいだしおりましょ」
すでに車は止まっておりドライバーがおりて扉を開けている。
先にミリーが降り続いてノブオも車から降りると目の前にブロンドの髪をたなびかせる軍服を着こなす男とその後ろに二十人程度の軍人が控えていた。
「爆破のベラード、十将軍とぞの専属部隊。過剰戦力じゃない」
「当然だ。貴様はテロリストだからな」
「そういや、そんなこともあったな。そんな昔の話蒸し返さなくてもいいじゃん。ベラード」
「いいじゃん。じゃない。本当なら今すぐここでとっつ構えてやりたいぐらいだ」
ベラードはおもむろにノブオの腕をつかむ。すると、何の前触れもなくノブオの体が爆発し跡形もなく消え去る。
その光景にミリーは驚き横で見ていた運転士もあまりの衝撃的な光景に気絶する。あたりにいた人々がざわめきだす。
「しずまれ!」
その時、雷鳴のような声がその場に広がった。その場にいた全員が声のした方向を見る。
「あれが、この国の現皇帝。ゲール21世だ」
何事もなかったかのようにノブオは再生するとアグサに目の前に現れた男が誰なのか説明をしだした。
「あの方が」
目の前の男に目を向けるミリー。
その初老の男はきれいにまとめられた白髪と、存在感を出しているひげ、一見するとその姿に似合わない紺色のスーツ。だが、首から下げているネクタイやカフスボタンからあふれ出る高級感とそれに負けない存在感を放っているところから、それがまぎれもなくこの国の王であると認めてしまう説得力をミリーは感じていた。
「皆の者、陛下の御前です。粗相はおやめいただきたい」
ビシッと燕尾服を着こなすご老人が現ればを制す。
そしてゲールが前が口を開く。
「この者たちは客人。手荒な真似は許さん」
「ですが陛下!」
「ベラード」
一歩前に出て発言しようとしたベラードに対して声をかける。
「下がれ。今日はその時ではない」
「...わかりました」
しぶしぶ、ベラードは後ろに下がった。そして、一連の流れを見てから二人は皇帝に近づく。
「じゃあ、行きますか。皇帝さん」
ノブオはわざとらしく周りに聞こえるように言うと皇帝は、何も答えずに城の中に戻っていくのだった。
城の中に入った二人が通されたのは大きな机が目を引く大広間。そして、二人が入ってきた扉とは逆側に皇帝ゲールが着席する。
ノブオが部屋を見渡すとお姫様が皇帝の隣にすでに座っており、彼に向けて軽く手を振っていた。
「お二人はこちらに」
手前の椅子を使用人らしき人物が引き、二人にここに座るように促す。
「ああ、こりゃどうも」
轢かれた椅子に二人が座ると、目の前に料理が運ばれてくる。
「残念ながら、のんびりと食事を楽しむ余裕はないんでね。本題にいきますよ」
ノブオがそういった時、皇帝が手を前に出して話をいったん止める。
「その前にこれを見てほしい」
皇帝の言葉と同時に部屋の照明が落ち、机の上に立体映像が投影される。そこには、怪しく動くノブオの姿が。
「数日前の映像だ。その後、調査したところ少量ながら我々の者ではない爆発物の存在が確認された。何か言いたいことは」
「ただのあいさつですよ」
その言葉を返しノブオは内心ほっとしていた。事態は自分の思い描いたシナリオ通りに進んでいると。
「そのことも含めて、交渉」
「交渉。あなたは勘違いをしていますね。我々が彼女を追うのは、明確な目的があってのこと」
「彼女の血が古代兵器の起動に必要だからだろ」
皇帝の顔色が変わる。
「やはり、知っていたか」
「やはりも何も、初めから全部承知の上よ。そこで、取引と行こうじゃないか」
ノブオはばっと立ち上がりにっと笑いながら自分に親指を向け、
「代わりに俺がおたくらにつかまる、てのはどう?」
「...何?」
「そのままの意味さ。俺が捕まるから彼女を見逃せてこと」
その発言を聞いた時、ミリーは自分の耳を疑った。
ノブオの発言を聞いてより一層、眉間にしわを寄せて厳つい顔つきとなる。
「貴様は自分にそれだけの価値があると」
「思っているさ、当然だろ。なんたって俺は反乱軍の元指揮官。そして、元十将軍の一人なんだからな」
「え?」
ミリーは一瞬、自分の横にいるノブオが言ったことを信じられなかった。
「そういや、言ってなかったな」
「ええ、初耳ですね。あなたにはあといくつ秘密があるんですか」
「長く生きてるとそういうことが多くなるのさ」
ノブオは軽く笑いながらミリーにそう告げると、再び皇帝に向き直る。
「で、返答は」
「それだけでは弱いな。そもそも、交渉とは釣り合うものがあって初めて成り立つもの。お前には、あるのか、釣り合いの取れた対価が」
「もちろん、だからこそここに来た。正直に言えば最初に発覚したあれ、ただの陽動でね。本当は事実確認していたのさ。なんでお前らが、彼女の身柄を抑えるのに躍起になっているのかってね」
「ふむ、では話してもらおうか。その切り札を」
話を聞いて皇帝は余裕のある笑みを浮かべながらノブオに問う。
「オリジナルの情報」
ノブオの言葉を聞き皇帝は目の色を変えた。一方、ミリーは何のことだかわからずにノブオの顔を見る。
「オリジナル?」
「ああ、説明するよ。君の血は確かに古代のヒトガタ、Gシリーズを動かすためのカギだ。だけど、君の血では起動しない機体もある。こいつらはそれは長い年月を経て血が混ざりあったからだと考えたのさ」
「血が、混ざる」
「そう。だから、すべての始まりである君の先祖の血。正確に言うなら遺伝情報を再現できれば、すべてのGシリーズを起動できるマスターキーを作れるんじゃないか。こいつらはそう考えているのさ。そのために君たち、その血を継いでいる人間を集めているわけだ」
ミリーに流れている王家の血。彼女の一族はその血を絶やさぬために生きてきた。
そうやって彼らは古くから続く血を残してきたのだ。
「あなたは、何を知っているんですか」
「いろいろさ。でどうするんだ。受けるのか受けないのか」
ノブオの問いに皇帝は腕を組んで考える。いや、考えるふりをする。今までのことも含めてもう答えは決まっている。
「わかった。受けよう。だが、彼女の身柄は君の情報が正しいか確認が取れるまで抑えさせてもらう」
「ならば、そのことを確約する書類を作成してもらおうか。王家の印もしっかりと押せよ」
「馬鹿なことを言っている自覚はあるのか」
「ばか、へ。おたくら為政者ていうのは詐欺師と一緒だ。国どうしの約束でも表向きは守るが裏じゃ何やっているか分かったもんじゃない。なら、確実な契約を求めるのも当然というものだろ」
「王家の印を押せばそれは国を背負って王が全責任をもってその書面を証明するということになる」
皇帝がつぶやくよう言葉を発した。
「ああ、だから言ってるんだ。もちろん受けてくれるよな」
「これは私一人の判断では...」
「いや、できるだろ。なんせお前は、この国の皇帝なんだからな」
ノブオが言っていることに皇帝は完全に否定できない。だが、それをできない理由も当然ある。
一番は国としてのメンツ。
「それと、もう一つ言っておくが、あいさつがあれだけだと思うなよ」
「なに」
「陛下!」
扉を勢い良く開けて先ほどのベラードが入ってくるなり声を荒げる。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる