私が拾ったのは子猫なんですけど!そして私は男じゃない!

わらいしなみだし

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子猫の雨月と男の子の雨月

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 三センチのヒールでも早く歩くのには慣れている私でも思うようにいかない。
 それはきっとヒールのせいだけじゃなく、気が急いているからかも。
 それほど私は子猫の雨月のもとに早く戻りたかったの。

 帰る途中でホームセンターに寄り、子猫の雨月を運ぶためのケージを購入。プラスチックの小さな小皿も。これは子猫の雨月のお水用。自宅のお皿を持っていくわけにはいかないから。プラスチックだと軽いし割れる心配をしないですむ。

 私は逸る気持ちを抑えることが出来ずに家路を急いだ。

 こういう時ってどうして直ぐに家の鍵を見つけるのにいつもより時間がかかったり(十数秒だけど)鍵を開けるのにも時間がかかったり(同じく)急げば急ぐほど、気持ちと動作が一致しない。

 やっとドアの鍵を開けてヒールを脱ぎ一目散に寝室のベッド、子猫の雨月の元へ……

 顔が見える子猫の雨月の布団を静かに捲ると子猫の雨月は昨日と同じ形のまま眠っていた。

 よ、よかったぁー!

 起きてなかった。
 寂しい思いをさせてないみたいでちょっと安心して気が抜けちゃった。
 
 寝言は言わず、スースーという息も聞こえない子猫の雨月。
 ちょっと気がかりになっちゃう。
 子猫の雨月をよく見てみるとお腹は上下しているので眠っていることには違いない。

 体調を壊しているのかどうかはわからないけど、寝顔は幸せそうだし問題は……ないのかな?やっぱり寝過ぎの気はするんだけど。

 私はそおっと子猫の雨月を抱き上げてケージの中へ。
 抱き上げても子猫の雨月は全然起きる気配はなかった。
 ケージの中に入れた子猫の雨月にお布団代わりのタオルを掛けてあげた。

 子猫の雨月が起きた場合のごはん子猫パウチも三パック。
 もし、仮に男の子の雨月になってしまった場合のため、着替えも用意。それらを別の小さめのバックに入れてヒールをやめてスニーカーを履いて再び出勤した。

 夏川上司のお陰で子猫の雨月と一緒にいられる……!

 いつもなら朝は男の子の雨月でおとなしく私が帰宅するのを待っててくれていた。
 それって、本当は男の子の雨月にも子猫の雨月にも無理を強いていたのかもしれなかった。

 子猫を飼う。
 一緒にいる。

 命に責任があるのに、簡単に飼うこと、一緒にいることを決めたのはやっぱり浅はかだったのだろうか?

 でも、でも、もうどっちの雨月とも別れて暮らすなんて無理だもん。

 大切に一緒に過ごしたい!

 夏川上司の心意気で職場にも連れていける。
 ひとりっぼっちにしなくてもいいだけでも安心できちゃう!

 問題なのは……男の子の雨月になってしまうこと。

 私はこの最大限の難関を抱えながら、足早に会社へ向かうことになったのでした。


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