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なーちゃって何者?
183 逢いたかった……
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「社長……逢いに来ました」
「わたしはもう、『社長』ではないよ。私の名前を忘れたのかい?」
「龍一様……」
「様は要らない、そこだけは何度言っても忘れるね。お前らしいけど……」
二人は懐かしそうに言葉を紡ぐ。
まるで十年以上の刻を感じさせないような……甘い二人だけの空間。
「龍一……」
躊躇いがちに、それでもそのようにまた呼べることを身体中で堪能する。
やっと……逢えた……。
逢える口実が……逢うのが……叶った!
おさない雨月を抱えながらも想いはずっと隠された想いは溢れんばかりだ。
愛おしい人をまたこの目で見ることが叶う!
龍一が私をいつもの眼差しで見つめてくれている!
「うん、その方が嬉しいよ。挨拶のキスはくれないのかい?」
からかうような……自分を試すような……そんな声に聞こえて言葉が詰まる。
胸が苦しい!
「あ……いえ、そ、その……」
流石に……それは躊躇した。
腕の中にいるおさない雨月を見て背徳心が芽生えたのだから。
その目線に漸く気がついたのか、龍一がおさない雨月を見た。
その目の奥に潜む感情は穏やかなものでは無い。
「おや?その小さな子はお前の子供なのかい?」
「いえ……この件で私は逢いに来ました。『どうしようもなくなったら……逢いに行きます』そう言いましたよね?本当はもっと早く……龍一に逢いたかった……」
想いが……昔の刻まで戻るような錯覚まで起こしてしまいそうな……
私は……私は……離れたくなかった!
「その言葉だけで……嬉しいよ。私から離れないと、お前はいつまでも私の言葉に囚われる……解放してあげたかったんだよ」
「ですが、私の気持ちは?」
縋るような目で龍一を見てしまう。
龍一がどんな想いで私を遠ざけたか、わかってはいても理解したくはなかった。
なかったんだ!
「でも……君はもう別の幸せがある。そうだろ?報告は受けている」
「龍一……あなたがくれた幸せです。ですが、私は……ずっとあなたの元に居たかった。たとえあなたが結婚しても……ずっとあなたの片腕として……そういう立場のままでもずっと……」
苦し気に顔を歪め自分の目の前にいる彼に自分のありったけの想いを伝えようとした。
だが、言葉は続かない……涙が滲みそうで胸がはち切れそうで、今の状態のままが歯痒く辛い。
抱きしめたいのに……抱きしめられない!
まるでおさない雨月がそれを阻むかのように自分の腕の中で何も知らずに眠っているのだからーーー
「お前が私を頼ってくれるって事は……何か起きたって事かな?」
嬉しい言葉が次々と耳に、胸に、心に染み込んでくるが、わざとそれを制する言葉を発した。
「はい……この子は……たぶん、この世界の子供ではないと」
その言葉で彼は本来の自分の役目を思い出した。
「お前と同じ、という事かな?」
何気に口にした言葉はイエスになる。
「異世界は幾つも存在します。ですが、私は連れ戻されぬよう何処の種族でも破れない結界が、私の力でこの世には存在します。それを掻い潜ってこの地に到達することは有り得ない……もしかしたら、彼……この子は私の同族かも……しれません」
「同族?って事は、も、もしかして?」
龍一の頭に過ったのは「名」
そのせいで別れることを決めた……
龍一は目元を覆い、彼等の呪縛を悲しむように双方を見た。
「……」
答える代わりに無言になる。
頷くこともないまま。
湖畔を眺める。
誰も此処に来ることはない。
静寂であっても彼の腕の中にいるその子をそのままにしておくには心許ない。
愛おしそうに見つめる視線に胸の痛みを感じつつ彼の気持ちを汲んだ。
「わかった……中に入ろう。私一人しかいない。気兼ねなく話も出来よう」
龍一は裏口の扉を開けリビングに彼を案内した。
「わたしはもう、『社長』ではないよ。私の名前を忘れたのかい?」
「龍一様……」
「様は要らない、そこだけは何度言っても忘れるね。お前らしいけど……」
二人は懐かしそうに言葉を紡ぐ。
まるで十年以上の刻を感じさせないような……甘い二人だけの空間。
「龍一……」
躊躇いがちに、それでもそのようにまた呼べることを身体中で堪能する。
やっと……逢えた……。
逢える口実が……逢うのが……叶った!
おさない雨月を抱えながらも想いはずっと隠された想いは溢れんばかりだ。
愛おしい人をまたこの目で見ることが叶う!
龍一が私をいつもの眼差しで見つめてくれている!
「うん、その方が嬉しいよ。挨拶のキスはくれないのかい?」
からかうような……自分を試すような……そんな声に聞こえて言葉が詰まる。
胸が苦しい!
「あ……いえ、そ、その……」
流石に……それは躊躇した。
腕の中にいるおさない雨月を見て背徳心が芽生えたのだから。
その目線に漸く気がついたのか、龍一がおさない雨月を見た。
その目の奥に潜む感情は穏やかなものでは無い。
「おや?その小さな子はお前の子供なのかい?」
「いえ……この件で私は逢いに来ました。『どうしようもなくなったら……逢いに行きます』そう言いましたよね?本当はもっと早く……龍一に逢いたかった……」
想いが……昔の刻まで戻るような錯覚まで起こしてしまいそうな……
私は……私は……離れたくなかった!
「その言葉だけで……嬉しいよ。私から離れないと、お前はいつまでも私の言葉に囚われる……解放してあげたかったんだよ」
「ですが、私の気持ちは?」
縋るような目で龍一を見てしまう。
龍一がどんな想いで私を遠ざけたか、わかってはいても理解したくはなかった。
なかったんだ!
「でも……君はもう別の幸せがある。そうだろ?報告は受けている」
「龍一……あなたがくれた幸せです。ですが、私は……ずっとあなたの元に居たかった。たとえあなたが結婚しても……ずっとあなたの片腕として……そういう立場のままでもずっと……」
苦し気に顔を歪め自分の目の前にいる彼に自分のありったけの想いを伝えようとした。
だが、言葉は続かない……涙が滲みそうで胸がはち切れそうで、今の状態のままが歯痒く辛い。
抱きしめたいのに……抱きしめられない!
まるでおさない雨月がそれを阻むかのように自分の腕の中で何も知らずに眠っているのだからーーー
「お前が私を頼ってくれるって事は……何か起きたって事かな?」
嬉しい言葉が次々と耳に、胸に、心に染み込んでくるが、わざとそれを制する言葉を発した。
「はい……この子は……たぶん、この世界の子供ではないと」
その言葉で彼は本来の自分の役目を思い出した。
「お前と同じ、という事かな?」
何気に口にした言葉はイエスになる。
「異世界は幾つも存在します。ですが、私は連れ戻されぬよう何処の種族でも破れない結界が、私の力でこの世には存在します。それを掻い潜ってこの地に到達することは有り得ない……もしかしたら、彼……この子は私の同族かも……しれません」
「同族?って事は、も、もしかして?」
龍一の頭に過ったのは「名」
そのせいで別れることを決めた……
龍一は目元を覆い、彼等の呪縛を悲しむように双方を見た。
「……」
答える代わりに無言になる。
頷くこともないまま。
湖畔を眺める。
誰も此処に来ることはない。
静寂であっても彼の腕の中にいるその子をそのままにしておくには心許ない。
愛おしそうに見つめる視線に胸の痛みを感じつつ彼の気持ちを汲んだ。
「わかった……中に入ろう。私一人しかいない。気兼ねなく話も出来よう」
龍一は裏口の扉を開けリビングに彼を案内した。
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