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第一章[超天才の生き様]
第二十五話、この世界に感謝を
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母であるロロの呼びかけに応え、巨大な培養ケース内の人工精霊が強烈な光を放ち、その姿を消した。行く先は見守る研究員達にもよく分かっている。
『……ありがとう』
内にある我が子へ感謝を告げ、ロロは白衣をはためかせて振り返った。
完全に人工精霊を理解する唯一人の主人が、その超兵器をこの世に生み落とす。
『出でよ、【恐ろしき膂力の隻腕】ッ!!』
ロロの右後方に半透明の巨影が浮かび上がる。やがて実体化して見えた銀色の全貌は、不壊であれと創り出された鋼鉄の右巨腕。それは鉄壁の盾であり、全てを打ち砕く巨人の拳である。
『三下悪魔めっ! 我が研究所で勝手は許さんっ!』
『グフっ――!?』
ぶつけられた質量は途轍もなく巨大であり、フルフルと言えども小石の如く撥ね飛ばした。あろう事か大悪魔を虫けらのように打ち払ってしまう。
(……レベル一桁っぽいロロで、あの威力って。これが本当のオリジナル人工精霊……)
コールが知る人工精霊とは比較にもならない性能を見せ付けられる。レベル百以上も離れた悪魔でさえ、全く意に介していない。
人工精霊はルーラーとの親和性により、レベルなど無関係に悪魔を打ち倒す形勢逆転の切り札。大天才により人類にもたらされた希望の光は、今、正式に世界へと証明された。
『コール・モードレンド君! 障壁を展開するっ、素早く事態を解決するのだ!』
「……ははっ! それなら、やってやるかッ!!」
二人の天才が、真の実力を解放する。
毅然として叫び、鋼鉄の隻腕を振り上げたロロ。応えるコールもまた、悪魔も戦慄する悪辣な笑みを露わとした。
まずコールは壁を踏み砕くように激しく飛び移り、壁へ衝突後に跳ね返って落ちたフルフルへ視線を向ける。
「【雷】よ……」
美麗な少年から溢れ出す赤の雷。赤雷は周囲に浮かぶ踏み砕いた破片へ瞬時に電流し、流星群と化してフルフルへ射出された。
『ぐぬぁ!? くっ……!!』
弾丸など雨粒のように受けていたフルフルが、超速の残骸を受けて堪らず苦悶の声を喘いだ。
その威力は地鳴りが表している。赤電の連射弾は研究所を震わせ、地震を生むまでのものだった。
「うおおおおおっ! は、博士ッ、大丈夫なのでしょうかっ!」
『ぬぬっ、心配は少しだけしかしていない! 即ち結構ヤバいとも言えるっ!』
「それはもう失策と言っていいかと!!」
自身と同じく人類を超越するコールの本気に、脚を震わせる博士。研究員は改めて死を覚悟する。
しかし天才は失態を認めず、無理矢理にでも成功へと変えてしまう。
『失敗っ? 否っ! それは断じて否である!』
従順な【恐ろしき膂力の隻腕】は母の願いに応え、拳を床に打ち付ける。
人工精霊の特異な魔力を打ち込まれた物質は変質を始めた。兄と妹、そして母と仲間達を守護するべく、床は迫り上がり城壁にも似た防御壁を構築。研究室を完全に二分した。
『ふっ、また凄いものを生み出してしまったものだ』
空間は二つに分けられた。コールと悪魔、そして研究物とロロ達研究員。後はフルフルを倒せば、事態は無事の終息を見せる。
『これはこれは舐められたものだッ!! それは私も真の実力を出せるに同じッ!!』
炎の大蛇に電雷と嵐を渦巻かせ、大悪魔の意地を見せるフルフルだったが、コールは既に【雷】を使用した。
つまりは、何体もの悪魔を葬って来た本来の戦法へと移行した事を意味する。
「悪いけど、もう――終わりだ」
『っ!?』
台詞の途中から、眼前へと人影が移り変わっていた。今のコールの移動速度は、悪魔ですら視認不可能な次元となっている。
それもその筈。その小さな身体には、【赤雷】が帯電していた。
コールの頭脳による体捌きに加え、【適応・改】による人体頑強度の上昇。これによりコールは自身への【モードレンドの雷】の付与を成功させていた。
「――【雷切】」
赤光が刀から解き放たれ、それが閃いた時には対象は寸断されている。モードレンドの秘法にして死神の刃が、帝国の外敵へと罷り通る。
『ガハ!?』
「……!」
絶対切断の赤い斬撃により、腹部から両断されたフルフル。しかし、これで死ぬほど悪魔は軟弱ではない。
コールは迷わず刀へ【赤雷】を通し、彗星の如く撃ち出した。フルフルの胸を貫き、逃さぬよう壁へと突き立てる為に。
『――』
「――」
視線を合わした瞬間、互いの時が緩やかとなる。
刀に胸を刺され、その勢いを体感して内壁へ突き立てられると察した、その時だ。
悪魔よりも悪魔と呼ぶに相応しい天使を見る。
赤い稲妻をその身に宿し、悪魔的な頭脳を有し、その人間は未だ何かを秘めている。
弧を描く口元を見るだけで怖気が走る。喜悦に狂う目元を見るのみで魂が竦む。
その玩具を目にするような微笑が、明確な死の到来を予感させている。
弄ばれていた現実に気付き、死に物狂いで逃げ出そうとするも、既に刀で貫かれて壁へ固定され、動く事が叶わなくなった後だった。
『グ――!? ま、待つのですっ! タスケテくれっ、たのむ!! 貴方の配下にさせてほしい!!』
悪魔が涙を流して慈悲を乞う。けれど命を乞う声は純真無垢な笑い声で返される。
「ハハハハっ! な? お前も他の悪魔と変わらない」
悪魔よりも強大で邪悪な存在が、ある日を境にこの世界へ現れた。
何処かの世界で語られる物語を、己が手で破壊し、不文律を穢す天使が舞い降りていた。
「この世界は本当に愉快だ。お前にも感謝してる、ありがとな」
これから自分の拳が砕けるのも構わず、酷く恐ろしい笑みを浮かべてフルフルへ感謝した。必然的にフルフルは死を宣告されたと瞬時に悟る。
殺意は目を焼くほどの閃光となって現れた。一層輝かしい赤雷が、ついに炸裂する。
『マッ――』
喉を枯らして涙ながらに制止を叫ぶも、既にコールの拳は異形の顔面へ着弾していた。赤雷による超速の打撃。死を悟る事もなく、頭部が破裂する。跡形もなく、余韻すら残さず、背にする内壁ごと痛快に砕け散る。
コールは本日も悪魔を愉しみ、今日もこの世界を楽しむ。
「世界の全てに感謝だ、じゃあな」
『……ありがとう』
内にある我が子へ感謝を告げ、ロロは白衣をはためかせて振り返った。
完全に人工精霊を理解する唯一人の主人が、その超兵器をこの世に生み落とす。
『出でよ、【恐ろしき膂力の隻腕】ッ!!』
ロロの右後方に半透明の巨影が浮かび上がる。やがて実体化して見えた銀色の全貌は、不壊であれと創り出された鋼鉄の右巨腕。それは鉄壁の盾であり、全てを打ち砕く巨人の拳である。
『三下悪魔めっ! 我が研究所で勝手は許さんっ!』
『グフっ――!?』
ぶつけられた質量は途轍もなく巨大であり、フルフルと言えども小石の如く撥ね飛ばした。あろう事か大悪魔を虫けらのように打ち払ってしまう。
(……レベル一桁っぽいロロで、あの威力って。これが本当のオリジナル人工精霊……)
コールが知る人工精霊とは比較にもならない性能を見せ付けられる。レベル百以上も離れた悪魔でさえ、全く意に介していない。
人工精霊はルーラーとの親和性により、レベルなど無関係に悪魔を打ち倒す形勢逆転の切り札。大天才により人類にもたらされた希望の光は、今、正式に世界へと証明された。
『コール・モードレンド君! 障壁を展開するっ、素早く事態を解決するのだ!』
「……ははっ! それなら、やってやるかッ!!」
二人の天才が、真の実力を解放する。
毅然として叫び、鋼鉄の隻腕を振り上げたロロ。応えるコールもまた、悪魔も戦慄する悪辣な笑みを露わとした。
まずコールは壁を踏み砕くように激しく飛び移り、壁へ衝突後に跳ね返って落ちたフルフルへ視線を向ける。
「【雷】よ……」
美麗な少年から溢れ出す赤の雷。赤雷は周囲に浮かぶ踏み砕いた破片へ瞬時に電流し、流星群と化してフルフルへ射出された。
『ぐぬぁ!? くっ……!!』
弾丸など雨粒のように受けていたフルフルが、超速の残骸を受けて堪らず苦悶の声を喘いだ。
その威力は地鳴りが表している。赤電の連射弾は研究所を震わせ、地震を生むまでのものだった。
「うおおおおおっ! は、博士ッ、大丈夫なのでしょうかっ!」
『ぬぬっ、心配は少しだけしかしていない! 即ち結構ヤバいとも言えるっ!』
「それはもう失策と言っていいかと!!」
自身と同じく人類を超越するコールの本気に、脚を震わせる博士。研究員は改めて死を覚悟する。
しかし天才は失態を認めず、無理矢理にでも成功へと変えてしまう。
『失敗っ? 否っ! それは断じて否である!』
従順な【恐ろしき膂力の隻腕】は母の願いに応え、拳を床に打ち付ける。
人工精霊の特異な魔力を打ち込まれた物質は変質を始めた。兄と妹、そして母と仲間達を守護するべく、床は迫り上がり城壁にも似た防御壁を構築。研究室を完全に二分した。
『ふっ、また凄いものを生み出してしまったものだ』
空間は二つに分けられた。コールと悪魔、そして研究物とロロ達研究員。後はフルフルを倒せば、事態は無事の終息を見せる。
『これはこれは舐められたものだッ!! それは私も真の実力を出せるに同じッ!!』
炎の大蛇に電雷と嵐を渦巻かせ、大悪魔の意地を見せるフルフルだったが、コールは既に【雷】を使用した。
つまりは、何体もの悪魔を葬って来た本来の戦法へと移行した事を意味する。
「悪いけど、もう――終わりだ」
『っ!?』
台詞の途中から、眼前へと人影が移り変わっていた。今のコールの移動速度は、悪魔ですら視認不可能な次元となっている。
それもその筈。その小さな身体には、【赤雷】が帯電していた。
コールの頭脳による体捌きに加え、【適応・改】による人体頑強度の上昇。これによりコールは自身への【モードレンドの雷】の付与を成功させていた。
「――【雷切】」
赤光が刀から解き放たれ、それが閃いた時には対象は寸断されている。モードレンドの秘法にして死神の刃が、帝国の外敵へと罷り通る。
『ガハ!?』
「……!」
絶対切断の赤い斬撃により、腹部から両断されたフルフル。しかし、これで死ぬほど悪魔は軟弱ではない。
コールは迷わず刀へ【赤雷】を通し、彗星の如く撃ち出した。フルフルの胸を貫き、逃さぬよう壁へと突き立てる為に。
『――』
「――」
視線を合わした瞬間、互いの時が緩やかとなる。
刀に胸を刺され、その勢いを体感して内壁へ突き立てられると察した、その時だ。
悪魔よりも悪魔と呼ぶに相応しい天使を見る。
赤い稲妻をその身に宿し、悪魔的な頭脳を有し、その人間は未だ何かを秘めている。
弧を描く口元を見るだけで怖気が走る。喜悦に狂う目元を見るのみで魂が竦む。
その玩具を目にするような微笑が、明確な死の到来を予感させている。
弄ばれていた現実に気付き、死に物狂いで逃げ出そうとするも、既に刀で貫かれて壁へ固定され、動く事が叶わなくなった後だった。
『グ――!? ま、待つのですっ! タスケテくれっ、たのむ!! 貴方の配下にさせてほしい!!』
悪魔が涙を流して慈悲を乞う。けれど命を乞う声は純真無垢な笑い声で返される。
「ハハハハっ! な? お前も他の悪魔と変わらない」
悪魔よりも強大で邪悪な存在が、ある日を境にこの世界へ現れた。
何処かの世界で語られる物語を、己が手で破壊し、不文律を穢す天使が舞い降りていた。
「この世界は本当に愉快だ。お前にも感謝してる、ありがとな」
これから自分の拳が砕けるのも構わず、酷く恐ろしい笑みを浮かべてフルフルへ感謝した。必然的にフルフルは死を宣告されたと瞬時に悟る。
殺意は目を焼くほどの閃光となって現れた。一層輝かしい赤雷が、ついに炸裂する。
『マッ――』
喉を枯らして涙ながらに制止を叫ぶも、既にコールの拳は異形の顔面へ着弾していた。赤雷による超速の打撃。死を悟る事もなく、頭部が破裂する。跡形もなく、余韻すら残さず、背にする内壁ごと痛快に砕け散る。
コールは本日も悪魔を愉しみ、今日もこの世界を楽しむ。
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