短編集

レッド

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二次創作

最強vs最強

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「きみ~、ランキング、やる~?」

朝っぱらから学長室に呼び出されたかと思えば謎の言葉を投げ掛けられた。生徒会長翻訳頼む

「最近目覚しい活躍をされているので、ランキング戦に挑戦してみない?とのことです」

あー、そういうことね。しかしまぁ、特にやる気はないな。俺が上手い具合に戦えてるのは情報量の少なさと切り札の温存にあるわけだから、それを周囲に教えるような真似をしたくはない

「遠慮しておきます。自分ではまだ時期尚早かと……」

「それはそれとして、よろしく~」

ん?なにか嫌な予感が……コレは俺も学園長の言葉を理解し始め……いや、単純に危機に対してアンテナが敏感になってるだけだろう。厄介なことになる前に退散をせねば

「え、本気ですか学園長。いくらなんでもそれは……」

「え、なに?」

生徒会長がガチトーンでマジな顔してるぞ。え、なに?またよく分からん奴と戦えと?ただでさえ最近、戦闘狂が増えたから疲れてるのにこれ以上の追加はちょっと……

「指名されたよ~」

「えぇ!?シャア先輩、どこで知り合ったんですか!?」

「話についていけないから帰っていい?」

いや、マジで分からない。俺だけに聞こえない特殊言語で会話してる線が濃厚な気がしてきたんだが……

「あ、すみません……オータリア学園との交流戦に出てねとのことでして……その、相手が……」

オータリア?確か紫呉最強が居るところだったよな。でも、知り合いなんて居たかなぁ……

「『陽炎』の紫呉、名実共に全学園最強の学生からの指名です……先輩、何かしたんですか……?」

うわっ、めっちゃ可哀想なものを見る目で憐れまれてる。というか、あのバカマジでコッチでの対戦を選んだのか?別世界・・・で共闘したとはいえ、たったそれだけの縁故で指名とか気が狂ってるだろドアホ

「え、あ、あー……逃げていい?」

「むり~」

いやぁ、流石に無理だ。俺のウェポンじゃ『魔剣レーヴァテイン』を受け止めきれない。というか、『剣聖ソードエスカトス』や『月天女アルテミス』でも無理だろう。足掻きようがある相手ならまだしも、アレは頂点。そもそもの時点で性能差がありすぎる

そうして、男は予期せず最強との戦いを強制されるのであった

────────────────────

「こんにちは。お久しぶりですね」

「あぁ久しぶり。一つ言いたいんだが、ただ一度会っただけの男を実力も把握せずに交流戦に指名するとか流石に気が狂ってないか?」

秋空 紫呉
目の前にいる茜色の髪をした眼鏡っ娘がオータリア学園最強にして『風鷹戦ソロ』での連続優勝経験を持つ怪物。使用ヘキサウェポンは「魔剣レーヴァテイン」。防御不能の溶断兵器……ぶっちゃけ勝てる気がしない

「そうですか?テトラウェポン使いとしては間違いなく最上位に来ると思いますが……」

「ヘキサウェポンとテトラウェポンだと地力の差がありすぎるだろ」

「ですよねぇ……なので、″全部″使っちゃって大丈夫ですよ」

……ほう?このクソガキ、舐めたこと抜かしやがる。と、言いたいところだが仮に持てるもの全てを出しても勝てるかと言われたら正直微妙だ。俺は中長期戦に特化した戦闘スタイルなのだが、相手は短期戦特化。根本的に相性が悪い

「やめとく。もう少し遊んでおきたいからな」

「それは残念……それじゃ、始めようか」

彼女が掛けていた眼鏡を外す
それはある種の暗示であり、ただ一度の敗北を除き、不敗を誇る彼女の本気の姿。最強の名に相応しい覇気を纏い、腰に佩いた刀を引き抜く。離れた此方にまで届く程の熱量は最早戦術兵器の領域に至っている。単騎で万軍を排す、時代の輝き。これが・・・、この世界の英雄か

「ハハッ、流石に圧が凄いな」

素晴らしい、戦士として高みに至っている
だが、この程度の圧で気圧されるほどやわな修羅場は潜っていない。両手にテトラウェポンを構え、深く息を吐く。余計なモノを削ぎ落とし、己を純然たる刃へと作り替える。チリチリと己を焼く死の予感。そうだ、俺はこの死線と共に生まれて育った
さぁ───────

《試合開始》

その瞬間、閃光が走った。世界を焼き尽くす魔剣の一閃が何よりも速く過ぎ去り、試合会場の結界に少なくないダメージを負わせる。防御不能の攻撃、それに加えて試合開始と共に飛んでくるこの不可避の一撃。彼女は嘘偽りなくこの一撃で沈めようとしていた。最速で屠ることこそが正解だと叫ぶ己の闘争本能に従い、持てる限りの最速を試合開始と共に放った

獣は地を駆けた
倒れるような前傾姿勢。頭上を抜ける灼熱の風すら気にも留めず、茜色の剣士との距離をありえないような速度で詰める
オプション『ゲイル』。強風の名を冠したそれはブーツ型テトラウェポンに搭載されたオプションであり、その効果は単純明快に加速するというもの。『狂嵐怒濤ヴィントホーゼ』の劣化と言われればそれまでだが、制御性を捨てて加速のみに特化したそれは恐ろしい速度を生み出す

返す太刀での一閃。紅蓮を纏う万象溶断の刃が不遜にも懐に潜り込もうとする獣を叩き切ろうとする。上段からの一撃、速度勝負となればこの間合いならば彼女の剣速の方が勝る
だが、その刹那────

『閃光』

神速の一撃が手元を狙う。至近距離で、左手でレイピア型ウェポンを展開したことによる間合いの見せ・・。そしてそこからすかさず起動された伸ばすオプションによって間合いという概念を撤廃する必殺の構え。武器本体が狙えないのならば、武器を握る手を狙えばいい。単純だが合理的な発想は普通・・ならば成功し、相手を無力化する
だが、当然相手は普通ではない。武器の性能にかまけて鍛錬を怠るような俗物ではなく、末恐ろしいほどの才覚をその身に秘めている。0.1秒未満で展開されるそれを回避することは通常不可能。だが、理不尽なまでの才能はその知覚を未来予知地味た領域に昇華させており、魔剣の柄でその刺突を受けきる。だが、男にはもう片方のウェポンがある。

『閃光』

同じ言葉だがその効能は異なる。強烈な光が彼女の目を焼き、視界を白く塗り替える。完全な奇襲、励起状態にある右手の斧型ウェポンでその胴体を一薙ぎすれば勝利となる。だが、これだけで勝てるなんて甘い考えは捨てている。アルマが凌いだんだ、それを上回るコイツが防げないはずがない。故に、腰に下げた槍型のウェポンを展開。この距離ならば『閃光』が無くても大丈夫だろう
仕留め切れれば万々歳、傷を負わせたいものだが果たして……

「フォーシスアーツ『炎天』」

焔が世界を焼く。その出処は魔剣ではなく、その鞘。熱量の貯蓄と解放を担い、魔剣を更なる高みへと導く役割だが……
別に攻撃に転用出来ない訳では無い・・・・・・・・・・・・・・・・
溜め込まれた熱を放出するだけで万象を焼き払うそれは彼女にしては珍しい近距離全方位攻撃。視界を奪われ、回避を強要されているという思考誘導を跳ね除けて導き出したたった一つの正解
それを生み出した

「紫呉をここまで追い詰めた人は久し振りです。やはり貴方を指名してよかった」

「ハハッ、冗談キツイぜ……」

咄嗟に盾を顕現させて後方に逃れたので致命傷は免れたが、男の身体は所々爆熱に晒されてかなりのフォーシスを削られている。対して、炎が舞う世界の中で涼やかに彼女は魔剣を構えてこちらを見据えている
これが最強。その名は伊達では無い

──────────────────────

「えっと……何が起こったか見えた?」

「わ、分かんない……」

交流戦ということで観戦に来ていた人はかなりの数となっている。しかし、その中でも先の攻防を完全に理解出来た人はひと握りしか存在していない。
閃光と破砕音と閃光と爆炎。ほんの僅かな攻防で、凡人が読み取れたのはここまでだ

「二人とも、デタラメな戦いをしてますね……」

「私の作ったウェポンが大活躍。ガッツリ金儲け出来るチャンスかも」

──────────────────────

「あぁ、先程の発言は訂正しましょう。貴方は紫呉が知る限り、最強のテトラウェポン使いです」

「そいつァどうも。最強の太鼓判があるんなら心強いぜ」

「なので、紫呉もこの技を使います。………コネクトアーツ『焦天』」

それはたった一度の敗北を経て生み出された技。心を読まれても、カウンターを放たれても、どんなに早くても倒す絶対焦土を顕現させるフォーシスアーツ
世界を焼き尽くす魔剣の神威、ただただ圧倒的な暴力で全てを薙ぎ払う『破滅の害枝レーヴァテイン』の銘に相応しき技。破滅と絶滅と焼滅が綯い交ぜになったかのようなそれは当然の如く戦場を蹂躙する

嬲るような焔が大地に蔓延る命を灰に変えるべく、地を這う逃れられぬ煉獄を生み出す

地上全てを焼き殺すと言わんばかりの焼け付く炎獄が、酸素を奪い去り命無き地獄を呼び覚ます

追い立てるように迫る猟犬の如き焔壁が、焼死の果てに冥府への入口を開く

だが、まだ終わりではない。この炎獄から逃れるために獲物は空に逃げるのだ。地上では、この絶対焦土では彼女の剣から逃れられない為に

故に、獲物を屠る為に魔剣は唸る

故に、空すら堕とす為に焔は嗤う

天すら焦がすのではない。天″まで″焦がすがためにこの絶技は『焦天』の名を与えられたのだ

炎の柱メタトロンもかくやと言わんばかりの絶滅しゅうえんが、炎の剣ケルビムすら凌駕する殲滅の王スルトが、本来不壊のはずの防御結界を突き抜けて遥かなる蒼空を焦がす。身も蓋もない表現をすればそれは極太のレーザー、少し跳ね返した程度では到底防ぎきれない絶望の具現。ましてや、『溶断』の力を持つかの武器を前に防御など許されるはずもない

──────────────────────

男は戦匠戦で見せた『閃光』の応用利用を用いて空へと逃れた。だが、天に向けて構えられようとしているその魔剣を見てまだ終わってはいないと悟る。残された手段は一か八かの賭け。失敗すれば即敗北のこの状況に「いつも通り」だと笑ってみせる

仮面のオプションを起動して動体視力を極限まで研ぎ澄ます。狙うは最初の一撃で紫呉が結界に刻み込んだ罅だ。手元に出現させた鎖鎌の刃をそこに滑らせる。神がかったその操作を極限状態の土壇場で成功させたのは悪運がなせる技か、はたまた歴戦の証明か
そしてすかさず起動させるオプション。『伸ばす』のではなく『縮める』それは構えられた絶対死滅のレーザーからの脱出を成功させた

「やりますね。ですが、それも想定済みです」

だが、安心など程遠い。彼女は確かに彼を『最強のテトラウェポン使い』と認めたのだ。そこに一切の油断など生じず、必ずや生き延びるという確信めいたものを持っていた。ならば、男のように彼女もまた詰めに掛かるのは当然の帰結だった

初手と同じく高速の斬撃。回避など許さないと迫るそれに男はガントレット型のテトラウェポンを起動する。防御不可の炎斬、その回避のためには多少の犠牲はやむを得ないと男は無理な体勢から結界にガントレットを起動してオプションを起動する

「『インパクト』ォ!」

文字通り弾け飛ぶように男は己が産んだ衝撃に吹き飛ばされる。あまりの衝撃に肩が外れるが、地面にぶつかる時に位置を調整して肩から落ちることで無理やりはめる。常人ならば絶叫するほどの痛みだが、男は顔を顰めるだけで立ち上がる
未だ地面に炎は燻っているが、最初ほどではないため活動は可能だ。一方的、そう表現するべき戦いだがこの時点でまだ立っている男も相当の怪物だ。ここまでの攻防で常人ならば幾度倒されているだろうか

努めて冷静に男は思考する。彼我の戦力差は圧倒的に乖離している。ならば、勝つ戦いから相打ち狙いの戦い方に切り替える必要がある。その僅かな変化に気が付いたのか、少女は笑う
この戦闘が長引くことはない。当たり前のように焼き殺されるか、隙を作り出して穿つかの二択のみ

閃光と破砕音

万象を焼き絶つ神速の一撃が放たれる。なんの冗談か、先程よりも速い。戦闘中に進化する相手はこれだからと内心で悪態をつきながらも残り少ないフォーシスを乱雑に使って最大出力の『ゲイル』で灼熱の世界を駆ける。彼が駆けた地面は抉れるように砕けており、その加速が如何程に速いのか、その制御を見事成立させている彼の戦闘技術が如何に高みに到達しているのかを物言わずに弁証している
居合の構え取る最強。焼き滅ぼすその刀での迎撃はそれだけで攻撃足り得る。だが、受けに回ったこの好機を逃す男ではない
手元に出現させるのはショットガン型のテトラウェポン。オプションは『ブラスト』、着弾地点で破裂する凶悪兵器を放つも当然の如く『炎天』で全てを焼き溶かされる。だが、それでいい。この一瞬のみ彼女の視界は塞がっている。この好機を彼女は逃さず男を仕留めに来るだろう、だがそれは男も同じなのだ

「「フォーシスアーツ」」

互いにこの一撃が終幕と理解している。故に、冗長と理解しているが切り札を起動。相手に敬意を表し、最強の一撃を以て沈めるのみ

「『神紅羅』」

「『雷切』」

爆音と轟音。世界を揺るがすそれは終焉を知らせる角笛の如く鳴り渡る




《試合終了》




射程無限の超高温を纏った抜刀術『神紅羅』
幾人もの猛者を斬り捨てたそれは男を引き裂き、ついでに結界すらも斬り捨てて後ろの観客席までぶった斬っていた。居合の構えを取った時点で対比が始まっていたので怪我人は居ないが、なんともデタラメな火力である

「かなり……痺れますね」

しかし、男の一太刀も届いて″は″いた。稲妻を纏い一閃、ただそれだけの技だが余計なモノが削ぎ落とされたが故に鋭く速いのだ

一太刀を受け、痺れはしたものの最強は戦場に立ったまま。この結果は必然と言えよう。最強の武器に、最高の才能、そしてそこに弛まぬ鍛錬が加われば敗北しろという方が難しい
しかし、彼女としては満足のいく結果だったようだ

「傷を負ったのはいつ以来でしょうか……」

などと、末恐ろしいことを言いながら少女は半壊した闘技場を後にした

──────────────────────

「無理」

保健室のベッドの上で目を覚ましていの一番に男は一言

「いや、むしろあそこまでよく頑張ったほうだろ。一週間くらい学校サボっても許される快挙だろ。怪物は怪物と戦わせろよ……」

「そ、そこまで言われると傷付きます……」

ガラガラと保健室の扉を開けて申し訳なさそうな顔付きの紫呉最強が入ってくる。その後ろにはいつものメンバーが揃っており、とても賑やかだ

「ヘキサウェポンを持たない一般人を対戦相手に指名するな……次は仮病使ってでも逃げるからな」

「あれで一般人を名乗るのはちょっと難しいかと」

「ん、お陰でガッツリ丸儲け。企業からの案件もウハウハ」

「流石私のパートナー候補、と言ったところですね。お疲れ様」

「お前それ最近鳴き声になってないか?」

「エリーは最近ワンコ属性も獲得しつつあるので、私としてはとても……」

面倒だ……
ええい、怪我人枠なのだからもう少し静かにして欲しいぞ。俺は無駄に神経を削ったから疲れたんだ

「そういえば……」

ふと、紫呉が思い出したかのように言葉をこぼす

「貴方ほどの猛者ならばヘキサウェポンを持つに値しますし、この学園に適合するものがなかったのならばオータリア学園うちのヘキサウェポンで検査してみますか?」

「それは……」

「ん、事実上の引き抜き宣言?」

「まぁ、私としては『風鷹戦ソロ』意外で君と戦える可能性が出てくるので構わないよ。別に、戦おうと思えばどこでも戦えるし」

「え、あ、いや別にそんなことじゃないですよ?ただ、テトラウェポンだけでここまで強いならヘキサウェポンを持てばおもし……更なる飛躍となるのではないかと」

コイツも戦闘狂か。はぁ……何故こうも戦闘狂ばかりが集まるのだ……
いや、確かに俺も戦闘狂だ。しかし、それは戦場の上でのみ。普段はなるべーく、争いが起こらないように注力している一般人。そう、俺は一般人なのだ

はぁ……いや、全然そんなことはないのは一応理解しているがこの馬鹿共と相対的に性根が一般人であるとは主張したくなる

「ということで、今すぐ私と試合しようよ。あんなの見せられたら滾るってもんでしょ」

「エリーステイ。貴方、あの試合の後何人をボコボコにしたか忘れたのですか」

「ノラは今まで食べたパンの枚数を一々覚えてる?」

「こいつ毒電波を……」

「私としては、純粋にテトラウェポンだけで対決してみたいという気持ちもありますね。私の太刀筋を幾度も良けれる人なんてあまり居ませんし、修行にもってこいです」

「それなら私も……」

急速に顔が青褪めていくのが分かる。こいつらの目は本気マジだ。一切の疑いの余地もなく疲れてオフモードの俺を戦場に連れ戻そうとしている
金髪バーサーカーヴィントホーゼ最強バーサーカー紫呉銀髪バーサーカーアルマ……いや、冗談抜きで死ぬのでは?

「お前ら自身で戦っとけよ。俺は疲れた」

「それはそれで魅力的ですけれど……」

「君、追い詰められている時の方が強いでしょ?だからこうして適度に追い込むと、面白い感じに仕上がるということだよ」

悪魔みたいな笑顔で金髪バーサーカーヴィントホーゼはクソみたいなことをほざきやがる
この後、マジで三連戦やらされたとだけ記しておく。俺、この任務放り出そうかな………
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