19 / 23
第19話 遠い記憶の物語(前編)
しおりを挟む
ここは神々が住む天界、
ディセルネが誕生する少しだけ前の時間軸――――
「おお、世界の芽が生まれとる。実に500年ぶりじゃな」
水鏡から顔を上げた創造神デウスが、感嘆の声をあげた。
「デウス様、今世界の芽と……」
白く淡い輝きを放つ髪を靡かせ、デウスに近寄ってきた1人の男性。
一見すると女神かと見紛うほどに中性的な美しさを放つその神は、期待に目を輝かせてやってきた。
「小さな芽が生まれとるんじゃ。さあ、これから忙しくなる。ユーデル、皆をここに集めてくれぬか?」
「はっ、はい。こうしてはいられません、急がなくては」
風を切るようにサッと向きを変えたユーデル。
すれ違う神々に吉報を伝えてまわる彼の声は、まるで春の到来を告げるかのような浮き足立つものだった。
「ユーデル様?なんだか嬉しそうに見えますが……、何かあったのですか?」
駆け足ともとれる彼のスピードに、ピッタリと寄り添う一匹の白い狼。
「あぁヤーナ、君は初めてだったね?今から新たな神が誕生するんだよ」
「新たな神様がですか?」
「そうだよ、世界の芽が生まれると我々神が神力を使って祈るんだ。そして、その祈りから世界の芽を守護する神を誕生させるんだよ」
「俺みたいに、神様の神力から生まれるのか……」
「まぁ、そうなるね。でも、ヤーナは私の命のカケラと神力で生まれただろ?今から誕生する神は、命のカケラは使わないんだよ」
「……何が違うんですか?」
「我々は祈りに各々が持てる知識や経験、想いを込めて神力を練り上げる。それを融合させて新たな神の命とするんだ」
「……なんだか難しいです。つまり神様方にとっては、自分たちの想いの分身?みたいなものなんでしょうか?」
ふと足を止めたユーデルは、自分の顔の高さにあるヤーナの頭に手を乗せた。
フワフワとした白い毛並みに、彼自身の指を滑らせるように優しく撫でながら微笑む。
「そうかも知れないね。でも、私にとっては家族のような存在なんだよ。神は人間とは違って、親の腹からは生まれない。親子や兄弟のような関係性を語るのはおかしいのかもしれない……。それでも私は、その温かな繋がりに憧れているんだ」
*****
四方を白い柱が囲う祈りの間――――
中央に位置する泉に沿って、十余りの神々が陣を取る。
各々が神力を練り上げ始め、深く長い祈りに入った。
その様は神々で異なり、立ったまま両手を組む者、両膝を床につき瞑想する者、天高く手掌を突き上げる者。
それぞれの神が、個々の仕様で新たな命の元を生み出す。
これを世界の芽が生まれるたびに、神々は繰り返してきた。
一瞬、水を打ったかのような静謐な空気が吹き上がった。それと同時に、神々の胸元から光の線が立ち上がったかと思うと、瞬く間にそれらは泉の中心へと吸い込まれていく。
それを合図に神々は祈りを解いて、泉をじっと見守った。
やがて花の蕾にも似た何かが水面に浮き上がると、重力を無視して宙に位置する。
「さあ、いよいよ新たな神の誕生じゃ」
創造神デウスの声に、周りの期待が蕾に集まる。
「……」
「っえ?」
「な、なぜ?」
数分の後、困惑を宿した声が祈りの間に反響し出した。
「……デウス様」
焦りの滲んだ声でユーデルが、創造神デウスに視線を向ける。
「こんな事は、初めてじゃ……。
世界の芽そのものが脆弱だったのか、我らの祈りが形にならんかったのか……。
この命は……、育たぬかもしれぬ」
低く深いデウスの声は、神々に諦めを覚悟させる響きとなった。
「仕方ない……」
現状を受け入れ始めた神々の声が、一つまた一つと祈りの間に落ちた。
ただユーデルだけはデウスの元に駆け寄って、可能性を口にする。彼の前に膝を折ると、まるで祈るかのように。
「そんな……、まだ“新たな世界”も、この“神の命”も、芽吹くかも知れないではありませんか!
デウス様、もうしばらく私にこの子を見守らせてください。私の神力で……、この命を……」
深く大きく息を吐いたデウスは、静かに告げる。
「なぜそこまでして、この命にこだわるのじゃ?そもそも命になり得るかもわからんのだぞ。
……それほど其方が願うのであれば、やってみなさい。ただし、期限は一年とする。これ以上は其方の魂の負担となり得る。よいな?」
「はい、ありがとうございます」
*****
「ユーデル様?今から祈りの間ですか?」
「そうだよ、ヤーナも一緒においで。あの子に“早く出ておいて”って話しかけよう」
ユーデルと共に歩くのは、神獣ヤーナ。
かれこれもう十ヶ月、彼らは日に幾度も祈りの間へと足を運んでいる。
「ユーデル様、少し休まれたらどうですか?最近お顔の色が優れませんよ」
心配を滲ませたヤーナに、彼は微笑む。
「大丈夫、心配してくれてありがとうヤーナ。でも、あと少しであの子が誕生する気がするんだ」
「それ、もう十ヶ月ずっと言ってますよね?」
「そうだったかな?
ほら、あの子のいる蕾、今日はなんだか淡く光って見えるでしょ?」
泉に浮かぶ蕾の輪郭が、ほんの僅かに光を帯びていた。
「さあ、ディセルネ、パパだよ。早く出ておいで」
「ユーデル様……、いつからパパになったんですか?それにディセルネって」
「ん?最初からだけど」
「いや、最初からって。名前もいつ決めたんですか?」
ふわっと微笑んだユーデルは、ヤーナの頭を優しく撫でる。
「この子の命を守ると決めた時だよ。それに、この子の命は私の神力で繋いでいるでしょ?それってもう私の子どもだよね」
「ああ、そういう理屈ですか……」
「理屈って言うけど、よく考えてごらん。つまりは君の妹か弟って事にもなるよね?だってヤーナは私の命のカケラと神力で生まれたんだから」
「俺の……」
穏やかに目を細めたユーデルはゆっくりと泉に足を進めると、蕾を抱きしめるように神力を注ぎ始めた。
やがて一筋の光が天高く立ち上る――――
まるで花弁が開くように、固く閉じていた蕾が綻び始める。
最後の一枚が泉に落ちると、そこには言葉にならないほどに美しい少女が眠っていた。
「待っていたよ、ディセルネ」
ディセルネが誕生する少しだけ前の時間軸――――
「おお、世界の芽が生まれとる。実に500年ぶりじゃな」
水鏡から顔を上げた創造神デウスが、感嘆の声をあげた。
「デウス様、今世界の芽と……」
白く淡い輝きを放つ髪を靡かせ、デウスに近寄ってきた1人の男性。
一見すると女神かと見紛うほどに中性的な美しさを放つその神は、期待に目を輝かせてやってきた。
「小さな芽が生まれとるんじゃ。さあ、これから忙しくなる。ユーデル、皆をここに集めてくれぬか?」
「はっ、はい。こうしてはいられません、急がなくては」
風を切るようにサッと向きを変えたユーデル。
すれ違う神々に吉報を伝えてまわる彼の声は、まるで春の到来を告げるかのような浮き足立つものだった。
「ユーデル様?なんだか嬉しそうに見えますが……、何かあったのですか?」
駆け足ともとれる彼のスピードに、ピッタリと寄り添う一匹の白い狼。
「あぁヤーナ、君は初めてだったね?今から新たな神が誕生するんだよ」
「新たな神様がですか?」
「そうだよ、世界の芽が生まれると我々神が神力を使って祈るんだ。そして、その祈りから世界の芽を守護する神を誕生させるんだよ」
「俺みたいに、神様の神力から生まれるのか……」
「まぁ、そうなるね。でも、ヤーナは私の命のカケラと神力で生まれただろ?今から誕生する神は、命のカケラは使わないんだよ」
「……何が違うんですか?」
「我々は祈りに各々が持てる知識や経験、想いを込めて神力を練り上げる。それを融合させて新たな神の命とするんだ」
「……なんだか難しいです。つまり神様方にとっては、自分たちの想いの分身?みたいなものなんでしょうか?」
ふと足を止めたユーデルは、自分の顔の高さにあるヤーナの頭に手を乗せた。
フワフワとした白い毛並みに、彼自身の指を滑らせるように優しく撫でながら微笑む。
「そうかも知れないね。でも、私にとっては家族のような存在なんだよ。神は人間とは違って、親の腹からは生まれない。親子や兄弟のような関係性を語るのはおかしいのかもしれない……。それでも私は、その温かな繋がりに憧れているんだ」
*****
四方を白い柱が囲う祈りの間――――
中央に位置する泉に沿って、十余りの神々が陣を取る。
各々が神力を練り上げ始め、深く長い祈りに入った。
その様は神々で異なり、立ったまま両手を組む者、両膝を床につき瞑想する者、天高く手掌を突き上げる者。
それぞれの神が、個々の仕様で新たな命の元を生み出す。
これを世界の芽が生まれるたびに、神々は繰り返してきた。
一瞬、水を打ったかのような静謐な空気が吹き上がった。それと同時に、神々の胸元から光の線が立ち上がったかと思うと、瞬く間にそれらは泉の中心へと吸い込まれていく。
それを合図に神々は祈りを解いて、泉をじっと見守った。
やがて花の蕾にも似た何かが水面に浮き上がると、重力を無視して宙に位置する。
「さあ、いよいよ新たな神の誕生じゃ」
創造神デウスの声に、周りの期待が蕾に集まる。
「……」
「っえ?」
「な、なぜ?」
数分の後、困惑を宿した声が祈りの間に反響し出した。
「……デウス様」
焦りの滲んだ声でユーデルが、創造神デウスに視線を向ける。
「こんな事は、初めてじゃ……。
世界の芽そのものが脆弱だったのか、我らの祈りが形にならんかったのか……。
この命は……、育たぬかもしれぬ」
低く深いデウスの声は、神々に諦めを覚悟させる響きとなった。
「仕方ない……」
現状を受け入れ始めた神々の声が、一つまた一つと祈りの間に落ちた。
ただユーデルだけはデウスの元に駆け寄って、可能性を口にする。彼の前に膝を折ると、まるで祈るかのように。
「そんな……、まだ“新たな世界”も、この“神の命”も、芽吹くかも知れないではありませんか!
デウス様、もうしばらく私にこの子を見守らせてください。私の神力で……、この命を……」
深く大きく息を吐いたデウスは、静かに告げる。
「なぜそこまでして、この命にこだわるのじゃ?そもそも命になり得るかもわからんのだぞ。
……それほど其方が願うのであれば、やってみなさい。ただし、期限は一年とする。これ以上は其方の魂の負担となり得る。よいな?」
「はい、ありがとうございます」
*****
「ユーデル様?今から祈りの間ですか?」
「そうだよ、ヤーナも一緒においで。あの子に“早く出ておいて”って話しかけよう」
ユーデルと共に歩くのは、神獣ヤーナ。
かれこれもう十ヶ月、彼らは日に幾度も祈りの間へと足を運んでいる。
「ユーデル様、少し休まれたらどうですか?最近お顔の色が優れませんよ」
心配を滲ませたヤーナに、彼は微笑む。
「大丈夫、心配してくれてありがとうヤーナ。でも、あと少しであの子が誕生する気がするんだ」
「それ、もう十ヶ月ずっと言ってますよね?」
「そうだったかな?
ほら、あの子のいる蕾、今日はなんだか淡く光って見えるでしょ?」
泉に浮かぶ蕾の輪郭が、ほんの僅かに光を帯びていた。
「さあ、ディセルネ、パパだよ。早く出ておいで」
「ユーデル様……、いつからパパになったんですか?それにディセルネって」
「ん?最初からだけど」
「いや、最初からって。名前もいつ決めたんですか?」
ふわっと微笑んだユーデルは、ヤーナの頭を優しく撫でる。
「この子の命を守ると決めた時だよ。それに、この子の命は私の神力で繋いでいるでしょ?それってもう私の子どもだよね」
「ああ、そういう理屈ですか……」
「理屈って言うけど、よく考えてごらん。つまりは君の妹か弟って事にもなるよね?だってヤーナは私の命のカケラと神力で生まれたんだから」
「俺の……」
穏やかに目を細めたユーデルはゆっくりと泉に足を進めると、蕾を抱きしめるように神力を注ぎ始めた。
やがて一筋の光が天高く立ち上る――――
まるで花弁が開くように、固く閉じていた蕾が綻び始める。
最後の一枚が泉に落ちると、そこには言葉にならないほどに美しい少女が眠っていた。
「待っていたよ、ディセルネ」
0
あなたにおすすめの小説
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる