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魔族の潜む街
よくここまで来れましたね
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エストワ邸に到着するが、やはり門番も見回りも誰もいない。
さっきから騒いでるし俺がここにいるのもバレているはずなのに、見張りもいないってことはこの先に罠が待っているのか完全に舐められているってことか。
堂々と門から入るが罠も無し。
どうやら人間だからと完全に舐められているらしい。
そのまま真直ぐ館に入り館の捜索を始める。
「完全な無人なのか? 【スキャン】」
俺の足元から魔法陣が広がり、館の内部を全て確認する。
二階にある応接室の奥から人型の何かを感知した。
おそらくヴェルモンドとエストワだろう。
そしてそれ以外に屋敷の中にいる人物は誰もいない。
魔法を使い二人が移動していないかを確認しながら二人のいる方に歩いていく。
もう二人のいる部屋の扉が見えた時、その扉が盛大に破壊された。
そして破壊される扉の向こうから何かが猛烈な速度で近づいてきた。
「邪魔者は殺す」
突進してくるのはエストワだった。
武器も持たないエストワを取り押さえようと身構えるが、エストワは自分の腕を壁にめり込ませ力任せに振り切る。
壁を石礫にしての攻撃に威力はないが、目くらましの効果は十分で一瞬で俺の目の前に来ていた。
目の前で俺を覗くエストワの目は換金所の男と同じで虚ろだ。
それに壁を抉る力に体は耐えられないらしく、腕はボロボロになっている。
完全に操られてるな。
自分の身を顧みない怪力は壁から柱を抜き、武器にして殴りかかってくる。
このままだとこいつの体が壊れてしまう。
「【キャプチャー】」
魔法を唱えエストワを捕縛する。
しかし捕縛されているはずのエストワはその状態でも攻撃を仕掛けてくる。
体を反らし自分の体を武器にして俺に攻撃を続ける。
俺が避ければそれだけエストワの体は床や壁に打ち付けられる。
このままでは死んでしまうと俺はエストワの攻撃を全て受け止める。
「【ファイアボール】」
奥の部屋から魔法が通路を塞ぐほどの火の球が放たれた。
俺がエストワを殺さないと察し、エストワごと一緒に焼き払うつもりか。
「【ウォーターボール」】
エストワが燃えてしまわないように水の魔法でエストワを捕らえる。
これなら暴れても自分の体を傷つけることはない。
俺はすぐさま駆け出し、相手の攻撃を剣で切り裂き奥の部屋に向かう。
「よくここまで来れましたね。流石グリーンスライムを倒した男だ」
ヴェルモンドは手の平で仮面を弄りながら椅子に座っていた。
すでに魔法は放てる状態で待機しており、数十の魔法陣で部屋は埋まっていた。
「お前はイクシル邸の地下で何を作っていた?」
「生物の繁殖をさせました。人間もドラゴンも私が無理矢理に繁殖させ、魔族になる生物を作っていました。過度のストレスを与え、無意味に暴力を振るったり――」
「もういいしゃべるな。今からお前を殺す」
外道を平気で行うヴェルモンドに怒りを通り越して殺意を覚えた。
魔族の中でも特別いかれているこいつを放置しておくなんてできやしない。
「この状況でそこまで言えるなんて大したものだ」
ヴェルモンドの意思に魔法が一斉に発動する。
魔法陣からは水の槍や、炎の玉、雷の矢が俺に向かって一瞬で発動する。
俺に向けられた魔法を全て剣で打ち落とす。
「まさか一つも当たらないとは、ただの人間がどれだけの力を持っているんだ?」
「これくらいだよ【レイ】」
魔法を唱えると夜の世界が眩い光に照らされ昼の様な明るさになる。
そしてその閃光が放つ熱はこの館の天井を一瞬で溶かし、ヴェルモンドに降り注ぐ。
「驚いたよ……。スライムの核が無ければ死んでいた……、ここまで恐怖を感じたのは久しぶりです……」
ヴェルモンドは今の攻撃を防いでいた。
手には半分に切られているスライムの核を握られていた。
しかし半分になっている核では体全てを守り切れないようで、体の半分は黒く焦げていた。
あのスライムの核は換金所で俺達が換金した核だろう。
あそこで手に入れた素材は全てヴェルモンドの手に渡っていたわけだ。
「それなら今度は叩き切ってやるよ」
「本当に切り殺していいんですか?」
ボロボロの体でヴェルモンドは笑みを作る。
何か逆転する手があるのか?
どっちみち、首をはねればそれで終わりだ。
俺は剣をヴェルモンドの首元目掛け力一杯に振る。
「私を殺せば、二人の少女が大変な目に遭いますよ」
その言葉に俺の手は止まる。
こいつなんでノノだけじゃなくフランの事まで知ってるんだ?
「私が操り人形にしている連中が見ている景色を見れるんですよ」
「それがどうしたんだ?」
「今あなたがここに居る間にこの町の犯罪者を全て彼女たちの元にいます」
嫌な考えが頭をよぎる。
「あっけなく捕獲しています。服も装備も全て取り上げられ裸になっている可憐な少女二人を前に犯罪者が何もされずに済むと思いますか?」
「この下種野郎……」
「それでいいなら殺して洗脳を解除すればいい。あなたが駆けつけたころには面白いことになっていますよ。今私を殺せば少女達は尊厳もなく玩具の様に使われ命も無くなりますがよろしいですか?」
俺はヴェルモンドを放置し宿に向けて走り出す。
「そう、それでこそ人間です」
何が守るから安心しろだよ。
結局二人を守れてなんていないじゃないか。
怖い目に合わせ、危険な目に合わせただけだ。
何が勇者だ何が最強だ。
そんなものが何の役にも立ちやしない。
全力で町をかけ宿屋に着くと俺は自分の目を疑った。
宿屋の前には町の人達が転がっており、宿の屋根は消え周辺の家も瓦礫同然に破壊されていた。
「フラン、ノノどこだ!?」
俺がそう声をかけると、壊れた宿屋から顔が二つ覗いていた。
「タクト様! ご無事でしたか」
「お兄さんが無事に戻ってきてくれて嬉しいです!」
急いで二階まで向かうと、二人には傷一つないらしい。
多少汚れているが、それはこの崩壊した埃だろう。
「二人とも無事か? 何かされたりしてないか?」
「少し危なかったですけど大丈夫です」
「大きな棍棒を担いだメイサって人が助けてくれましたので」
さっきのあいつか。
てっきり帰ったと思っていたが二人を助けに来てくれたのか。
ってことはヴェルモンドにまんまと騙されたわけか。
逃がしたことは残念だが、二人が無事でよかった。
そう思った時地面が小さく揺れた。
そして縛られている町の人達は意識を取り戻したらしく夜のはずなのに周囲が騒がしくなった。
さっきから騒いでるし俺がここにいるのもバレているはずなのに、見張りもいないってことはこの先に罠が待っているのか完全に舐められているってことか。
堂々と門から入るが罠も無し。
どうやら人間だからと完全に舐められているらしい。
そのまま真直ぐ館に入り館の捜索を始める。
「完全な無人なのか? 【スキャン】」
俺の足元から魔法陣が広がり、館の内部を全て確認する。
二階にある応接室の奥から人型の何かを感知した。
おそらくヴェルモンドとエストワだろう。
そしてそれ以外に屋敷の中にいる人物は誰もいない。
魔法を使い二人が移動していないかを確認しながら二人のいる方に歩いていく。
もう二人のいる部屋の扉が見えた時、その扉が盛大に破壊された。
そして破壊される扉の向こうから何かが猛烈な速度で近づいてきた。
「邪魔者は殺す」
突進してくるのはエストワだった。
武器も持たないエストワを取り押さえようと身構えるが、エストワは自分の腕を壁にめり込ませ力任せに振り切る。
壁を石礫にしての攻撃に威力はないが、目くらましの効果は十分で一瞬で俺の目の前に来ていた。
目の前で俺を覗くエストワの目は換金所の男と同じで虚ろだ。
それに壁を抉る力に体は耐えられないらしく、腕はボロボロになっている。
完全に操られてるな。
自分の身を顧みない怪力は壁から柱を抜き、武器にして殴りかかってくる。
このままだとこいつの体が壊れてしまう。
「【キャプチャー】」
魔法を唱えエストワを捕縛する。
しかし捕縛されているはずのエストワはその状態でも攻撃を仕掛けてくる。
体を反らし自分の体を武器にして俺に攻撃を続ける。
俺が避ければそれだけエストワの体は床や壁に打ち付けられる。
このままでは死んでしまうと俺はエストワの攻撃を全て受け止める。
「【ファイアボール】」
奥の部屋から魔法が通路を塞ぐほどの火の球が放たれた。
俺がエストワを殺さないと察し、エストワごと一緒に焼き払うつもりか。
「【ウォーターボール」】
エストワが燃えてしまわないように水の魔法でエストワを捕らえる。
これなら暴れても自分の体を傷つけることはない。
俺はすぐさま駆け出し、相手の攻撃を剣で切り裂き奥の部屋に向かう。
「よくここまで来れましたね。流石グリーンスライムを倒した男だ」
ヴェルモンドは手の平で仮面を弄りながら椅子に座っていた。
すでに魔法は放てる状態で待機しており、数十の魔法陣で部屋は埋まっていた。
「お前はイクシル邸の地下で何を作っていた?」
「生物の繁殖をさせました。人間もドラゴンも私が無理矢理に繁殖させ、魔族になる生物を作っていました。過度のストレスを与え、無意味に暴力を振るったり――」
「もういいしゃべるな。今からお前を殺す」
外道を平気で行うヴェルモンドに怒りを通り越して殺意を覚えた。
魔族の中でも特別いかれているこいつを放置しておくなんてできやしない。
「この状況でそこまで言えるなんて大したものだ」
ヴェルモンドの意思に魔法が一斉に発動する。
魔法陣からは水の槍や、炎の玉、雷の矢が俺に向かって一瞬で発動する。
俺に向けられた魔法を全て剣で打ち落とす。
「まさか一つも当たらないとは、ただの人間がどれだけの力を持っているんだ?」
「これくらいだよ【レイ】」
魔法を唱えると夜の世界が眩い光に照らされ昼の様な明るさになる。
そしてその閃光が放つ熱はこの館の天井を一瞬で溶かし、ヴェルモンドに降り注ぐ。
「驚いたよ……。スライムの核が無ければ死んでいた……、ここまで恐怖を感じたのは久しぶりです……」
ヴェルモンドは今の攻撃を防いでいた。
手には半分に切られているスライムの核を握られていた。
しかし半分になっている核では体全てを守り切れないようで、体の半分は黒く焦げていた。
あのスライムの核は換金所で俺達が換金した核だろう。
あそこで手に入れた素材は全てヴェルモンドの手に渡っていたわけだ。
「それなら今度は叩き切ってやるよ」
「本当に切り殺していいんですか?」
ボロボロの体でヴェルモンドは笑みを作る。
何か逆転する手があるのか?
どっちみち、首をはねればそれで終わりだ。
俺は剣をヴェルモンドの首元目掛け力一杯に振る。
「私を殺せば、二人の少女が大変な目に遭いますよ」
その言葉に俺の手は止まる。
こいつなんでノノだけじゃなくフランの事まで知ってるんだ?
「私が操り人形にしている連中が見ている景色を見れるんですよ」
「それがどうしたんだ?」
「今あなたがここに居る間にこの町の犯罪者を全て彼女たちの元にいます」
嫌な考えが頭をよぎる。
「あっけなく捕獲しています。服も装備も全て取り上げられ裸になっている可憐な少女二人を前に犯罪者が何もされずに済むと思いますか?」
「この下種野郎……」
「それでいいなら殺して洗脳を解除すればいい。あなたが駆けつけたころには面白いことになっていますよ。今私を殺せば少女達は尊厳もなく玩具の様に使われ命も無くなりますがよろしいですか?」
俺はヴェルモンドを放置し宿に向けて走り出す。
「そう、それでこそ人間です」
何が守るから安心しろだよ。
結局二人を守れてなんていないじゃないか。
怖い目に合わせ、危険な目に合わせただけだ。
何が勇者だ何が最強だ。
そんなものが何の役にも立ちやしない。
全力で町をかけ宿屋に着くと俺は自分の目を疑った。
宿屋の前には町の人達が転がっており、宿の屋根は消え周辺の家も瓦礫同然に破壊されていた。
「フラン、ノノどこだ!?」
俺がそう声をかけると、壊れた宿屋から顔が二つ覗いていた。
「タクト様! ご無事でしたか」
「お兄さんが無事に戻ってきてくれて嬉しいです!」
急いで二階まで向かうと、二人には傷一つないらしい。
多少汚れているが、それはこの崩壊した埃だろう。
「二人とも無事か? 何かされたりしてないか?」
「少し危なかったですけど大丈夫です」
「大きな棍棒を担いだメイサって人が助けてくれましたので」
さっきのあいつか。
てっきり帰ったと思っていたが二人を助けに来てくれたのか。
ってことはヴェルモンドにまんまと騙されたわけか。
逃がしたことは残念だが、二人が無事でよかった。
そう思った時地面が小さく揺れた。
そして縛られている町の人達は意識を取り戻したらしく夜のはずなのに周囲が騒がしくなった。
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