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囚われの町トクレス
心配かけてごめんなさい
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「フランちゃん、そろそろ起きて。今日はアレックスさんの仕事を手伝うんだよ」
七度目の朝、いつもと同じ起こされ方で目を覚まします。
昨日で町は一通り探し終わりましたが、いまだに魔道具は見つかっていません。
「ノノ、フランは今日休ませる。俺達だけで行こう」
「そうですね」
「私も行きます」
「ダメ、今日は一日安静にしてること」
「あうっ……」
ベッドから起きようとするとノノちゃんに抑えられ再びベッドに倒れ込んでしまいます。
「お兄さんは先に行っていてください、すぐに行きますから」
タクト様はそのまま部屋を出て行ってしまいました。
ノノちゃんは何か忘れ物でもあるんでしょうか。
「フランちゃん、昨日何をしていたかわからないけど無理はダメだよ。一日でそうなるなんて余程の事なんだからね」
「うん、ごめんなさい」
「だから今日はベッドから動いちゃダメだよ。私達も終わったらすぐに戻ってくるから」
「でも――」
「でもじゃない。お兄さんも少し怒ってるんだからね」
そう言われては何も言えません。
今日一日は大人しくしていましょう。
「心配かけてごめんなさい」
「じゃあ、行ってくるから」
ちょうど町の探索も終わった所ですから、これでよかったのかもしれません。
この一週間ほぼ寝ないで活動してましたし、正直体がいうことを聞いてくれません。
休むと決めると今まで起きようとしていた体から力が抜けていきます。
体が活動を止めると、頭もそれに引きずられすぐに眠りにつくことが出来ました。
†
ゆっくりと意識が浮上してきます。
瞼は依然として重く、開けるのは億劫です。
そんな私の隣で、誰かが紙をめくる音が聞こえてきます。
一定の間隔で紙をめくり、時折笑っているのか声が漏れ聞こえます。
いくらか軽くなった瞼を持ち上げると、隣でタクト様が本を読んでいました。
「ん、フラン体調は大丈夫か? ぐっすり眠ってたな」
寝顔を見られていたようで恥ずかしさがこみ上げてきました。
「おはようございます、それとごめんなさい」
寝ぼけた顔を見られたくなくて布団で顔を隠します。
「元気になったならそれでいいよ。それで昨日は何をしてたんだ?」
タクト様の手が私の頭に触れます。
寝起きですし汗ばんだりしてないでしょうか……、もしそう思われていたら生きていけそうにないので聞きません……。
私はこれまでの事を伝えます。
正直もうお手上げです。
私一人でなんとかできる事じゃありませんでした。
それに気がつかない程頭が働いていませんでした。
「教会とかは調べたか?」
「はい。教会を見ても違和感はありませんでした」
何度か向かいましたが違和感は何もありませんでした。
「それなら井戸は何個あったんだ? 後は屠殺場とかはどうだ?」
「井戸は四つです。屠殺場はここには無いみたいです」
「じゃあ、ノノが戻ってきたら井戸を全部回るぞ。そこのどれかに魔道具がある」
はっきりと断定したタクト様は晩ご飯を持ってきてくれたノノちゃんの手を引き三人で井戸に向かいます。
「先に理由を教えてくれてもいいじゃないですか。裏切った件で井戸に沈められるのかと思いましたよ」
突然連れてこられたノノちゃんは、不満たらたらで井戸にお兄さんを下ろしていきます。
「ごめんね。タクト様の勢いに乗せられちゃって」
そして急にロープから重さが消えます。
どうやらタクト様は無事井戸の下に着いたらしいです。
そしてしばらくバシャバシャと井戸の底を探していましたが見つからなかったようです。
「ここには無かった。次に行くぞ」
「タクト様、なんで井戸なんですか?」
勢いに乗せられてここまで来ましたが、聞きたいことを聞くことにしました。
「町の中で唯一自然な環境だからな。教会や屠殺場の可能性もあるけど、そこを調べたってことは残るのは井戸だけだ」
言われれば確かに井戸は自然で沸いた水を使っていますから自然です。
井戸はどこにでもあって人工物だと思っていたので、調べることはなかったです。
感心しながら二つ目の井戸も調べ、三つ目の井戸に着いた時には日は完全に落ち夜がやってきました。
「ビンゴだな」
タクト様は一目見ただけでそう言い切りました。
そしてタクト様は井戸に近づいていきます。
私には本当にここに魔道具が眠っているのか疑問を持っています。
それは突然力を発揮しました。
背中に氷を入れらた様な感覚が襲ってきたかと思うと、タクト様は動きを止めました。
「タクト様! ノノちゃん、タクト様が――」
声をかけた時にはノノちゃんの顔が変わっていました。
そして私にも唐突な眠気が襲ってきました。
これはいつものだ……。
私は眠気に抗うために唇と強く噛み締めます。
それが功を奏したのか、眠気は晴れていきます。
初めて完全に抗えましたが、タクト様とノノちゃんは虚ろな目になり、宿の方に戻っていきました。
一度引いた方がいいのかもしれませんが、ここで引いても結局何も変わりません。
無謀だと思いながらも私は井戸に近づきます。
そこまで見えるほどに綺麗な井戸の水の中に一本の剣が見えました。
「お前はなんで眠らないの?」
突然聞こえた女性の声に周囲を見ても誰もいません。
もしかして井戸に沈むこの剣が話しているのでしょうか?
「あなたが話しているのでしょうか?」
私の問いかけに答えてくれる気はないようです。
「ぐぅ、ぐぅ」
違いました答える以前に眠っているようです。
この剣は一体なんなんでしょう……。
七度目の朝、いつもと同じ起こされ方で目を覚まします。
昨日で町は一通り探し終わりましたが、いまだに魔道具は見つかっていません。
「ノノ、フランは今日休ませる。俺達だけで行こう」
「そうですね」
「私も行きます」
「ダメ、今日は一日安静にしてること」
「あうっ……」
ベッドから起きようとするとノノちゃんに抑えられ再びベッドに倒れ込んでしまいます。
「お兄さんは先に行っていてください、すぐに行きますから」
タクト様はそのまま部屋を出て行ってしまいました。
ノノちゃんは何か忘れ物でもあるんでしょうか。
「フランちゃん、昨日何をしていたかわからないけど無理はダメだよ。一日でそうなるなんて余程の事なんだからね」
「うん、ごめんなさい」
「だから今日はベッドから動いちゃダメだよ。私達も終わったらすぐに戻ってくるから」
「でも――」
「でもじゃない。お兄さんも少し怒ってるんだからね」
そう言われては何も言えません。
今日一日は大人しくしていましょう。
「心配かけてごめんなさい」
「じゃあ、行ってくるから」
ちょうど町の探索も終わった所ですから、これでよかったのかもしれません。
この一週間ほぼ寝ないで活動してましたし、正直体がいうことを聞いてくれません。
休むと決めると今まで起きようとしていた体から力が抜けていきます。
体が活動を止めると、頭もそれに引きずられすぐに眠りにつくことが出来ました。
†
ゆっくりと意識が浮上してきます。
瞼は依然として重く、開けるのは億劫です。
そんな私の隣で、誰かが紙をめくる音が聞こえてきます。
一定の間隔で紙をめくり、時折笑っているのか声が漏れ聞こえます。
いくらか軽くなった瞼を持ち上げると、隣でタクト様が本を読んでいました。
「ん、フラン体調は大丈夫か? ぐっすり眠ってたな」
寝顔を見られていたようで恥ずかしさがこみ上げてきました。
「おはようございます、それとごめんなさい」
寝ぼけた顔を見られたくなくて布団で顔を隠します。
「元気になったならそれでいいよ。それで昨日は何をしてたんだ?」
タクト様の手が私の頭に触れます。
寝起きですし汗ばんだりしてないでしょうか……、もしそう思われていたら生きていけそうにないので聞きません……。
私はこれまでの事を伝えます。
正直もうお手上げです。
私一人でなんとかできる事じゃありませんでした。
それに気がつかない程頭が働いていませんでした。
「教会とかは調べたか?」
「はい。教会を見ても違和感はありませんでした」
何度か向かいましたが違和感は何もありませんでした。
「それなら井戸は何個あったんだ? 後は屠殺場とかはどうだ?」
「井戸は四つです。屠殺場はここには無いみたいです」
「じゃあ、ノノが戻ってきたら井戸を全部回るぞ。そこのどれかに魔道具がある」
はっきりと断定したタクト様は晩ご飯を持ってきてくれたノノちゃんの手を引き三人で井戸に向かいます。
「先に理由を教えてくれてもいいじゃないですか。裏切った件で井戸に沈められるのかと思いましたよ」
突然連れてこられたノノちゃんは、不満たらたらで井戸にお兄さんを下ろしていきます。
「ごめんね。タクト様の勢いに乗せられちゃって」
そして急にロープから重さが消えます。
どうやらタクト様は無事井戸の下に着いたらしいです。
そしてしばらくバシャバシャと井戸の底を探していましたが見つからなかったようです。
「ここには無かった。次に行くぞ」
「タクト様、なんで井戸なんですか?」
勢いに乗せられてここまで来ましたが、聞きたいことを聞くことにしました。
「町の中で唯一自然な環境だからな。教会や屠殺場の可能性もあるけど、そこを調べたってことは残るのは井戸だけだ」
言われれば確かに井戸は自然で沸いた水を使っていますから自然です。
井戸はどこにでもあって人工物だと思っていたので、調べることはなかったです。
感心しながら二つ目の井戸も調べ、三つ目の井戸に着いた時には日は完全に落ち夜がやってきました。
「ビンゴだな」
タクト様は一目見ただけでそう言い切りました。
そしてタクト様は井戸に近づいていきます。
私には本当にここに魔道具が眠っているのか疑問を持っています。
それは突然力を発揮しました。
背中に氷を入れらた様な感覚が襲ってきたかと思うと、タクト様は動きを止めました。
「タクト様! ノノちゃん、タクト様が――」
声をかけた時にはノノちゃんの顔が変わっていました。
そして私にも唐突な眠気が襲ってきました。
これはいつものだ……。
私は眠気に抗うために唇と強く噛み締めます。
それが功を奏したのか、眠気は晴れていきます。
初めて完全に抗えましたが、タクト様とノノちゃんは虚ろな目になり、宿の方に戻っていきました。
一度引いた方がいいのかもしれませんが、ここで引いても結局何も変わりません。
無謀だと思いながらも私は井戸に近づきます。
そこまで見えるほどに綺麗な井戸の水の中に一本の剣が見えました。
「お前はなんで眠らないの?」
突然聞こえた女性の声に周囲を見ても誰もいません。
もしかして井戸に沈むこの剣が話しているのでしょうか?
「あなたが話しているのでしょうか?」
私の問いかけに答えてくれる気はないようです。
「ぐぅ、ぐぅ」
違いました答える以前に眠っているようです。
この剣は一体なんなんでしょう……。
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