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第4章 散り椿
12.針
翌日、本丸御殿にある奉行部屋では、四方田内蔵助を中心とした重臣たちが、極秘の会合を開いていた。
表向きは、来たるべき藩政改革の協議であったが、その実態は、虎長を「病による隠居」に追い込むための根回しである。
「殿のご乱行、もはや看過できぬ」
「幕府の耳に入れば改易は必至」
「若様への家督譲渡を急がねば……」
内蔵助の主導のもと、重臣たちの意思は固まりつつあった。
しかし、表の静謐な政治的駆け引きとは裏腹に、地下の牢獄では、地獄の釜の蓋が開いていた。
竹丸は、縄で両手首を縛られ、天井から宙吊りにされていた。
足が地面につかない不安定な体勢のまま、その背中には無数の鞭の跡が縦横に走り、折り重なっている。
「う、ぅぅ……っ」
竹丸は意識が朦朧とする中、苦痛に呻いた。
その眼前には、藤田重政が書状を突きつけている。
「さあ、竹丸殿。意地を張るのも大概になされよ。ここに署名すれば、すぐに楽になれるのだ」
書状には、澄長が虎長暗殺を企てたという虚偽の告白が記されていた。
「いやだ……若様を……裏切れぬ……」
竹丸は、か細い声で拒絶した。
床几に腰掛けた虎長が笑い声をあげた。
「よいぞ、よいぞ、それでこそ嬲り甲斐があるというものよ。だが、その強がり、いつまで持つかな?」
虎長の合図で、山本は竹丸を吊るし上げる縄を緩め、土間に足がつく高さに調整した。
藤田は一本の縫い針を手に、竹丸へと歩み寄った。
多くの「玩具」に極限の生き地獄を味わわせ、壊してきた、忌まわしい針である。
藤田は竹丸の正面に立つと、無防備に晒された陰茎を鷲掴みにした。
「竹丸殿。この針を、どうすると思いますか?」
今にも鼻歌でも歌い出しそうな顔で、藤田はゆっくりと竹丸のカリ首に針先をあてた。
「や、やめて……それだけは……!」
竹丸が恐怖に目を見開く。
藤田は容赦なく、針を突き入れた。
「ぎゃあああああっ!!」
絶叫が牢獄に響く。
針は、カリ首を上から下に尿道を貫通させて刺し込まれ、一本だけ留め置かれた。
針穴のある柄までは埋め込まれていないものの、針先は内部に留まり、内部の繊細な粘膜を抉る。
「ひぃ……いい、痛──ッ!」
竹丸は冷たい脂汗を流し、ガタガタと震えた。
息をするだけでも痛い。
心臓の脈動が陰茎に伝わるたび、針が内部を擦り、鋭い激痛が走る。
呼吸を浅くしようとしても、肺が勝手に動き、痛みの波が容赦なく襲ってくる。
些細な筋肉の収縮、血の巡りさえもが、針を揺らし、尿道の内壁を切り裂く刃物のように感じられた。
「ひとりで頭を冷やす時間を与えてやろう。よく考えることだな」
虎長は立ち上がった。
監視役の馬廻二名を除いて、藤田ら側近たちは、主に付き従い、牢屋を後にした。
時は永遠のように長く、竹丸の意識は痛みの渦に飲み込まれた。
針を刺されたまま放置された数刻は、地獄の底で焼かれるような苦しみだった。
表向きは、来たるべき藩政改革の協議であったが、その実態は、虎長を「病による隠居」に追い込むための根回しである。
「殿のご乱行、もはや看過できぬ」
「幕府の耳に入れば改易は必至」
「若様への家督譲渡を急がねば……」
内蔵助の主導のもと、重臣たちの意思は固まりつつあった。
しかし、表の静謐な政治的駆け引きとは裏腹に、地下の牢獄では、地獄の釜の蓋が開いていた。
竹丸は、縄で両手首を縛られ、天井から宙吊りにされていた。
足が地面につかない不安定な体勢のまま、その背中には無数の鞭の跡が縦横に走り、折り重なっている。
「う、ぅぅ……っ」
竹丸は意識が朦朧とする中、苦痛に呻いた。
その眼前には、藤田重政が書状を突きつけている。
「さあ、竹丸殿。意地を張るのも大概になされよ。ここに署名すれば、すぐに楽になれるのだ」
書状には、澄長が虎長暗殺を企てたという虚偽の告白が記されていた。
「いやだ……若様を……裏切れぬ……」
竹丸は、か細い声で拒絶した。
床几に腰掛けた虎長が笑い声をあげた。
「よいぞ、よいぞ、それでこそ嬲り甲斐があるというものよ。だが、その強がり、いつまで持つかな?」
虎長の合図で、山本は竹丸を吊るし上げる縄を緩め、土間に足がつく高さに調整した。
藤田は一本の縫い針を手に、竹丸へと歩み寄った。
多くの「玩具」に極限の生き地獄を味わわせ、壊してきた、忌まわしい針である。
藤田は竹丸の正面に立つと、無防備に晒された陰茎を鷲掴みにした。
「竹丸殿。この針を、どうすると思いますか?」
今にも鼻歌でも歌い出しそうな顔で、藤田はゆっくりと竹丸のカリ首に針先をあてた。
「や、やめて……それだけは……!」
竹丸が恐怖に目を見開く。
藤田は容赦なく、針を突き入れた。
「ぎゃあああああっ!!」
絶叫が牢獄に響く。
針は、カリ首を上から下に尿道を貫通させて刺し込まれ、一本だけ留め置かれた。
針穴のある柄までは埋め込まれていないものの、針先は内部に留まり、内部の繊細な粘膜を抉る。
「ひぃ……いい、痛──ッ!」
竹丸は冷たい脂汗を流し、ガタガタと震えた。
息をするだけでも痛い。
心臓の脈動が陰茎に伝わるたび、針が内部を擦り、鋭い激痛が走る。
呼吸を浅くしようとしても、肺が勝手に動き、痛みの波が容赦なく襲ってくる。
些細な筋肉の収縮、血の巡りさえもが、針を揺らし、尿道の内壁を切り裂く刃物のように感じられた。
「ひとりで頭を冷やす時間を与えてやろう。よく考えることだな」
虎長は立ち上がった。
監視役の馬廻二名を除いて、藤田ら側近たちは、主に付き従い、牢屋を後にした。
時は永遠のように長く、竹丸の意識は痛みの渦に飲み込まれた。
針を刺されたまま放置された数刻は、地獄の底で焼かれるような苦しみだった。
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