美形に溺愛されて波乱万丈な人生を送ることになる平凡の話

ゆなな

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地味なのにアイドルになってしまった俺が年下の人気メンバーの面倒を見ていたら溺愛されてしまった話

その後のカンケイ

※本編に載せたあとの話として、メモに残っていたものになります。琥珀とハルノは恋人になったとしても、ハルノの悩みや心の闇は慣れず…
こちら本編の続きを書く際にはここから下げることや、加筆修正することがあるのをご承知おきの上お読みください。



『何でハルノだけあんなにブスなの』
『本当にハルノ一人だけ一般人www』
『ハルノ早く辞めろ』
『絶対事務所の手違い』
『なんでハルノみたいなのがアイドルになれたの?』
『何一つ取り柄ないもんね。あんなかっこいいメンバーと並んで恥ずかしくないのかなwww』


 やめればいいのに、ハルノ、こと春信はまたSNSを開いてしまった。はるのぶ、だから、略してハルノ。
『本名だっさ』
 なんて悪口もいっぱいあったかな。
 ダサくねぇよ。両親が愛を込めて付けてくれた名前だぞ。
 確かに社長に今流行ではないから芸名にしようと提案されてしまったけど。
 なんて悪口と会話を試みたけれど、目に飛び込んでくる罵詈雑言のパワーには太刀打ちできなかった。
 刃のような言葉を見るだけで、胃の上がぎゅっと掴まれたみたいに痛み、肺が潰されたみたいに息が苦しくなる。
 自分みたいな平凡顔が通るわけないと思って友達とふざけて受けたアイドル事務所のオーディション。そこで何がどうなったのか受かってしまった。
 親が習わせてくれていたバレエのお陰で課題曲のダンスが綺麗に踊れたからだろうか。
 理由は事務所側からは明かされなかったが、あっさりシンプルな塩顔のハルノは、キラキラと眩しすぎるアイドルの卵たちの中で、アイドルになるためのレッスンを受けることになった。
 同じ人間とは信じられないくらい美しいアイドルの卵たちや、テレビで見る眩い先輩アイドルを前にすると、ますます自分がこのアイドル事務所に採用された理由がわからなかった。
 だから、すぐに解雇されるだろうと思っていたのに、解雇どころか人気のメンバーばかりのグループに抜擢されてしまった。
 これは、面倒見のいい性格のため、年下の練習生の面倒をよく見ていたからだな、と鈍いハルノでもすぐ分かった。気難しいメンバー達だが、なぜか皆ハルノのいうことを聞いてくれるのだ。
 結成されたグループはトントン拍子にデビューが決まり、曲を出す度にチャートを登り詰めるグループに瞬く間になった。  
 ハルノはその陰でグループのメンバーに迷惑は掛けるまいと、必死で歌とダンスの練習に励んだ。
 だが、メンバーは顔やスタイルが抜群なだけでなく、歌やダンスの才能にも溢れていたので、ハルノは何とか足を引っ張らない程度のレベルにすることくらいしか出来なかった。
 それこそ夜も寝ないで練習に励んでも、メンバー達の才能には敵わない。メンバーたちは顔もスタイルも最高なのに、才能まで持ち合わせていたのだ。
「こら。ハルノさん。またエゴサしてる」
 柔らかく優しい声と共に、そっと目元を塞がれた。
「……あかり?」
 甘みを帯びた声と、花のような香りはハルノが所属するアイドルグループのメンバーの一人である朱里だ。
 目を塞がれてもわかる。
「もー、何でこんなの見ちゃうの。こんなんほんの一部の声だし、気にすることない。ハルノさんはこんなに可愛いんだから」
 そう言って、朱里はハルノの手にあるスマホをそっと取り上げた。
「ちゃんと現実と向き合うために見てるの」
 みんなと活動していると、自分は特別な存在なのかもしれないと勘違いしてしまいそうだから。
 卑屈なことを言うと、優しい朱里を困らせてしまうから、途中からは声に出さず心で思った。
 きゅるん、と大きく濡れたような瞳に白い肌を持つ朱里は本当に綺麗で可愛い上に、性格までいい。
「ハルノさんは可愛いし、魅力的だよ。うちのセンターなんだから自信持って」
 楽屋のドアが開いて、透明感のある声が響いた。入ってきて、ハルノに声を掛けたのは同じグループのメンバーである青斗。
「……センター……ねぇ……」
 そこにいるだけで清涼感が漂うような青斗のフォローにも、後ろ向きになってしまった気持ちには拍車が掛かってしまうのが止めらない。青斗のように綺麗な声で歌えたら、センターでも恥ずかしくないんだけれど、思わずぽろりと漏らしまいそうな言葉をぐっと飲み込んだ。
 朱里に塞がれているから見えないとは思うけど、少し目が潤んでしまっているかもしれない。
 ハルノがセンターなのは、一人だけ身長が低いから。
 五人いるグループで一人だけ背が低い。
 ハルノを除くメンバーは皆とても背が高い。可愛らしい見た目の朱里だって、すらりと背が高い。
 そんな中でどうやっても百七十センチに届かないハルノ。背の低いハルノを真ん中に置くとシルエット的に収まりが良くなる。
 それだけだ。いや、それどころか一部のファン達の間では『捕らえられた宇宙人の構図』だなんて言われている。
 もうそろそろ、グループを抜けたい。皆が許してくれるなら、この華やかな世界を去って人目に付かない静かな仕事をしたい。
 実はこっそりと資格を取ったりして、その準備をしている。
 バレないと思っていたのに、朱里の掌はハルノの涙で濡れてしまったらしい。掌をハルノの瞳から朱里は外して、優しく目の端のまるい水の玉を指で拭った。青斗は自分のをタオルで濡れた頬を優しく当ててくれた。
 バンっと大きな音がして、楽屋のドアが開いた。
「疲れたよー」
 そう言って楽屋に入ってきたのは、グループで一番人気の琥珀だった。
 このグループの一番人気ということは、即ち全てのアイドルの中で一番人気と言っても過言ではない。そんな琥珀は、流れる汗さえ宝石みたいにキラキラして見える男だった。
 琥珀の後ろには彼の顔色を伺う大人達が、ぞろぞろと付いてきていた。
「ハルノさん、何でスタジオ出るとき声掛けてくんないの? 俺もハルノさんと一緒に戻りたかった」
 脇目も振らず真っ直ぐに琥珀はハルノの元にやってくると、ハルノにくっついている朱里と青斗から奪うように、ハルノの腿の上に頭を乗せてごろりと転がった。
 俗に言うところの膝枕。
「琥珀、スタッフさんと打ち合わせ忙しそうだったから。先に戻っちゃった。ごめんね」
 ハルノはそう言って、汗に濡れた琥珀の髪を手元のタオルでそっと拭ってやった。
「眠い……」
 少し不機嫌そうに膝の上でごねる琥珀の姿を見て、ハルノは琥珀に付いてきた沢山のスタッフ達を振り返った。
「琥珀、ドラマの撮影明け方までだったんで、少し静かに眠らせてもらってもいいですか? ごめんなさい」
 スタッフ達にハルノが頭を下げると、彼らは不服そうではあったが、琥珀が眠り始めたのを見て名残惜しそうに出て行った。
 スタッフ達が出ていくと、琥珀は無言でハルノの薄い腹に顔をぎゅっと押し付けて、折れそうに痩せた腰に腕を回した。
「いいなー、はるのさんの膝枕」
 朱里がソファの後ろからハルノの肩に絡みつきながら言う。
「あかりさんでも、はるのさんの膝枕はだめです。僕のだから」
 もう眠ってしまったと思っていた琥珀だが、どうやらまだ起きていたようだった。
 まだ中学生のときにグループに抜擢された琥珀。ハルノは幼さの残る彼を色んな悪い大人や誘惑から守り、礼儀や常識を教えたり、学校まで車で送ってやった。
 気難しく大人達が手を焼くが才能にあふれる琥珀が唯一懐いていたのがハルノだった。
 そんな琥珀はこの前無事に高校を卒業した。
 こうやってハルノがいれば、まだ甘えてくるが、誰よりも素晴らしいパフォーマンスをして、一人のときも悪い大人から充分身を守れるようになった。いや、それどころか最近はハルノは琥珀に守ってもらってさえいる。

 ハルノがグループの皆の面倒を見てあげて、守ってあげる時期は終わりを迎えたのだ。
 そうなると、ハルノがグループにいる意味なんて殆ど無い。
 それどころか、高校を卒業した琥珀は恋愛厳禁と言い渡されているのにハルノと付き合いたがっている。未来ある琥珀のために恋人になることは何とか断ったが、体の関係はあるし、毎日ハルノを熱烈に口説く。
 さらにSNSの書き込みを見てしまうと、むしろハルノなんてグループにいない方がグループのためにも琥珀のためにもなるかもしれない。
 ぼんやりとそんなことを考えていたときだった。
「ハルノさん、今日ハルノさんの家に行ってもいい?」
 ぐりぐりとハルノの腹に額を押し付けながらも、朱里がマネージャーに呼ばれてハルノから離れた隙に密やかな声で琥珀は言う。
「……この前来たばかりだろ」
 同じく密やかな声でハルノが返事をする。
「ハルノさん充電させてくれる約束してくれなきゃ、明日の朝のドラマ撮影行かない」
 脅しではなく、本当に行かないであろう琥珀。
「わかった。いいよ。おいで」
 ため息混じりにハルノは応えた。
「やった。今日この撮影終わったらおしまいだよね。僕今日自分の車で来てるから。地下駐車場のいつものとこに停めてる」
「……ぁ……っ」
 いつもところ構わず大きな声で話す琥珀が、密やかに低い声で囁いた琥珀は、ハルノの下腹をあやしく撫でた……



私のメモにあった落書きですみません~
いつか続き書きたいのですが、当面時間が取れそうになく…
そのうち書くので気長にお待ち下さい💦
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