機能しない現実

ダイナマイト山村

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計画の残滓2

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 ベストマン計画は大きく分けて3方面に分岐した。



生物として完全に独立し、半永久的に生きて行ける道の模索。







 1つに不老不死。この思想は古く各国の神話や物語といわれるものにすでに表れている。



外的要因は問わず、内的要因によって死なない生命、とにかく永遠に続く命の確立を目指す計画である。



エネルギーの消費を極力抑え植物状態で数世紀にわたり存続する実験や、再現精度の極めて高いクローンを半永久的に生み出し続ける実験などが進められた。







 2つに外敵の排除。天敵が存在しない生を目指した。



不老不死とは逆に外的要因での死を徹底的に退ける生命の確立を目指す計画である。



肉体の強化により他の生物を圧倒的に凌駕する個の実験や、生物として存在をあらゆる他から認知させない実験などが行われた。







 3つ目は意訳。人間という定義をできる限り広くとるものである。



これは研究テーマそのものに残すべき人間という定義が委ねられたもの。



人間の精神をAIに移しこみデータベースに人間の精神として永遠に種を保存するという実験や人間の構成要素を複数に分解しそれぞれの要素を相性のいいそれぞれの生命体に植え込む人間の濃縮還元を目指す実験も行われた。







 それぞれの研究の出発点は元は一つ。しかしその過程で、それぞれに補完しあうものや相容れぬものもが生まれた。



結果的に未だに完全なるベストマン計画は存在しない。しかしそれは「ベストマン」が存在しないという意味ではない。







 そんな内容の説明が続いた。ジョシュアは言葉を失った。



ミルコは自分たちの命の恩人である侍、リョウジを信じた。



そのうえで自分たちが知りえる限りの情報と合わせて考える。



自分たちが始末してきたのは実質ベストマンではなかった。



信じられないほど大きな計画の枝葉末節に過ぎない。



ほんの些細な残滓である。







 「残りかすに殺されたあいつらは」



ジョン、ケリー、ダン、マーク。4人は何のために。



それでもミルコは冷静だ。



「俺たちが元々始末していたのは生体強化タイプだ。あんたに助けられた時に知ったAIや賢者の石の存在など知らなかったし、あんたが言うようにおそらくタイプが別だ」



「特殊弾を数発撃ちこむことで機能停止に追い込めるということは、バイオテクノロジーによって生体強化を施していたタイプだろう」



ミルコは首をかしげる。



「それならさっきのと大枠は変わらないんじゃないか。やはり特殊弾は有効だったのか」



リョウジは答える。



「脳や心臓などの臓器すべてが有機生命体であるならばそれに対抗する毒のような物質を作り効かせることができる」



言葉の意味を噛みしめながら、ミルコはなるほどっといった顔をした。



「さっきのはAIと賢者の石のほうが本体で有機体の体部分は生成された側に過ぎないから万が一そっちが破壊されても元素生成を繰り返すことで無効化される可能性はあったのか」



いや、どっちでもいい。



まずはベストマンはベストマンではなかった。



そして知っているベストマンではないベストマンが存在している。



さらに、その存在を知り、対抗できる者たちがいる。







 「ここにいてもしょうがない。気持ち悪いが、あの賢者の石が入ったゾンビをもってヘッケルバインとやらを目指そう」



リョウジが先行する。ジョシュアは無言で歩いた。







そしてミルコは考えていた。
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