稚拙図書館

織賀光希

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断りきれない福引きの女

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こっちに、なんの得があるのか。
こっちに、なんのメリッ卜があるのか。
勝手に望みを託されても、こっちが重くなるだけだ。

福引きの代役なんて、させるな。
当たっても、福引きの商品が貰えるわけではない。
貰えるとしても、お菓子くらいだろう。

菓子折りとか、菓子折りとか、菓子折りとか。
断れない性格って、疲れる。

当たっても当たらなくても、テーマパークの券を二枚あげる、と言われた。
特賞が世界一周だから、それくらいのものをくれるんだな。

私は運がいいけど、また重圧が増えた。
二人で会場に行って、券を渡して、ぐるぐると回した。

金色だった。
特賞が当たった。
隣の依頼主は、飛び跳ねて喜んでいた。

「ねえ? 世界一周旅行、一緒に行かない?」
私が、世界一周に誘われた。

福引きの代役も、断りきれない私が、世界一周を、断りきれるか?
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