凡人の恩人

織賀光希

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凡人の恩人

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僕は普通の会社員だ。
普通に大学を出て、普通に彼女がいる。

ある日、普通に街を歩いていると、ティッシュ配りにあった。
若い女性が必死に配っていた。

普通にティッシュを貰い、鞄にしまう。
その後も普通に、配られているものを貰い続けた。
クッキーやシャンプー、青汁にエコバッグまで。

貰うのが普通だと、思っていたから。
貰えるものは貰っておく。
それが母の教えだったから。



道を歩いていると、子供がうずくまっていた。
そして、僕が手で握っていたクッキーを見つめてきた。
僕は、その子供にそのクッキーをあげた。



公園にあるトイレに入った。
小便器に向かおうとすると、個室から声がした。
「紙を頂けませんか?」
個室は一個しかなく、他の個室から紙を取ることは出来ない。
トイレ内に、トイレットペーパーはないので、貰ったティッシュを投げ込んだ。



道で、レジ袋が破れたおばあちゃんが途方にくれていた。
僕はカバンを探した。そして、街で貰ったエコバッグを渡した。
「ありがとうね」
そう何度も感謝された。



一緒に住む彼女が、シャンプーを切らしたみたいだ。
「買うの面倒だよ」
そう言われたので、貰ったシャンプーを渡した。
それは、サンプルにしては、結構な量だった。
彼女はかなり喜んでくれた。



次の日から、目に入る全ての人達が、いつもより笑顔に感じた。
僕は凡人ではなく、少し幸せな方だと実感した。
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