はじまりはいつもラブオール

フジノシキ

文字の大きさ
50 / 106
5章 激闘、二回戦!

024話 二回戦と、激闘の開始と ①

しおりを挟む
SIDE:MEI

「予想通り、次鋒に有栖川ちゃんを入れてきましたね」
「向こうとしては有栖川のシングルは絶対取る計算だ。こちらの妙高で取らせないようにする」

 先輩とコーチが話している。
 アタシ刈屋明依では有栖川に勝てないと言われているようで腹が立つが、顔には出さない。

「刈屋、お前も高校デビュー戦だ。一回戦を見た限り普通に戦えば勝てる相手だ。油断はしないように」
「はい」

 工藤なんて子、市大会でも見たことが無い。おそらく中学は区大会止まりだったんだろう。
 勝ち負けなんかじゃない、三回戦でも使ってもらえるように圧倒的な差を見せ付けないと。

 それにしてもこの工藤って子、一回戦の動画を見ると全体的にフォームが有栖川に似ている。いくら高校が一緒になったから真似したからって、高々一か月やそこらでここまで似るものかしら?


***

SIDE:YUNO

「見事に外してきましたね」
「マリ女ならプライドでオーダー弄らないと思ったんだけどなぁ」

 前原先生と絵東先輩が話している。
 オーダー表の交換が行われ、こちらの予想に反し、マリ女の先鋒は一年の刈屋さん、次鋒がエースの妙高さんだった。
 つまり、先鋒が美夏対刈屋さん、次鋒が稔里ちゃん対妙高さんとなる。
 ダブルスは絵東・有栖川組対妙高・村川組。これは外しようがない。
 副将が絵東先輩対高町さん、大将が私鈴原対村川さん。後半は想定通りだ。

「この前の妙高さんも朝の村川さんも、ブランクがあっても絵東さんには一目置いている感じがありました。みのりちゃんと二人の事は警戒していると思います」

 私の言葉に先輩が答える。

「ありがとねゆのち。さて、思ってたのとオーダーは少し違ったけど、五つのうち三つ取ればいいだけの話だから。全員取りに行くよ」
「はい!」


 絵東先輩が稔里ちゃんと美夏を呼び寄せる。

「アリス」
「はい、ユキさん」
「くどみかに、メイちゃんのプレースタイルと弱点教えてあげて」
「わかりました」
「みのりん頼んだ!」

 刈屋さんのことはマリ女で三年間一緒にプレーしていた稔里ちゃんが一番わかっている。

「刈屋さんは、基本は前陣ですが下がってロングドライブなども普通に打ちます。オールラウンドと思っていた方がいいと思います」
「ふむふむ、ちょっと前目のみのりんみたいな感じ?」
「うん、そんな感じ」

 強気っぽい見た目からバリバリの前陣速攻をイメージしていたけどさすがマリ女、なんでもできるようだ。弱点なんてあるんだろうか。

「それで、刈屋さんの弱点だけど」
「うんうん」
「攻撃リズムが単調になりやすいの。速攻なら速攻、ロングドライブならロングドライブの打ち合いをしばらく続ける。そして、自分で単調になっていることに気付いてリズムを変えようとするんだけど、その時の球が甘くなりやすい」
「フェイントとかコース変えるボールが甘いってこと?」
「そう。単調といっても速さも回転もすごいボールだから、甘いボールでフェイントかけても普通は有効なんだけど」

 たしかに事前情報で教えてもらわないとそれを狙おうとは準備できない。

「それを狙って攻撃、ってこと?」
「くどみかだからできると思ってアリスは言っているんだよ」

 先輩が美夏を後押しする。

「アリスはできないことは話さない。普段のくどみかを見て、これならできると思って言ってるから」
「うん。工藤さんなら大丈夫」

 これだけ言ってもらっていて、美夏の反応がない。

「ミカ?」
「うん、ありがと。ふぅ……打ち合いで粘る、コースの変わり端を打つ……」


 美夏はすでに試合モードに入っていた。試合へ臨む状態として、こうなった美夏はもう私の言葉なんて必要ない。

 ちょうど相手側コートにマリ女のメンバーが入ってきた。伝統と威圧の真っ青なユニフォーム。でも不思議と怖さは無かった。以前と今朝で団体戦メンバー全員の顔を知っていたというのもあるだろうか。

 シングルスの順番に整列する。四番手、私の目の前は相手のダブルエースの一人、村川極李さん。背丈も風格もあるが、飲まれないように努めてポーカーフェイスで相対する。

「女子二回戦、札幌山花高校対聖マリヤ女学院高校の試合を開始します。礼」
「よろしくお願いします!」


 決戦の時が来た。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

処理中です...