【蜜味】 怖がりの人には怖すぎるかも知れない短編集

MJ

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スポーツドリンク

スポーツドリンク7

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あの状態ではしばらくは身動き出来まい。そう判断した悪魔くんは素早く仁志の家に戻った。

仁志の家では妻の昌代が電話で助けを呼ぼうとしていた。しかし、いくら番号を押しても繋がらない。よく見ると電話線が切られていた。
昌代のスマートフォンは悪魔くんにカバンごと奪われている。
ソファの上に仁志のスマホが転がっているのを見つけた昌代は急いで拾う。
しかし、暗証番号が分からない。
指紋認証機能を使って解除しようと思いつき仁志のそばに駆け寄る。仁志は血まみれの状態で転がっていた。
包丁で割かれた腹から心臓が鼓動しているのが見えた。
早く助けを呼べばまだ助かるかもしれない。
「あなた!大丈夫?すぐに助けを呼ぶからね」
昌代は指紋認証をするため、仁志の人差し指をスマホのボタンに押し当てた。しかし、血が付いていて上手く認証されない。
指を自分の体にこすりつけて血をふき取った。そして、再び認証させようとした時、ガチャリと音がして玄関のドアが開いた。

悪魔くんは昌代がスマホを持っているのを見ると素早くスマホを足で蹴りあげた。
「おっとっと。あぶねえ。あぶねえ。だんなのスマホがあったか。あんたがアホで助かったよ。指紋認証しなくても緊急連絡は出来るというのに。はははは」
悪魔くんの気持ち悪い高笑いが耳につく。

そうか、その手があったのか。昌代は認証がいらなかった事を知り悔しがった。

仁志の血が体中に付いた昌代は悪魔くんに尻を蹴飛ばされ再び転がされた。

「血がついて汚くなったが犯してやる。殺されたくなければそのままじっとしていろ」
と言いながら悪魔くんがズボンを下ろし始めた。

その時、仁志は意識を取り戻した。カッと目を見開き、最後の力を振り絞ってうつ伏せになりほふく前進をはじめた。ドボドボと腹に溜まった血と黄色い液体が床に流れ落ちる。

リビングには裸の昌代の前でズボンを脱ぎパンツを下ろしている悪魔くんがいた。

それを見て仁志はふつふつと怒りが込み上げてきた。
悪魔くんに気づかれないように背後から近づく。
内臓がむき出しのお腹が床にこすれて痛い。
思わずうめき声が漏れそうになるが、必死でこらえる。
意識をもう一度失いかけた時、仁志は悪魔くんの足を両腕を伸ばして掴んだ。
両足を仁志に掴まれた悪魔くんは身動きが取れなくなった。
足首に仁志の指がめり込む。
物凄い握力だ。
普段から重機を扱っている腕力が発揮される。
「クソッタレ。はなせ!はなせ!」
悪魔くんは叫びながら仁志の指を包丁で何度も刺す。
しかし、仁志の絡まった指は足首に深くくい込んだまま離れない。
仁志は気絶したまま悪魔くんの足を握りしめていた。

昌代は起き上がると息子の金属バットを持ってきて悪魔くんの頭をフルスイングした。
カーンと言う音とともに悪魔くんは意識を失った。

しばらくするとウウーーウーとパトカーの音がなり警察が駆けつけた。悪魔くんはパンツをずり下ろした状態で気絶したまま逮捕された。

その後、仁志は救急車で運ばれて一命を取り留めた。胃袋が裂かれたことが幸いして、黄色いドリンク内の毒物ボツリヌス菌が取り除かれて助かったらしい。致死量のボツリヌス菌が体内に取り込まれていたので、あのまま胃袋を裂かずに倒れていたら死んでいたかもしれなかったそうだ。

ペットボトルは長男の宏志が隣の老夫婦から3週間前にもらって玄関に放置していたものだった。
宏志は捨てるつもりでテーブルの上に放置してしまっていたものだった。

隣の家塀から5メートルの大ジャンプをした宏志は足を捻挫して歩けなくなっていた。怖くて声を出せずにうずくまっていたが、パトカーのサイレンを聞いて大声で助けを読んだ。全治3週間の怪我ですんだ。

悪魔くんは昌代に殴られたことで若干記憶障害を発した。そして再び留置場に送り込まれた。

スポーツドリンク 
終わり
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