どんな気持ちで山登る?

TARA

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どんな気持ちで山登る?

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どんな気持ちで山登る?


ある島に頂上の見えない高い高い山がありました。

その島の言い伝えでは、頂上に到達すれば何でも願いが叶うと言われていましたが誰一人登頂した者はいません。

今となっては、色んな国から観光気分で山に登る人が沢山来るようになっています。

そんな島にも小さな学校があります。

30人ほどの小さな学校に何の取り柄もない体力も学力も目立った取り柄のない僕君が居ました。

体力も学力も15番目の僕君にも夢があります。

それは高い高い山を登りきる事です。

毎週毎週休みの日を使ってがむしゃらに登り続けた僕君は、毎回毎回誰かの手を借りて下山してきました。

そんな事を繰り返してるあくる日、馬面の悪い顔をした関西弁まじりのお兄さんが僕君に話しかけた。

「僕君はこの高い高い山をどこまで登るつもりだい?」馬面が聞いてきたので僕君が答えます。

「頂上まで!」

それを聞いた馬面はとても不思議な顔をして僕君にまた訪ねた。

「頂上に行って下りてこないのかい?」

僕君は腕を組んで考え込みました。

ずっと頂上に着けばいいと考えていた僕君には衝撃的な言葉でした。

そして馬面は続けて言いました。
「身体を使う前にまず頭を使おう!」
そう言って満足そうに馬面は帰って行きました。

僕君は、その日から無闇に登るのではなく遠くの島が見える中腹までを目標に決めて登るようにしました。

日に日に下山している人に助けられることなく自分で下りてこれるようになってきた僕君は、大きな壁にぶつかりました。

目標にしているところまで登れるようになるまでは早かったのにそこから登る距離が伸びないのです。

伸び悩んでトボトボ下山してくると馬面がこっちを見て笑っていました。

僕君は真剣に悩んでいるのに笑っている馬面に怒りました。

馬面はごめんごめんと子供をあやすように謝り僕君の頭を撫でながら言いました。

「僕君は、目標に満足して目的を忘れてないかい?」

僕君は首を傾げました。

それを見て馬面は大きな声で笑い帰って行きました。

その日の夜は僕君はお風呂の中で何度も何度も馬面の言葉を反復して考えました。

"目標で満足して目的を忘れてないか?"

僕君は"山頂に行って帰ってくるため"に"遠くの島が見える中腹まで"登っていた事に気がついてお風呂から飛び上がりました。

次の日から目標の再設定→チャレンジ→失敗→チャレンジ→成功→再設定と何度も何度も繰り返しました。

努力を繰り返すうちに初めて山頂が見えるところまで登る事が出来たとき僕君は頂上に誰かいるのが見えました。

急いで登りきりその人に会いたいと思ったがそこまでの体力が残っていなかったので断念する事にした。

下山して頂上で見たシルエットに似た人が降りてくるのを僕君は必死に探しましたが観光客が多く似たようなシルエットの人はわかりませんでした。

諦めて帰ろうとした時肩を叩かれ振り返ると馬面の男が居た。

「僕君?頂上には行けたかな?」

僕君は馬面の男かと残念な気持ちになり肩を落として話した。

「まだなんだ。今日頂上は見えたけどね。」

それを聞いて馬面は驚いてそのあと大きな声で笑いました。

「あははは!じゃあもう頂上に着くんだね!僕君は、頂上になにがあるかわかったかい?」馬面は大きく笑ったあと表情を変えて僕君に聞きました。

「まだわからないんだ…」
期待にも不安にも取れるような顔で僕君は下を向いて言いました。

「それはそれは楽しみだね!じゃあ俺は僕君が登り切るまで待ってるね!登り切ったら話を聞かせておくれ!」
それを聞いて僕君が顔を上げると馬面は目の前にいませんでした。

それから何回も何回も頂上を目指してチャレンジしました。

それて僕君はついに頂上に到達することができました。

仰向けで倒れこみ、体はボロボロになっているが今まで感じたことのない達成感に顔の緩みが止まらない僕君。

「やっと登りきったね僕君」

僕君は驚いて立ち上がり声のする方を見るとそこに居たのは馬面でした。

「なんで馬面が…」
僕君は言葉を失った。

馬面の話を聞いてみると馬面もこの島出身で僕君と同じ年のこのにこの山を登りきったという!

それを聞いた僕君は馬面に尋ねた。
「馬面は何の願いを叶えたのかい?」

馬面は大きな声を上げて笑った。
「俺も頂上に来た時に願いを叶える何かがあるか探したよ!けどここには願いを叶えるものなんて何もない!ただただ素晴らしい景色と…ここまでにたどり着くまでにして来た努力だけ!」

僕君は腕を組んで考えた。

そんな僕君に馬面が問いました。

「僕君頂上までついたけど、次の目標は?」


「それはもちろん…」
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