【ユイナーダ王国勇者伝説】天然ボケ猫勇者王子セイマは修行中〜勇者パーティーは回復役は聖人より聖女の方が良い!と言ってますが真の勇者は私です!

砂月ちゃん

文字の大きさ
2 / 35

聖人様は変わり者

しおりを挟む
(ハーシーside)

実家のサイド領にある冒険者ギルドに夏の休暇中、所用で来たらとんでもない方を見つけてしまった。


それは本来こんな所に、一人で居てはいけない方。


ユイナーダ王国第三王子にして、【聖人】で【勇者】のセイマ様。
私の一つ歳下の幼馴染みだ。


昔から殿下に頼られると、世話をしなければいけない気分になる。
昔と違って殿下の方が、ずっと大きくなったのに……


「それでね…ハーシーに頼みがあるんだ。
このサイド領に居る間だけで良いから、臨時パーティーを組んでくれないかな?
この辺りに来たのは初めてだから、場所がよくわからなくってね。」


殿下はこの辺りに来るの、初めてだったのか……


「セイマ様、何時もの護衛の方々はどうしたんですか?」

「解散になりました。」

「解散って!?いったい何があったんですか?」

「剣士のトーマスが魔法使いのミーナと浮気していたのがバレて、付き合っていた武闘家のサラを激怒させ、解散になりました。
サラの必殺トルネードアッパーが、トーマスのアゴに決まった時は凄かったなぁ。
人間って本当に飛んで行くんだねー。
あ、斥候のステラは結婚退職です。
彼等とは三年もパーティーを組んでいたので、解散するのはせめて今回の仕事が終わってからにしてもらいたかったですね。」


なんだそりゃ!?
情報量多いな!


それで臨時で稀人の護衛を雇ったら、こんな事になったという訳ですか。
急いでいたにしても、聖騎士団に臨時で護衛を頼むとか、他に方法があったでしょうに。


「ここに居ても仕方ありません。
とりあえず、我が家においでください。」

「えっ♪いいの?
やったぁ~♪ハーシーの実家に招待された♪♪」


そう言って、セイマ様は私に抱きついて来た!
えらい喜び様だな。
というか、その誤解を招く言い方と態度を辞めてください。
さっきから周りの視線が、凄い事になってるんですけど!!


誤解しないでくれ!
セイマ様とは、皆んなが考えている様な関係じゃないんだ!!
この方は匂いフェチで、気に入った匂いの人に対してはいつもこうなんだよ。


「セイマ様!離してください!
人の目がありますから!!」

が無かったらいいの?」


し、しまった!ニコニコしながら、セイマ様が余計にじゃれついて来た。


その後、私はじゃれつくセイマ様をなだめすかし、冒険者ギルドでの用事である【採取依頼】を受付に提出後、乗って来た馬車で領主館へと戻る事にした。


いつの間にか冒険者ギルドの売店で購入していた、《栄養クッキー》を頬張るセイマ様と一緒に……


「これがハーシーの育った町かぁ~。
流石は魔道具師の町、この街燈は最新式なのかい?」

「はい、一応ここで試験運用をしてから、売り出しますから。」


モグモグ…モグモグ…ごっくん。


「セイマ様…そのクッキー美味しいですか?
それ、栄養価は高いんですが不味くて人気が無いんですけど。」

「私はこの微妙な味が好きなんだ。賞味期限切れが近くて安く売ってたから、大量買いした。
アイテムポーチに入れておけば大丈夫だし。
災害時の保存食としては優秀だよね。」


まぁその為にユイナーダ王国初代国王トール王の命令で、未だに各地区で五年分の備蓄が義務付けられているんだけど。


で、三年毎に入れ替えている。
入れ替えた《栄養クッキー》は冒険者ギルドなどで格安で販売されている。


荷物をあまりたくさん持たずに移動する、冒険者に携帯食として販売する為だ。


ただし、今では他にも美味しい携帯食が出来たので、人気がない。


「もったいないですよね。
美味しくすれば売れると思んですけど……  。」


と言ったら、セイマ様はヤレヤレといった表情で……


「美味しくしたら、皆んな余分に食べるでしょ。
コレ一袋で一日分の栄養素があるんです。
『美味しいから』と言ってたくさん食べたらあっという間に無くなって、足りなくなるじゃありませんか。
『美味しい携帯食』がそのうち出てくるのを見越して、態とこの味なんですよ。」

「な…なるほど、そうだったのか!
目から鱗の発想だ!
やはり、トール王は稀人だけあって凄いな。」

『嘘です。いろいろやってみたけど栄養素を重視すると、どうしてもコレ以上の味にならないんですよね。
ずっと未来の人間に合わせた栄養素にしたら、美味しくなるかもしれませんが。
だってこの前、マジックバックに入っていたトール王の時代の《栄養クッキー》食べたら、すっごく不味かったんです。』

(そんなもん食べるな!!)
















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

論破!~召喚聖女は王子様が気に食わない

中崎実
ファンタジー
いきなり異世界に召喚されて、なんかイケメンに「世界を救ってもらいたい事情」を説明される、よくあるWEBファンタジーあるあるパターンが発生した。 だけどねえ、あなたの言い草が気に食わないのよね?からの、聖女が帰宅するまでのおはなし。 王子「自分達より強い敵をどうにかしてくれる相手を呼ぼう。女なら押し倒してしまえば、思うがままにできる!」 聖女1「有能な人を呼びました、としゃあしゃあと抜かすツラだけ良い男、なぁんか気に入らないのよねえ……」 聖女2「はよ帰ろ~」 聖女3「……」 論破というより爆破してませんか、あなた達?

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

私が偽聖女ですって? そもそも聖女なんて名乗ってないわよ!

Mag_Mel
恋愛
「聖女」として国を支えてきたミレイユは、突如現れた"真の聖女"にその座を奪われ、「偽聖女」として王子との婚約破棄を言い渡される。だが当の本人は――「やっとお役御免!」とばかりに、清々しい笑顔を浮かべていた。 なにせ彼女は、異世界からやってきた強大な魔力を持つ『魔女』にすぎないのだから。自ら聖女を名乗った覚えなど、一度たりともない。 そんな彼女に振り回されながらも、ひたむきに寄り添い続けた一人の少年。投獄されたミレイユと共に、ふたりが見届けた国の末路とは――? *小説家になろうにも投稿しています

処理中です...