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帰り道の拾いモノ 〜情けは人の為ならず〜
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王都へと向かう帰り道、変わったモノを拾いました。
黒髪黒目に平たい顔の背の高い少女です。
間違いなく稀人ですね。
ちょうど休憩中、魔物に追われて逃げているのをハインツと二人で保護しました。
ハインツは『同じ馬車で連れて行くのは反対だ!もし、刺客だったらどうするんだ!?』と言っていましたが、大丈夫だと思いますよ。
それに私もハインツも、そう簡単に殺られたりしないでしょう。
少女だと思っていたのですが、よく話しを聞いてみると、成人しているそうです。
背は高いですが小柄な方の稀人の方でした。
カナエ・サイミョウジ嬢(23歳)。
元の世界では看護師の資格を持っているそうです。
看護師の学校の前の学校では【演劇部】に入っていたとか……
それでしたら、以前王都の神殿で講師をされていた元看護師の方が帰る途中の町にいらっしゃるので、その方にお会いするのはどうでしょうか?
その日の日暮れ前には元講師の方…現ユリカ・F・ファミマ子爵夫人(旧姓ユリカ・ヒガシヤマ)の住む、ファミマ子爵領の領都に着きました。
行きの時は時間がありませんでしたから、ゆっくり出来ませんでしたが帰りは少し余裕がありますし、稀人の彼女の事で相談があるので、子爵家に先触れを出しました。
子爵夫人からの返事は『明日の午後2時にお待ちしています。』という事だったので、とりあえず今日はファミマ子爵領の領都にあるハインツの定宿に宿泊します。
翌日の朝、ハインツとカナエ嬢と共に、服を買いに行きました。
カナエ嬢の着ていた服は魔物から逃げる際に、あちこち転んだりしたのでかなり残念な感じになっていたので、宿屋の娘に服を借りました。
男二人では女性の服はわからないので宿屋の娘の手を借りて、服装を整えました。
報酬として、宿屋の娘の好きな服(新品)を購入。
庶民は余程の事がない限り、古着屋で服を買うのでたいへん喜んでいました。
服屋の後はこの後の旅に備えて、いろいろな雑貨なども買い揃えていきました。
もちろんお代は全て私持ちです。
お昼はハインツのお勧めの店で軽く食事をし、冒険者ギルドへ向かいました。
カナエ嬢の鑑定と王都への連絡の為です。
鑑定の結果、やはり彼女には【治癒】のスキルがありました。
これなら暫く神殿で修行すれば、【治療師】になれるでしょう。
その後私達は子爵家へと向かいました。
カナエ嬢はかなり緊張していましたが、これから会う相手が【元ニホン人】だと話すと安心した様です。
私達の馬車が子爵家に到着すると、大歓迎されました。
子爵家の応接間でいろいろと話した結果、ユリカ夫人とカナエ嬢は意気投合。
更にファミマ子爵のご好意で、一泊させて貰える事に……
翌日、私達はカナエ嬢を連れて再び王都へと向かった。
馬車の中でハインツに、暇つぶしにこちらの常識を彼女に教えてもらった。
とても熱心で先程買ったメモ帳に、いろいろ書き込んでいます。
「今後の予定ですが、まず王都の冒険者ギルドで【稀人】登録をしてもらいます。
登録後は2カ月かけて【稀人研修】をおこないます。」
それを聞いた彼女はちょっと嫌そうな顔をしています。
「えっ?どうしてそんな面倒な事を?」
まぁ面倒ですよね。
でもこの説明だけ聞いて、直ぐに【異世界デビュー】させるのはたいへん危険ですから。
「規則なので申し訳ありません。
ハインツの説明と重複する事もあるでしょうが、お願いしますね。
それに研修を受けると国から初期費用の補助金が貰えるんです。」
するとカナエ嬢はちょっと不安そうに
「あの…セイマ様やハインツ様と、今後連絡を取る事はできますか?」
う~ん…まぁここまで関わっておいて、このまま放り出すのはちょっと可哀想ですしね。
「では、冒険者ギルドを通して私かハインツに連絡出来る様に手配しておきますから、ご安心ください。」
後にこの時ほど、人に親切にしておいて良かったと思った事はありませんでしたね。
この後まさかあんな事があるとは……
黒髪黒目に平たい顔の背の高い少女です。
間違いなく稀人ですね。
ちょうど休憩中、魔物に追われて逃げているのをハインツと二人で保護しました。
ハインツは『同じ馬車で連れて行くのは反対だ!もし、刺客だったらどうするんだ!?』と言っていましたが、大丈夫だと思いますよ。
それに私もハインツも、そう簡単に殺られたりしないでしょう。
少女だと思っていたのですが、よく話しを聞いてみると、成人しているそうです。
背は高いですが小柄な方の稀人の方でした。
カナエ・サイミョウジ嬢(23歳)。
元の世界では看護師の資格を持っているそうです。
看護師の学校の前の学校では【演劇部】に入っていたとか……
それでしたら、以前王都の神殿で講師をされていた元看護師の方が帰る途中の町にいらっしゃるので、その方にお会いするのはどうでしょうか?
その日の日暮れ前には元講師の方…現ユリカ・F・ファミマ子爵夫人(旧姓ユリカ・ヒガシヤマ)の住む、ファミマ子爵領の領都に着きました。
行きの時は時間がありませんでしたから、ゆっくり出来ませんでしたが帰りは少し余裕がありますし、稀人の彼女の事で相談があるので、子爵家に先触れを出しました。
子爵夫人からの返事は『明日の午後2時にお待ちしています。』という事だったので、とりあえず今日はファミマ子爵領の領都にあるハインツの定宿に宿泊します。
翌日の朝、ハインツとカナエ嬢と共に、服を買いに行きました。
カナエ嬢の着ていた服は魔物から逃げる際に、あちこち転んだりしたのでかなり残念な感じになっていたので、宿屋の娘に服を借りました。
男二人では女性の服はわからないので宿屋の娘の手を借りて、服装を整えました。
報酬として、宿屋の娘の好きな服(新品)を購入。
庶民は余程の事がない限り、古着屋で服を買うのでたいへん喜んでいました。
服屋の後はこの後の旅に備えて、いろいろな雑貨なども買い揃えていきました。
もちろんお代は全て私持ちです。
お昼はハインツのお勧めの店で軽く食事をし、冒険者ギルドへ向かいました。
カナエ嬢の鑑定と王都への連絡の為です。
鑑定の結果、やはり彼女には【治癒】のスキルがありました。
これなら暫く神殿で修行すれば、【治療師】になれるでしょう。
その後私達は子爵家へと向かいました。
カナエ嬢はかなり緊張していましたが、これから会う相手が【元ニホン人】だと話すと安心した様です。
私達の馬車が子爵家に到着すると、大歓迎されました。
子爵家の応接間でいろいろと話した結果、ユリカ夫人とカナエ嬢は意気投合。
更にファミマ子爵のご好意で、一泊させて貰える事に……
翌日、私達はカナエ嬢を連れて再び王都へと向かった。
馬車の中でハインツに、暇つぶしにこちらの常識を彼女に教えてもらった。
とても熱心で先程買ったメモ帳に、いろいろ書き込んでいます。
「今後の予定ですが、まず王都の冒険者ギルドで【稀人】登録をしてもらいます。
登録後は2カ月かけて【稀人研修】をおこないます。」
それを聞いた彼女はちょっと嫌そうな顔をしています。
「えっ?どうしてそんな面倒な事を?」
まぁ面倒ですよね。
でもこの説明だけ聞いて、直ぐに【異世界デビュー】させるのはたいへん危険ですから。
「規則なので申し訳ありません。
ハインツの説明と重複する事もあるでしょうが、お願いしますね。
それに研修を受けると国から初期費用の補助金が貰えるんです。」
するとカナエ嬢はちょっと不安そうに
「あの…セイマ様やハインツ様と、今後連絡を取る事はできますか?」
う~ん…まぁここまで関わっておいて、このまま放り出すのはちょっと可哀想ですしね。
「では、冒険者ギルドを通して私かハインツに連絡出来る様に手配しておきますから、ご安心ください。」
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この後まさかあんな事があるとは……
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