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音子の将来
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クラスのオリエンテーションが終わり、亜子たちは食堂に行った。食堂は鬼はばのおりんさんが切り盛りしていて、食事を残した生徒は、おりんさんがでば包丁を持って追いかけてくるらしい。
そんな説明を、雪奈先生は何故か嬉しそうに笑って話していたが、亜子たちは気が気ではなかった。
亜子は無難にカレーライスを注文した。音子は猫またの半妖なので、玉ねぎやニンニクが食べられない。おりんさんは食べられないものは抜いてくれるらしい。
音子は炊き立てのご飯に、カツオぶしとしょうゆをかけたねこまんま。それにみそ汁とたまご焼き。音子はねこまんまが大好物なのだそうだ。
亜子は恐る恐るカレーライスを食べてみた。ピリリと辛いカレーはとても美味しかった。
亜子と音子は自室に帰ると、交代でシャワーを浴びた。亜子たちは早めにベッドに入ったのだが、入学初日で緊張が続いたためか、中々眠れなかった。
亜子は小声で音子に言った。
「音子、もう寝た?」
「・・・。ううん、寝てない。ていうか寝れない」
「だよね。ねぇ、音子。聞いてもいい?」
「ん?何?」
「音子はあやかし学園を卒業したら、人間として生きるの?それとも、あやかしとして生きるの?」
この質問は、亜子はクラスメート全員に聞きたかった事だ。亜子は自分の将来を決めかねていたのだ。
音子はあはは、と笑ってから答えた。
「もちろん人間として暮らすわ!」
「どうして?」
「だって人間の暮らしの方が断然オシャレだし、美味しいもの食べられるし」
亜子はなるほどと思い、音子の話しを聞いていると、それまで楽しそうに話していた音子の声が少し小さくなった。
「それにね、パパを寂しがらせたくないし、」
「パパ?」
「うん。パパはあたしの事、メチャクチャ大好きなの。だから、パパが生きているうちは、あたしは人間でいようって決めてる。パパはあやかしのママと結婚の契約をしたから、普通の人間より、二百年くらい長生きできると思う。でも、あやかしや半妖と比べたら、短い一生よ。あたしは、パパが死ぬまで人間でいる。だけど、パパの死んだ後はわからない」
亜子は音子の言葉に、そうだね、と返して黙った。亜子も一番気にかかるのは人間の母親の事だ。母親は天狗の父親と結婚の契約をしたから、やはり普通の人間よりもはるかに長生きするだろう。だが、天狗の父親よりも、半天狗の亜子よりも、先に死んでしまうだろう。
そう考えると、亜子は悲しくて悲しくてどうにかなってしまいそうだった。だが母の弓子は、いつも亜子に言うのだ。
亜子は亜子の信じた道を進みなさい。亜子の人生はね、亜子のものなの。私やパパのものでは決してないわ。だから、亜子。貴女は自分の人生の決定に責任を持ちなさい。
亜子は母の言葉を何度も思い出していた。このあやかし学園を卒業する頃には、亜子の進むべき道を決める事ができるのだろうか。
亜子が天井を見つめながら考えこんでいると、となりのベッドからスヤスヤと寝息が聞こえてきた。音子が眠ったのだ。亜子も寝なければ。亜子は仕方なく目を閉じた。
そんな説明を、雪奈先生は何故か嬉しそうに笑って話していたが、亜子たちは気が気ではなかった。
亜子は無難にカレーライスを注文した。音子は猫またの半妖なので、玉ねぎやニンニクが食べられない。おりんさんは食べられないものは抜いてくれるらしい。
音子は炊き立てのご飯に、カツオぶしとしょうゆをかけたねこまんま。それにみそ汁とたまご焼き。音子はねこまんまが大好物なのだそうだ。
亜子は恐る恐るカレーライスを食べてみた。ピリリと辛いカレーはとても美味しかった。
亜子と音子は自室に帰ると、交代でシャワーを浴びた。亜子たちは早めにベッドに入ったのだが、入学初日で緊張が続いたためか、中々眠れなかった。
亜子は小声で音子に言った。
「音子、もう寝た?」
「・・・。ううん、寝てない。ていうか寝れない」
「だよね。ねぇ、音子。聞いてもいい?」
「ん?何?」
「音子はあやかし学園を卒業したら、人間として生きるの?それとも、あやかしとして生きるの?」
この質問は、亜子はクラスメート全員に聞きたかった事だ。亜子は自分の将来を決めかねていたのだ。
音子はあはは、と笑ってから答えた。
「もちろん人間として暮らすわ!」
「どうして?」
「だって人間の暮らしの方が断然オシャレだし、美味しいもの食べられるし」
亜子はなるほどと思い、音子の話しを聞いていると、それまで楽しそうに話していた音子の声が少し小さくなった。
「それにね、パパを寂しがらせたくないし、」
「パパ?」
「うん。パパはあたしの事、メチャクチャ大好きなの。だから、パパが生きているうちは、あたしは人間でいようって決めてる。パパはあやかしのママと結婚の契約をしたから、普通の人間より、二百年くらい長生きできると思う。でも、あやかしや半妖と比べたら、短い一生よ。あたしは、パパが死ぬまで人間でいる。だけど、パパの死んだ後はわからない」
亜子は音子の言葉に、そうだね、と返して黙った。亜子も一番気にかかるのは人間の母親の事だ。母親は天狗の父親と結婚の契約をしたから、やはり普通の人間よりもはるかに長生きするだろう。だが、天狗の父親よりも、半天狗の亜子よりも、先に死んでしまうだろう。
そう考えると、亜子は悲しくて悲しくてどうにかなってしまいそうだった。だが母の弓子は、いつも亜子に言うのだ。
亜子は亜子の信じた道を進みなさい。亜子の人生はね、亜子のものなの。私やパパのものでは決してないわ。だから、亜子。貴女は自分の人生の決定に責任を持ちなさい。
亜子は母の言葉を何度も思い出していた。このあやかし学園を卒業する頃には、亜子の進むべき道を決める事ができるのだろうか。
亜子が天井を見つめながら考えこんでいると、となりのベッドからスヤスヤと寝息が聞こえてきた。音子が眠ったのだ。亜子も寝なければ。亜子は仕方なく目を閉じた。
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