前世で百人殺した殺し屋の俺は地獄行きを回避するため現世で百人助けます

盛平

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暗殺者

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 カイルの実力をみてくれた戦士は、ロシアーヌ男爵の最古参の用心棒で、ゾイといった。ゾイは気さくな性格らしく、カイルに何くれと世話をやいてくれた。

「ここが用心棒たちの宿舎だ。狭くて汚ねぇが勘弁してくれ」

 カイルとレッドアイはゾイに連れられて、用心棒のいる宿舎に案内された。部屋は二段ベッドがところ狭しと並んでいて、三交代制で屋敷の警護にあたる。食事は一日三回だ。

 ゾイはカイルに他の用心棒たちを紹介してくれた。用心棒たちは幼いカイルを見て心配そうな顔をした。ゾイが間に入って、カイルは自分を負かしたのだというと、皆驚いていた。

 ゾイはカイルに色々説明してくれた。カイルは一番気になっている事を聞いた。

「ゾイ、ロシアーヌ男爵は何故暗殺者に狙われているとわかったのか?」
「ああ、それは予告状があったからだ」
「予告状?犯行予告など、三下の仕事だな」
「まあな、愉快犯の線も捨てきれないがな。男爵はとても心配している。予告してきた暗殺者は、ブラックスコーピオンと名乗っている」
「ブフォッ」
「!。どうしたシリル!」

 ゾイの言葉にカイルは思わず吹き出してしまった。ゾイは心配してカイルの顔をのぞきこんだ。カイルは大丈夫だと答えた。

 横にいたリリアーヌがカイルに聞いた。

「どうしたのよ、カイル」
「・・・。前世で俺がいた組織だ」
「あなたの組織は暗殺者集団だっていうのに目立ちたがりなの?」
「いや、俺がいた頃はそうでもなかった」

 カイルはいぶかしんだ。ブラックスコーピオン。受けた依頼は必ずやり遂げる暗殺組織だ。それなのに、予告状を出して標的に準備までさせている。カイルが死んでから何かが変わったのだろうか。

 カイルが考えてこんでいると、ゾイはカイルが疲れていると思ったのか、食事をとってすぐに休むように言ってくれた。

 カイルはレッドアイと粗末な食事をとると、あてがわれたベッドに横になった。カイルの足元にはレッドアイが丸くなっている。カイルはリリアーヌを呼んだ。彼女はカイルのベッドの横に現れた。カイルが彼女に言った。

「リリアーヌ。俺がロシアーヌ男爵の命を救えば、まずは一人目達成だな?」

 だがリリアーヌはカイルの問いには答えず黙ってしまった。カイルはいぶかしんで彼女に声をかけた。

「どうした?リリアーヌ」
「うん、それがね。私はもうすぐ死んでしまう人の運命を感じる事ができるんだけど、ここでは死にそうな人はいないのよ」
「?。何故だ、やっぱりあの予告状は愉快犯なのだろうか」

 カイルは考えこんだ。予告状を出すなど、それまでのブラックスコーピオンでは考えられない事だ。やはりブラックスコーピオンの名をかたった愉快犯なのだろうか。だが、ブラックスコーピオンの名は一般には知られていない。他の暗殺組織から一目を置かれているブラックスコーピオンの名をかたる者がいるとも考えづらい。

 カイルはそんな事を考え続けていたが、だんだんと眠くなり目を閉じた。
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