前世で百人殺した殺し屋の俺は地獄行きを回避するため現世で百人助けます

盛平

文字の大きさ
57 / 64

殺しの依頼者

しおりを挟む
 カイルたちはブラックスコーピオンの屋敷を後にした。飛行魔法で空を飛び、城下町のあたりまで来てから地上に降りて歩く事にした。レベッカが泣き止まないからだ。

 レベッカは父親の仇であるサイモンを殺せなかった後からずっと泣いていた。目は真っ赤で、まぶたは腫れ、鼻水がたれていた。若い娘のこんな姿を周りの人々にさらすのはふびんだと思ったのだ。

 カイルはとなりを歩いているサイラスに言った。

「サイラス、レベッカを泣き止ませろ」
「はぁ?何で俺が!」
「師匠命令だ」

 サイラスはチェッと舌打ちをしてから不機嫌に顔をしかめ、後ろをトボトボと歩いているレベッカに声をかけた。

「おいレベッカ。いつまで泣いているんだ。ただでさえブスなのに、泣き顔はさらにブスだぞ。早く泣き止め」

 サイラスの言葉にそれまで泣いていたレベッカの顔が、みるみる赤くなった。彼女は烈火のごとく怒り出した。

「サイラス、テメェ!今私の事ブスって言ったな?!」

 サイラスはカイルの命令通りレベッカを泣き止ませた。だがとても怒らせてしまったようだ。これはまずいと思い、カイルは二人の間に入ってレベッカに言った。

「レベッカ、そう落ち込むな。お前はブスじゃない。お前は・・・。あまりにも見えすいた世辞はかえって相手を傷つけるな。レベッカ、お前はちょいブスだ。元気出せ!」

 カイルがレベッカをフォローすると、彼女はカイルに向かってギロリとにらんで叫んだ。

「テメェら!私の事をブスと言ったな!ぶっ殺す!」

 レベッカは何故か腰の剣を抜き、カイルとサイラスに斬りかかろうとした。カイルとサイラス、巻き込まれたレッドアイは一目散にかけ出した。カイルは走りながら首をかしげてサイラスに言った。

「サイラス。俺はサイラスがレベッカを怒らせたのをフォローしたのに、何故レベッカは怒っているのだ?」
「ええ?!俺はレベッカを褒めたの!怒らせたのは師匠だろ?!」
「いいや!サイラスの言葉でレベッカは怒ったんだ!サイラス、お前女にモテないだろう?」
「はぁ?!師匠だけには言われたくねぇよ!女にモテねぇのは師匠の方だろ?!」
「ああ、そうだな前世でも今でも女にモテたためしがないな。前世では女に、人殺しとか悪魔とか言われていたな」
「・・・。まぁ夫と父親を殺されればそうなるよな。師匠とこういう話すると重たいなぁ。もうこの話題はふらない事にする」

 カイルとサイラスが走りながら会話していると、足元で走っているレッドアイがカイルに言った。

『カイル、イイノカ?オンナガタオレテイルゾ?』

 レッドアイの言葉に、カイルが立ち止まって後ろを振り向くと、レベッカが遠くの方で倒れていた。どうやら走り疲れてしまったようだ。

 カイルたちが倒れているレベッカに近寄ると、彼女はゼェゼェと荒い呼吸をしていた。どうやら涙も怒りもおさまったようだ。カイルたちはそのまま休けいを取る事にした。

 焚き火をして、湯をわかし、レベッカに紅茶を挿れてやった。レベッカは静かに紅茶を飲んでいた。レベッカが大人しくなったので、カイルは聞きたかった事を質問した。

「レベッカ、お前の父親の殺害依頼をした人間は、わかっていると言ったな?一体誰なんだ?」

 レベッカは、カイルの言葉にビクリと身体を震わせてから低い声で言った。

「・・・。お父さまを殺すよう依頼した人間、この国の摂政、グザヴィエだ」
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】 魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。 ※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。

処理中です...