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レベッカの決断
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この日オルコット邸は大騒ぎだった。若きオルコック子爵と、その妹が大ゲンカをしていたからだ。若き子爵アルフレッド・オルコックは妹のレベッカに厳しい口調で言った。
「いいか、レベッカ。これから始まる会合にお前は絶対に連れていかないからな!」
「いいえ、お兄さま!私は必ずお兄さまに同行いたします。お兄さまがおいていったって絶対についていきます!」
カイルは同じ発言を繰り返す兄妹をあきれ顔で見ていた。アルフレドは妹のレベッカの身を案じて、一週間後の会合には絶対に連れて行かないと言い張っているのだ。だがレベッカも一歩もゆずらない。兄のアルフレドについて行くときかないのだ。アルフレドは大きなため息をついてから妹に言った。
「レベッカ、今度の会合はとても危険なのだ。もし私に何かあれば、レベッカお前が母上とオルコック子爵家を守っていかなければいけないのだぞ?!」
アルフレドのこの言葉を聞くと、レベッカは悔しそうに黙ってしまった。見かねたカイルは、アルフレドに言った。
「アルフレドどの。レベッカに行くなと言っても、必ず一人でついて行こうとしますよ。ならば私たちと同行し、目の届くところにいた方が安心です」
カイルの提案に、妹の性格を熟知しているアルフレドは仕方なくうなずいた。
カイルたちはレベッカを連れて、空間魔法で王都の城下町に向かった。城下町の市場には、魔法使いの魔法具を売る店々がある。通称魔法使い通りという。カイルは、サイラスとレッドアイ、レベッカを連れて魔法使い通りを歩いた。初めて通りを歩くレベッカは興味津々で、キョロキョロしながらカイルに聞いた。
「カイル、何でこんなところに来たんだ?」
「レベッカ、お前の魔法具を買うためだ」
「魔法具だって?!私はそんな物いらないぞ?!私にはこの剣があるのだからな!」
レベッカはそうタンカを切って腰の剣を叩いた。カイルは面倒くさそうに答えた。
「アルフレドどのと約束したのだ。レベッカは俺たちが必ず守る。だがもし俺たちが守れなかった場合、レベッカ自身で自分の身を守ってもらわなけらばならない。そのための魔法具だ」
レベッカは納得していないようで、フンと鼻を鳴らした。そうこうしているうちに、品ぞろえのいい魔法具の露店が目に入った。カイルは露店の店主に声をかけた。
「店主、いい魔法具だな?見せてくれ」
「へぇ、ダンナ。お目が高い。どうぞ」
フードをまぶかにかぶった店主は嬉しそうに答えた。レベッカは女なのでアクセサリーの方がいいだろう。ふと見ると、大ぶりの鎖にピンク色で毒々しい模様のロードナイトの石がはめこまれたペンダントが目に入った。カイルはそのペンダントを手にとってレベッカに見せて言った。
「これはどうだ?レベッカ」
レベッカは一目見てから、ウゲッと声をあげた。どうやら気に入らなかったらしい。レベッカの後ろにいたサイラスがヒョイと身体をかがめ、のぞきこんでカイルに言った。
「師匠、センス悪いなぁ。ロードナイトの模様が苦しんでいる人間の顔みてぇだ」
「何だと?!ならサイラスがレベッカに選んでやればいいだろう」
サイラスはうなずいてからレベッカをジロジロ見て、細い鎖の透きとおったピンク色のスピネルのペンダントを選んだ。レベッカに手渡すと、彼女はポカンとした顔をしてから、真っ赤になってうなずいた。どうやら気に入ったようだ。
カイルはうなずいて麻袋から代金の金貨を払った。カイルはサイラスに言った。
「サイラス。レベッカのペンダントに風防御魔法を入れてやれ」
サイラスはうなずいて小さく呪文をとなえた。ペンダントを持ったサイラスの手が輝く。サイラスは風魔法を吹き込むと、レベッカにペンダントを手渡そうとした。カイルは顔をしかめて、つけてやれと言った。サイラスはまたうなずいて、レベッカの細い首にペンダントをつけてやっていた。
その間レベッカの顔が真っ赤だった。熱でもあるのだろうか。カイルがふと横を見ると、天使のリリアーヌが横に立って、しきりとペンダントを見ていた。そのペンダントは、リリアーヌの瞳の色と同じ、美しく青いサファイヤのペンダントだった。
「いいか、レベッカ。これから始まる会合にお前は絶対に連れていかないからな!」
「いいえ、お兄さま!私は必ずお兄さまに同行いたします。お兄さまがおいていったって絶対についていきます!」
カイルは同じ発言を繰り返す兄妹をあきれ顔で見ていた。アルフレドは妹のレベッカの身を案じて、一週間後の会合には絶対に連れて行かないと言い張っているのだ。だがレベッカも一歩もゆずらない。兄のアルフレドについて行くときかないのだ。アルフレドは大きなため息をついてから妹に言った。
「レベッカ、今度の会合はとても危険なのだ。もし私に何かあれば、レベッカお前が母上とオルコック子爵家を守っていかなければいけないのだぞ?!」
アルフレドのこの言葉を聞くと、レベッカは悔しそうに黙ってしまった。見かねたカイルは、アルフレドに言った。
「アルフレドどの。レベッカに行くなと言っても、必ず一人でついて行こうとしますよ。ならば私たちと同行し、目の届くところにいた方が安心です」
カイルの提案に、妹の性格を熟知しているアルフレドは仕方なくうなずいた。
カイルたちはレベッカを連れて、空間魔法で王都の城下町に向かった。城下町の市場には、魔法使いの魔法具を売る店々がある。通称魔法使い通りという。カイルは、サイラスとレッドアイ、レベッカを連れて魔法使い通りを歩いた。初めて通りを歩くレベッカは興味津々で、キョロキョロしながらカイルに聞いた。
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「レベッカ、お前の魔法具を買うためだ」
「魔法具だって?!私はそんな物いらないぞ?!私にはこの剣があるのだからな!」
レベッカはそうタンカを切って腰の剣を叩いた。カイルは面倒くさそうに答えた。
「アルフレドどのと約束したのだ。レベッカは俺たちが必ず守る。だがもし俺たちが守れなかった場合、レベッカ自身で自分の身を守ってもらわなけらばならない。そのための魔法具だ」
レベッカは納得していないようで、フンと鼻を鳴らした。そうこうしているうちに、品ぞろえのいい魔法具の露店が目に入った。カイルは露店の店主に声をかけた。
「店主、いい魔法具だな?見せてくれ」
「へぇ、ダンナ。お目が高い。どうぞ」
フードをまぶかにかぶった店主は嬉しそうに答えた。レベッカは女なのでアクセサリーの方がいいだろう。ふと見ると、大ぶりの鎖にピンク色で毒々しい模様のロードナイトの石がはめこまれたペンダントが目に入った。カイルはそのペンダントを手にとってレベッカに見せて言った。
「これはどうだ?レベッカ」
レベッカは一目見てから、ウゲッと声をあげた。どうやら気に入らなかったらしい。レベッカの後ろにいたサイラスがヒョイと身体をかがめ、のぞきこんでカイルに言った。
「師匠、センス悪いなぁ。ロードナイトの模様が苦しんでいる人間の顔みてぇだ」
「何だと?!ならサイラスがレベッカに選んでやればいいだろう」
サイラスはうなずいてからレベッカをジロジロ見て、細い鎖の透きとおったピンク色のスピネルのペンダントを選んだ。レベッカに手渡すと、彼女はポカンとした顔をしてから、真っ赤になってうなずいた。どうやら気に入ったようだ。
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「サイラス。レベッカのペンダントに風防御魔法を入れてやれ」
サイラスはうなずいて小さく呪文をとなえた。ペンダントを持ったサイラスの手が輝く。サイラスは風魔法を吹き込むと、レベッカにペンダントを手渡そうとした。カイルは顔をしかめて、つけてやれと言った。サイラスはまたうなずいて、レベッカの細い首にペンダントをつけてやっていた。
その間レベッカの顔が真っ赤だった。熱でもあるのだろうか。カイルがふと横を見ると、天使のリリアーヌが横に立って、しきりとペンダントを見ていた。そのペンダントは、リリアーヌの瞳の色と同じ、美しく青いサファイヤのペンダントだった。
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