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冒険者一年生2
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パティは自分が少し前に体験した事をもっともらしくエラルドに語った。
「旅をする際に、持ち物がかさばってはいけないわ。食器類は重ねて持ち運べる物がいいの」
「それは理にかなっているな。だが何故パティは持ち物が多いんだ?」
パティは自分の大きな荷物を持ってくれているマックスの背中を見た。マックスの背中には大きなリュックサックがくくりつけられている。この荷物は、パティがデイジーたち先輩冒険者からアドバイスを受ける前に購入してしまった物だ。
パティはエラルドと一緒に鍋や皿やコップ、ナイフ、防寒用の毛布などを購入した。
支払いはすべてパティがした。自分が支払うと断るエラルドに対してパティは笑って答えた。
「私ね、冒険者になった時、面倒を見てくれた冒険者の人たちがいたの。冒険者に必要な事や冒険者の心構えを教えてくれた。宿泊代や食事代も、彼らが一緒の時はいつも支払ってくれるの。私は、いつかお金をお返ししますと言っても、彼らは笑っていつもこう言うの。自分たちに感謝の気持ちがあるなら、自分たちに返さないで、私より下の冒険者に何かしてあげてくれって」
エラルドはハッとした表情になり、深く頭をさげた。
「ありがとう、パティ。その先輩冒険者たちにも感謝しなければな。俺が一人前の冒険者になったら、俺の後輩たちを指導しよう」
「ええ、そうね」
パティたちが城下町の繁華街を歩いていると、目の前にガラの悪い二人の男があらわれた。
「すげぇ可愛い嬢ちゃんだ。なぁ、嬢ちゃん。そんな青二才よりも俺たちと遊びに行こうぜ」
パティはギクリとした。どうやらパティは良からぬ連中に目をつけられてしまったらしい。
まったく状況を理解していないエラルドは、首をかしげながら言った。
「パティ、こいつらは知り合いか?」
「ううん、違う。知らない人たち」
「そうか」
エラルドは納得したようで、そのままガラの悪い男たちを通り過ぎようとした。男たちはパティに近寄りながら、エラルドに対してあざけるように言った。
「何だ腰抜けめ。自分の恋人を置いて逃げるのか?」
「?。恋人?誰と誰が?」
エラルドは不思議そうに首をかしげた。どうやらエラルドはかなりマイペースな性格らしい。パティとしては、ガラの悪い男たちをエラルドに追い払ってほしいのだが、パティの気持ちはエラルドに伝わらないようだ。
ガラの悪い男たちは、パティを指差して、この女はお前の恋人だろうと言うと、エラルドは首を振って答えた。
「いいや、違う。こいつは俺の先輩だ」
「それなら、この嬢ちゃんを連れて行ってもいいんだな?」
「?。パティがそうしたいのならそうすればいい。パティ、俺は先に冒険者協会に戻っているぞ」
パティはあぜんとした。エラルドは、パティが知らない男たちに連れていかれそうなのに、まったく心配してくれないのだ。
パティの前にマックスとチャーミーが立ちはだかり、肩に乗ったピンキーと、ショルダーバッグの中のアクアが男たちをにらんでいかくする。
マックスたちはパティを守ろうとしてくれている。だがマックスたちが魔法を使えば、辺り一帯に影響をおよぼしてしまう。
パティがどうすればいいか固まっていると、まったく空気を読まないエラルドが近寄ってきて言った。
「旅をする際に、持ち物がかさばってはいけないわ。食器類は重ねて持ち運べる物がいいの」
「それは理にかなっているな。だが何故パティは持ち物が多いんだ?」
パティは自分の大きな荷物を持ってくれているマックスの背中を見た。マックスの背中には大きなリュックサックがくくりつけられている。この荷物は、パティがデイジーたち先輩冒険者からアドバイスを受ける前に購入してしまった物だ。
パティはエラルドと一緒に鍋や皿やコップ、ナイフ、防寒用の毛布などを購入した。
支払いはすべてパティがした。自分が支払うと断るエラルドに対してパティは笑って答えた。
「私ね、冒険者になった時、面倒を見てくれた冒険者の人たちがいたの。冒険者に必要な事や冒険者の心構えを教えてくれた。宿泊代や食事代も、彼らが一緒の時はいつも支払ってくれるの。私は、いつかお金をお返ししますと言っても、彼らは笑っていつもこう言うの。自分たちに感謝の気持ちがあるなら、自分たちに返さないで、私より下の冒険者に何かしてあげてくれって」
エラルドはハッとした表情になり、深く頭をさげた。
「ありがとう、パティ。その先輩冒険者たちにも感謝しなければな。俺が一人前の冒険者になったら、俺の後輩たちを指導しよう」
「ええ、そうね」
パティたちが城下町の繁華街を歩いていると、目の前にガラの悪い二人の男があらわれた。
「すげぇ可愛い嬢ちゃんだ。なぁ、嬢ちゃん。そんな青二才よりも俺たちと遊びに行こうぜ」
パティはギクリとした。どうやらパティは良からぬ連中に目をつけられてしまったらしい。
まったく状況を理解していないエラルドは、首をかしげながら言った。
「パティ、こいつらは知り合いか?」
「ううん、違う。知らない人たち」
「そうか」
エラルドは納得したようで、そのままガラの悪い男たちを通り過ぎようとした。男たちはパティに近寄りながら、エラルドに対してあざけるように言った。
「何だ腰抜けめ。自分の恋人を置いて逃げるのか?」
「?。恋人?誰と誰が?」
エラルドは不思議そうに首をかしげた。どうやらエラルドはかなりマイペースな性格らしい。パティとしては、ガラの悪い男たちをエラルドに追い払ってほしいのだが、パティの気持ちはエラルドに伝わらないようだ。
ガラの悪い男たちは、パティを指差して、この女はお前の恋人だろうと言うと、エラルドは首を振って答えた。
「いいや、違う。こいつは俺の先輩だ」
「それなら、この嬢ちゃんを連れて行ってもいいんだな?」
「?。パティがそうしたいのならそうすればいい。パティ、俺は先に冒険者協会に戻っているぞ」
パティはあぜんとした。エラルドは、パティが知らない男たちに連れていかれそうなのに、まったく心配してくれないのだ。
パティの前にマックスとチャーミーが立ちはだかり、肩に乗ったピンキーと、ショルダーバッグの中のアクアが男たちをにらんでいかくする。
マックスたちはパティを守ろうとしてくれている。だがマックスたちが魔法を使えば、辺り一帯に影響をおよぼしてしまう。
パティがどうすればいいか固まっていると、まったく空気を読まないエラルドが近寄ってきて言った。
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