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盗賊のアジト
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アスランとアポロン、メリッサとティグリスは迷いの森の中の崖の上にいた。崖の下には、かがり火をたかれ浮かび上がるまがまがしい建造物が建っていた。盗賊たちのアジトだ。
崖の上から注意深く観察していたアスランは、ある違和感に気づいた。見張りの盗賊がいないのだ。まるでわざと手うすに見せているようだ。そしてアスランたちの背後の森から、ガサリと物音がした。アスランはハッとして叫んだ。
「ティグリス!メリッサを守れ!」
ティグリスはすかさずメリッサを背に乗せた。アスランは愛馬アポロンの背にまたがる。森の中からは三人の盗賊たちが剣を構えて現れた。アスランは叫ぶ。
「罠だ!皆崖下へ!」
アスランの号令に、ティグリスとアポロンは崖をくだる。ティグリスとアポロンは危なげなく高い崖を降りた。メリッサがアスランに質問する。
「罠って?」
「僕のかけた魔法に気づかれた。盗賊団の中には魔法使いがいる」
アスランは舌打ちをした。アジトからも、森からもわらわらと盗賊たちが出てくる。アスランの前にいかつい大男が現れた。どうやらこの大男が盗賊団のリーダーらしい。大男はニヤニヤと気味の悪い笑いを浮かべながら言った。
「目印の魔法がかけられていたから、兵士の大群でもやってくるかと思いきや、たった二人とはお笑いぐさだな。しかももう一人は小娘じゃないか」
盗賊団のリーダーの横には顔色の悪い痩せこけた男がいた。多分この男がアスランの魔法を見抜いた魔法使いなのだろう。痩せこけた男がリーダーに言う。
「この男は魔法使いかと、そしてあの獣は霊獣です。残りの娘と馬は無力です」
リーダーはフフンと鼻で笑うと左手を上げた。攻撃の合図だ。周りを囲んでいた盗賊たちが皆いっせいに弓をひく。大量の矢がアスランたちに襲いかかる。アスランは風防御魔法、ウィンドウドームを発動した。アスランたちを風のドームがおおう。盗賊たちの放った矢はすべて弾き返された。アスランはメリッサとアポロン、ティグリスに言う。
「メリッサ、アポロン防御ドームか出るんじゃないぞ。ティグリス手を貸してくれ!」
『俺に命令すんな!俺はメリッサの言うことしか聞かねぇんだよ!』
虎の霊獣はギャァと咆哮する。多分断ると言っているのだろう。アスランは防御ドームを出る。しぶしぶという感じでティグリスもドームから出る。盗賊たちは再びアスランとティグリスに弓矢をはなつ。アスランは風魔法で弓をなぎ払い、ティグリスは矢を炎魔法で焼き払う。
盗賊団のリーダーは憎々しげに眉を寄せ、左手を上げる。盗賊団たちが手に手に剣を取りアスランたちに斬りかかった。ティグリスは炎の弾丸で、斬りかかってきた盗賊を吹き飛ばす。アスランも風魔法の弾丸で盗賊を吹き飛ばした。だが盗賊たちは後から後からアスランたちに斬りかかってくる、これではらちがあかない。
ティグリスがギャウッと咆哮する。アスランには意味が分からなかったが、多分らちがあかないから、攻撃させろと言っているのだろう。アスランは仕方なく背中の剣を抜き構える。アスランは震えていた。アスランが剣を振れば、相手の盗賊は傷つくだろう。もしかしたら死んでしまうかもしれない。そう思うとアスランの動きが止まってしまった。
メリッサとアポロンは、アスランの作った防御ドームの中で、事の成り行きを見守っていた。アスランとティグリスは強力な魔法で盗賊たちを吹き飛ばしているが、致命傷は与えていないらしく、盗賊たちは後から後からアスランたちに襲いかかってくる。アポロンはたまらず叫んだ。
『アスラン!私も戦う!ここから出してくれ』
アスランの愛馬アポロンは、今にも防御ドームに体当たりしそうな勢いだ。あかりはアポロンの背に手をおいて、落ち着いてと優しく撫でた。アスランは剣を構えたけれど、やはり盗賊を斬る事はできなかった。あかりは霊獣のティグリスにも、盗賊は殺さないでとお願いしている。アポロンはうめくように言った。
『ああ、このままではアスランは殺されてしまう。アスランは人を傷つける覚悟と勇気がないのだ』
アポロンの言葉にあかりは無意識に首を振って言った。
「ううん、違うわアポロン。アスランは弱虫なんかじゃないわ。アスランは自分の信念を突き通す事ができるとても強い人よ」
あかりは胸がドキドキするのがわかった。弱い人間は、自分が助かるためには相手を傷つける事だってやってのけるだろう。だがアスランは、自分が傷ついたとしても相手を傷つけたくないのだ。あかりは感動していたのだ、アスランの信念に。やはり盗賊を傷つける事ができないアスランは防御ドームの中のあかりたちに振り向いた。真剣な表情だった。
「アポロン、メリッサを連れて逃げろ!メリッサ、アポロンを頼む!」
アポロンは覚悟の表情を浮かべてあかりに言った。
『メリッサ、アスランの命令だ。私の背に乗れ。アスランが危険にさらされたらこの防御ドームも消える』
アスランが盗賊に一太刀を受けた。アスランが膝をつく。それと同時にあかりたちを守っていた防御ドームが消えた。アポロンは早く自分の背に乗れと急かす。あかりはアポロンの言葉にしたがわず、つぶやくように言った。
「アスラン、貴方が誰も傷つけたくないというなら、私はその気持ち応援するよ。グラキエース!」
突然あかりの側に巨大なドラゴンが出現した。盗賊たちは、急に現れたドラゴンに恐れをなして逃げまどった。ドラゴンはおごそかに言った。
『メリッサ、何か困った事が起きたのか?』
「グラキエース、お願い。ここにいる盗賊たち全員を命は取らないで動けないようにして?」
『造作もない事だ』
スノードラゴン、グラキエースは口から氷の息を吐いた。すると剣を振りかざしアスランとティグリスに攻撃していた盗賊たちの足元が凍りだしたのだ。盗賊たちは、突然自分たちが動けなくなった事に驚きの叫び声をあげた。アスランは驚いたようにスノードラゴンを見上げていた。あかりとアポロンは、アスランの元に走った。ティグリスもあかりの側にやってくる。あかりがアスランを見ると、左肩に深い刀傷を負っていた。あかりはキャアッと悲鳴をあげた。アスランは笑って答えた。
「大丈夫だよメリッサ。こんな傷、治癒魔法ですぐに治せる」
アスランは一言何かつぶやくと、アスランの肩のケガは瞬時に治ってしまった。そしてアスランはあかりの側にいる巨大なドラゴンを見ていった。
「メリッサ、このドラゴンも君が使役しているのかい?」
「だから使役じゃないってば!グラキエースは私の大切なお友達よ」
こともなげに微笑むあかりに、アスランはため息をついた。
崖の上から注意深く観察していたアスランは、ある違和感に気づいた。見張りの盗賊がいないのだ。まるでわざと手うすに見せているようだ。そしてアスランたちの背後の森から、ガサリと物音がした。アスランはハッとして叫んだ。
「ティグリス!メリッサを守れ!」
ティグリスはすかさずメリッサを背に乗せた。アスランは愛馬アポロンの背にまたがる。森の中からは三人の盗賊たちが剣を構えて現れた。アスランは叫ぶ。
「罠だ!皆崖下へ!」
アスランの号令に、ティグリスとアポロンは崖をくだる。ティグリスとアポロンは危なげなく高い崖を降りた。メリッサがアスランに質問する。
「罠って?」
「僕のかけた魔法に気づかれた。盗賊団の中には魔法使いがいる」
アスランは舌打ちをした。アジトからも、森からもわらわらと盗賊たちが出てくる。アスランの前にいかつい大男が現れた。どうやらこの大男が盗賊団のリーダーらしい。大男はニヤニヤと気味の悪い笑いを浮かべながら言った。
「目印の魔法がかけられていたから、兵士の大群でもやってくるかと思いきや、たった二人とはお笑いぐさだな。しかももう一人は小娘じゃないか」
盗賊団のリーダーの横には顔色の悪い痩せこけた男がいた。多分この男がアスランの魔法を見抜いた魔法使いなのだろう。痩せこけた男がリーダーに言う。
「この男は魔法使いかと、そしてあの獣は霊獣です。残りの娘と馬は無力です」
リーダーはフフンと鼻で笑うと左手を上げた。攻撃の合図だ。周りを囲んでいた盗賊たちが皆いっせいに弓をひく。大量の矢がアスランたちに襲いかかる。アスランは風防御魔法、ウィンドウドームを発動した。アスランたちを風のドームがおおう。盗賊たちの放った矢はすべて弾き返された。アスランはメリッサとアポロン、ティグリスに言う。
「メリッサ、アポロン防御ドームか出るんじゃないぞ。ティグリス手を貸してくれ!」
『俺に命令すんな!俺はメリッサの言うことしか聞かねぇんだよ!』
虎の霊獣はギャァと咆哮する。多分断ると言っているのだろう。アスランは防御ドームを出る。しぶしぶという感じでティグリスもドームから出る。盗賊たちは再びアスランとティグリスに弓矢をはなつ。アスランは風魔法で弓をなぎ払い、ティグリスは矢を炎魔法で焼き払う。
盗賊団のリーダーは憎々しげに眉を寄せ、左手を上げる。盗賊団たちが手に手に剣を取りアスランたちに斬りかかった。ティグリスは炎の弾丸で、斬りかかってきた盗賊を吹き飛ばす。アスランも風魔法の弾丸で盗賊を吹き飛ばした。だが盗賊たちは後から後からアスランたちに斬りかかってくる、これではらちがあかない。
ティグリスがギャウッと咆哮する。アスランには意味が分からなかったが、多分らちがあかないから、攻撃させろと言っているのだろう。アスランは仕方なく背中の剣を抜き構える。アスランは震えていた。アスランが剣を振れば、相手の盗賊は傷つくだろう。もしかしたら死んでしまうかもしれない。そう思うとアスランの動きが止まってしまった。
メリッサとアポロンは、アスランの作った防御ドームの中で、事の成り行きを見守っていた。アスランとティグリスは強力な魔法で盗賊たちを吹き飛ばしているが、致命傷は与えていないらしく、盗賊たちは後から後からアスランたちに襲いかかってくる。アポロンはたまらず叫んだ。
『アスラン!私も戦う!ここから出してくれ』
アスランの愛馬アポロンは、今にも防御ドームに体当たりしそうな勢いだ。あかりはアポロンの背に手をおいて、落ち着いてと優しく撫でた。アスランは剣を構えたけれど、やはり盗賊を斬る事はできなかった。あかりは霊獣のティグリスにも、盗賊は殺さないでとお願いしている。アポロンはうめくように言った。
『ああ、このままではアスランは殺されてしまう。アスランは人を傷つける覚悟と勇気がないのだ』
アポロンの言葉にあかりは無意識に首を振って言った。
「ううん、違うわアポロン。アスランは弱虫なんかじゃないわ。アスランは自分の信念を突き通す事ができるとても強い人よ」
あかりは胸がドキドキするのがわかった。弱い人間は、自分が助かるためには相手を傷つける事だってやってのけるだろう。だがアスランは、自分が傷ついたとしても相手を傷つけたくないのだ。あかりは感動していたのだ、アスランの信念に。やはり盗賊を傷つける事ができないアスランは防御ドームの中のあかりたちに振り向いた。真剣な表情だった。
「アポロン、メリッサを連れて逃げろ!メリッサ、アポロンを頼む!」
アポロンは覚悟の表情を浮かべてあかりに言った。
『メリッサ、アスランの命令だ。私の背に乗れ。アスランが危険にさらされたらこの防御ドームも消える』
アスランが盗賊に一太刀を受けた。アスランが膝をつく。それと同時にあかりたちを守っていた防御ドームが消えた。アポロンは早く自分の背に乗れと急かす。あかりはアポロンの言葉にしたがわず、つぶやくように言った。
「アスラン、貴方が誰も傷つけたくないというなら、私はその気持ち応援するよ。グラキエース!」
突然あかりの側に巨大なドラゴンが出現した。盗賊たちは、急に現れたドラゴンに恐れをなして逃げまどった。ドラゴンはおごそかに言った。
『メリッサ、何か困った事が起きたのか?』
「グラキエース、お願い。ここにいる盗賊たち全員を命は取らないで動けないようにして?」
『造作もない事だ』
スノードラゴン、グラキエースは口から氷の息を吐いた。すると剣を振りかざしアスランとティグリスに攻撃していた盗賊たちの足元が凍りだしたのだ。盗賊たちは、突然自分たちが動けなくなった事に驚きの叫び声をあげた。アスランは驚いたようにスノードラゴンを見上げていた。あかりとアポロンは、アスランの元に走った。ティグリスもあかりの側にやってくる。あかりがアスランを見ると、左肩に深い刀傷を負っていた。あかりはキャアッと悲鳴をあげた。アスランは笑って答えた。
「大丈夫だよメリッサ。こんな傷、治癒魔法ですぐに治せる」
アスランは一言何かつぶやくと、アスランの肩のケガは瞬時に治ってしまった。そしてアスランはあかりの側にいる巨大なドラゴンを見ていった。
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