見習い動物看護師最強ビーストテイマーになる

盛平

文字の大きさ
42 / 118

霊獣エルク

しおりを挟む
 あかりたちが歩き続けると、しばらくして大きな館が見えてきた。この館がエルナンデス子爵の住まいなのだろう。あかりたちがさらに館に近づこうとすると、頭上から声がした。

『ここより先は我が主人の館だ。よそ者は即刻立ち去れ』

 あかりたちが空を見上げると、そこにはおおきなヘラジカの霊獣がいた。子鹿の霊獣エラフィが叫んだ。

『お父さん!』

 あかりたちを威嚇するヘラジカの霊獣はエラフィの守護者だったのだ。ヘラジカの霊獣は、養い子のエラフィがいくら呼んでもエラフィに視線を向けなかった。

 ヘラジカの霊獣は、あかりたちが立ち去らないのを確認すると、攻撃魔法を発動した。ヘラジカの霊獣の周りに、沢山の風の球体が出現した。あかりたちは、この攻撃魔法がどのようなものかはわからないので各自防御魔法を発動しようとした。そんなあかりたちにエラフィが叫んだ。

『防御壁の魔法はやめて!お父さんの風攻撃魔法は、風の球体を高速回転させて敵にぶつけるの。当たったらその場所の肉が弾け飛んじゃうの!普通の防御魔法壁だと球体が当たったら周りにはねちゃうの』

 グリフが叫び声をあげる。

「エラフィ、君のお父さん怖いね!」
『ぼくのお父さんは優しいもん!誰も傷つけたりしないもん!』

 あかりは落ち込んでいるエラフィを抱きしめた。グリフがアスランに言う。

「アスラン風防御ドームだ!」
「言われなくてもわかってるよ!」

 アスランはその場にいた全員を大きな防御ドームでおおう。ヘラジカの霊獣の攻撃魔法は、アスランの防御ドームに当たると、方向を変えて辺りに飛び散り、森の木々をなぎ倒した。アスランは歯を食いしばりながら防御ドームを保っていた。ヘラジカの攻撃魔法が強力なためだろう。見かねたアポロンも風防御魔法でアスランの手助けをする。だがこのままではらちがあかない。あかりはティグリスに声をかけた。

「ねぇティグリス、あのヘラジカの霊獣の側で爆発音を出す事できる?」
『お安い御用だメリッサ』

 子虎の霊獣ティグリスはヘラジカの霊獣の周りで、炎魔法を発動させた。その魔法は、相手を傷つけるのではなくてパーンッと大きな音がなるのだ。まるで日中にあげる花火のようだ。ヘラジカの霊獣はハッとしたように辺りを見回した。そして風防御ドームを見て自身の養い子に気づいたようだ。ヘラジカの霊獣は叫んだ。

『エラフィ!』
『お父さん!』

 どうやらヘラジカの霊獣は意識を取り戻したらしい。だがあかりは思った、あのヘラジカの霊獣と人間の契約はおかしいと。あかりと契約しているティグリスとグラキエースは意識はしっかりしている。だがあのヘラジカの霊獣はまるで操られているかのようだ。あかりはヘラジカの霊獣に言った。

「エラフィの守護者さん!エラフィのためにも人間との契約を解除しましょう!」
『人間の娘、申し出はありがたいが私自身ではどうしようもないのだ。一つ頼みたい事がある。養い子のエラフィを保護してくれないか?その子が無事でいてくれるなら、私はどうなっても構わない』

 ヘラジカの霊獣はそれだけ言うと、急に苦しみだした。エラフィがお父さん、と叫ぶ。ヘラジカの霊獣は再びあかりたちに攻撃し出した。あかりは確信した、ヘラジカの霊獣は人間との真の名の契約だけではなく、何かに操られているのだと。あかりはアスランとアポロン、グリフに言った。

「アスラン、アポロン、グリフ!エラフィの守護者は真の名の契約だけじゃなく別な何かに操られているみたい。私たち
はエラフィの守護者さんを何とかするから、三人は守護者さんの契約者の所に行って!」

 あかりの言葉にアスランとアポロンとグリフは顔を見合わせる。アスランはあかりに厳しい顔をして言った。

「僕らはエルナンデス子爵の所に行って、彼にエラフィの守護者との契約を解除するように説得してくる。メリッサ、くれぐれも危険な事をしないでくれよ?ティグリス、グラキエース!メリッサとエラフィを頼む」

 ティグリスとグラキエースは、アスランの言葉に当たり前だ、とタンカをきる。あかりは真剣な顔でうなずくと自身の霊獣たちに声をかけた。

「ティグリス、グラキエース、アスランたちが館に行けるように援護して!」

 ティグリスとグラキエースはあかりの言葉にうなずくと、ヘラジカの霊獣に炎攻撃魔法と、氷攻撃魔法を発動した。ヘラジカの霊獣は自身に風防御魔法の球体を発動させ、炎と氷から自身を守った。その隙をついて、アポロンの背に乗った、アスランとグリフは館めがけて飛び去った。アポロンの飛ぶ速度はものすごく速くて、あかりの目の前から一瞬で消えてしまった。

 
 
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

処理中です...