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盛平

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アスランとヴイヴィアン

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 今にも死にそうにだったグリフは、霊獣レオとフローラの魔法により、どうやら危機を脱したようだ。アスランは霊獣語がわからないので、霊獣のアポロンに通訳してもらって状況を理解した。アスランは泣きすぎて乱れていた呼吸を、ゆっくりと元に戻した。深い呼吸を繰り返すと、ざわめいていた気持ちが落ち着くのがわかった。アスランは、グリフが死んでしまうかもしれないというショックでひどく取り乱してしまった。いつもなら姉のヴイヴィアンに、修行が足りないとしったされる所だが、この時ばかりは姉のヴイヴィアンも優しかった。アスランの背中をずっとさすってくれていた。

 アスランはここのところ泣いてばかりだ。姉が死にかけては泣き、人を傷つけては泣いている。そして、またすぐに再会できると思っていた仲間のグリフが死んでしまうかもしれないと知った時、アスランは後悔の念でいっぱいになった。手強い相手と戦っているのだ。もしかすると自分や仲間が死ぬかもしれない。頭の片す見では理解しているはずなのに、アスランは仲間の死に直面する覚悟を持ってはいなかったのだ。幸い、霊獣のレオとセレーナの魔法でグリフは回復する事ができた。これでグリフに謝る事ができる、アスランはホウッと息をはいた。

 落ち着いたアスランを見て、付きそってくれていた姉のヴイヴィアンが言った。

「アスラン、お前の仲間はもう大丈夫そうだな。私は用があるからここでさらばだ」

 ヴイヴィアンはそれだけ言うと走り出そうとした。アスランはすかさず姉の手をつかんで言った。

「放さないよ、姉さん。姉さんはこれからトランド国王の依頼でトランド城に行くんだろ?姉さんだけで行ったら何年経ってもお城に着かない、僕らも一緒に行く」

 ヴイヴィアンは顔を真っ赤にして怒って言った。

「何で私がトランド国王の依頼を受けたと知っているのだ?!それに私は子供ではない!一人で行ける!」
「姉さんだってうすうす気づいているだろ?自分がとんでもない方向音痴だって?トランド国王を助けに行きたいのは僕らも同じだ」

 ヴイヴィアンは観念したようにうつむいてから、小さな声で言った。

「わかった・・・、一緒に行くから、とにかく手を放せ」
「ダメだ。姉さんは手を放したら絶対にどっかに行ってしまう」

 アスランはヴイヴィアンのつかんだ手をかたくなに放さなかった。アスランは、ずっと姉の手は大きいと思っていた。小さな頃から何度も何度も姉のこぶしに殴られて、血まみれだった。だが久しぶりにつないだ姉の手は、とても小さくて頼りなげだった。アスランは小さな頃との記憶の差が大きすぎて、姉の手を放す事をためらった。

「ねぇヴイヴィ、私ちょっと疲れたから手をつないでもらってもいい?」

 アスランとヴイヴィアンが言い争いをしていると、いつの間にかメリッサが側に来て言った。姉のヴイヴィアンはパッと顔を輝かせてメリッサに答えた。

「よし、任せろメリッサ!アスラン手を放せ!私はメリッサと手をつなぐ!」

 アスランは驚いてメリッサに言った。

「メリッサ、疲れているなら僕がおんぶしてあげるよ?」

 メリッサはアスランの顔をジッと見て、疲れた笑顔で答えた。

「そういう意味じゃないのよ、アスラン」

 アスランはメリッサの言った意味がわからず姉のヴイヴィアンを見ると、深いため息を吐いていた。アスランは仕方なく姉の手を放し、メリッサにたくした。ヴイヴィアンは嬉しそうにメリッサと手をつないだ。メリッサはグリフの側にいる霊獣ノックスに声をかけた。

「ねぇノックス。私たちをトランド城まで連れて行ってくれない?」

 ノックスは心配そうに見ていたグリフから、視線をメリッサに向けて何か言った。おそらく肯定の言葉だろう。

『ああ、グリフを助けてくれたのはメリッサたちのおかげだからな。空間魔法でメリッサたちを城まで連れて行ってやる。だがなフローラ、お前さんはちとデカすぎる小さくなってくれんか?』
 
 ノックスが何か言うと、突然小山のように大きかったドラゴンのフローラがみるみる小さくなった。フローラはグラキエースと同じ大きさになり、グラキエースのとなりでパタパタ翼をはためかせて飛んでいる。小さなドラゴンが二頭飛んでいてとても可愛い。メリッサも同意見らしく、フローラ可愛いっ。としきりに言っている。ノックスはうなずくと、いまだぐったりしているグリフを背中に背負い、闇空間魔法を発動させた。

 アスランたち大所帯の面々は、トランド国王を助けるためにトランド城に向かった。
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