ダブル魔眼の最強術師 ~前世は散々でしたが、せっかく転生したので今度は最高の人生を目指します!~

雪華慧太

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7、魔法の原理とは

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 俺は今まで自分の頭と手に意識を集中していた。

 だが俺の目に映ったママンの姿。
 よく観察すると魔法を使う時に最初に淡い光を帯びるのは、ママンではなくその周囲の空間だ。
 最初に観察したときはその薄すぎる光に気が付かなかったのだが、一瞬先に周囲の空気が輝いた後、ママンの両手が光輝いている。

 そしてよく観察するとまるで血液が流れるように、白く薄い光がママンの体を循環している。
 周囲から取り込まれた光はママンの額と臍の2点に凝縮された後、全身を循環して両手に集められる。

 その光がママンの手を通じて患者に流れ込んで行く。

 アランもそうだ。
 最初に周囲が光り、その光を額と臍に集めて必要な瞬間に必要な場所に送っている。

 アランの尋常ではない動きの速さはその光が肉体を補助するように強化をしているからだ。
 脚やつま先、そして時には腕や手のひら。
 必要な時に必要な場所に肉体を活性化するかのようにその光は移動している。
 いや正確に言えばアランが意識的、いやもう無意識のレベルでその力を使いこなしているのだろう。

 つまりこういうことだ。

 燃料は周りにあるのだ。
 そしてそれを燃やしてエネルギーを作る器官が額と臍に存在する。
 そこで増幅された力を魔法使いは魔力として剣士は肉体や武器の強化に使っているのだ。

 俺は意識を集中した。

 額と臍で呼吸をするような感覚で俺の周りにある燃料のようなものを取り込むイメージをした。
 今までには無い熱のようなものを感じる。

 その熱は俺の体内をグルグルと駆け巡った。
 もしかして俺の中で魔力ってやつが高まっているのか?
 初めての感覚に興奮し、俺はそれを自分の両手に集中させる。

(まぶしい!!)

 俺は思わず目を閉じた。
 アリシアがビックリしたような顔をして俺を見つめていた。

「お…奥様!!!」

 病人を治療中のママンが、不思議そうにアリシアを見つめる。

「どうしたのアリシア?そんなに大きな声を出して」

 相変わらずママンは美しい

「い…いまロイ様の手に光が!!まるでエルディアナ様みたいに…」

 それを聞いてママンは笑った。

「もうアリシアったら馬鹿なこといって、どんなに才能がある子だって5年は修行しないとそんなことは出来ないわ。いくらうちのロイちゃんが天才って言ってもまだ教えてないもの」

 ママンも結構な親馬鹿だ。
 教えてもいないのに天才だと決めつけている。

(それにしても、危なかったな)

 アリシアの冗談だと思ってくれて助かった。
 まさかあんなに強い光が出るとは思わなかったからな。
 自重しなくては。
 ママンに不気味がられたら俺は死んでしまいそうだ。


 さて、過去の余談はこれぐらいにして、話を現在に戻そう。
 俺は誰もいないことを確認してすくっと立ち上がった。
 そしてアランにもらった玩具の木刀を手にしている。
 まあ出来たらアランが使うような薄くて硬い剣がいいのだが、子供にそんなものをわたすほどアランも馬鹿じゃない。

(この際、素材は問題じゃないか)

 あくまでもテストだからな。
 俺は木刀を持つ腕に意識を集中する。
 微かに熱い感触が俺の腕に、指先に集まっていく。

 アリシアが洗濯物を取り込んでいる5分間が勝負だな
 俺が一人になれる僅かな時間。
 目の前には子供にとっては巨岩ともいえる小さな岩がある。
 おれはスタスタとその木の根元に近づいていくと、さらに右手に意識を集中した。

(思い出せアランの構えを)

 アランがしたように静かに上段に木刀を構える。
 微妙にずれた俺の構えを頭の中のアランの像にミリ単位で重ねた。
 イメージを正確にとらえるのはフィギュアを作るときの基本だ。

 アランの動きのイメージを正確に描いてそれを俺の身体で体現すればいい。
 そして意識をまるで木刀の先まで己の身体かの如く神経を研ぎ澄ましていく。
 木刀が薄っすらと光の膜に包まれていった。

 全身にも薄い光の衣を纏う、所詮は1歳児の体だ。
 俺は今、薄く魔力を身に纏い自分自身の体を活性強化している。
 赤ん坊の俺が自由に歩き回れるのもそのお蔭だからな。

 だが、まだ足りない。

 アランがしているように肉体を魔力でより一層活性化しなければ、俺がこれからする実験の目的は達成できないだろうからな。

(集中しろ!!)

 頭の先から木刀の先まで一体なったと感じた瞬間! 俺は横薙ぎに木刀を一閃した。
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