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12、俺の先生は美女エルフ
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「いいか? 私には嫌いなモノが二つある」
美しい顔をした女が俺を見つめてそう言った。
ママンが治療院に戻った後、俺は百合系エルフの美女と家の庭に立っていた。
「はい。せんせ」
俺は少したどたどしくそう言った。
「一つ目は、私の大好きな人を奪ったガサツな男!!」
ああ、あの超絶イケメン野郎ですね。
分かります先生。
ラフィーネ先生の目は怒りに燃えている。
「そして、二つ目が私の愛するあの人を悲しませる奴だ!!」
ああ……駄目だ。
この人、完全に世界がママン中心に回っている。
まるで大層な宣言を成し遂げたかのように満足している先生の顔を、俺は無表情に眺めた。
俺の無表情の中に隠されて軽蔑の視線に気がついたのか、ラフィーネ先生はこほんと咳払いした。
「まあとにかく私が言いたかったのは、魔法と言うのは繊細かつ華麗。つまり美しさが全ての世界だと言うことなのさ、分かるかい?」
ああ、ごめんなさい先生。
全く分かりません。
ていうかそんなこと一言も言ってなかったし。
まるでハニワの瞳の様に俺の目から光が失われていくのを見て、先生は少し焦っている。
(どう考えてもこの人、先生には向いてないだろ?)
俺は弟子としては大変失礼ながらそう思った。
「まあいいか、実践してみよう」
ラフィーネはそう言うと、指先に炎を灯した。
後で知ったのだが、詠唱も無しに魔法を使えるのは高位の魔法使いだけだそうだ。
俺はママンを側で見てるから、無詠唱が当たり前だと思っていたのだが。
ついでに言えば、実はこの程度の魔法ぐらいならもう簡単に使えるんだが教師に恥をかかせてはいけない。
「これはフィラと言う呪文だ、でも人によって生まれる炎は違う」
俺はラフィーネの言葉の意図を確かめる様に、その炎を良く見つめてみた。
驚きを感じたのはその時だった。
(これは……)
まるで螺旋を描くように炎が回転している、しかもまるで薔薇の花の様にその炎は多重構造をしていた。
俺がそれに気がついたのを見るとラフィーネは満足そうに笑う
「フィラリーネ!!」
ラフィーネがそう叫ぶと庭中に広がっていた小石にラフィーネの指から飛び散った炎の花びらが突き刺さって燃え上がると、一瞬で溶けて崩れる。
そして、炎の花びらも役目を果たしたように消え去った。
おい……石を一瞬で溶かしちまう魔法って。
しかもまだ本気ではないのが分かる。
本気になればデカい岩とかも蒸発させてしまいそうだ。
並みの炎ではない。
俺はとても大きな勘違いをしていたことに気がついて、美しい女エルフを見つめる。
(教師に向いて無いだと? これは失礼にも程があったな)
この人は的確に俺に魔法の原理を教えてくれている。
生徒がアホなら一生理解出来ないだろうが、この人は天才だな。
恐らくはこれほど美しいフィラを作り出すことが出来る人間は数が少ないのだろう。
つまり魔法とは芸術なのだ。
おれは直感的にそれに気がついた。
己の中で高められた魔力による、イマジネーションの発露。
それが魔法であるとラフィーネは言ったのだろう。
強い思いが、より強い力を呼び覚ます。
己の中の美を追い求めればより強く、高い集中力が得られるのは自明だ。
(俺はついてるな)
下手に二流の先生につけば、一生矯正不可能なモノを魔法と理解するだろう。
ただ真面目に基本を繰り返すような教育が作り上げるのは、天才ではなくステレオタイプの凡才か精々秀才の群れなのかもしれない。
俺は想像した、指先に燃え上がるような炎を。
そして研ぎ澄まされたガラスの破片の様な鋭い切先をもった花びらがグルグルと回る炎の薔薇を。
前世で中二病と呼ばれるアニメのほぼ全てに目を通し、そのガレージキットを精密に作り続けたフィギュアマスターの俺に美を語らせたら3日は寝させない自信はある。
その姿がより鮮明に俺の頭の中にイメージされる。
より薄く、そしてより多重構造に沢山の花びらを作り上げていく。
そうだついでにグラデーションをつけよう、内側に行くほど淡い赤に。
俺は意識を頭の奥に巡らせるとそのイメージを確かに掴んだ。
そしてそれを一気に指先に作り上げる。
「ふぃ…ら」
俺は呟くようにそう言った。
美しい顔をした女が俺を見つめてそう言った。
ママンが治療院に戻った後、俺は百合系エルフの美女と家の庭に立っていた。
「はい。せんせ」
俺は少したどたどしくそう言った。
「一つ目は、私の大好きな人を奪ったガサツな男!!」
ああ、あの超絶イケメン野郎ですね。
分かります先生。
ラフィーネ先生の目は怒りに燃えている。
「そして、二つ目が私の愛するあの人を悲しませる奴だ!!」
ああ……駄目だ。
この人、完全に世界がママン中心に回っている。
まるで大層な宣言を成し遂げたかのように満足している先生の顔を、俺は無表情に眺めた。
俺の無表情の中に隠されて軽蔑の視線に気がついたのか、ラフィーネ先生はこほんと咳払いした。
「まあとにかく私が言いたかったのは、魔法と言うのは繊細かつ華麗。つまり美しさが全ての世界だと言うことなのさ、分かるかい?」
ああ、ごめんなさい先生。
全く分かりません。
ていうかそんなこと一言も言ってなかったし。
まるでハニワの瞳の様に俺の目から光が失われていくのを見て、先生は少し焦っている。
(どう考えてもこの人、先生には向いてないだろ?)
俺は弟子としては大変失礼ながらそう思った。
「まあいいか、実践してみよう」
ラフィーネはそう言うと、指先に炎を灯した。
後で知ったのだが、詠唱も無しに魔法を使えるのは高位の魔法使いだけだそうだ。
俺はママンを側で見てるから、無詠唱が当たり前だと思っていたのだが。
ついでに言えば、実はこの程度の魔法ぐらいならもう簡単に使えるんだが教師に恥をかかせてはいけない。
「これはフィラと言う呪文だ、でも人によって生まれる炎は違う」
俺はラフィーネの言葉の意図を確かめる様に、その炎を良く見つめてみた。
驚きを感じたのはその時だった。
(これは……)
まるで螺旋を描くように炎が回転している、しかもまるで薔薇の花の様にその炎は多重構造をしていた。
俺がそれに気がついたのを見るとラフィーネは満足そうに笑う
「フィラリーネ!!」
ラフィーネがそう叫ぶと庭中に広がっていた小石にラフィーネの指から飛び散った炎の花びらが突き刺さって燃え上がると、一瞬で溶けて崩れる。
そして、炎の花びらも役目を果たしたように消え去った。
おい……石を一瞬で溶かしちまう魔法って。
しかもまだ本気ではないのが分かる。
本気になればデカい岩とかも蒸発させてしまいそうだ。
並みの炎ではない。
俺はとても大きな勘違いをしていたことに気がついて、美しい女エルフを見つめる。
(教師に向いて無いだと? これは失礼にも程があったな)
この人は的確に俺に魔法の原理を教えてくれている。
生徒がアホなら一生理解出来ないだろうが、この人は天才だな。
恐らくはこれほど美しいフィラを作り出すことが出来る人間は数が少ないのだろう。
つまり魔法とは芸術なのだ。
おれは直感的にそれに気がついた。
己の中で高められた魔力による、イマジネーションの発露。
それが魔法であるとラフィーネは言ったのだろう。
強い思いが、より強い力を呼び覚ます。
己の中の美を追い求めればより強く、高い集中力が得られるのは自明だ。
(俺はついてるな)
下手に二流の先生につけば、一生矯正不可能なモノを魔法と理解するだろう。
ただ真面目に基本を繰り返すような教育が作り上げるのは、天才ではなくステレオタイプの凡才か精々秀才の群れなのかもしれない。
俺は想像した、指先に燃え上がるような炎を。
そして研ぎ澄まされたガラスの破片の様な鋭い切先をもった花びらがグルグルと回る炎の薔薇を。
前世で中二病と呼ばれるアニメのほぼ全てに目を通し、そのガレージキットを精密に作り続けたフィギュアマスターの俺に美を語らせたら3日は寝させない自信はある。
その姿がより鮮明に俺の頭の中にイメージされる。
より薄く、そしてより多重構造に沢山の花びらを作り上げていく。
そうだついでにグラデーションをつけよう、内側に行くほど淡い赤に。
俺は意識を頭の奥に巡らせるとそのイメージを確かに掴んだ。
そしてそれを一気に指先に作り上げる。
「ふぃ…ら」
俺は呟くようにそう言った。
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