61 / 73
61、帰宅して
しおりを挟む
そして、その日の夕方。
アランも帰宅し、ママンも治療院の仕事が終わって俺たちは夕食の食卓についていた。
もちろんラフィーネ先生やアーシェも一緒である。
夕食のおかずを運び終えて、ママンが俺やアーシェをギュッと抱きしめる。
「ロイ、アーシェ、おかえりなさい! 学校はどうだった?」
今日は治療院が忙しそうだったので、やっと今ゆっくり会話できる状況だ。
エミリア先生も母性に溢れた存在だが、やはりママンにこうされると安心するな。
うちの女神は最高である。
「楽しかったよ、お母さん。な、アーシェ!」
「うん! とっても」
俺たちは、今日行った運動能力テストの事を二人に話す。
アーシェはまるで自分が一番になったかのように俺の事を誇らしげに話した。
夢中になって話し続けるアーシェ。
「それでね、ロイが凄いの! 今ままでの新入生で一番の記録なんだって。かけっこなんて凄く速くて、私、夢中になって応援しちゃった!」
確かにトーマス軍団の応援の中で、アーシェ一人、俺を応援してくれたもんな。
お蔭でちょっとやり過ぎちまったが。
自分ばっかり話してることに気が付いたのかアーシェは少し俯いて上目遣いに俺たちを見る。
「ご、ごめんなさい……わたしばっかり話して、でも楽しかったからつい……」
そんなアーシェの傍にママンは行くと、後ろから強く抱きしめる。
「何言ってるのアーシェ! もっと話して。貴方が楽しそうな姿を見るととても嬉しいわ!」
アランも大きく頷く。
「そうだぞ、アーシェ。娘が楽しそうな姿を見て嬉しくないはずないだろう?」
ここにいる間はアーシェは自分たちの娘としてご両親から預かるんだと二人は言っていたが、形だけではなく心からアーシェのことを娘のように大事にしているのが分かる。
俺は自分の両親のこんなところが大好きだ。
アーシェは嬉しそうに微笑む。
そして、また沢山学校での出来事を話した。
まあ、帰り路に、アーシェには頼んだんだけどな。
アンドニウスを大の字にのしたことや、生徒会のメンバーとのバトルは伏せておいてもらうことはさ。
まさか、校庭にどでかい剣がぶっ刺さって、生徒会室では魔銃をぶっ放されたなんて話を聞かせる訳にはいけない。
ラフィーネ先生がいなければ別だが、お陰様で頼りになる護衛もいるからな。
なるべく心配はかけたくない。
まあ、幸いなことにエミリア先生も俺たちの味方になってくれそうだし、ティア先輩も頼りになる。
制服を渡してくれた後も、何故か校門のところまでしっかりと手を繋いで見送ってくれた。
目をはなすと何をするか分からないと思われているのかもしれない。
俺への信頼度はゼロである。
俺なんかと手をつなぐのは恥ずかしいのか、ツンと少し顔を背けてクールな美貌を赤らめてるのがメチャクチャ可愛かったのだが無論そんなことは口にしていない。
殺し屋モードに突入して、あの刀で一刀両断されたくないからな。
アーシェにとっては大冒険だったみたいで、ちょっと残念そうだったけど二人に心配をさせたくないって話したら了解してくれた。
俺はアーシェのことも二人に報告する。
「アーシェだって、二番だっただろ? ね、ラフィーネ先生」
「ああ、立派だったよ! ロイの次だからね」
それを聞いて、アーシェを後ろから抱きしめているママンが目を輝かせる。
「あら! 凄いわね、アーシェ!!」
「えへへ、うん!」
エミリア先生とティア先輩母娘も人目を引く存在だが、この二人も一緒に街を歩けば振り向かない者はいないだろう。
まるで女神と天使である。
アーシェは椅子から立ち上がると、その場でくるくると体を躍らせると嬉しそうに笑う。
「学校がこんなに楽しいなんて思わなかった! ロイがいてくれるから! ロイは私の一番大事なお友達、世界で一番のお友達!!」
俺も嬉しくなって立ち上がると、アーシェの手を握る。
「ああ、アーシェ。俺もアーシェが大好きだよ!」
俺にとってもアーシェは大事な友達だからな。
一緒に学校に通うのが楽しいのは俺も同じだ。
「だ、大好き!!?」
一瞬アーシェが俺を見つめてかたまった。
どうしたんだ?
さっきまで楽しそうだったのに。
また俺がなにかやらかしたか?
女の子にどう接していいのかなんて、経験値ゼロに近いからな俺は。
ティア先輩にもすっかり睨まれてるし。
俺は戸惑いながらアーシェに言った。
「ご、ごめん、俺なんか変なこと言った?」
アーシェは俺を見つめて真っ赤になりながら答える。
「ううん! 私も! 私もロイが大好き!!」
良かった。
俺の気のせいだったみたいだ。
楽しい夕食の時間はゆっくりと過ぎていく。
そんな中、ラフィーネ先生が俺に囁く。
「ロイ、そろそろあの話をアランたちにした方がいいんじゃないのかい?」
「え、ええ、そうですね先生」
例の話をまだ、二人には話してないんだよな。
いきなりあんな話をするのは、どうも気が引けちゃってさ。
何しろ、前世はずっと引きこもっていただけにこういう大事な話をあらたまって話を両親とするという経験がほぼ皆無だ。
でも、話さないとな。
エミリア先生には、明日返事をするって約束したし。
俺は一度咳ばらいをして、アランとママンに言った。
「あ、あの、お父さん、お母さん、俺大事は話があるんだ」
二人は不思議そうに首を傾げる。
「どうしたの、ロイ」
「どうした、急にあらたまって」
俺はそんな二人を見つめる。
そして、俺は自分の将来にも関わるであろう話を二人に話し始めた。
アランも帰宅し、ママンも治療院の仕事が終わって俺たちは夕食の食卓についていた。
もちろんラフィーネ先生やアーシェも一緒である。
夕食のおかずを運び終えて、ママンが俺やアーシェをギュッと抱きしめる。
「ロイ、アーシェ、おかえりなさい! 学校はどうだった?」
今日は治療院が忙しそうだったので、やっと今ゆっくり会話できる状況だ。
エミリア先生も母性に溢れた存在だが、やはりママンにこうされると安心するな。
うちの女神は最高である。
「楽しかったよ、お母さん。な、アーシェ!」
「うん! とっても」
俺たちは、今日行った運動能力テストの事を二人に話す。
アーシェはまるで自分が一番になったかのように俺の事を誇らしげに話した。
夢中になって話し続けるアーシェ。
「それでね、ロイが凄いの! 今ままでの新入生で一番の記録なんだって。かけっこなんて凄く速くて、私、夢中になって応援しちゃった!」
確かにトーマス軍団の応援の中で、アーシェ一人、俺を応援してくれたもんな。
お蔭でちょっとやり過ぎちまったが。
自分ばっかり話してることに気が付いたのかアーシェは少し俯いて上目遣いに俺たちを見る。
「ご、ごめんなさい……わたしばっかり話して、でも楽しかったからつい……」
そんなアーシェの傍にママンは行くと、後ろから強く抱きしめる。
「何言ってるのアーシェ! もっと話して。貴方が楽しそうな姿を見るととても嬉しいわ!」
アランも大きく頷く。
「そうだぞ、アーシェ。娘が楽しそうな姿を見て嬉しくないはずないだろう?」
ここにいる間はアーシェは自分たちの娘としてご両親から預かるんだと二人は言っていたが、形だけではなく心からアーシェのことを娘のように大事にしているのが分かる。
俺は自分の両親のこんなところが大好きだ。
アーシェは嬉しそうに微笑む。
そして、また沢山学校での出来事を話した。
まあ、帰り路に、アーシェには頼んだんだけどな。
アンドニウスを大の字にのしたことや、生徒会のメンバーとのバトルは伏せておいてもらうことはさ。
まさか、校庭にどでかい剣がぶっ刺さって、生徒会室では魔銃をぶっ放されたなんて話を聞かせる訳にはいけない。
ラフィーネ先生がいなければ別だが、お陰様で頼りになる護衛もいるからな。
なるべく心配はかけたくない。
まあ、幸いなことにエミリア先生も俺たちの味方になってくれそうだし、ティア先輩も頼りになる。
制服を渡してくれた後も、何故か校門のところまでしっかりと手を繋いで見送ってくれた。
目をはなすと何をするか分からないと思われているのかもしれない。
俺への信頼度はゼロである。
俺なんかと手をつなぐのは恥ずかしいのか、ツンと少し顔を背けてクールな美貌を赤らめてるのがメチャクチャ可愛かったのだが無論そんなことは口にしていない。
殺し屋モードに突入して、あの刀で一刀両断されたくないからな。
アーシェにとっては大冒険だったみたいで、ちょっと残念そうだったけど二人に心配をさせたくないって話したら了解してくれた。
俺はアーシェのことも二人に報告する。
「アーシェだって、二番だっただろ? ね、ラフィーネ先生」
「ああ、立派だったよ! ロイの次だからね」
それを聞いて、アーシェを後ろから抱きしめているママンが目を輝かせる。
「あら! 凄いわね、アーシェ!!」
「えへへ、うん!」
エミリア先生とティア先輩母娘も人目を引く存在だが、この二人も一緒に街を歩けば振り向かない者はいないだろう。
まるで女神と天使である。
アーシェは椅子から立ち上がると、その場でくるくると体を躍らせると嬉しそうに笑う。
「学校がこんなに楽しいなんて思わなかった! ロイがいてくれるから! ロイは私の一番大事なお友達、世界で一番のお友達!!」
俺も嬉しくなって立ち上がると、アーシェの手を握る。
「ああ、アーシェ。俺もアーシェが大好きだよ!」
俺にとってもアーシェは大事な友達だからな。
一緒に学校に通うのが楽しいのは俺も同じだ。
「だ、大好き!!?」
一瞬アーシェが俺を見つめてかたまった。
どうしたんだ?
さっきまで楽しそうだったのに。
また俺がなにかやらかしたか?
女の子にどう接していいのかなんて、経験値ゼロに近いからな俺は。
ティア先輩にもすっかり睨まれてるし。
俺は戸惑いながらアーシェに言った。
「ご、ごめん、俺なんか変なこと言った?」
アーシェは俺を見つめて真っ赤になりながら答える。
「ううん! 私も! 私もロイが大好き!!」
良かった。
俺の気のせいだったみたいだ。
楽しい夕食の時間はゆっくりと過ぎていく。
そんな中、ラフィーネ先生が俺に囁く。
「ロイ、そろそろあの話をアランたちにした方がいいんじゃないのかい?」
「え、ええ、そうですね先生」
例の話をまだ、二人には話してないんだよな。
いきなりあんな話をするのは、どうも気が引けちゃってさ。
何しろ、前世はずっと引きこもっていただけにこういう大事な話をあらたまって話を両親とするという経験がほぼ皆無だ。
でも、話さないとな。
エミリア先生には、明日返事をするって約束したし。
俺は一度咳ばらいをして、アランとママンに言った。
「あ、あの、お父さん、お母さん、俺大事は話があるんだ」
二人は不思議そうに首を傾げる。
「どうしたの、ロイ」
「どうした、急にあらたまって」
俺はそんな二人を見つめる。
そして、俺は自分の将来にも関わるであろう話を二人に話し始めた。
14
あなたにおすすめの小説
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
放逐された転生貴族は、自由にやらせてもらいます
長尾 隆生
ファンタジー
旧題:放逐された転生貴族は冒険者として生きることにしました
★第2回次世代ファンタジーカップ『痛快大逆転賞』受賞★
★現在4巻まで絶賛発売中!★
「穀潰しをこのまま養う気は無い。お前には家名も名乗らせるつもりはない。とっとと出て行け!」
苦労の末、突然死の果てに異世界の貴族家に転生した山崎翔亜は、そこでも危険な辺境へ幼くして送られてしまう。それから十年。久しぶりに会った兄に貴族家を放逐されたトーアだったが、十年間の命をかけた修行によって誰にも負けない最強の力を手に入れていた。
トーアは貴族家に自分から三行半を突きつけると憧れの冒険者になるためギルドへ向かう。しかしそこで待ち受けていたのはギルドに潜む暗殺者たちだった。かるく暗殺者を一蹴したトーアは、その裏事情を知り更に貴族社会への失望を覚えることになる。そんな彼の前に冒険者ギルド会員試験の前に出会った少女ニッカが現れ、成り行きで彼女の親友を助けに新しく発見されたというダンジョンに向かうことになったのだが――
俺に暗殺者なんて送っても意味ないよ?
※22/02/21 ファンタジーランキング1位 HOTランキング1位 ありがとうございます!
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
社畜の異世界再出発
U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!?
ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。
前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。
けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる