成長チートになったので、生産職も極めます!

雪華慧太

文字の大きさ
95 / 254
連載

250、願いを

 白い光を帯びたその姿。
 その光は淡くそして強く、美しいグラデーションを見せながら輝いている。
 
(これは……)

 エイジは思わず言葉を失った。
 ミイムが、エイジの肩で嬉しそうにその光に向かって話しかける。

『お母様! ミイム、エイジと友達になったです!』

 白い光と一緒にこちらに向かってくるリイムが、エイジの肩にとまる。

『ミイム、はしゃぐのやめなさいって言ったでしょ?』

 ミイムは、リイムにそう咎められてまたしょんぼりする。

『そういうなって、リイム。ミイムが楽しそうで、エリスたちも喜んでるんだしさ』

 エイジの言葉にミイムは、ぱぁっと明るい顔になって。

『ミイムと友達になれて嬉しいですか?』
 
『ああ、ミイム』

 すっかり機嫌が直って、エイジの肩に座って鼻歌を歌うミイム。
 精霊だけに実際に年齢は分からないが、しっかり者のリイムは小学生ぐらい、ミイムは幼稚園児といった雰囲気である。
 白い光はゆっくりとこちらに歩み寄りながら、ミイムに言った。

『リイム、ミイム、いらっしゃい』

『はい!』

『はいです、お母様!』

 白い光を放つ精霊の言葉に、リイムとミイムはエイジの肩から飛び立つと、今度はその精霊の美しく長い腕にとまった。

「綺麗……」

「本当ね……」

 エリスとリアナは白い光を放つ精霊を見つめて嘆息していた。
 エイジも思わず見惚れてしまう。
 北欧の神話の女神のような容貌の女性が、白い光を帯びて歩いてくる。
 もし目の前の存在が『私は女神です』といったら多分信じるだろう。
 加護を貰っておいて失礼な話だとは思うが、少なくてもメルティに言われた時よりは信じられる自信がある、とエイジは思った。

(メルティとは、出会いが最悪だったからな)

 思い出すと溜め息しか出ない出会いである。
 光の精霊は、エイジたちの前に立つとリイムとミイムの頭を優しく撫でた。
 しっかり者のリイムも、無邪気な顔をして気持ちよさそうにしている。
 ミイムにいたっては、すっかり甘えている様子だ。
 その後、暫く何を言わずにエイジを眺めるとようやく口を開いた。

『私はファルティーシア。この境界を守る者です』

『あの、俺、エイジって言います」

 エイジは慌てて挨拶を返した。
 間近で見ると、人の形はしているが全く別の生命体であることがハッキリと分かる。
 輪郭が揺れ、そしてまた形を成す。
 ライアンがシェリルに話しかけた。

「凄え、この人も精霊なんだろ? こっち見てるぜ、へへ、綺麗だなぁ」

「ライアンじゃなくて、エイジを見てるにゃ。恥ずかしい顔するのやめるにゃ」

 エリクが唇に指を当てて、静かにするように窘めた。

「しっ! 相手は高位精霊と呼ばれる特別な存在です。精霊使いの中には、彼らを神と崇める者もいるぐらいですから」

「か、神?」

 その言葉に背筋をしゃんとするライアン。
 エリクはエイジにも忠告する。

「エイジ、貴方も失礼がないように。願いは一つにして下さい、彼女は欲が深い人間を嫌いますからね」

 エイジはエリクさんに頷くと、ファルティーシアと名乗る精霊に挨拶をした。

『あの、中に入れて頂いてありがとうございます。俺たちこの先に行きたいんです、それで貴方たち精霊の許可を頂きたいと思って』

 白い光を放つ精霊は、静かにエイジを見つめると口を開いた。

『精霊の言葉を話す人間は珍しい。リイムやミイムが懐くのも。いいでしょう、ここを通ることを許しましょう。リイム、ミイム、出口まで案内をしてあげなさい』

 二人はファルティーシアの白い腕から飛び立つと、エイジの周りを飛び回る。

『分かりました、お母様! エイジ、行くわよ。案内してあげる』

『ミイムも案内するです!』

『ありがとな、二人とも』

 その旨エイジは一向に伝えると、リイムとミイムに案内されながら足を踏み出した。
 だが……。

(高位精霊か、もしかしたら)

 エイジはファルティーシアを振り返る。
 白王の薔薇のことを何か知っているかもしれない。
 彼女がもう踵を返して、クリスタルの方に帰っていくのが見えた。
 それを見てエイジは慌ててしまい、思わず口にしてはならないことを口走った。

『あ、あの! 俺、もう一つお願いがあるんですけど!』
感想 665

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。