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370、父の面影
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「エリス、トラスフィナ王女。貴方と私はよく似ているわ」
「ララリシア……」
青い髪の少女は、燃え上がるような真紅の髪の少女を見つめた。
そして懐かしそうに、そっとその髪を撫でる。
「エイジが好きなのね。とっても深く愛しているのが分かる、自分の命を捨ててもいいほど」
「え? わ、私は……」
ララリシアの言葉に思わず顔を赤らめる、エリス。
だが、隠しても無駄だと思ったのだろう。
静かにその胸の内を打ち明けた。
「ええ、愛してるわ。不思議なの、まだ出会ったばかりなのにエイジのことを考えると、とても幸せな気持ちになれる」
「互いの魂が触れ合うような体験が出来たなら、時間は問題じゃない。貴方とエイジ、それに私とあの人のように」
青い髪の少女の言葉にエリスは思い出す。
エイジと出会ってから今日までのことを。
ほんの短い期間に過ぎない。
(エイジは、いつも私たちの為に戦ってくれた)
美しい赤毛の少女は胸にそっと手を当てる。
困難に立ち向かう少年の横顔。
そして、一緒に過ごしたあの月夜の街での出来事。
ウォータードルフィンの泉に飛び込んだ自分。
エイジが助かるのなら、自分の命は捨ててもいいと思った。
エリスはララリシアに問いかけた。
彼女が言ったあの人とは一体誰なのだろうかと。
「ララリシア、貴方にもそんな人がいたのね?」
「ええ、エリス。その髪を見ると思い出す、私の為に戦ってくれたあの人のことを。貴方のように燃え上がるような赤い髪をしていた」
「赤い髪……」
エリスは、自分の髪を愛おし気に撫でるララリシアの様子を見て首を傾げる。
いつの間にか当たりの風景は変わっていた。
先程まで自分たちがいた研究施設によく似た光景。
その中で一人の赤子を抱く女性。
それはララリシアだった。
そしてその傍に立つ男性の姿。
エリスはそれが誰かに似ていると感じた。
あの日、たった一度だけ会ったことがある男性。
エリスは思わず呟いた。
「お父様……」
エリスの父は、トラスフィナの王レオンリートだ。
この時代にいるはずもない。
別人だということは分かる。
でも似ているのだ。
燃え上がるような赤い髪。
逞しいその体。
(よく似ているわ、あの瞳まで)
ララリシアと、腕に抱かれた赤子を優しく見つめるその瞳。
あの時、父もあんな瞳でエリスを見つめていた。
娘に拒絶されても何も言わず、エリスを見つめていたのを覚えている。
ずっと憎みながらも、心のどこかで父親を求め続けてきたのはその瞳を忘れられなかったからだ。
今でもエリスの心の中には、そんな父の面影が消えることは無い。
エリスの傍に立つララリシアは、幸せそうな二人を見つめて静かに口を開いた。
「彼の名はフェルスセオン。女王である私を支えるレジスタンスのリーダーだったわ。そして数年に渡る抵抗の戦いの中で、私たちは結ばれた。私が腕に抱いているのは私たちの娘よ」
「ララリシア……」
青い髪の少女は、燃え上がるような真紅の髪の少女を見つめた。
そして懐かしそうに、そっとその髪を撫でる。
「エイジが好きなのね。とっても深く愛しているのが分かる、自分の命を捨ててもいいほど」
「え? わ、私は……」
ララリシアの言葉に思わず顔を赤らめる、エリス。
だが、隠しても無駄だと思ったのだろう。
静かにその胸の内を打ち明けた。
「ええ、愛してるわ。不思議なの、まだ出会ったばかりなのにエイジのことを考えると、とても幸せな気持ちになれる」
「互いの魂が触れ合うような体験が出来たなら、時間は問題じゃない。貴方とエイジ、それに私とあの人のように」
青い髪の少女の言葉にエリスは思い出す。
エイジと出会ってから今日までのことを。
ほんの短い期間に過ぎない。
(エイジは、いつも私たちの為に戦ってくれた)
美しい赤毛の少女は胸にそっと手を当てる。
困難に立ち向かう少年の横顔。
そして、一緒に過ごしたあの月夜の街での出来事。
ウォータードルフィンの泉に飛び込んだ自分。
エイジが助かるのなら、自分の命は捨ててもいいと思った。
エリスはララリシアに問いかけた。
彼女が言ったあの人とは一体誰なのだろうかと。
「ララリシア、貴方にもそんな人がいたのね?」
「ええ、エリス。その髪を見ると思い出す、私の為に戦ってくれたあの人のことを。貴方のように燃え上がるような赤い髪をしていた」
「赤い髪……」
エリスは、自分の髪を愛おし気に撫でるララリシアの様子を見て首を傾げる。
いつの間にか当たりの風景は変わっていた。
先程まで自分たちがいた研究施設によく似た光景。
その中で一人の赤子を抱く女性。
それはララリシアだった。
そしてその傍に立つ男性の姿。
エリスはそれが誰かに似ていると感じた。
あの日、たった一度だけ会ったことがある男性。
エリスは思わず呟いた。
「お父様……」
エリスの父は、トラスフィナの王レオンリートだ。
この時代にいるはずもない。
別人だということは分かる。
でも似ているのだ。
燃え上がるような赤い髪。
逞しいその体。
(よく似ているわ、あの瞳まで)
ララリシアと、腕に抱かれた赤子を優しく見つめるその瞳。
あの時、父もあんな瞳でエリスを見つめていた。
娘に拒絶されても何も言わず、エリスを見つめていたのを覚えている。
ずっと憎みながらも、心のどこかで父親を求め続けてきたのはその瞳を忘れられなかったからだ。
今でもエリスの心の中には、そんな父の面影が消えることは無い。
エリスの傍に立つララリシアは、幸せそうな二人を見つめて静かに口を開いた。
「彼の名はフェルスセオン。女王である私を支えるレジスタンスのリーダーだったわ。そして数年に渡る抵抗の戦いの中で、私たちは結ばれた。私が腕に抱いているのは私たちの娘よ」
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