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連載
221、高め合う力
「俺の槍の強さはここからだ。覚悟しな! 迷宮に入る前にその剣、へし折ってやる!!」
ライアンはそう言うと、凄まじい勢いで地面を蹴った。
槍と一体になり、まるで低空飛行をするミサイルのように突っ込んでくるライアン。
先程、大きく距離を取ったのは加速する為の距離を得る為だろう。
エリクはそれを見て唸った。
「いつもより速いですね。ライアンめ、普段は手を抜いているな。訓練の時から実戦のつもりでやるようにと言っているのに」
ジーナはそれを聞いて首を横に振る。
「そうじゃないさ、あの目だよ。エイジの真っすぐなあの目が、相手を熱くさせるのさ。ふふ、昔のラエサルがそうだったからね」
ジーナは、初めてラエサルと剣を交えた日のことを思い出した。
絶対的な自信を持っていた剣、その前に立ち塞がった男の真っすぐな瞳。
「ラエサルが気に入るわけさ」
エイジは両手で大剣を握ると、集中力を高めていく。
その瞳は、凄まじい勢いでこちらに向かってくるライアンの槍の穂先を捉えた。
ギィイイイイイイインン!!
闘気を纏った大槍の重い一撃。
その一打を受け止め、つばぜり合いをする大剣。
エリスとリアナが思わず叫ぶ。
「エイジ!」
「頑張って!」
エイジの大剣も闘気に覆われていた。
槍の柄を握りながら、ライアンはエイジを見据えると笑みを浮かべる。
「闘気纏刃まで使えるとはな。やるじゃねえか。だがよ、この間合いなら、槍は剣より圧倒的に有利だぜ」
豪快な笑みが浮かんだその口の端から、鋭くとがった犬歯が覗いている。
それは、まるで牙のようだ。
エリスが思わず呟く。
「獣人? でも……」
シェリルは、ライアンを見つめながら言った。
「半獣人にゃ。気に入らないワンコの一族だけどにゃ! ライアン、負けるんじゃないにゃ!!」
「にゃあにゃあうっせえぞ、シェリル! この俺が負けるはずねえだろ!」
ライアンの髪が闘気を帯びて逆立っている。
エイジは、つばぜり合いをしながら相手の全身に闘気が満ちていくを感じた。
(来る!!)
そう思った瞬間──
ライアンの闘気が爆発的に膨れ上がる。
半獣人の少年は叫んだ。
「うぉおおおおおお! 獣牙連撃!!」
無数の突きが宙に残像を描く。
ジーナはそれを見ながらエリクに言った。
「ライアンの奴やるね、いい気迫と集中力だ。Aランクの領域に踏み込み始めてるよ」
「全く、いつもこの調子でやってくれればいいものを。潜在能力はオリビアと同じでピカ一ですからね。それにしても……」
エリクの言葉にジーナは頷いた。
「ああ、エイジがここまでやるとはね。槍と剣ってこともある、私の読みでは今の時点ではライアンの勝ちだったんだけどさ」
「五分五分ですね。今の間合いで押しとどめればライアンの勝ち、槍の間合いの内側の入り込めばエイジ君の勝ちでしょう」
戦況を見ながら冷静に話している二人を見て、シェリルは思わず声を上げた。
「何冷静に分析してるにゃ! あいつ、ライアンの突きを全部打ち返してるにゃ!!」
エリスとリアナも、エイジの姿にくぎ付けになっていた。
その見事な剣技に。
二人の少年の周りに飛び散る無数の火花。
凄まじい剣戟が繰り広げられている。
闘気が込められた槍と剣がぶつかり合い、火花を散らす。
両者の力と技がせめぎ合う。
「うぉおおおおおおお!!」
「はぁああああああ!!」
ライアンの間合いの内側に入り込もうとする、エイジ。
それを阻む、ライアンの槍。
ギィイイイイイイイイイン!!
ひと際大きな音が鳴り響いて、二人は再び距離を取る。
ライアンは楽し気に笑った。
「へへ、やるじゃねえかよ。エイジって言ったな、お前」
「ああ、そっちの方こそな。ライアン」
二人の額から流れた汗が頬を伝っていく。
彼らの汗が、同時に顎から零れ地面に落ちた。
その刹那──!
「行くぜ! エイジ!!」
「おお!!」
激突する剣と槍。
凄まじい打撃音が辺りに響く。
大槍の重い一撃に、エイジは歯を食いしばった。
極限の戦いに、集中力が高められていくのが分かる。
「おぉおおおおおおお!!」
吠えるように叫んだエイジの両肩の防具が光を放つ。
その瞬間、ライアンは自分の槍がエイジの剣に押されていくのが分かった。
(馬鹿な! まだ何か力を隠し持っていやがったのか!?)
振り切られたエイジの大剣に、ライアンの槍は完全に弾き返された。
凄まじい膂力だ。
「くっ! させるか!!」
このまま懐に入られたら、槍で戦う自分に勝機は無い。
だが、エイジも大剣を振り切って一瞬の隙が生まれている。
「貰ったぜ! エイジ!!」
そう叫んだライアンの体は、まるでコマのように鮮やかに回転をしていた。
エイジに弾かれた槍の勢いを利用して、反転するその体。
見事に遠心力を利用した攻撃が、逆方向からエイジに迫る。
(力任せに振り切ったのが運のつきだったな、エイジ。俺の勝ちだ!)
勝利を確信したライアンに向かって、エイジは大剣を振り切った姿勢のまま踏み込む。
ライアンは目を見開いた。
振り切られた大剣から放されたエイジの左手が、もう一つの銀光を一閃させるのが見える。
それは、鮮やかにライアンの胸元に突きつけられた。
いつの間にか腰の鞘から抜かれ、左手に握られたもう一つの剣。
「馬鹿な、あの体勢から二刀だと……」
ジーナはそれを見て静かに口を開いた。
「ふふ、面白いものを見せてくれるじゃないか。どうやら、こちらは決着がついたようだね」
ライアンはそう言うと、凄まじい勢いで地面を蹴った。
槍と一体になり、まるで低空飛行をするミサイルのように突っ込んでくるライアン。
先程、大きく距離を取ったのは加速する為の距離を得る為だろう。
エリクはそれを見て唸った。
「いつもより速いですね。ライアンめ、普段は手を抜いているな。訓練の時から実戦のつもりでやるようにと言っているのに」
ジーナはそれを聞いて首を横に振る。
「そうじゃないさ、あの目だよ。エイジの真っすぐなあの目が、相手を熱くさせるのさ。ふふ、昔のラエサルがそうだったからね」
ジーナは、初めてラエサルと剣を交えた日のことを思い出した。
絶対的な自信を持っていた剣、その前に立ち塞がった男の真っすぐな瞳。
「ラエサルが気に入るわけさ」
エイジは両手で大剣を握ると、集中力を高めていく。
その瞳は、凄まじい勢いでこちらに向かってくるライアンの槍の穂先を捉えた。
ギィイイイイイイインン!!
闘気を纏った大槍の重い一撃。
その一打を受け止め、つばぜり合いをする大剣。
エリスとリアナが思わず叫ぶ。
「エイジ!」
「頑張って!」
エイジの大剣も闘気に覆われていた。
槍の柄を握りながら、ライアンはエイジを見据えると笑みを浮かべる。
「闘気纏刃まで使えるとはな。やるじゃねえか。だがよ、この間合いなら、槍は剣より圧倒的に有利だぜ」
豪快な笑みが浮かんだその口の端から、鋭くとがった犬歯が覗いている。
それは、まるで牙のようだ。
エリスが思わず呟く。
「獣人? でも……」
シェリルは、ライアンを見つめながら言った。
「半獣人にゃ。気に入らないワンコの一族だけどにゃ! ライアン、負けるんじゃないにゃ!!」
「にゃあにゃあうっせえぞ、シェリル! この俺が負けるはずねえだろ!」
ライアンの髪が闘気を帯びて逆立っている。
エイジは、つばぜり合いをしながら相手の全身に闘気が満ちていくを感じた。
(来る!!)
そう思った瞬間──
ライアンの闘気が爆発的に膨れ上がる。
半獣人の少年は叫んだ。
「うぉおおおおおお! 獣牙連撃!!」
無数の突きが宙に残像を描く。
ジーナはそれを見ながらエリクに言った。
「ライアンの奴やるね、いい気迫と集中力だ。Aランクの領域に踏み込み始めてるよ」
「全く、いつもこの調子でやってくれればいいものを。潜在能力はオリビアと同じでピカ一ですからね。それにしても……」
エリクの言葉にジーナは頷いた。
「ああ、エイジがここまでやるとはね。槍と剣ってこともある、私の読みでは今の時点ではライアンの勝ちだったんだけどさ」
「五分五分ですね。今の間合いで押しとどめればライアンの勝ち、槍の間合いの内側の入り込めばエイジ君の勝ちでしょう」
戦況を見ながら冷静に話している二人を見て、シェリルは思わず声を上げた。
「何冷静に分析してるにゃ! あいつ、ライアンの突きを全部打ち返してるにゃ!!」
エリスとリアナも、エイジの姿にくぎ付けになっていた。
その見事な剣技に。
二人の少年の周りに飛び散る無数の火花。
凄まじい剣戟が繰り広げられている。
闘気が込められた槍と剣がぶつかり合い、火花を散らす。
両者の力と技がせめぎ合う。
「うぉおおおおおおお!!」
「はぁああああああ!!」
ライアンの間合いの内側に入り込もうとする、エイジ。
それを阻む、ライアンの槍。
ギィイイイイイイイイイン!!
ひと際大きな音が鳴り響いて、二人は再び距離を取る。
ライアンは楽し気に笑った。
「へへ、やるじゃねえかよ。エイジって言ったな、お前」
「ああ、そっちの方こそな。ライアン」
二人の額から流れた汗が頬を伝っていく。
彼らの汗が、同時に顎から零れ地面に落ちた。
その刹那──!
「行くぜ! エイジ!!」
「おお!!」
激突する剣と槍。
凄まじい打撃音が辺りに響く。
大槍の重い一撃に、エイジは歯を食いしばった。
極限の戦いに、集中力が高められていくのが分かる。
「おぉおおおおおおお!!」
吠えるように叫んだエイジの両肩の防具が光を放つ。
その瞬間、ライアンは自分の槍がエイジの剣に押されていくのが分かった。
(馬鹿な! まだ何か力を隠し持っていやがったのか!?)
振り切られたエイジの大剣に、ライアンの槍は完全に弾き返された。
凄まじい膂力だ。
「くっ! させるか!!」
このまま懐に入られたら、槍で戦う自分に勝機は無い。
だが、エイジも大剣を振り切って一瞬の隙が生まれている。
「貰ったぜ! エイジ!!」
そう叫んだライアンの体は、まるでコマのように鮮やかに回転をしていた。
エイジに弾かれた槍の勢いを利用して、反転するその体。
見事に遠心力を利用した攻撃が、逆方向からエイジに迫る。
(力任せに振り切ったのが運のつきだったな、エイジ。俺の勝ちだ!)
勝利を確信したライアンに向かって、エイジは大剣を振り切った姿勢のまま踏み込む。
ライアンは目を見開いた。
振り切られた大剣から放されたエイジの左手が、もう一つの銀光を一閃させるのが見える。
それは、鮮やかにライアンの胸元に突きつけられた。
いつの間にか腰の鞘から抜かれ、左手に握られたもう一つの剣。
「馬鹿な、あの体勢から二刀だと……」
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